飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「花と蛇3」(主演:小向美奈子)を見た

2010-09-10 | Weblog
■公開:2010年
■原作:団鬼六
■監督:成田裕介
■出演:小向美奈子、本宮泰風、火野正平、水谷ケイ、他

今週は「家畜人ヤプー」ときたので、同じようなジャンル(とはいいながら志向性は逆を向いているのですが)の作品、映画「花と蛇3」を見ました、「家畜人ヤプー」がマゾのジャンルならこちらはサドのカテゴリー。覚醒剤所持で話題となった小向美奈子が主演しています。ボク自身はどちらかというと、まだこちらのテイストの方が受け入れやすいかな。この「花と蛇」シリーズは杉本彩が主演して話題となったもの、今回は小向美奈子で興行的話題をさらうべく男性向け週刊誌ではその映画のショットが袋とじで特集されていたし、緊縛写真集やDVDなどが配給前から店頭に並ぶというマーケティング戦略を展開していました。

ボクは主演の小向美奈子という女性は、覚醒剤の事件が発生するまでその存在を知りませんでした。けっこうグラビアなどを飾ったアイドル系らしい。彼女は巨乳なので緊縛では絵になるんだろうとそのスキャンダルス性も含めて映画にキャスティングされたのだろう。正直、ボクはこのシリーズで先に出演していた杉本彩とどちらがタイプかというと、小向ではなく杉本を選ぶ方、今週書いてきた「家畜人ヤプー」のテーマがなかったら映画は見には行ってないかもしれませんでした。ならば何を求めるか?写真で見る限りではありますが、ビジュアル的にはおっとり系の彼女が、覚醒剤が云々とかストリップに転身とか、そうしたスキャンダルな出来事を通して得たことを女優としての肥やしにどう魔性性を発揮し見せてくれるのかというところであります。



映画館でこのようなエッチ系の映画を見ていて思ったのは、もう30年近く前の昔と言ってしまっていいボクの学生時代の感覚にタイムスリップしたということです。当時はアダルトビデオが出ていないか、出はじめのころで、それの変わりにあったのが映画=日活ロマンポルノでありました。ボクらは時折、衝動的に予定もしていないのにそのロマンポルノを映画館で見たものでした。映画館の大画面でそうしたエッチな映像を見るという行為が大層久々なわけです。当時はポルノを上映している映画館の客席でタバコを吸いながら見ていた記憶がありますし、濡れ場の映像が始まると館内はシーンとなり、それが終わると一斉に足を組み替える音がそこかしこからする、そんな様子で銀幕に映る女優の汗ばみくねる肢体を息を呑んで見ていたのです。そんな懐かしい感覚を映画が始まると同時に思い出したのです。

ただ、映画の方は残念ながら、お世辞にも面白いとは言えませんでした。小向美奈子演じる静子夫人が調教され、やがてSMに目覚めていくわけですが、動機づけが弱い。金を浴びるほど持っている企業グループの若旦那?が個人的趣味を実現させるために何人もの人を巻き込み、大道具仕立てで一人の女性をその世界の快楽へと導いていくという話は、そこに○○ねばならないという逼迫した事情が見えません。価値観の転倒がないのです。「家畜人ヤプー」が伝説の書物になりえたのは明快な価値観の転倒とそれの受容があったからではないでしょうか。空想の世界の絵空事としても、イマイチ訴求性が薄い気がしました。むしろ、この静子は同じく敵対する企業の総師である老人に囲われて不自由ない生活をしており、その代償として夜な夜な老人の偏愛の道具となっている。松本清張の「けものみち」を想起させるシュチエーションの方がよっぽどエロティックな感じがしました。欲望の原因がはっきりしているから。また、演じる小向美奈子も演技が上手いとは言えず、先に書いた魔性性を期待したほど伺うことはできませんでした。(ただ、体を張った体当たりの演技は評価できます)火野正平の出演は大きかったと思います。もし彼が出ていなかったら映画は相当弛緩してしまったのではないだろうか。この手の映画は昔のものになりますが日活ロマンポルノの方がいいと思ったのは本音の感想でした。



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