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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「それでも夜は明ける」(監督:スティーヴ・マックイーン)を見た

2014-04-14 | Weblog

■製作年:2013年
■監督:スティーヴ・マックイーン
■出演:キウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ポール・ダノ、他

 

今年のアカデミー賞作品賞に選ばれたこの映画「それでも夜は明ける」は、久々に重厚な映画を見たって感じでした。黒人差別、奴隷制度の闇の側面を真正面から描いた映画で、その映像描写は見ていても憤りを感じざる得ないほどの迫真性と残酷さのある力強いものでした。舞台となった100年前のアメリカでは、こんな酷い非人道的なことがまかり通っていたのだということがにわかに信じられません。次から次へと起こる黒人への理不尽な差別、暴力は痛みのある描写ばかりでした。それゆえに、見ている方の感情も大きく刺激され、揺さぶられるのでした。映画としての出来も素晴らしく、アカデミー賞作品賞の受賞は納得のできる重厚な作品です。映画史に残る作品であると思います。監督が黒人であるというのも歴史的に意義深いです。

こうした人種差別を真っ向から扱う人道的な映画は、久しぶりに見る印象もあり、もしかしたら最近の流行ではないかもしれません。しかし、こうした映画こそ、我々が過去に犯した過ちを二度と犯さないためにも作られ語られるべきなのでしょう。この映画で描かれた奴隷制度のようなことは、人を人として扱っていなかった時代がつい最近まであったということを意味しています。そして、人類史というスパンでみればそうした立場の強いものが弱い者に対して暴力により家畜扱いをしたということが長い間あったということを容易に想像させるし、ヒューマニズムというのが如何に人類にとって難しいことであるのかということまで考えさせるのでした。人の道なんてものが昔から説かれ続けるのも、できないのだということの裏返しに違いないのです。いずれにせよ、こうした悍ましい歴史も人間なんていう生き物は、喉元過ぎたら忘れてしまうというのが、その本性ですから、啓蒙的な意味も込めてこうした告発的な映画は絶対に必要なのだと思います。

於;新宿武蔵野館にて鑑賞

それでも夜は明ける オリジナル・サウンドトラック
SMJ
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