3月14日特別措置法の成立を受け、安倍総理は記者会見で新型コロナウィルスの感染は海外と比
べると現時点で “緊急事態 ”を宣言する状況ではないとした。
日本では毎日50人程度で増加していく新型コロナ感染者に安倍政権は業を煮やし厚労省だけでは
心許ないので感染症と闘う更なる強い決意を表明するものと予想されたが、肩透かしをされたようだ。
約2週間前の2月27日に突如として安倍総理は学校休校を宣言し、感染収束の時期を2週間後の3月
15日頃と見解を述べそれまでは国民に自粛を呼びかけていた安倍総理。 国難に向かい高いリー
ダーシップを発揮し、明確な対策を取ることで国民を鼓舞した。 総理大臣として教科書通りの素
晴らしい仕事をした。 しかし感染者は収まるどころか海外渡航やライブハウスなどの密閉された
空間での感染が徐々に増えて行き、当初感染収束と見積もった2週間後の3月15日の前日になっても
新型コロナ感染者が減る傾向がない。 国民の多くは覚悟をしていた。 3月14日の記者会見で安倍
総理は国のリーダーとして新型コロナウィルス蔓延の危機的状況に対して何らかの新しい国家的な対
策が打ち出されるものだと思ったが、意外な事に安倍総理の口から出て来た言葉は “緊急事態” の否
定だったので拍子抜けをしてしまった。
感染国となってしまった日本は今、新型コロナによる被害を最小限に抑えるために、海外と同じよう
に新たな措置を提案する必要がある時期で それは感染ルートの傾向から「渡航の自粛」が最も適切
で、フランスのように高齢者は外出さえも控えることが有効だと思えた。 そして実際に安倍総理は
自らの口で国民に「渡航の自粛」を決断したかったと思う。 しかしそれが出来ないのは、記者会見
を期日の15日より1日早めたのは、やはり経済面での打撃、日本株の大幅続落にあると思う。
これだけ下落を続けると東京五輪どころか日本経済の死活にも繋がると思えば、直面する課題は少し
置いといて、日本の新型コロナ感染はそれ程酷くは無いよ。“緊急事態”でも無いよ。と投資家や海
外の要人に心理的な安心感を与えたかったのかもしれない。
しかし例え日本市場が新型コロナ感染の危機を持ち堪えても4月の下旬にはどうせ五輪景気の利益確定
売りとする予想があるので無理をして虚勢を張る必要は無かったと思う。 ここで必要だったのは海外
との協調性とWHOの立場を尊重する事で、国際社会との連帯感だったのかもしれない。 いよいよ週明け
にも日本市場の崩壊があると思うと本気で怖くなる3月15日だ。
日本で完全に感染が収まっても中国や米国で新型コロナの感染が蔓延して東京五輪に不参加の国が増え
た場合も東京五輪は中止になる可能性が高い。 だから入国規制による一国主義では通用しない。少なく
ともWHOが中国を始め世界的にパンデミックが収まったと判断しなければ五輪開催は無理だろう。 日本
にとっては東京五輪を見据えて中国に新型コロナを鎮めて貰った方が利益があることも忘れてはならない。
安倍総理のお言葉は「新型コロナウィルスは緊急事態ではありませんが、アベノミクスが緊急事態です。」