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【cinema】『レッド・ファミリー』(オンライン試写)

2014-09-21 01:23:06 | cinema
'14.09.12 『レッド・ファミリー』(オンライン試写)

coco独占青山シアターによるオンライ試写に当選 いつもありがとうございます! 昨年のTIFFで上映されているけれど、試写会としては早い方かも? 青山シアター自体のオンライン試写より早かった。時間内であれば家で好きな時に鑑賞できるのでウレシイ。ということで、PCの小さな画面で鑑賞~

ネタバレありです! 結末にも触れています!

「ソウル郊外に住む1組の家族。お互いをいたわり合う姿は理想的。いつもケンカが絶えない隣家の息子チャンスは、そんな一家をうらやましく思っていた。しかし、一家には秘密があった・・・」という話。これは、なかなか面白かった。感動という感じではなかったけれど、やっぱり泣いてしまった。どこまで本当で、どこから創作なのか不明だけど、その辺り韓国映画らしいクドさで描いているので、いい意味でリアルさがなく、あくまで作りモノとして楽しむことができた。

2013年第26回東京国際映画祭観客賞受賞作品。鬼才キム・ギドクが製作、脚本、編集を担当した作品。監督は本作が長編デビューとなる若手監督イ・ジュヒョン。キム・ギドク監督に憧れて、キム・ギドク製作、脚本作品『プンサンケ』の監督チョン・ジェホンの助けで会うことが出来たそうで、その際意気投合し今作を監督することになったとのこと! 願いは叶うのねぇ・・・ まぁ、監督ご本人も実力があったからこそ、チョン監督も紹介してくれたのだろうし、結果キム監督も映画を任せたのでしょうけれど。そうそう! 劇中で妻役と夫役が映画館で見た映画が『プンサンケ』だったのだそう。知っている人は( ̄ー ̄)ニヤリかも?

キム・ギドク監督が南北問題を扱うのは2本目。自身にも韓国人にも大きな課題だと考えているそう。韓国と北朝鮮の家族を描いているけれど、どちらが正しいかではなく、本当の家族とは何だろうという質問を投げかけたいとのこと。自身の監督作は変わった題材が多いが、『レッド・ファミリー』は温かく感動的な作品に仕上がっており、利益が出たら北朝鮮の子供たちを助けたいと考えているのだそう。なるほど・・・

公式サイトや、サーチナの監督インタビュー(サーチナ|北朝鮮スパイが突きつける家族愛とは!?『レッド・ファミリー』イ・ジュヒョン監督にインタビュー)によりますと、イ・ジュヒョン監督は本作を玉ねぎに例えて、個人の白い本音はいくつかの理念と観念によぅて幾重にも包まれていると語っている。主人公たちの抱えるパラドックスとジレンマを感じて欲しいと考えていて、家族の意味をもう一度心に刻みたいと思っているとのこと。そのためアクション部分は意図的に短くして、登場人物たちの葛藤やジレンマに重点を置いたとのこと。キム・ギドク監督からのアドバイスは「南北問題を扱う映画を撮るときには、他の題材の映画を撮るとき以上に心構えとしっかりした姿勢が必要だ」ということだったそうで、南北モチーフの長所を生かすために、体制の中の人間に焦点を当てたとのこと。

TIFFでの上映後の観客の反応は、真っ赤に目を泣きはらしスタンディング・オベーションだったそう。うーん・・・ まぁ映画祭で見たらそうなるかもしれないなぁ・・・ 家のPCで見ていたので、少し客観的な感じで見ていた部分もあるとは思うのだけど、ラストでは泣いたけれど真っ赤に目をはらしてってほどではなかったかなぁ・・・ 韓国映画は好きな作品も多いけれど、特有のドタバタや、強引でクドイ演技や演出がちょっと苦手。その強引でクドイ演出でグイグイ引き込まれる場合もあるのだけど、乗り切れなかった場合は辛いことに・・・ あくまで好みの問題なのだけど、ただその強引でクドイ演出にハマる人が、目を真っ赤に泣きはらしてスタオベする気持ちは分かる! あ、強引でクドイ演出と書いているけど、別に否定しているわけではないです! あくまで個人的な印象であり、個人的には苦手というだけ。ただ前述したとおり、今回はその強引でクドイ演出と演技が、南北問題について詳しくない日本人としては、作りモノとして割り切って見ることが出来て良かったと思う。

冒頭、観光地の屋外レストランのようなところで2組の家族が食事するシーンから始まる。子供たちが年長者よりも先に食べ始めてしまうことを注意すると、しぶしぶ箸を止める子供たち。その様子を遠目で見つつ、もう1組の家族の母親が義父に対して、もう焼けているから先に食べてくださいと促す。先に食べてしまおうとする娘を先の家族と同様に叱りつつ、自ら取り義父にお口あーん状態で食べさせる母親。注意された娘も「食べさせてあげようと思ったのよ」と言い訳しつつ、同じくお口あーんをする。それを、理想的だとホメるもう1組の母親。なのだけど・・・ えー?!韓国では年長者にお口あーんするのが嫁や、孫の理想的な姿なの?! 特に病気とか体に障害があるというわけでもないのに? その後、家に戻った時、隣家の家族の前で嫁が義父が持つ段ボール箱を、お義父さん持ちますと言って持っていて、それをよく出来た嫁だと隣家の家族が見守るシーンがある。え?!女性が持つの?!義父がお年寄だからというのならば、ここは夫じゃないの?! イヤ、他国の習慣を貶すつもりはないのだけど、"理想の家族"とか"理想の嫁"の概念の違いにちょっとビックリしたので・・・ これは韓国では一般的な考え方なのかな? それとも、ちょっと誇張している?

家に入ると嫁がいきなり義父の膝を蹴る。国境付近の写真撮影を上手くできなかった夫も平手打ち。2人は彼女を班長と呼び、失敗を詫びる。4人は偽装家族であり、北朝鮮の工作員なのだった。そのことは知って見ているので、特別ビックリすることはないのだけど、実際現在でもこんな偽装家族の工作員が入り込んでいるのかな? それは特別、北朝鮮と韓国に限ったことではなく・・・ 4人は嫁役を班長として、それぞれ北朝鮮に家族を残し、人質に取られるような形で任務遂行を強制されているということらしい。後の会話で祖父役の男性は30年以上この任務に就いていると語っているけど、その間家族に会えないというのは辛い任務だ・・・ 班長のチェックが入るものの、家族に手紙を書く機会があるようだけど、それだけしか本当の家族と繋がる機会がなく、現在は敵対する関係とはいえ、そもそもは同一民族の国で30年以上暮らしていても、祖国とか家族という感覚が残っているものなのだろうか? というのが当然の疑問としてあるわけで、その辺りの葛藤も含めて描きたいということなんだと思うけれど、どちらかというと本当の家族は絶対的な存在としてあり、工作員は家族を裏切れないというのが大前提であったように思う。それは、もちろんそうなのだけど、個人的に知りたかった部分とはちょっとズレがあったように思う。あくまで個人的な感想。大筋はこれで伝わって来る内容ではあった。ただ、韓国映画は繊細な内容を扱う際にも、感情表現が豊か過ぎるので、大味な感じになってしまう印象。これもあくまで個人的な感想。

偽装家族はツツジ班というらしく、北朝鮮側の指令を受けて、脱北者や転向者などを暗殺することが任務らしい。彼らに任務を与えたり、彼らを監視する組織もある。ツツジ班は祖父役以外は工作員になって日が浅いらしく、特に夫役は人を殺したことがないらしい。初めての任務で失敗してしまう彼を叱りつけるものの、赤ん坊を殺すことが出来ない班長。実際の工作員が暗殺の任務をこなしているのかは不明だけど、工作員として他国へ送り込まれる人たちは、こういう言い方が合っているかは別としてエリート中のエリートなのだと思うので、映画に描かれているように、あからさまに狼狽してしまったり、ターゲットに逃げられそうになってドタバタしてしまうなどということはないと思うのだけど、この辺りのことは工作員としての能力というよりも、工作員たちにも人間らしい一面があり、そういう人たちだからこそジレンマを抱え、ラストに向かうのだということなのでしょう。北朝鮮側から見れば"悪"であっても、悪人ではない人を暗殺するシーンは、ドタバタ調で描いているので、そんなに深刻にならずに見ることが出来る。韓国映画のバイオレンス過ぎる感じが苦手な身としては、クスッという視点で見ることが出来て良かった。

彼らに影響を与える隣家の家族は、偽装家族と祖父と祖母、娘と息子の構成が入れ替わった4人家族。夫を亡くした祖母は祖父役に好意を持ち、娘役と息子がお互い惹かれ合うというのは想定内なので、この構成はOKなのだけど、隣家の妻のキャラが個人的にちょっと・・・ 料理が全くできないため、いつも夫に文句を言われ、ケンカばかりしている設定なのはまだしも、サラ金から借金までしているのは同情できない。息子もいじめを受けている。問題のある家族であっても、本音をぶつけ合えるのは素晴らしいと、ツツジ班のメンバーが憧れを抱いてしまうという設定なのでしょうけれど、ちょっとドタバタ過ぎる・・・ 妻役の女優さんは韓国映画にありがちな、顔じゅうで文句を言うみたいな感じ←伝わるかな? 偽装家族も任務に就いて感情を爆発させるシーンがあるけど、普段は本当の気持ちを抑えているので、この家族と対比としているのはよく分かるし、そのバランスでギリギリ、この隣家のドタバタを見ることが出来たという感じ・・・ 韓国映画に限らず、ドタバタとクドイ演技や演出が苦手なので、あくまで個人的な感想。

両家の間には越えようと思えば越えられる低い垣根がある。これは南北分断の象徴なのでしょう。垣根の上を鳥が軽々と飛び越えて行くシーンは、俳優の自然な演技が撮れて監督のお気に入りのシーンなのだそう。隣家の家族はツツジ班に興味を持ち、次第に彼らのテリトリーに入って来るようになる。息子の誕生日会に招待され、泥酔してしまう班長。その日は彼女の誕生日でもあったのだった。酔った勢いで班長は夫を亡くし女手一つで育てた娘を北朝鮮に残して来たと語り始める。他のメンバーも自身の身の上話を始める。4人の間に絆のようなものが生まれる。

祖父の誕生日を祝うためと称し、押しかけて来た隣家に対して、初めは迷惑がっていたけれど、次第に興が乗って楽しくなってしまう。テレビで北朝鮮関連のニュースが流れ、キム・ジョンウン総書記が映る。テレビを消してしまう班長。隣家の家族たちは何気なくキム・ジョンウンの容姿をからかい始める。ついつい総書記を庇うようにホメてしまうツツジ班。隣家の反論に対して熱が入ってしまう。もしかして赤ですか?と素朴に聞かれ、ハッとする班長たち。でも、娘役は若さゆえか両国はこうあるべきというような理想論を語り出してしまう。韓国人である隣家からは感心されるものの、北朝鮮側にとっては危険思想。家に仕掛けられた盗聴器で会話を聞いていた工作員たちは、ツツジ班を危険とみなしマークする。娘役とチャンスが語っていることが理想なのは分かるのだけどねぇ・・・ 悲しいけれど、そうは行かないのが現実。

そんな中、夫役の妻が脱北に失敗し逮捕されたという連絡が入る。妻の行動に不安を感じていた夫役を気遣い、彼には黙っているようにと、居合わせた祖父役に口止めする班長。工作員の家族であることは関係なく、脱北者は厳重に処罰される。班長は大きな手柄を立てて、恩赦を得ようと考える。そして、転向者の暗殺を独断で行ってしまう。しかし、実は殺害したのは転向を偽装した大物二重スパイだった。うーん。いくら夫役の家族を救いたいからといって、独断での暗殺は無謀だし、いくらなんでもそれはしないだろうというツッコミはしちゃダメなのでしょうね(o´ェ`o)ゞ 一度は表彰まで受けたツツジ班は、すっかり反分子となってしまった。

この大失態に対し班長を呼び出した野うさぎは、上層部との繋ぎをするような役割なのかな? この役の役者さんが公式サイトに載っていないのだけど、この演技はすごかった! 鬼気迫るとはこのこと。野うさぎは町工場を1人できりもりする独身中年男として暮らしてる。いつも食事を持ってくれる女性がいるのだけど、何かと世話を焼いてもらっているうちにそういう仲に・・・ ツツジ班の失態で姿を消そうとしていたところ、この女性から妊娠を告げられ、どこまでも着いて行くと迫られる。この女性の演技もすごかった。野うさぎの正体を知っている。置いて行くなら殺せと迫る。殺そうとするけど出来ずにカメラに向かって泣き笑いの野うさぎの演技はすごかった! 狂気を感じさせる。工作員として優秀だということは、私情は一切捨てて任務に忠実であることが大前提。ツツジ班の失態は班長が情に流されてしまったことが原因。それを叱責した自分は当然情などコントロール出来ると思っていた。でも、出来なかった・・・ これはスゴイ!

処分を待つツツジ班。ある日、隣家の妻のもとにサラ金の取り立てがやって来る。妻に暴力を振るう取り立て屋に見かねて一家で加勢。つい訓練された必殺技を使ってしまう。殺してはいない。でも、当然監視されているわけで、この行動も問題行動。単純に韓国人家族と交流してしまったというだけでは済まなくなった。結果、ツツジ班にはチャンス一家暗殺命令が下る。キャンプに誘い、そこで一家を殺害する計画を立てる。何も知らずに楽しむ隣家。ここでの隣家のはしゃぎっぷりもクドかったりするのだけど、その後に続くであろう悲劇を盛り上げるための演出なのでギリギリOK。班長は自分の責任だから全て自分でやると言い、1人待機する。祖父役と夫役はある行動に出る。末期ガンである祖父役、妻が脱北者として逮捕された夫役には失うものがない。彼らは見張り役の工作員を殺す。4人は逃げるけれど、結果全員捕えられてしまう。まぁ、彼らが祖国を捨てる、もしくは反旗を翻すであろうことは想定していたので、ビックリすることはなかったけれど、こんな結末になるとは思っていなかった・・・

船に乗せられ、掌に楔を打ち抜かれて鎖で繋がれたツツジ班。急に班長が隣家の嫁を演じ始める。それに呼応して、それぞれ祖母、夫、チャンス役を演じ始めるメンバーたち。このシーンもクドイ演出ではあるのだけど、彼らの運命や、隣家の家族を演じることでツツジ班としての偽装家族を演じ続けること、そして演じることで自分の考えを発言できる自由を味わっていることに涙が止まらなかった さすがキム・ギドクの脚本だなという感じ。やがて末期ガンの祖父が力尽き、母が娘に別れを告げて舌を噛み切り、同じく父が娘を気遣いながら頭を打ちつけて命を絶つ。野うさぎが娘を殺害しようと迫るところで暗転。シーンが変わり、いじめっ子たちに反撃したチャンスの前に娘ミンジが現れて映画は終わる。ミンジがこの後どう生きて行くのかは分からない。でも、祖父の誕生日のミンジとチャンスの熱弁を考えれば、これは若い世代に希望を託すというメッセージなのかなと思う。そう考えると、これはハッピーエンドなのかもしれない・・・

キャストは全員初めて見る役者さんたちだった。祖父役ソン・ビョンホは韓国を代表するバイプレーヤーとのことだけど、全く知らなかった。すみません 感情的になってクドイ演技の役者さんが多いなか、抑えた演技が良かった。その静かな怒りが工作員として過ごした30数年を感じさせた。監督が即決したという娘役パク・ソヨンは若さゆえの理想が悲しく、淡い恋も切なく感じさせて良かった。夫役チョン・ウは最近人気急上昇だそうだけれど、いわゆるイケメンではない感じが良かったと思う。ホメてます(笑) ちょっと頼りなく足を引っ張ってしまう役どころを、イライラせずに見せていたのが良かった。班長役キム・ユミは祖父役や夫役を殴るシーンの撮影時には、泣きながら演じていたそうで、その自身の葛藤が班長の葛藤に反映してたのかなと思う。まだ、若い女性が班長という重責に耐えながら、葛藤する姿が切なかった。

ほぼツツジ班の家と、隣家が舞台。最初はケンカばかりしていた隣家を、自由=勝手だというような目線で見ていたツツジ班が、次第に例えケンカであっても自分の感情をそのままぶつけられることは、自然なことであると変化する感じが分かりやすかった。隣家のケンカ声は筒抜けなのに、ツツジ班の班長の叱責は隣家に聞こえないのか?とか思ったりもしたけれど(笑) とにかく、全ての人間は生まれた瞬間から必ずしも自分で選べるわけではない共同体(家族、社会、国家など)に属する。そこから生まれるパラドックスを描きたかったという監督のメッセージは伝わった!

南北問題を描いた作品は見たいけれど、暴力的過ぎたり重すぎるのは苦手という方おススメ!

『レッド・ファミリー』Official site


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【cinema / DVD】『ビザンチウム』

2014-09-21 00:00:00 | cinema / DVD
『ビザンチウム』鑑賞
録画しといた『ビザンチウム』見た!結構好き!現代が舞台だけどお耽美??シアーシャ・ローナンは相変わらず上手いけど、ジェマ・アータートンの体を張った演技がスゴイ!『アンチヴァイラル』のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの病弱演技が素晴らしい!滝やり過ぎw Posted at 07:40 PM



ザックリした感想はtweetどおり。追記したいけど・・・ どうかな?(o´ェ`o)ゞ


http://twitter.com/maru_a_gogo


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