もう終了してしまったのですが、これまでにない大規模な回顧展であったようで、すごい人気で、チケット購入に行列ができていました。毎回美術展の記事になると書いているような気がしますが、一体この現象は何なのか?人の多い団塊の世代が暇を持て余しこうした美術展に足を運んでいるからですかね?この過熱ぶりにはびっくりします。
ボクにとって上村松園の絵を見るのはこれで2回目であります。前回見たのは、もう何十年も前の学生時代のこと、京都の百貨店で開催された展覧会に行ったことがあります。その時は何で行ったのかというと、映画「序の舞」の影響もあったのかもしれないし、京都下宿にしていたのでその地、京都が生んだ女性日本画家の大家ということでいったのかも知れません。その時の記憶を探っていても代表作の「序の舞」の印象は強く印象に残っています。
今回、上村松園の絵を通して見て感じたことは、まず、円熟期に入った50歳以降に描いた作品がボクはいいなあと思ったことです。全く余分なものがありません。一枚の絵の中ですべてが完結している感じがしてスキがないのです。松園の女性は、一瞬の様子を捕らえて描いているのだけれども、それが永遠に静止したかのような印象を与えてくれます。それが50年以上も前に描かれていても、描かれた一瞬の時は今も変わらずにそのまま絵に閉じ込められているというか、最早、抽象画といってしまうと言い過ぎかも知れませんがそのくらい凝縮し濃密で削ぎ落とされ純粋な空間や時間を構築していると感じるのです。
昨日、名取裕子が上村松園を演じた映画「序の舞」を見たことについて描いたのですが、それによると松園は男尊女卑が色濃く残っている時代に激しく生きた情熱的な女性であったようです。しかし、描かれた絵はそうした生き方とは裏腹に静謐な気高さを持ったものが多いです。その情熱は彼女の絵の世界を構築する努力にそそがれたのかもしれません。やはり描き手の精神、魂が崇高なレベルにあるとこのような透明感のある素晴らしい絵ができあがるのでしょうね。でも、映画の情念と実際の絵が結び付きにくいのも正直な感想なんですけでどね。
◆クリック、お願いします。 ⇒
◆関連書籍DVDはこちら↓↓
もっと知りたい上村松園―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) | |
加藤 類子 | |
東京美術 |
上村松園ポストカードブック〔ちいさな美術館シリーズ〕 | |
上村 松園 | |
青幻舎 |
序の舞 [DVD] | |
宮尾登美子,松田寛夫 | |
東映ビデオ |
序の舞 (中公文庫) | |
宮尾 登美子 | |
中央公論社 |
最近はドラマでの活躍が中心ですが、名取裕子さんの魅力と色っぽさを表現できるような映画をまたみたいですよね。
ドラマの中でも時々、見つめる眼差しが色っぽいなあと思う瞬間はありますね。
長年のファンの一人としては、映画ぜひ実現してほしいです
“女性の色ろっぽさ〔いらやしくない、魅力的な色気]演技力は、素晴らしいものがある”はその通りと思います。