♦️411の1『自然と人間の歴史・世界篇』「原子爆弾」と「原子力発電」の可能性

2018-11-18 10:18:02 | Weblog

411の1『自然と人間の歴史・世界篇』「原子爆弾」と「原子力発電」の可能性

 1938年、物理学者のハーンは、共同研究者のユダヤ人のマイトナーは中性子をウランに衝突させると、二つのバリウム原子ができるのを見つけた。ハーンはドイツにいて、マイトナーは亡命先のストックホルムにいた。二人は、この実験結果の意味するところを、「ウラン原子核がほぼ半分に割れたためである」と考えた。

 1939年、物理学者のイレーヌとジョリオは、ウランに中性子を当てたところ、その核分裂反応の過程で中性子が複数発生することを測定した。これにより、核分裂反応が連続して起こる可能性を発見した。

 1941年春、カリフォルニア大学バークレイ校で、グレン・シーボーグらが核物質の実験を繰り返していた。彼らは、原子炉中でウラン238が中性子を吸収しベータ崩壊して生産されるものだが、彼らは中性子照射したウラン中に生成するこのプルトニウムの分離に成功し、さらにそれがウランと同様に核分裂を起こすことを確認した。

 また1942年の同じアメリカにおいて、物理学者のフェルミらは、黒煙のブロックを積み上げた中にウランを入れ、核分裂の連鎖反応を起こすことに成功した。その際、出力を制御することが目指され、「中性子吸収材のカドミウムから作られた制御棒を用いて、出力を制御」(京極一樹「こんなにわかってきた素粒子の世界」技術評論社、2008)したという。

このプルトニウムは質量数239で、放射性(アルファ線)があり、半減期2万4110年であり、これを規定量以上に用いることにより原子爆弾・水素爆弾・原子炉の燃料となるものだ。

ここに半減期というのは、放射性物質としての放射性元素や放射性同位元素が崩壊して別の元素に変化するとき、元の元素の半分の量が崩壊するのにかかる時間をいう。もっとも、「崩壊は、少しずつゆっくりと発生します。半減期の2倍の期間が過ぎても崩壊がすべて終わるのではなく、半分の半分が完了するので、合計して3/4の崩壊が完了します」(京極、前掲書)ということだ。
 ところで、中性子が他のウラン235の原子核に当たるためには一定の体積中にある程度以上のウラン235が存在しなければならない。当たり続ける=連鎖反応が起こる量を臨界量という。原子力発電所では臨界量を越えていて、中性子の量をコントロールするのを通じて連鎖反応を抑えることで安全を保っている。

しかし、2011年3月の福島原発事故のような不測の事態が起こったときにはその連鎖反応を抑えられなくなる。原爆とかは、はじめから爆発させて、核分裂の連鎖反応を抑えることを意図していないわけだから、爆発のエネルギー(E=M×C×C)が外部に暴力的な被害をもたらすことになる。
 ここで、爆発のエネルギー式(E=M×C×C)は、アインシュタインによって発見された。この式が意味するのは、核爆発によって失われるエネルギー分だけ質量のほんの少しが減少するということです。このあたりのわかりやすい、しかも系統だった説明は、矢野健太郎「数学への招待」(新潮文庫)の中でも試みられている。

(続く)

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