飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「東ベルリンから来た女」(監督:クリスティアン・ペッツォルト)

2014-04-11 | Weblog

■製作年:2012年

■監督:クリスティアン・ペッツォルト

■出演:ニーナ・ホス、ロナルト・ツェアフェルト、他

 

ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞している作品です。東西に分裂しているドイツを描いた映画で、私自身はそうした状態のドイツを描いた映画を見たのは、ほとんどはじめてに近いかもしれません。冷戦の象徴として東西を分断したベルリンの壁という存在は、現代史においてももっとも重要なキーワードとなるもののですが、この戦勝国による都市の分断の悲劇とその壁の崩壊による冷戦の雪解けの歴史を、私はどこまで認識し得ているのかというと、はなはだ疑問なところがあります。正直、学生時代に、ベルリンの壁について何となく学んだことがあるとはいえ、興味はなく他の国のことでありよくわからん、と理解を深めるでなくただ名前くらいを知っているというくらいの感じでした。つまり、ベルリンという大都市を東西の政治体制を象徴する形で壁があるんだろうな。その際、政治体制も違うので通貨や経済に関することも違うのだろうから食料や物資はどうしているんだろう?なんて疑問が一杯あったのですが、別段その疑問を調べることもなくきたということです。

 

この映画は、その分断された時代を描いており、東ベルリンから田舎町に来た女医が主人公です。彼女は秘密警察(シュタージ)から監視されており、問答無用で部屋を調べる、身体検査までさせられるという有様です。逆を言うなら、何らかの疑いをかけられることをしてきたのかなとも推測されるのです。このシュタージという存在ですがネットで調べると相当なレベルで市民を監視していたみたいで、スパイ活動もしていたようですね。その疑いに対して事実、彼女は西側への亡命を企んでおり、新しく赴任した病院では心を閉ざし孤立無援の態度で臨んでいます。それがクールに冷たく映像には映るのですが、恋人と密会する時は言葉を交わすまえから抱き合い、心のなかの情念を押し殺していることがわかります。

 

最後は彼女の心に変化が起こり、予定していた亡命はその結末を向かえずに別の選択をすることになります。そこに何を感じるか?この映画の大きなポイントなのですが、歴史は東に残った女医に対して、やがて壁の崩壊を迎え東西は併合するという答えを出すことになるわけです…。

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クリスティアン・ペツォルト
アルバトロス

 

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