飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「瞳の奥の秘密」(監督:ファン・ホセ・カンパネラ)を見た

2010-09-13 | Weblog
■製作年:2009年
■監督:ファン・ホセ・カンパネラ
■出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、パブロ・ラゴ、他

アルゼンチン映画なのであります。馴染みがない国の映画なのでピンとこないのですが、アルゼンチン・アカデミー賞を総ナメし、記録的な大ヒットを飛ばしたこと、2010年度のアカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞していることなどが謳われている作品なので、これは期待ができる作品じゃないかと。お盆に劇場公開された時は1館での上映だったのが、今では2館での上映となっているということは実際、評判がいいのでしょう。ボクが見たときは館内は満員でした。映画館が満員になっているなんて久々の経験です。



(※以下ネタバレ注意)映画は、なんというか<映画らしい映画>でした。大作なのですがアメリカ映画によく感じるウンザリするような計算されつくした人工的な映像のテイストなどではなく、シンプルであるがゆえの存在感を持った映像(上手く表現できないのですが)で、それが味わい深さを出していて、より<映画らしい>(抽象的ではっきりしないのですが)印象を持ちました。ようするに説得力のある映像であったということです。演出も細部まで気を配ってあることがわかり、それが映画館から出た後からわかると、なるほどねぇ~となって映画的余韻を楽しむこともでききます。

そして随所に見られる官能性を持った映像。たとえば、圧巻なのはサッカー場の場面、俯瞰から競技場を捉えるとカメラはグラウンドにより選手らの活躍を見せ、それに沸く観客席まで一気によっていきます。一体どうやって撮ったんだろうと思わせる凄い映像センス。あるいは、ボクが一番この映画の中で好きな映像、ラストの終わり方、ドアが閉まりそこにはじめて映画のタイトルが映し出されるところ。一見そっけない映像でも、とてもファンタジックに感じさせる余韻を持たせてくれる部分でした。ボクはそれを官能性を持った映像と呼びたいのです。



終わりよければ総てよしではないのですが、この「瞳の中の秘密」はサスペンスの手法をとりながら、愛の映画でありファンタジーなのでした。それがこの作品をいいなと感じさせる大きな要因なのでしょう。そして、それを支えるに十分すぎる役者の見応えたっぷりな演技があったことも。抑制の効いた俳優人らの演技により、老年期を迎えた男と女のファンタジーは、よりファンタジーになりえたのだと。なぜなら素材としては全くそれになりうる要素などない、どちらかというと惨い悲惨な話なのですから。瞳で役者は語らねばならないのです。そしてこの映画を見て、あらためてこの世の中は男と女で構成されていることを感じずにいられませんでした。やっぱり、心の隙間を埋めてくれるのは名誉やお金ではなく、愛する人であるのです。

ところでアルゼンチンで大ヒットしたこの「瞳の中の秘密」、さしずめ日本でいえばかつての「砂の器」に近いような位置づけになるんでしょうかね…。DVD化されたらもう一度じっくりと見てみたいと思わせる内容で、映画館の大画面で見ても損はしないオススメの映画です。



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