○〇551の1の1『自然と人間の歴史・日本篇』ベーシックインカム(BI)(そのあらまし、発端)

2019-02-24 21:07:26 | Weblog

551の1の1『自然と人間の歴史・日本篇』ベーシックインカム(BI)(そのあらまし、発端


 日本の憲法は、全ての国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障しているかのように見える。ところが、従来の国の解釈では、これは努力目標であって、実際的に個々の国民の生活を一律に保障するものではないことになっている。

ところが、最近ベーシックインカムという言葉が世の中に広く知られるようになった。そもそもの出所は、旧くはトーマス・モアの「ユートピア」あたりにあって、西洋諸国では人々にかなりの知遇を得ているという。

 その特徴としては、これまでの最低生活保障制度という範疇ながら、雇用の状況や収入、資産の如何にかかわらず、政府が全ての国民を対象に、最低限の生活に必要なお金を無償で与えるというものだ。

 最初に、現代風なベーシックインカムの起源は二つあるという。一つは、『社会信用論』を著したC.H.ダグラスが提唱したものだ。これは、貨幣発行益を財源とし、「国民配当」という形で政府が発行紙幣を国民全員に配るというもの。

  もう一つは、経済学者のミルトン・フリードマンが提示した構想で、「負の所得税」と呼ばれる。これは、「一定の額に所得が達しない人は、むしろお金がもらえる」という。例えば、所得税税率を一律25%、社会的合意で最低保証する所得を100万円としよう。すると、「所得×0.25-100万円」が個々人の収める税金になる。この場合、所得が400万円以上の人は納税を免れない。けれども、400万円未満の人は税額がマイナスになってしまう。例えば所得が240万円の人は、「240万円×0.25-100円=-40万円」であることから40万円の給付が受けられよう。それを元の所得に足しての再分配後の所得は、280万円に上がるだろう。所得が全然ない人にいたっては、丸ごと100万円の給付が受けられることになるだろう。

  この「負の所得税」構想とベーシックインカムとの違いは、ベーシックインカムは税金を払った後に一定額が自分のところに返ってくるのに対し、「負の所得税」は、その差し引きを最初にしてしまうということであって、損得では変わらない。

(続く)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


コメントを投稿