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【cinema】『ヒックとドラゴン 2』

2015-07-29 00:34:02 | cinema

'15.07.04 『ヒックとドラゴン 2』鑑賞@自宅


1作目が大好きで、今作もすごく見たくて劇場公開を求める署名もしたし、TAAFの無料上映も応募したけどハズレ DVD発売に際しての試写会も応募したけどハズレ まぁ、そもそもBlu-ray買う予定だったけど、大画面で見たかった。・゜・(ノД`)・゜・。 ということで、家のテレビ画面で見たょ(´・ω・`)




ネタバレありです! 結末にも触れています!


「巨大ドラゴンとの死闘から5年。バーク島では人間とドラゴンが仲良く暮らしていた。20歳になったヒックは、相棒のトゥースと新しい島を探検する毎日。しかし、リーダーである父親ストイックが、自分にリーダーを譲ろうとしていることを知り苦悩する。そんな時、新たに見つけた島でドラゴン泥棒として捕えられそうになるが・・・」という話。これはやっぱりおもしろかったし、そしてとっても感動して涙が止まらなくなってしまった 特別目新しいことが描かれているわけでもないし、特別変わった描き方をしているわけでもない。王道中の王道なのだけど、それが本当に胸を打つ。カテゴリー"cinema / DVD"じゃなくて"cinema"で書いてるのは、一応TAAFで上映されたので、無理矢理公開カウントにして、年末のBESTに入れたいと考えているから。まぁ、最終結果はどうなるか分かりませんが・・・(o´ェ`o)ゞ

 

東京アニメアワードフェスティバル2015(TAAF)オープニング作品。第87回アカデミー賞長編アニメ作品賞ノミネート、第72回ゴールデン・グローブ賞アニメ作品賞受賞作品 アカデミー賞では惜しくも『ベイマックス』に敗れてしまったけれど、ゴールデン・グローブ賞では逆に『ベイマックス』を抑えての受賞 まぁ、別に敵対心を燃やしているわけではないのですが(笑) 『ベイマックス』好きだし。でも、2作ともDVD鑑賞した限りでは、個人的には『ヒックとドラゴン2』の方が好き。しかし、アカデミー賞が取れなかったのは残念だけど、ゴールデン・グローブ賞受賞しているのに日本公開なしとかないわ~

 

前作『ヒックとドラゴン』(感想はコチラ)に引き続き、ディーン・デュボアが監督と脚本を担当。そもそもは、クレシッダ・コーンウェルによる児童文学が原作。前作の感想にも書いたけれど、ヒック・ホレンダス・ハドック三世が少年時代を回想した日記を、作者が翻訳しているという形式で書かれているそうで、映画はプロットを借りた別モノということだったような? 前作から5年後という設定だけれど、実はアメリカではこの間のヒックの冒険を描いた2作が、アニメシリーズとしてテレビ放送されている。それぞれが、前作や今作とどうつながっているのかは不明だけれど、今作のみ見た限りでは、テレビシリーズを見ていなくても問題ない作りにはなっている。ただし、映画版前作を見ている前提で作られている部分はある。テレビシリーズも見てみたいし、DVDは日本でもAmazonなどで購入可能だけど、1枚950円くらいで、1シリーズ8枚くらいあるからねぇ 最近TSUTAYAに行っていないので、レンタルがあるかは不明。

 

日本ではディズニー以外のアニメ映画ってヒットしにくい傾向にあるのかもしれないけれど、前作に関しては完全に宣伝の失敗という気がしている。ヒックの相棒となるドラゴンの名前はオリジナルだとトゥースレスなのだけど、日本語にすると分かりにくいためか吹替版、字幕版ともトゥースとなっている。それだと本来の意味が違ってしまう気もするけど、まぁ仕方がない。ただし、このトゥースが問題で、当時オードリー春日の「トゥース!」と言うギャグが流行っていて、まんまと春日をイメージキャラクターにしてしまった。春日が宣伝してるからって見るかね? 春日に罪はないけど、個人的には見る気を失った(笑) 幸いなことに絶賛tweetを見て、劇場に見に行くことができたけど、危うく見逃すところだったわけで 日本では年々映画を見に行く人が減っているそうで、次々シネコンが出来る現状と反比例しているらしい。自分も含め映画好きは自分から情報取りに行くけど、たまにしか映画を見行かない人たちにとって、情報源はやっぱりテレビとか口コミになるのだろうし、『アナと雪の女王』のヒットぶりを見てみれば、確かにテレビで取り上げてもらえるというのは効果大なのは分かるのだけど、(たいしてイメージと合っているとも思えない)有名人をイメージキャラにしたり、(演技ができているとは思えない)タレントを吹替えに起用したり、舞台挨拶時に出演者もしくはゲストのスキャンダルを仕掛けるなどの手法はもうウンザリ 何故こんなに長々書いているかと言えば、前作がヒットしなかったことで、今作の公開に踏み切れなかったのは分かるけれど、ヒットしなかった理由の1つ(大部分?)に宣伝の失敗があると思われることが残念過ぎるってことが言いたいから。 まぁ愚痴です

 

ということで、ちょっと日ごろの不満をぶちまけてしまった(o´ェ`o)ゞエヘヘ  本題に入ります 冒頭、ヒックのナレーションで始まるのは前作同様。現在はバーク島のバイキングたちは、ドラゴンと仲良く暮らしている様子が語られる。そして、一気にスピード感のあふれる羊捕獲ゲーム。羊を巨大な投石機のようなもので投げ上げて、それをドラゴンに乗ったアスティたちがキャッチし、バスケットゴールのような網に入れていき、最終的に数の多い者が勝ちという、実写だったら動物虐待と言われてしまいそうなゲーム でも、これ後に緊迫したシーンにも登場して、思わず笑ってしまった(笑) 前作で共に戦ったドラゴン・ライダーたちが競い合い見物人たちを沸かせる。一発逆転の黒羊捕獲に成功したアスティが優勝し、将来の嫁が勝ったとストイックを喜ばせたりもする。でも、ヒックの姿はない。

 

ヒックは相棒トゥースと共に大空を飛行中。トゥースから離れて落下! 自作の翼(?)を広げて飛行する。これは気持ちよさそう 前作で大感動したアスティと3人の飛行シーン。それに勝るとも劣らない美しい映像。本当にこの作品は映像が美しい。避けそこなった崖(?)で一息ついていると、視界の先には初めて見る島。描きかけの地図を取り出し、新たな島を付け加えるヒック。こういう探検をしているってことなのかな? そこへ、ドラゴンに乗ったアスティが現れる。今ではヒックの恋人らしい。彼女がヒックをからかうシーンが面白い! ヒックがちょっと肩をすくめるしぐさとか、モゴモゴ話す口調とかを真似する。それがとっても細かい。最近のディズニーなどのアニメは、動きや表情がよく研究されていて美しいのだけど、ちょっと大げさ過ぎるのが苦手。『アナと雪の女王』でもアナが転んだり、崖を転がり落ちたりが多過ぎてゲンナリだった。今作もそういう部分は多少あるものの、自分が気に入っているのは、ヒックが感受性豊かで争いごとを好まない青年であることを、ちょっとしたしぐさや表情で見せるところ。ちょっと眉をひそめて、下唇を出してふっとため息をつくだけで、彼の諦めとかやるせなさが伝わったりする。ここでの2人のシーンは後の伏線でもあるのだけど、ヒックが父の希望である長になることについて、迷いを打ち明けるのが印象的。こういうことは大切な人にしか話せない。そしてアスティもそれをきちんと受け止めて、答えはあなたの心の中にあると答えるのも素敵。

 

2人は新しく発見した島へ行ってみることにする。するとアスティのドラゴンが捕えられてしまう。現れたのはエレットという人物。彼の話によると、どうやらこの島の人々は、ドラゴという人物にドラゴンを献上しているそうで、そのドラゴンをヒックたちに横取りされたと思い込んでいるらしい。要するにヒックたち以外のドラゴン・ライダーが、この島に来たということ。ヒックが必死に説明するも、エレットはドラゴの怒りを買ってしまったと憤って話にならない。仕方なく強行突破。

 

無事にバーク島に帰りつき、父親であるストイックに顛末を話すと、顔色を変えて島を封鎖すると言う。島の門という門を閉め、誰も出てはならぬし入れてはならぬと指令を出す。いったいどうしたことかと尋ねると、このドラゴというのは恐ろしい男であると言う。以前、ドラゴン対策について話し合うため、近隣のリーダーたちが集まった。その際ドラゴがある提案をするが、会議としてはそれを受け入れなかった、怒ったドラゴは突如としてドラゴンを操って襲いかかり、辺り一面を焼き払った。リーダーたちは命を落としたが、ストイックだけは辛くも逃げのびたのだった。あくまでもドラゴと話し合って解決すると主張するヒックに、ストイックは話し合いなど通用する相手ではないと言い、島を出ることを許さない。しかし、いい意味で頑固なヒックは隙をついて飛び出してしまう。アスティもこれに続く。

 

ヒックとアスティはエレットにドラゴの居場所を聞き出そうとするが、交渉は決裂。そこに、友人のドラゴン・ライダーたちが現れる。ヒックを心配したストイックが彼らと共に追って来たのだった。空中戦を繰り広げるドラゴン・ライダーたち。なんとラフはエレットに一目ぼれしてしまう。「私を捕まえて~」っていうシーンがスローになって笑える。やり過ぎではないギリギリのところ。そんな中、1人でドラゴを探しに向かうヒック。上手くできない自分に憤っていると、並行して飛ぶドラゴン・ライダーに気づく。落とされてしまうヒックとトゥース。落ちた先はドラゴンたちの島。現れたドラゴン・ライダーは、ヒックの顎の傷を見つけて驚愕する。この時のドラゴン・ライダーの動きが不思議(笑) マスクを取ると現れたのは中年女性。そして「ヒック?」と問いかけてくる。なんと、彼女は亡くなったと聞いていた母親だった! 前作で母親のことについて出てきたっけ? 見直してみよう。


ドラゴンの襲撃に悩まされていたバーグ島で、母は父ストイックとは違う考えを持っていた。ドラゴンと共存できないか? しかし、誰もその意見に耳を傾ける者はいなかった。ヒックがまだ赤ん坊の頃、ドラゴンたちが襲撃してきたある夜、一匹のドラゴンが眠るヒックの目の前に! 慌てて武器を手に駆けつけた母が見た光景は、ドラゴンが優しくヒックをあやす姿。その姿に理想を見た母の思いを察したのか、このドラゴンは彼女をこの地に連れて来たのだった。それ以来約20年バーク島には戻らず、この地をドラゴンにとっての理想郷に作り上げてきた。巨大なボス・ドラゴンが島を守り、ドラゴンたちが彼に従いながら自由に暮らす統制のとれた世界。それを脅かすドラゴのドラゴン狩り。母はエレットたちのような存在からドラゴンを奪うことで、ドラゴンたちを守っていたのだった。結果として、ヒックを捨てたことになるわけだけれど、ヒックは母を赦し素直に受け入れる。この辺りはもう少し葛藤しても良い気もするけれど、子供が見ることも考えるとあまり長尺なのは無理だろうし、このくらいアッサリでもいいのかも。ドラゴンに乗らなければ、簡単に帰れる距離でもなかったのかもしれないし。それにヒックとしても母と同じ考え方であり、今まさに自分もドラゴンと共存できる環境を作りつつあるわけなので、分かり合える部分はあったと思う。


そこへヒックを心配した父ストイックが現れる。いつもヒックの話を聞かずにどんどん自分の話を進めてしまうのが笑える。結果、ヒックから母のことを事前に聞くことなく対面することに。ヒックは父が母に怒りをぶつけてしまうのではと心配するけど、ストイックはとても紳士的に対応する。このあたりはちょっと子供に見せるのは刺激的か?と思わなくもないけど、R指定になっちゃうようなことにはならないから大丈夫(笑) またバーグ島に戻って欲しいという申し出を受ける母。3人は束の間家族になる。家族に戻ることに申し訳なさや、不安からか少し躊躇する母を、思い出の歌を歌い踊りに誘うストイックが素敵 なんだか、武骨なストイックらしくない素敵ぶりに、ちょっと戸惑っていると・・・

 

一方、アスティたちはエレットに案内させてドラゴの元にやって来ていた。そこには多くの海賊と、ドラゴンたちが集まっていた。当然、ドラゴは話し合いなどに応じるはずもなく、彼らは捕えられてしまう。危ないところをアスティのドラゴンに助けられたエレットの活躍で、何とか逃げ出したドラゴン・ライダーたちだったが、ドラゴは横取りされたドラゴンを奪い返すため、母の島へ向かってしまう。ここの攻防もラフがエレットになんとか近づこうとする場面などを加えて、ちょっとコミカルで軽快に描いているので、子供もドキドキしながら楽しんで見れると思う。

 

さて、親子水入らず(ゲップもいたので正確には水入らずじゃないけど)の楽しい時を過ごしていたヒックたち。なぜか入り江に向かうドラゴンたち。慌てて向かった入り江には、すでにドラゴの大軍が上陸していた。必死に抵抗するヒックたち。母はボス・ドラゴンを連れて戻って来る。するとドラゴは杖を振り回し、「あ"---! あ"---!! あ"---!!!」(←ホントにこんな感じ!字幕版も吹替版もこうだった)と叫ぶと、なんと海の中から巨大ドラゴンが! ドラゴはドラゴンたちを操ることが出来るらしい。巨大ドラゴンとボス・ドラゴンの一騎打ちとなるが、なんとボス・ドラゴンは負けてしまう。すると、新しいボスに従い始める島のドラゴンたち。トゥースも操られ始めてしまう。必死でドラゴを説得しようとするヒックだが、もちろん聞く耳を持たない。なんと、トゥースにヒックを攻撃するように命令してしまう。トゥースがヒックに火を吹こうとした瞬間、ヒックを庇って飛び出してきた人物が! ストイック! なんとストイックは命を落としてしまう。そんな~ あの束の間の幸せや、ヒックを助ける前に母を救ったり大活躍だったのは死亡フラグだったのね?。・゜・(ノД`)・゜・。 トゥースは正気にもどって、不思議そうにストイックを気遣うけれど、悲しみと怒りからヒックはトゥースを拒否してしまう。驚いたトゥースは再び操られ、ドラゴを背中に乗せて彼と共にバーク島に向かってしまう。ドラゴはドラゴンと共存しているバーク島を攻撃しようとしているのだった。

 

悲しみの中、母やアスティ、友人のドラゴン・ライダーたちに見守られ、父の遺体を船に乗せ葬儀を行うヒック。そして、彼は長になる決心をする。荒療治ではあるけれど、ヒックがいつかは長にならなきゃならないとすれば、父を越えなきゃならないわけで、こういう形でそれを飛ばして決意することになるというのは、悲しいことだけれど物語としてはありだし、ストイックもいつまでも偉大な長として伝説になれる。英語版ストイック役のジェラルド・バトラー好きな方には残念だけど 夕日バックにヒックが長になる決心をしたシーンは感動的。トゥースだけでなく、ドラゴン・ライダーたちもドラゴンを奪われてしまったのだけど、島にはまだ赤ちゃんドラゴンたちが残っていた。赤ちゃんだから誰の言うことも聞かないので、ボス・ドラゴンにも従わなかったのだった。赤ちゃんたちの自由な飛行をなんとかコントロールしつつバーク島へ向かう姿はコミカルでかわいい。赤ちゃんたちキャーキャーはしゃいでるし(笑) これも、ちゃんと伏線が張ってあったことを思い出す。

 

バーク島ではボス・ドラゴンを連れたドラゴが上陸し、島を攻撃していた。駆けつけたヒックたちの作戦はトゥースの奪還。奪った後どうするのか?と思うけど、ここに今作最大のテーマがある! ボス・ドラゴンの気をそらすよう言われるドラゴン・ライダーたち。彼らが取った方法が笑える。巨大で恐ろしいボス・ドラゴンの顔の前に打ち上げられる羊。ポヨ~ン。そして黒羊がドラゴンの顔に当たり、パチンコのようにトントントンとぶつかりながら落ちて来る。そして「10 points!」の声。10点獲得したらしい(笑) これは吹替版でも「10点~」て言ってたし、言い方もどちらも緊張感のない感じでイイ このシリーズが好きな理由の1つは、笑わせどころがやり過ぎじゃないところ。何度も引き合いに出して申し訳ないけど『アナと雪の女王』のアナが雪山をゴロゴロ転がって川に落ちちゃうシーンとか、やり過ぎで笑えなかったので まぁ、あくまで個人的な好みの問題。


ドラゴン・ライダーたちの協力によりトゥースと再会したヒック。しかし、まだトゥースはボスドラゴンの影響下。ヒックはトゥースに優しく語りかける。少しずつ呪縛が解けていく。ガンバレ、トゥース!と思っていると、もっとも感動的な場面がやってくる ヒックの言葉を理解して、呪縛が解けたトゥースは、ヒックを守るためなんとボスドラゴンに立ち向かう! 小さな体のトゥースが、自分の100倍くらい(←言い過ぎ)あるボス・ドラゴンに向かっていく姿は感動的。でもトゥースがボコボコにされるというような暴力的な場面はない。この作品の好きなところは、そういう描写があまりなくても、悪役の恐ろしさや悪さが伝わること。でも、根っからの悪というわけではなく、ドラゴもドラゴンに襲われて腕を失ったことから、彼らをコントロールする方向に進んでしまったという部分もきちんと描いている。その上で、ドラゴンと分かり合える、ドラゴンが人間を信頼して、人間のために闘ってくれる関係になれることを、ヒックとトゥースを通して描いていることが、子供にも分かりやすく伝わると思う。


トゥースの姿を見て覚醒し始めたドラゴンたちも加勢。ボス・ドラゴンは降参し撤退し始める。トゥースがボス・ドラゴンになったっていうことだよね これはナイトフューリーの秘めた力ということでもあるのかな? 火を吹く時にトゥースの体が青く光るのがカッコ良かった 無事、ボス・ドラゴンとドラゴを撃退したヒックとトゥース。新しい長とボス・ドラゴンは、バーク島とドラゴンたちを守ったのだった。もう感動して涙が止まらない。・゜・(ノД`)・゜・。 ヒックは額に印を受け、正式にバーク島の長となった。答えはここにあったでしょ?とヒックの胸を指さすアスティを抱き寄せてキスっていう終わりは、子供たちには刺激的過ぎるか? まぁ、ヒックは幼く見えるけど20歳だからね(笑)


既に3作目の製作が決定しているそうなので、次回はアスティと結婚してたりするのかな? 長としてのヒックの姿が見れることになるのでしょう。日本で公開されるのかは謎ですが(*`д´) イヤ、とにかく この作品が公開されないというか、この作品を知らない人がたくさんいるなんて残念過ぎる! 友情とは、愛情とは、責任とは、大人になるとはってことが、押しつけがましくなく、笑いを交えて描かれる。悪い人は出てくるけど"悪人"は出てこない。決して難しい話じゃなくて王道ストーリーだけど、それゆえ安心して子供たちに見せられる。何より、画が素晴らしい! 表情豊でよく研究されているけど、自分が苦手な大きすぎる表情や動きでないのが好き。ヒックのちょっとしたしぐさをネタにするとか、自分たちの作画に自信があるんだと思う。そして、その細かさが見どころでもある。


英語版キャストはかなり豪華。前作の時はあまり気にしてなかったけど、ヒック役はジェイ・バルチェルだったのね? 感受性豊かで、平和主義で一見ひ弱そうだけど、実は頑固で芯が強い青年ヒックにピッタリ。大人の男になる過程を好演していたと思う。ストイックがジェラルド・バトラーだし、母親がケイト・ブランシェット。ケイト声だけだと印象が違くてビックリ。もちろん、あのちょっと低めで深みのある声なんだけど、やっぱり役になり切っているからケイト・ブランシェットの顔は出てこない。スノット役でジョナ・ヒル、ラフ役でクリスティン・ウィグ、フィッシュ役でクリストファー・ミンツ=プラッセが声の出演。ドラゴ役ジャイモン・フンスーの低音が素敵 「あ"---! あ"---!! あ"---!!!」がちょっと笑えたけど(笑) そうそう、最終的にいい人になるエレット役はキット・ハリントン。「ゲーム・オブ・スローンズ」のジョン・スノウだよね? 吹替版も見たけど、声優さん達イメージどおりで、こちらもかなりいいです! 前述の「10点~」の感じとか、オリジナルの世界観を、そのまま表現していてさすがプロ 字幕版、吹替版どちらも好き。


前作では、ヒックとアスティを乗せて飛行するトゥースのシーンで、あまりの画の美しさと、その3人の喜びが伝わってきて気づいたら泣いてて、涙が止まらなかった。今作でも飛行シーンや美しい場面がたくさんある。なんといってもトゥースの健気さ、かわいさがたまらない! 猫の動きをもとにしているそうで、猫好きの琴線に触れまくり なんとか大画面で見れる機会がないものか・・・


個人的には前作の方が好きだったけど、今作も本当に好き! もう全方面にオススメ! ちょっと気になったなら、是非是非見ていただきたい

 

『ヒックとドラゴン2』Official site

コメント (2)
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【art】「画鬼・暁斎 KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」

2015-07-26 17:07:59 | art

【art】「画鬼・暁斎 KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」

見てます寒い (@ 三菱一号館美術館 (MITSUBISHI ICHIGOKAN MUSEUM, TOKYO) in 千代田区, 東京都)

河鍋暁斎って名前は知ってたけど、意外に作品を知らなくて、なんとなくイメージとしては、曽我蕭白とかみたいなちょっとおどろおどろしい絵を描く人かなと思っていた。別の展覧会を見に行った際に貰ったチラシ(下の画像のポスターと同じ)の女性を描いた浮世絵が美しく、こんな絵も描く人なんだ?と興味を持った。しかも、鹿鳴館の設計で有名なジョサイア・コンドルが弟子入りしていたとは知らなった! 暁斎とコンドルの師弟関係を中心にした展覧会が、コンドル設計の建物を復元した三菱一号館美術館で開催中とのことで行ってきた

写真添付したのにまた行ってないし 写真撮れるスポットもあって楽しい♬



写真撮影スポット(今作の展示は後期)


前期と後期と展示替えがあって、お目当ての「大和美人図屏風」は前期(~8月2日)しか展示されないということで、前期に見に行ってくることに! 会社から直ぐなので20分ほど残業したけど、17:40頃には閲覧開始できた。そんなに混んでいないので、ゆったりと見れるけれど、人気作品の前では少し並んで待つことも。美術館ではストールの貸し出しもあるけど、とにかく寒い! 上着持って行って良かった


建築家ウィリアム・バージェスの影響により日本興味を持っていたジョサイア・コンドルは、明治10年に来日し明治14年竣工の上野博物館(現在の国立博物館の位置に建っていた)、明治16年竣工の鹿鳴館の設計を手掛けるかたわら、明治14年に河鍋暁斎に弟子入りし、狩野派の絵師として絵を描いた。明治16年には暁英の号を授かったそうで、この銘の入った作品が何点かあった。暁斎とコンドルは20歳以上の年齢差があったようで、暁斎はコンドルをコンテイル君と呼び、毎日のように会っていたらしい。コンドルはレッスン料を多めに支払うなど、暁斎のパトロン的役割も果たしていたとのこと。なるほど~


暁斎とコンドルの出会いとなったのは、おそらく明治14年に開催された、第二回内国勧業博覧会ではないかと言われているそう。この展覧会に暁斎は4点の作品を出品し、その中の1枚が最高賞である妙技二等賞牌を受賞している。それが「枯木寒鴉図」でこれが素晴らしい! 墨で描かれた黒々とした鴉の、どこか寂しげな姿と、あり得ない曲がり方の枯木。でも、その曲がり方が絶妙で、この余白の配置も素晴らしい。いったい鴉は何を見つめているのか?いろいろ空想が広がってしまう。この展覧会では出品作品に自分で値をつけることが可能だったそうで、暁斎はこの画に破格の百円をつけたのだそう。それはちょっとという声に、この画にはそれだけの値打ちがあると語ったそうで、その心意気に打たれた榮太樓の細田安兵衛が百円で購入したのだそう。ということで、今作は現在も榮太樓總本鋪蔵ということになっている。

 

 

「枯木寒鴉図」_河鍋暁斎


鹿鳴館の階段の一部が展示されていて感動! この階段を多くの人々が上り下りしていたのね! 猿マネだと揶揄されながらも日本の近代化のために頑張ったのね  ジョサイア・コンドルの「百舌図」が見たかったのだけど、残念ながらこれは後期展示。コンドルの作品としては、「上野博物館 立面(正面)」や「三菱一号館 立面図(南面)」などの設計図?の方がおもしろかったけれど、暁斎の「鯉魚遊泳図」の左上2匹を描いた「鯉之図」が良かった。離れて展示してあったけど、並べてあったら比較できておもしろかったかも? まぁ、尻尾の感じや存在感など、やはり暁斎の方が素晴らしいけれど(笑)



左:「鯉魚遊泳図」_河鍋暁斎 右:「鯉之図」_暁英(ジョサイア・コンドル)


ビックリしたのはカーテンで仕切られた春画コーナー。北斎など著名な絵師も描いていた春画。ギャラがよかったこともあったようだけれど、どうやらコミカルなものとして描いていたらしいとのこと。このコーナーはR18となっております(*´ェ`*)ポッ


その他、気になった作品も多かったけど、お目当て以外でうわー!となった作品は「暁斎楽画第九号 地獄太夫 がいこつの遊戯ヲゆめに見るの図」骸骨を正確にスケッチして描いたということで、その描写はスゴイのだけど、やっぱり地獄太夫の妖しい美しさと、まとった衣の赤の鮮やかさ! 血のような赤が印象的。これは大判錦絵で版画なのだけど、版画の特徴である彫りと摺りも計算しているのかな? 摺りについてはマンガ的な効果を生んでいる印象。


「暁斎楽画第九号 地獄太夫 がいこつの遊戯ヲゆめに見るの図」_河鍋暁斎


そして、本日の一枚「大和美人図屏風」結構大きなこの肉筆美人画は、コンドルのために描いた作品で、本人の目の前で制作したのだそう。その過程を著作に記しているとのこと。そうそう、実はコンドルは「Painting and Studies by Kawanabe Kyosai」などの著作を数冊発行しているらしい。この制作過程がどの著作に記載されたのか不明なのだけど、色摺木版にしたとのことなので、画像も載ったのか? イヤ、当時の印刷技術じゃカラー出版は無理か? この著作に"十七世紀大和美人図"と記載したそうで、確かに江戸前期の美人画の作風を思わせるとのこと。確かに! 地獄太夫など浮世絵も描いていた暁斎は、自分は狩野派の絵師であるということに誇りを持っていたようで、この作品も狩野派+土佐派の影響を感じるとのこと。なるほど! 


 

「大和美人図屏風」_河鍋暁斎


これホントに素晴らしかった! とにかく顔が美しくて、歌麿のかわいさや儚げな感じではなく、凛とした美しさ。この不思議な髪型は立兵庫なのかな? ということは遊女なのかな? 鮮やかな赤の着物の柄には笙や琵琶などが描かれていて興味深い。裾からのぞく裸足の足先が艶めかしい。素晴らしい!


復元だけどコンドル設計の三菱一号館美術館と、暁英ことジョサイア・コンドル




現在の建物は近年復元されたものだけど、ジョサイア・コンドルが設計した三菱一号館美術館は素敵な美術館。まだ新しいので重厚感はないけれど、白い壁に濃い茶の柱や扉などは当時の内装もそうだったのかな? レンガ造りで素敵な建物だったと思う。現在はビルに囲まれているけれど、当時はこういう建物が並んでいたのかしら? 当時の東京見てみたいな~ 面影があまり残っていないのが残念


家に帰ったら「ぶらぶら美術・博物館」で今展を紹介してた! 録画しておけばよかった 最後の数分しか見れなかったけれど、出演のおぎやはぎや山田五郎氏が、あまりに多才で手法も多岐に渡っているため評価されにくく、いわゆる器用貧乏だと評していたけど、確かにそうかも! 実際に見てみるとどれも素晴らしいのだけど、これが暁斎であるという突出した個性がないのかも? 不思議な画家。大好きな伊藤若冲は"奇想の画家"と呼ばれているけど、暁斎は"器用貧乏"だなぁ。自分としてはホメてるけど、それじゃあんまりか(o´ェ`o)ゞ でも、暁斎の作品を見る機会が持ててよかった! そういう意味では素晴らしい展覧会。


そうそう! とにかく冷房がきいてて寒い! ストールの貸し出しがあるけど、女性は足元も寒いと思うので、今の時期は薄手の靴下やレッグウォーマーなど持参した方がいいかも? 生足サンダルとかだと冷えてしまうかも

   

画鬼暁斎 明治幕末のスター絵師と弟子コンドル:2015年6月27日~9月6日 @三菱一号館美術館

鬼暁斎 明治幕末のスター絵師と弟子コンドル|三菱一号館美術館

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【Googleのロゴ】スペシャルオリンピック2015

2015-07-25 16:56:23 | Google's logo

毎度のGoogleのロゴがこんなことに!

 

 

 

2015年スペシャルオリンピックス夏季世界大会

 

2015年7月25日~8月2日まで、アメリカ合衆国ロスアンゼルスで開催される

スペシャルオリンピックス 2015

 

全く知らなくて恥ずかしいのだけど、知的障害のある方々のオリンピックなのだそう!

プレスルーム|スペシャルオリンピックス日本

 

検索画面のロゴはこんな感じ

 

 

 

ガンバレ! 選手のみなさん!!

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【cinema】『Mr.タスク』

2015-07-22 00:50:22 | cinema

'15.07.19 『Mr.タスク』鑑賞@シネカリテ

 

自分はほぼノーマークだった今作。お友達のmigちゃんとランチ計画してたら、映画を見ようということになり、前日公開の今作を見ることになった。セイウチ人間の話ってムカデ人間みたいな話か?と、若干心配しつつ見に行ってきたー

 

 

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「人気ポッドキャスターのウォレスは、『キル・ビル』のマネをして誤って脚を切り落としてしまった少年を取材するため、L.Aからカナダへやって来た。しかし、少年は自殺してしまっておりガッカリ。急遽、別のおもしろネタを探すことになったウォレスは、たまたま入ったバーHのトイレで元船員の手書きの広告を見つける。おもしろい話が聞けそうだと連絡を取るが・・・」という話。おもしろかった。爆笑!ヾ(≧∀≦ )ブハハッ!!って感じでもないし、怖い!ガクガク((( ;゜Д゜)))ブルブルって感じでもないけど、うーんとか、クスッとか、えーとか思いつつ見ていると、最後に意外にもホロリとしてしまう。そしてバカ映画。自分の中のカテゴリーとしては、おバカ映画ではないけれど、狙いとしてはおバカ方向なのかも? 上手く言えないけど、自分の中では"おバカ映画"はホメ言葉ではないので・・・ あくまでも個人的な基準。っていうか、使い分け?

 

『チェイシング・エイミー』、『ドグマ』のケヴィン・スミスが監督・脚本・編集を担当。監督作品を見るのは初めて。自身の作品だけでなく『ダイ・ハード4.0』にも出演したりと役者でもあるのだそう。出演作も見てなかった そもそもは、ケヴィン・スミスがスコット・モイヤーと共同運営している「SModcast」にある情報が寄せられたことから始まった企画。自分は以前セイウチに命を助けられたことがある、セイウチの皮で着ぐるみを作ったので、宿泊料の代わりにこれを被り自分にエサを与えさせて欲しいという広告が、イギリスのネット上の掲示板に載せられたというのだった。後に、これは情報提供者のクリス・パーキンソンによる自作自演であると、本人が申告するのだけど、とにかく広告を見た瞬間から、ケヴィン・スミスとスコット・モイヤーの間でどんどんストーリーが膨らんでいったそうなので、クリス・パーキンソンのこの発想が今作を生み出すきっかけになったことは間違いない。話は膨らんだものの、受け入れられるか自信がなかったケヴィン・スミスは、Twitterで映画化を望むなら#WalrusYesをつけてtweetして欲しいとつぶやいたところ、翌日には数千件のtweetが見つかり映画化を決意したのだそう。毎度のWikipediaはなかったし、公式サイトにも記載がなかったように思うけど、Rotten Tomatoesでは85%以上の評価を得ていたような・・・あれ?(o゜ェ゜o) 

 

ウォレスと友人のテディがやっているのはPodcast。自分の中でのPodcastってラジオ番組のまとめ的なものという印象だったのだけど、ラジオ番組自体がPodcastっていうこと? 2人が収録しているのは完全にラジオブースのような場所。どうやら、素人投稿のおもしろ動画を紹介しては笑いものにしている感じ? 取り上げたのは日本刀を振り回し『キル・ビル』のマネをする少年。なんと少年は誤って自分の右脚を切り落としてしまう。日本刀は確かに切れ味鋭いけど、さすがに骨は切れないよね?(笑) 確か骨は折るのだって聞いたことがあるような・・・ まぁ、それはいいけど(o´ェ`o)ゞ 映画の中では本物の動画ということになっているけど、本当だとしたら笑いごとではないよね? でも、大笑いしながら紹介する2人。鼻も鳴っちゃってる┐(´∀`)┌ヤレヤレ どちらもいい人とは言い切れないけど、ウォレスをより嫌な人に見せる演出。上手く言えないけど、例えば動画の選択や、それを笑ったりを2人でしていたとしても、見ている側にはウォレスが主でテディが従に見えるっていうか・・・ そういうことって、日常でもある。ウォレスがリーダーっていう印象だからかな? イヤ、ウォレスの方が過剰だからかな? うーん、上手く言えないな・・・

 

後に出てくるウォレスと恋人アニーの会話によれば、ウォレスは以前は平凡なサラリーマンで、優しくておとなしい性格だったらしい。何故、彼が過激なポッドキャスターになったのかは、一応示唆されてはいるものの、ハッキリとは語られない。負け犬になるのが嫌だったとかそんなところかな?  なので、ちょっと虚勢を張ってしまうのだと思う。こんな過激なポッドキャストを発信しちゃう俺はダメじゃない!みたいな? テディは太っているけど、後にアニーと浮気してるし、特別悲観してはいないようなので、ことさらスゴイ俺アピールする必要はないから、人を笑ったりちゃかしたりしているけど、自然でやり過ぎていないのかも? 多分、テディがカナダに取材に行ったなら、あんなことにはならなかったかもしれない。

 

キル・ビル少年を取材しようとカナダまで出かけて行くと、少年は自殺してしまっていた。どうやら少年の方からオファーしてきたようだけど、何故自殺してしまったのかは謎。必要以上に大声で泣く母親など、ちょっとコミカルに描いている。ホラーコメディというわけでないと思うけれど、分かりやすいものから、ブラックなものまでコメディ要素はかなり入っている。ウォレスが新しいネタを探していると、たまたま入ったバーH(この名前も何かありそう?)のトイレの壁に貼られたチラシ中に、便箋にビッシリと書かれた手書きの文章を発見。気になって読んでみると、自分は元船員でおもしろい体験話が出来るという内容。何故ウォレスがこの広告に惹かれたのかは謎だけど、彼はこの広告主と連絡を取り、そこから車で2時間ほどかかる場所まで行くことにする。スマホのGPS機能ってホント便利。

 

指定された場所は、海外にありがちな屋敷や敷地の名前が装飾になっている門がある邸宅。この名前も何かを示唆してたかもしれないけど、覚えていないので分からない 重厚な部屋には鎧などが置かれている。趣味がいいのか悪いのか微妙なところだけど、悪くはないと思う。電動車椅子に座った老人が、ウォレスをセイウチ人間にしてしまうことは、見ている側は分かっているので、彼がいつどういう行動に出るのかドキドキ。ウォレスが動くたび車椅子の向きを変えるので、そのたびドキッとするけど特に何もない(笑) ウォレスは老人が入れてくれた紅茶がおいしいとガブガブと飲んでしまう。茶葉をウィスキーにつけておくのが秘訣だと言っていたけど、見ている側としては紅茶に睡眠薬が仕込まれているのは分かっているわけで、おいしかった理由が本当なのかは謎。本当にその方法で美味しいならやってみたい

 

ハワード・ハウと名乗るこの老人が語ったおもしろ話は2つ。1つ目はヘミングウェイとのエピソード。ノルマンディー上陸作戦に向かう船に調理場担当として乗っていたハウ青年は、作戦への参加許可が下りずイライラしていたヘミングウェイと話す機会があった。ヘミングウェイのある有名なセリフは実はハウ老人に対して発せられた言葉だというのだ。この話なかなかイイ話だったのだけど、ハウ老人のモデルになった人(セイウチ人間の件は別として)がいたのか、セリフ自体も作られたものなのかは謎。名言集的なもので調べようにも、セリフを忘れてしまったので無理 次に語られた体験が、ハウ老人を暴挙に駆り立てたきっかけ。ハウ青年が乗ってい船が氷山に激突し沈没、辛うじて助かった彼はセイウチに助けられたというのだった。このセイウチがMr.タスク。要するに彼はこのセイウチにもう一度会いたいと思っているのだけど、何故セイウチ人間を作ってまでセイウチに会いたかったのかは後に語られる。ハウ老人が子供の頃施設で虐待にあっていたって話は、この時点で語られていたっけ? いずれにしても、その体験が人格形成に影響を与えてしまったことは間違いない

 

さて、まんまと紅茶に仕込まれた眠り薬で眠ってしまうウォレス。目が覚めると広い部屋で車椅子に座らされている。なんと左脚が切断されてしまっている!ガ━━━((゜Д゜;))━━━ン 毒グモに噛まれてたので、医者が適切な処置として切断したと言うけど、縫合跡も酷いし患部むき出しってあり得ない(笑) しかも、脚を切断するなんて結構大変な手術なのに入院もせずに車椅子に座らせて放置なんてないよね? パニックになりつつも電話を掛けさせてくれというウォレスだけど、安静にしてなきゃいけないから医者がスマホを壊してしまったと言われてしまう。イヤ、手術直後の患者を車椅子に座らせておいて安静もなにも(笑) しかも、ハウ老人は何か牙状のものを磨いている・・・ これは? 再び眠気に襲われて意識を失ってしまうウォレス。もちろん、左脚切断だけで済むはずもない・・・

 

再び目覚めると何故か食卓。お金持ちの食卓でよくある長いテーブルに主人と向かい合わせで座るアレ。食事は出されているけれど、手が動かなくて食べられないと言うウォレス。厚手のカーディガンを着せられていて見えないので、既に腕も切断されてしまったのか?と思うけれど、そうではないらしい。言い争いになり車椅子に座っていたはずのハウ老人が立ち上がり、素早く歩いてきて平手打ちされてしまう。やだ偽装車椅子だったのね  三たび気を失ってしまうウォレス。

 

目覚めると元の居間。変な着信音で電話がかかってくる。恋人アリーからの電話だったが間に合わない。折り返しかけるも今度はアリーが気づかない。留守電にカナダのある都市から2時間の場所にいること、バーHで広告を見たこと、ハワード・ハウという人物に捕えられているとのメッセージを残す。泣きながらではあるものの、かなり的確なメッセージ。次にテディに電話を掛けると、なんとアリーの洗面所でウォレスと同じ変な着信音が鳴る。直前にアリーがカメラ目線で鳴きながらウォレスが不実であること、カメラの主になぐさめて欲しいと訴えている映像が入っていたけど、この相手がテディだったのね? テディがアリーの姿を録画していたってことではないと思うけれど、他人の個人的な感情ですら、動画の対象としてしか見られないというか、冷めた目線でしか見られないっていうことを揶揄しているのかな? ちょっと話が反れてしまったけれど、要するにウォレスは2人に直接コンタクト出来なかったけれど、メッセージは残せたので希望はつながった。でも、見ている側としてはセイウチ人間になってもらわないと困る(笑) テディへのメッセージの途中でハウ老人に襲われ、意識を失ってしまう。いよいよか

 

次のシーン。手術台に乗せらたウォレス。既に両脚と両腕は切断されており、残された腕の部分は体に縫いつけられている。嬉々として縫合作業を進めるハウ老人。老人が紳士的な雰囲気だけに怖い 『ムカデ人間』(感想はコチラ)も紳士的だったけど、一見きちんとしている人の狂気って怖い。しかし、この縫い目は・・・ 『ムカデ人間』では、その粗い縫い目が悲劇へ繋がってしまうけれど、今作では特に縫い目の粗さは関係なし。←どうでもいいけど(笑)

 

ハウ老人の手術が進む頃、浮気中のアリーとテディにも朝がやって来る。留守電のメッセージに気づいた2人は慌ててカナダへ飛ぶ。警察に連絡しながら、ウォレスが最初に訪ねた街へ向かうも、イタズラ電話だと思われて切られてしまう。でも、2人は真剣。カメラロール内のウォレスの写真を見せつつ、レンタカー店やバーHなどで目撃情報を探す。警察にも行くけど、信じてもらえない様子。留守電メッセージを聞かせて、やっと半信半疑っていう程度。そこで刑事が思い出したのがある探偵。どうやら、似たような状況で行方不明になった人物を探していたそうで、連絡先を教えてもらう。

 

早速連絡を取ってみると、現れたのは頬も赤い酔いどれ探偵。より目になっちゃってるのは酔っているからなのか? バーガーショップで3人前くらい注文をして、何故かバーガーをぺったんこにつぶして食べる。このバーガーにこだわりがあるようだけど名前を失念←スライダーであることが判明 この探偵がギー・ラポワンテで、フランス語なまりの英語を話す。この役を演じているのがジョニー・デップ。ノンクレジットで出演しているというのはmig情報で知っていたけど、思いのほか重要な役でビックリ。ギー・ラポワンテは、有名なホッケー選手が行方不明になった事件を追っているらしい。彼によると人には自分でも気づかないクセや習慣があるそうで、長距離ドライブに際してウォレスがしそうなことは何か? そういえば、コンビニの変な飲み物が好きだった! ということで、雑貨店(?)に行ってみる。まんまとセイウチヒゲのウォレスの目撃情報を入手。言い忘れていたけど、ウォレスはヒゲを生やしている。そして、こちらも言い忘れていたけど、この時応対した女子店員の1人がリリー・ローズ・メロディ・デップで、ジョニー・デップの娘ちゃん。演技は下手だけどカワイイ 基本はバネッサ・パラディだけど、ジョニデに似ているところもある。ウォレスがこの店でメモを取っていたという情報を得て、そのメモと鉛筆を借りる。鉛筆でメモをこすると、直前に書かれた文字が浮き出してくるというアレ。まぁ、ありがちな手ではあるけど、今作としては『ビッグ・リボウスキ』のパロディであり、リリー・ローズたちが「スゴイ!」と感心すると、ジョニデが「『ビッグ・リボウスキ』だ」というシーンも(笑)

 

浮き出してきた文字は、ハウ老人の宅の名前。手がかりを得た3人はハウ老人宅を目指す。道中ギー・ラポワンテがこれまでの捜査状況を語る。ギー・ラポワンテは元刑事で、行方不明となったホッケー選手の捜査をしていた。彼の遺体は両脚と両腕を切断されており、両腕は体に縫い付けられていた、さらに口の中に穴が開いていた。自分はその穴に何かを取り付けたのではないかと思っている。おそらく犯人に会っている、そして多分その時ホッケー選手は家の中にいたのだと思う。ここで回想シーンが入るのだけど、その時の家はもっとカントリー調だった。ハウ老人は引越ししたのか? どこでそんなお金を?とかツッコミたくなるけど、それはOK。この辺りはジョニー・デップの演技を楽しむところ。それを聞 いているテディ役のハーレー・ジョエル・オスメントも、特別笑える演技はしてないけど、なんとなくおかしい(笑) そして、要するにホッケー選手を救えなかったことが、ギー・ラポワンテが警察を辞めて探偵となり、ハウ老人を追っている理由であるということ。

 

シーン切り替わってハウ邸。とんでもない光景が映し出される! 室内に設けられたセイウチ用のプール。動物園によくあるプールと、陸が併設されているアレ。そこでギャーギャーと声にならない叫び声を上げているのはセイウチ人間にされてしまったウォレス。このセイウチの姿に驚愕((( ;゜Д゜)))フ イヤ、セイウチ人間にされてしまうのは分かって見ているわけだから、一応想像はしていたけど、てっきりセイウチ一頭分の皮を剥いで、それを被らされているのかな?と思っていた。ところがセイウチの皮をつぎはぎにしてあって、その皮と完全に一体化していた! そしてタスク=牙も取り付けられていた。 タスクって牙っていう意味なのね。あと、セイウチってWalrusでウォルラスだけど、ウォレスとかかっているのかと思ったけど、ウォレスはWallaceだか違うか・・・(´・ω・`)ショボン ウォレスと一緒に泳いでご満悦のハウ老人。よかったねとは言い切れないウォレス驚愕の姿。この造形は「ウォーキング・デッド」の特殊効果を担当したKNB Efx Group代表グレッグ・ニコテロと共に働いていたという、ロバート・カーツマンが担当。彼にレザーフェイス・セイウチをとリクエストしたのだそう。レザーフェイスって『悪魔のいけにえ』に出てくる殺人鬼だよね? 映画見てないので、よく分からないけど、ビックリな姿であったことは間違いない(笑) しかも、この牙ってウォレスの脚の骨でできてるんだよね? 削ってたもんね? 何その情熱

 

なんとかハウ邸にたどり着いたテディたち。庭を探っていると屋敷の中からウォレスの悲鳴が聞こえてくる。ギー・ラポワンテが貸してくれた銃を手に屋敷の中に突入して行く2人。声のする方向へ進むも、屋敷は広くてなかなか見つからない。階段の上から下を覗き込むカットって、何かの映画のオマージュだったりするのかな? まぁ、よくあるカットではあるけど、この映画オマージュとかパロディとか多そうな気がする。

 

一方、セイウチ人間ウォレスのもとには、セイウチの皮を被ったハウ老人が現れ、なんとウォレスに襲いかかる。反撃しろ! 向かってこい!的な言葉を発しつつ、ウォレスを水に沈めたりするハウ老人。泳ぎを教えたり、生の魚を食べさせたり、やり方はどうかと思うけど、ハウ老人なりにかわいがっていたのに、これは一体?と思っていると、彼の口から意外な言葉が・・・ 遭難した際、体を温めて自分を救ってくれたMr.タスク、その恩人(?)の肉を食べて彼は生き延びたのだった。そのことを生涯悔いていたハウ老人は、Mr.タスクを作り上げ復讐を遂げて欲しいと思っていたのだった。うーん。まぁ、ハウ老人としては、彼なりに筋が通った理由があってセイウチ人間を造ったってことは分かった。ちょっと切なくもある。でも、やっぱりどうかしてるよね(笑) 最初は戸惑っていたウォレスだけど、アニーとテディの声を聞き、助けが来たことを悟ると、牙=タスクでハウ老人の胸を突く。

 

場面変わって、ある施設をアニーとテディが訪ねてくる。希少動物保護施設だったかな? 建物のバルコニーから外を見ると、プールと小屋のある檻が見える。「ウォレス、姿を見せて!」と呼びかけるも現れない。生の魚を投げ入れると、ウォレスが現れむさぼり始める。その姿を切なさとともに、嫌なものを見てしまったというような、なんとも言えない表情で見つめるアニーとテディ。2人を見上げて悲痛な鳴き声を上げるウォレス。ハウ老人に舌を抜かれてしまったため、話せないのだけど、話すことが出来たらなんと言ったのだろう? 殺してくれかな? でも魚食べちゃってるし つぎはぎだらけのセイウチの皮と、ウォレスの体がどういう縫合具合なのか分からないけど、元の姿に戻すことはできなかったってことだよね。そもそも、セイウチ化が可能のなのか、セイウチ化してしまった後、例え両手両足のない姿でも、人間の姿に戻すことが可能なのかは不明だけど、映画としてはウォレスが元に戻れない終わりのほうが絶望的でおもしろい。人を見世物にしていた彼が、見世物になるという皮肉でもあるだろうし・・・

 

キャストは皆よかった。とんでもない話を受け止める恋人アリーのジェネシス・ロドリゲスは、この脚本を読んで即答で出演を決めたそうなので、ご自身もどうかしているのかも(笑) ホメてます! セクシーで優しいけど、寂しさから浮気してしまう部分もあり、でも最後は誰よりも強いアリーを好演していた。『俺たちサボテン・アミーゴ』(感想はコチラ)に出てたのね テディ役ハーレー・ジョエル・オスメントは、劇太りが話題だけど、天才子役と言われた演技力は健在。普通の人を適度なさじ加減で演じていた。こんな言い方はなんだけど、やせても特別イケメンになるとも思えないので、逆にこのデブキャラの方が役があるかも?と思ってみたり(笑) ノンクレジットで出演のラポワンテ役ジョニー・デップはメイク顔ではあるけど、白塗りではないので一安心 酔いどれ探偵を不思議演技で演じていたけど、やり過ぎていなくて良かった! ここ最近見た出演作(直近の『チャーリー・モルデカイ』は未見)の中では一番良かったと思う。ジョニデのラポワンテのおかげで、ちょっとまろやかになった気がする。


ジャスティン・ロングは何故この役を受けたのか?(笑) どうやら、このキャラの元ネタはケヴィン・スミスの同僚で、もっとエロキャラらしいけれど、その部分で自分では合わないのでは?と意見したそうで、打ち合わせを重ねてデジタル時代のいじめっ子というキャラになったのだそう。まぁ、合っているような気はする。最後はとんでもない姿になってしまうけれど、ウォレスの目に後悔が見えて素晴らしい。ハウ老人役のマイケル・パークスが素晴らしい。全体的に静かな狂気。紳士然とした佇まいの中に、セイウチ人間を造るという、どうかしている感じを出さなければならない。それはヒシヒシと感じられた。『キル・ビル』や『ジャンゴ 繋がれざる者』など、クエンティン・タランティーノ作品常連だそうだけれど、全く覚えていない この役良かったって言われるのがどうなのか?って気もするけど、やっぱり良かった。こういう作品こそ俳優の演技がダメだと目も当てられなくなってしまうので、そういう面でとても良かった


見る人を選ぶってこともないけど、万人受けする映画ではないので、好みがハッキリ分かれるとは思う。ただまぁ、セイウチ人間を造る映画を見ようと思っているからには、ある程度の覚悟はしているはずだよね?(笑) なので、あえてオススメもしませんが、個人的にはおもしろかった。ただまぁ、年末BEST 10には入らないけど(o´ェ`o)ゞ 

  

『Mr.タスク』Official site 

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【Googleのロゴ】米探査機ニューホライズンズ史上初の冥王星観測

2015-07-14 23:13:10 | Google's logo

毎度のGoogleのロゴがこんなことに!

 

 

 

米探査機ニューホライズンズ史上初の冥王星観測

 

どうやらこれ、直近のニュースで急遽ロゴになったっぽい?

Googleロゴコレクターとしては、毎日日付変わるとチェックしてるんだけど、

0:00時点では変わってなかったんだよね・・・あれ?(o゜ェ゜o)

 

検索すると、冥王星関連のニュース記事へ!

いろいろあったけど、一番最初に表示されてた記事のリンク貼っておく

冥王星の謎に迫る 米探査機が最接近へ|NHKニュース

 

検索画面のロゴはこんな感じ

 

Congratulations!

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【cinema】『鰻の男』(カリコレ2015 オンライン上映)

2015-07-11 03:13:12 | cinema

'15.06.27 『鰻の男』@青山シアター ~カリコレ 2015 オンライン上映~

 

キム・ギドク作品ということで、見たいと思ってた! 青山シアターで有料視聴があったので購入して見てみた~

 

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「水銀が検出され輸入禁止となった鰻を再検査してもらうため、中国から韓国へ密航したチェン。食品安全省のミに再検査してもらうが結果は同じだった。ミの家に居候しながら鰻料理店で働きだしたチェンは、店のある秘密を知ってしまう・・・」という話。うーん・・・ まぁ、見ている間はおもしろかった。社会派ドラマだと思っていたのだけど、終わってみればラブストーリーだったなという感じ(笑) 社会派な部分もあったけれど、期待していたほどではなかったなという印象。

 

第27回東京国際映画祭上映作品で、第4回ロッテルダム国際映画祭招待作品。2015年5月16日から6週間にわたって開催されたカリコレこと、カリテ・ファンタスティック! シネマコレクション2015上映作品。カリコレと青山シアターの連動企画で、オンライン視聴可能。高画質1,500円と通常画質1,300円が選択できたのだけど、ちょっとケチって1,300円で視聴(笑) 結果、1,300円で良かったかなというのが正直な感想。好みの映像もあったけれど、高画質で見なくてもいいかも。

 

これ全く勘違いしてて、以前記事(コチラ)まで書いちゃったのだけど、キム・ギドクは脚本と製作総指揮で、監督は『レッド・ファミリー』(感想はコチラ)のキム・ドンフだった なるほど、だからバイオレンスやエロ少なめなのね(笑) その分、社会派メッセージも薄めになってしまった印象かな。キム・ギドクが監督していたらどうだったのか不明だけど、監督ご本人としては、社会派映画を撮りたい時には、自分が脚本を書いて他の監督に委ねる形をとりたいのかな?と思うので、きっと撮らないのでしょうね。自分が撮りたいものと、作りたいものを分けている感じ。好みの問題はあるけれど、『レッド・ファミリー』ではそれは成功していたように思うけれど、今作は個人的にはあまり響いてくるものはなかったかな。それは多分、キム・ギドク監督が「食物に対する偏見は、食物が作られた国に対する偏見でもあるのではないかと思います。」語ったように、描きたかったであろう"他国に対する偏見"が、今まさに日韓関係を悪化させている要因だと思うけれど、正直自分はその問題について辟易している部分があるので・・・ でも、なんとなく韓国人は中国人のことは好きなのかな?と思っていたので、この中国人差別についてはビックリした。まぁ、この問題は根深いので、この辺で(o´ェ`o)ゞ

 

映画は密航船の中から始まる。暗い船底では食べ物も足りず、不満を募らせた男たちが、同乗していた若い女性を襲う。止めに入ったチェンは逆にボコボコにされてしまうが 、彼を助けてくれた男性がいた。その男性とお互い密航の目的を語る。中国で鰻の養殖をしていたチェンの父親は、検査で水銀が検出されたため輸出禁止となり、心労から倒れてしまった。鰻の再検査を依頼するため、中国から鰻3匹を携えてやって来たのだ。男性は韓国に出稼ぎに行った妻が、韓国人男性と浮気をし、自分を捨てて帰ってこないため、2人を殺すために密航するのだという。うーん。チェンの理由もスゴイが、この男性の理由も(笑) しかも、この男性は自分が死んだら代わりに2人を殺してくれるよう依頼し、その約束がその後のチェンの滞在理由ともなる。ちょっとあり得ない設定だけど、キム・ギドク脚本ならありでしょう(笑) ホメてます! ちなみに、この時助けた女性も、後にチェンに関わることになる。男性の助言に従い、港に入る前に海に飛び込む。なんとか陸地に着くが沿岸警察(?)に見つかってしまい、チェンを逃がした男性は射殺されてしまう。いろいろツッコミどころもあるけれど、このオープニングはおもしろかった。

 

無事ソウルにたどり着いたチェンは、タクシー運転手の協力(お金は払ったと思うけど)により、食品安全省に向かう。ちょっとご都合主義な気もするけど、ここはスッキリとしていて良かったと思う。その後「鰻の再検査を」と手書きのプラカードを掲げたチェンが、何度も警備員に追い帰されるシーンや、食品安全省に勤める女性検査官ミがチェンを気にするものの、結果素通りするシーンがかなり繰り返される。ここはちょっと長かった気もするけれど、この後のミの謎行動について説得力を持たせる意味もあったのかも? 3匹いた鰻も最後の1匹となってしまった頃、根負けしたミが鰻を再検査を承諾する。言葉の壁があるせいもあるけれど、ミはほとんど喋らず表情も変わらない。同僚の女性と話すシーンもあるけれど、韓国人独特のオーバーな表情で話す同僚に対し、表情一つ変えないミはミステリアスでありつつ、人生に疲れているような印象。この感じも、後につながる感じで良かった。再検査の結果は同じで、高い水銀の数値が検出される。チェンは自分の腕にメスを突き刺し、肉片を取り出して検査するシーンはここだっけ? もう少し後だったかな? 彼からも水銀が検出されてしまうのは恐ろしいけれど、これも後にミからも水銀が検出されることにより、食にまつわる闇を見せるとともに、同じ穴の狢であるという描写でもあるのかなと考えると、これは良いシーンだったと思う。見ていて痛かったけど

 

チェンをかわいそうに思ったのか、、ミは彼を自宅に連れて帰る。そんなにスタイリッシュとも思わなかったけれど、さすがエリートらしく高級マンション。ここからビックリ展開なのだけど、ミはいきなりチェンにキスをし始めて、そのまま2人はそういう関係に。まぁ、ここまで唐突じゃなくても2人がそういう関係になるのは、ありうる展開ではある。ただ、この段階ではミはチェンに恋しているわけでも、愛しているわけでもないと思うので、やっぱりこれはミの自虐的行為というか、そんな気がする。後に判明するミの秘密も関係しているのかもしれない。罪滅ぼし的な・・・ とはいえ、水銀が検出されたのはミのせいではないのだけど。ただし、セックスシーン自体はなし。それが見たいわけではないので別にいいけど、キム・ギドク監督作品だと思って見ていたので、意外に思っただけ(笑) 一応、脚本は書いているのだから、そういうシーンを入れようと思えば出来るわけで、やっぱりこれはあえて入れていないのかな? まぁ、別にいいけど←しつこい

 

ミは行きつけの鰻料理店にチェンを連れて行く。そこでは密航船で助けた女性が働いていて、その後彼女が度々通訳をしてくれることになる。鰻の養殖場の近くに工場がないか?って聞いたのはこの時だっけ? チェンはミから近くに工場があるなら水銀は出るわよ的なことを言われてしまう。その時、彼女が中国人であることを知った客が差別感丸出しで絡み出し、これまでの憤りも加わったチェンの怒りが爆発し、客と乱闘騒ぎを起こしてしまう。あれ? このシーンの方がミの家に行くより先だったっけ? ちょっと記憶が(笑) こんな乱闘騒ぎを起こした割に、ミはここの社長と懇意らしくチェンを雇ってくれるように依頼。さらに、この店にその後何度も食事をしに来る。これはまぁ、中国人女性店員に通訳して欲しいという部分があるからだと思うけれど、そういう普通あまりないなって思う展開が気になるけれど、ちょっとした強引さみたいなものは、どの映画でも多少あることなのでOK。ただし、今作に関して言えば、この店でなければならない理由がある。

 

チェンの仕事はトラックで運ばれてくる鰻を入れておく倉庫の見張り。チェンと先輩(?)の2人で見張るが、2人は下っ端のため中に入れてもらえず、覗くことも許されない。料理屋でそんなに厳重に?とも思うけど、社長も含めて倉庫周辺の従業員が、ほぼ全員ヤクザ風情という時点で怪し過ぎ|д´) チェンはこの仕事をしつつ、密航時に助けてくれた男性との約束を果たすため、彼の妻を探し始める。いくら恩に感じたからといって、そもそも約束の内容が内容なのだから、無理に果たす必要もないと思うけれど、チェンとしても自暴自棄になっている部分はあるのだろうし、それがソウルに留まっている理由にもなっている。よく考えるととんでもない設定でも、感動させるためなら多少の強引さはOKというのは、韓国映画の持ち味だし(笑)

 

一方、ミとチェンは言葉が通じないながらも恋人のような雰囲気に。ミの指示で買い物をして食事の支度をしていると、ただいまとばかりに後ろから抱きついたりする(ノ∀\*)キャ ただし、スーパーでは、手にしたお菓子が中国産だという理由で、怒られてしまう少女の姿が映るし、チェンの料理の材料や冷蔵庫内の食材が全て中国産だと知ると、ミが嫌悪感をあらわにして捨ててしまうシーンもある。これに怒ったチェンが自らを指さして、原題である「メイド・イン・チャイナ!」と叫ぶのは確かに悲しいけど、中国産が信用できないことは検査で明らかなのだし、そのことと中国人を差別することは別であることは分かり切っているわけで、その後、ミが中国産食材をむきになって食べるというのは、仮にお詫びを込めた行動だとしても、何の解決にもなっていないような・・・ 

 

ある日、チェンは搬入に来たトラックが落としたラベルを拾い驚愕する。それはチェンの会社の物だった! この店で出されていたのは、廃棄処分になったはずのチェンの鰻だったのだ。倉庫に乱入して乱闘の末、上司(?)に銃をつきつけ鰻入りトラックを奪うと、郊外へ向けて鰻を川に放す。この場面ではてっきり鰻を捨てようとしたのだと思っていたけど、後のシーンでチェンの真意と、邦題の意味が分かる。これは良かった。日本でもそうだけれど、いわゆる産地偽造とは違い、例えば中国産のアサリを千葉の海岸に撒いて、それを出荷すると"国産"ということになるらしい。いわゆる"国産"と"国内産"の違い。要するにこの業者もこのカラクリを行っているらしいのだけど、廃棄品を出荷するのはさすがにダメだよね? どういう法律に触れるのかは分からないのだけど・・・ 水銀が検出されたこと自体は、チェンが持ち込んだ鰻からも検出されているので、そこから偽造ということではないと思うけれど、そんな鰻を店で出すのは違法だよね? しかも、食品安全省にも関わっていること。ミはここまで深い事情は知らなかったようだけれど、何らかの不正に関わっていることは承知していた様子。

 

戻らないチェンを探すミ。彼は密航船の男性の妻が不倫相手と暮らす家に来ていた。仲睦まじい2人の様子。不倫は良くないけれど、韓国人男性が妻を中国人と承知で愛しているのであれば、チェンが散々感じてきた中国人差別をしていないわけで、理想的な形であるのだけど・・・ 密航男性との約束を果たそうとしたことには、自暴自棄になった部分もあるのでしょうけれど、ギリギリで踏みとどまったのは単純に撃てなかったというだけではないはず。その辺りは良かったと思う。ただし、韓国人男性の脚を撃ってしまって我に返ったというのが本当のところではあるのだけど(笑)  慌てて外に飛び出すと、ミが車で待っていた。一度、チェンの後をつけて来たことがあったように思うけれど、どうしてここだって分かったんだろ? まぁ、それしかないか(o´ェ`o)ゞ 

 

ミはチェンをホテルに連れて行き、その間に偽造パスポートと航空券、新しいスーツ、そして大金を用意する。ここまでお膳立てしてもらったのだから、そのまま空港に向かえばいいものを、何故かあのウナギ料理の店に向かうチェン。そこで働くあの中国女性にミからもらった大金を渡す。以前、彼女がお店を持ちたいという夢を語っていたのを思い出し、この金でお店を出せ、そうしたら自分が汚染などされていない鰻を出荷すると言う。お店ってそんなに簡単に出せるものじゃないよね?というツッコミはなしにしても、急激なこの展開について行けないということはないけれど、感動というのとはちょっと違ったかな? ただ、後のシーンも含めてチェンの純粋さが感じられるシーンではあった。むしろ"ウナギバカ"というか(笑) 

 

ウナギ料理店であの騒動を巻き起こしてしまったのだから、お店現れたら見つかってしまうわけで、当然ボコボコにされてしまう。そこに現れたのはまたしてもミ。彼女は彼の命と引き換えに、今後もウナギ料理店に便宜をはかるという契約書にサインさせられてしまう。まぁ、1人の人間の命がかかっているのだから他に選択肢もないような気がするけれど、ミがそこまでするのは一体何故なのか? もちろんチェンを愛しているのだと思うし、彼に対する罪滅ぼし的な部分もあったのかもしれない。どちらにしても、チェンの純粋さにうたれたというか・・・ まぁでも、女性に被虐的要素があるのはキム・ギドク節だからね。ミはチェンを車に乗せてあの川に向かう。チェンが逃がしたあの鰻は大部分が死んでしまっていた。号泣するチェン。なるほど"鰻の男"だね。ラストシーンは、空港近くの道路と思われる道に車を止め、自分の上を飛び立っていく飛行機を見送るミの姿で終わる。

 

余韻のある終わりは良かったと思うけど、よく考えると何も解決してないよね?(笑) まぁチェンが無事(?)に帰国できたし、今後彼が水銀の出ない鰻を生産できればいいわけなのだけど、要するに水銀汚染されてしまっている川が問題なのであって、日本でも大変なのにあの中国でたった1人でなんとかできるものなのだろうか? 新幹線事故ですら隠蔽しようとする体質だからねぇ・・・ チェンに渡した大金がミにとってどのくらいのお金なのかは不明だけど、これからも不正に手を貸すと約束してしまった件はどうなるのか? 単純に食品安全省を辞めれば済む問題でもない気がするのだけど? 相手はヤクザだからねぇ・・・ しかも、中国産の安全性については結局ダメという結果だし、韓国の食品偽造問題もそのまま。中国人差別については根深いものがあるし、簡単に解決できるものではないから、問題提起と、人種を越えての密航男の元妻、そしてミとチェンのエピソードがあればOKかもしれないけれど、キム・ギドク脚本×キム・ドンフ監督コンビの『レッド・ファミリー』の若い2人が語る理想論の方が、まだ希望が持てたのはなぜだろう?

 

キャストは全く知らなかった。チェンはてっきり中国人俳優が演じているのかと思ったら、パク・ギウンって韓国人俳優さんだよね? セリフはほとんどなくて、喋っても中国語。もともと中国語を話せる人なのか分からないけど、言葉以外の感情表現としては、ほぼ無表情ながらチェンの憤りや悲しみが伝わってきて良かった ミのハン・チェアは美女という感じではないけれど、ミステリアスな雰囲気が良かった。見ず知らずの男性を自宅に泊めるのもビックリだけど、自ら進んで行為におよぶとはさらにビックリだけど、不思議と色情狂的な感じがしないのは、ハン・チェアの知的な感じによるものかも。鰻料理店の中国人女性役の女優さんもかわいらしい顔立ちで、好演していたのだけど名前が分からず・・・

 

カリコレで公開されただけで、一般公開はされないのかな? DVD以外で見れる機会があるのか不明だけど、バイオレンス&エロ控えめの韓国映画見たい方オススメ。なんだそれ?(笑) キム・ギドク作品と思って見ると肩すかしかも? パク・ギウン、ハン・チェア好きな方是非!

 

『鰻の男』Official site

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【Googleのロゴ】円谷栄二生誕114周年

2015-07-07 00:46:42 | Google's logo

毎度のGoogleのロゴがこんなことに!

 

 

円谷栄二生誕114周年!

 

毎度のWikipediaで調べてみたけど、今回画像が多いので割愛!

リンクから見てみてください(o´ェ`o)ゞ

 

 

これ動画になっていて・・・

 

再生ボタンを押すと・・・

ウルトラマンのオープニングのような?

昔っぽいロゴになって・・・

円谷栄二さんからこんな提案が!

と言われるので・・・

つけてみた

このシーンが撮影されたってこと?

 


というように・・・

(以下、全パーツを撮るのが大変なので指令画面のみ)


と全ての指令をこなすと・・・


それぞれのパーツがつながって・・・


こんな動画が出来上がる!


各パーツや、仕上がりは各自で見ていただくとして・・・


検索画面のロゴはこんな感じ


お誕生日おめでとうございます!

 

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【Googleのロゴ】女子ワールドカップ 2015 決勝

2015-07-05 16:40:07 | Google's logo

毎度のGoogleのロゴがこんなことに!



女子ワールドカップ 2015 決勝


なでしこジャパンが2連覇をかけて決勝戦に臨む!


現地時間の7月5日16:00キックオフということで、

日本時間は7月6日8:00~ 出勤時間中ですな


検索画面のロゴはこんな感じ


ガンバレ! なでしこジャパン!!

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【cinema / DVD】『ヒックとドラゴン 2』鑑賞(感想は後日)

2015-07-04 23:58:35 | cinema / DVD

『ヒックとドラゴン 2』鑑賞(感想は後日)

キターーーー!見るよ

 

 

諸事情により5日過ぎに購入しようと思っていたけど、結局我慢できずに買っちゃった! 発売日から1日過ぎてしまったけど、届いたので早速見てみた


『ヒックとドラゴン2』涙が止まらない!素晴らしかった!今回ヒックは大人の男になるけど、その過程には迷いや不安があって、それを乗り越えたのは大きな愛。大いなる責任もトゥースと一緒なら大丈夫!感動!!映像もスゴイ!映画館で見たかった

ザックリした感想はtweetどおり! これ一応TAAFで公開されたし、感想記事書きたいので頑張る!! 『ラスト5イヤーズ』『チャッピー』『鰻の男』も書かなきゃだけど、こっち先に書こうかな~ とりあえず頑張る

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【cinema】『チャイルド44 森に消えた子供たち』(試写会)

2015-07-03 12:24:32 | cinema

'15.06.23 『チャイルド44 森に消えた子供たち』(試写会)@よみうりホール

 

CheRishさんで当選! いつもありがとうございます 原作おもしろかったし、トム・ハーディーだし、ゲイリー・オールドマンだし楽しみに行ってきたー♪

 

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「スターリン独裁政権下のソ連。MGB捜査官レオ・デミドフは、親友の息子の死に不審なものを感じつつ、"楽園に殺人は存在しない"という国家理念のもと、事故死として納得させる。そんな時、妻ライーサにスパイ容疑がかかり、妻を擁護したレオはライーサと共に左遷されてしまう。赴任先では親友の息子と同様の事件が多発しており・・・」という話。うーん。原作通りに描いていて、見ごたえもあるのだけど、なんとなく薄味な印象。原作は厚さ2cmくらいの文庫本2冊の長編で、それを137分にまとめるのは大変だと思うけれど、原作のエピソードをかいつまんで紹介したって感じになってしまっているのが残念だった。それでもストーリー自体に力があるので、飽きてしまうことはなかったし、見ている間はおもしろかったのだけど・・・

 

2008年に出版され、2009年"このミステリーがすごい!"の海外編第1位に輝いた、トム・ロブ・スミスの「チャイルド44」が原作。1933年ホロモドール大飢饉(Wikipedia)から始まる壮大な物語は、「グラーグ57」「エージェント6」と続くレオ・デミドフを主人公としたシリーズとして人気。そもそもはリドリー・スコットが監督することでプロジェクトが進んでいたようだけれど、ダニエル・エスピノーサが監督することになり、リドリー・スコットは製作にまわった。リドリー・スコットだったらどうなっていたんだろう? そもそも出版前の段階でトム・ロブ・スミスにアプローチしていたそうなので、思い入れも強かったのだと思うのだけど・・・ どうやらダニエル・エスピノーサ監督の『イージーマネー』(未見)を見て、その映像のスタイリッシュさに惚れ込んだということらしい。確かに、どんよりと重苦しいモスクワの街並みとか、列車が走る森の映像とか美しかったとは思う。

 

原作はウクライナの連続殺人鬼アンドレイ・チカチーロ(Wikipedia)をモデルとした、子供の連続殺人事件をベースに、スターリン政権下のソビエト社会を描いている。"殺人"は存在しないという状況の中で、リスクを負いつつ信念に従って行動することで、体制の異常さを描くわけだから、映画化する際にそこを主点にするのは当然だと思うのだけど、絡み合ってくる事象が絞りきれていないため、主流である連続殺人事件自体を脇のエピソードになってしまっている印象。"森に消えた子供たち"というサブタイトルをつけたのは日本側だから、製作側には関係のないことだけど、子供たちあんまり関係ない感じになってしまっているので・・・ イヤ、関係なくはないんだけど、犯人について決定的な設定変更をしてしまっているため、物語全体に漂うやり切れなさがなくなってしまったうえに、犯人判明からのあれこれがあまりにアッサリしていたため、事件自体が置き去りになってしまった感じ。むしろ元部下ワシーリの逆恨みの方が本筋になってしまい、レオが闘っているのは、ソビエトの社会体制のハズなのに、ただの内輪もめになってしまった印象。とはいえ、ちょっと原作忘れつつあるのだけど

 

重複するけど、MGB捜査官で第二次世界大戦の英雄レオ・デミドフが、存在しないはずの連続殺人事件を追ううち、反体制側になっていくという話なので、レオが捜査を始めることに説得力を持たせなければならない。そのためには、いろいろなエピソードが絡み合って、彼を"そこ"へ導いていくのだけど、こうして感想を書いてみると、原作はよく考えられていることが分かる。映画もその辺りの展開はよいのだけど、ちょっと説明不足の部分があるので、原作を読んでいなかったり、旧ソ連のことを知らないと分かりにくいかも? もちろん特別詳しい必要はないけど、少なくともソビエト連邦という社会主義の大国があったこと、スターリン政権下では反体制的という理由で粛清が行われていたことは知っていると、体制側の象徴的存在だったレオが、"正しいこと"を行うことのリスクがよく理解できる。まぁソ連が存在していたということくらい知っていると思うけれど、10代の子たちは教科書のみの知識だったりするだろうから、実感がわかないと思うので・・・ 自分も実際体験したわけじゃないから、実感がわかないのは同じだけど

 

原作では冒頭1933年パーヴェルとアンドレイの兄弟が、大飢饉による飢餓の中森へ食料を探しに出かけ、、パーヴェルが行方不明になる描写がかなり続くのだけど、映画ではアッサリと森に迷ったパーヴェルが保護され、これからはレオ名乗るように言われるシーンから始まる。シリーズ化する気があるような終わりだった気もするけど、今作に限って見た場合、両親との関係も明確にしていないし、何より決定的な設定変更をしてしまっているので、このシーンは特別必要なかった気もする。試写会後、冒頭の意味が分からなかったと話している方がいたので。レオが"英雄"になったのが、ドイツ製の腕時計が写ってしまうため、国旗の持ち手を代わっただけだったっていうのは原作にもあったっけ? レオの周りで殺人鬼の犠牲になるのが、部下の息子から親友の息子に変更されているため、本来の国旗の持ち手は親友アレクセイだったということになっている。パーティで妻ライーサとのなれそめを楽しそうに大きな声で語るレオ。原作を読んでいた時のレオのイメージは、こんなに積極的に話す感じの人ではなかった。上手く言えないけど周りを困惑させるほど話すようなタイプではなかったイメージだったけど、ここではライーサがこの話をされることをよく思っていないという描写をしたいのだと思うのでOK。全体的にトム・ハーディがってことではなくて、この映画で描かれているレオは、自分がイメージしていたレオとは違っていたのだけど、それは別に嫌ではなかった。

 

MGBの捜査官レオはスパイ容疑のかかった獣医師アナトリー・ブロツキーが、農家にかくまわれているという情報を得て、ワシーリー・ニキーチンら部下を連れて逮捕に向かう。レオはブロツキーの抵抗にあい負傷するが、なんとか身柄を拘束する。しかし、ワシーリーが独断で娘たちの目の前で農夫夫妻を射殺してしまう。レオはこれに激怒。後にワシーリーの逆恨みを買うことになる。そんな中、親友アレクセイの息子が亡くなる。線路脇で見つかった遺体は裸で、無数の傷跡があったため、アレクセイの妻は息子は殺されたのだと主張。しかし、楽園に殺人は存在しないということで、レオは息子は事故死だと説得するよう命じられる。説得には成功するものの、レオの中にも納得できないものが残る。一方、拷問の末ブロツキーが仲間の名前を自白。何とその中に妻ライーサの名前があった! 自身の立場上、ライーサをMGBに引き渡すことが最善の道だが、レオは愛する妻を信じる道を選ぶ。ライーサからは、これはレオを試すために仕組まれたことだろう、自分はレオを愛していない、プロポーズされた時には一週間泣き暮らした、結婚したのはMGB捜査官であるレオが怖かったからだと言われてしまう。それでもレオはライーサを愛していた。レオはヴォウアルスクという地方の村に左遷され、そこで警官としてアレクセイの息子の事件をほうふつとさせる事件に出会う。というのが前半のあらすじ。要するにレオが"殺人事件"を捜査することになる流れは良く考えられている。自分のイメージと違っている部分や、はしょられている部分もあったけど、ここまでの流れはおもしろかった。


当時のソ連では犯罪が起きないことが前提だったので、警官は社会の落ちこぼれがなる職業だったのだそう。新しい上司はネステロフ将軍。本来は優秀な人物だけれど、現在は閑職にあり波風を立てずに過ごしたいと考えている。そんな中、やたらとハリキリ出した新しい部下。いい迷惑(笑) ちょっとレオが急に捜査にやる気を出した理由が分かりにくい気がしたけれど、これはやっぱり左遷されたことにより、今までのように"体制側"でいる必要がなくなったことから、もともと持っていた正義感を発揮し始めたということだったのかな? ネステロフまで巻き込んで捜査を進めることになる。妻ライーサもこれに加わり、2人でモスクワに出て密かにアレクセイに会ったりもする。この"捜査"で妻ライーサとの絆が生まれ、2人は夫婦でありパートナーとなる。この辺りの感じはちゃんと伝わった。原作でのワシーリーとライーサのことがすっかり抜け落ちているのだけど、何か関係があったんだっけ? 映画だとワシーリーが勝手に執着している印象。まぁ多分ライーサよりもレオに執着しているのだろうけれど(笑) 元上司のクズミン少佐やワシーリーの思惑も絡みつつ、反体制となったレオはMGBから追われる身となる。追っ手から逃げつつ、犯人の手掛かりを探す様子がスリリングに描かれる。ハズなのだけど、何となくこの辺りから駆け足になってやっつけ仕事的になってしまった印象。


レオはある地点を中心として、各地の駅周辺で行方不明になった子供の遺体が発見されていることに気づく。それぞれ完璧な国家であるソビエトに存在してはならない、知的障害者や同性愛者が"犯人"として逮捕さえており、すべての事件は解決済み。しかし、レオたちは犯人は別におり、定期的に移動する仕事をしている人物ではないかと考える。ある工場が候補に上がり、レオはここに潜入。原作でのここの緊迫感が印象的だったのだけど、これ夜に忍び込むんじゃなかったっけ? 操業中に忍び込んでいたっけ? あれ?(o゜ェ゜o)  工場長に接触したレオは、事件の起きた場所に最近出張した人物がいないか調べるよう依頼。1人の男が浮かび上がる。危険を察知した男は逃亡。レオとライーサが追いかける。森の中で彼を追いつめたレオは、かつて同じ孤児院で育った仲だと告白される。┏(゜ェ゜) アレ? そこに現れたのがワシーリー。ワシーリーは犯人の男を射殺。レオとライーサを追いつめる。乱闘の末、ワシーリーを殺害したレオは、駆けつけたMGB捜査官たちに、ワシーリーは犯人と格闘の末名誉の死を遂げたと告げる。クズミンは失脚し、レオはモスクワへ呼び戻される。新たな上司に殺人課を新設し、そこにネステロフ将軍を迎えたいと告げ、渋々とではあるが受領される。場面変わりレオとライーサはある施設を訪ねている。ブロツキーをかくまった両親を射殺された姉妹がいる孤児院。2人を引きとりたいと申し出る。姉妹は無反応だったが、廊下で待つ2人のもとへ歩いてくるシーンで終わる。原作もこの終わりだったっけ? この2人は続編「グラーグ57」で重要な役割を果たすので、この終わりはニヤリでありつつ、シリーズ化しようとしているのか?とも思うのだけど、やっぱり犯人の決定的な設定変更により、結果しまりのない感じになってしまった印象。

 

以下、原作のネタバレありです!

 

原作では犯人は生き別れたレオの実弟という設定。物語自体の始まりがホロモドール大飢饉による飢餓で、2人が食料を探しに森に入り生き別れてしまうところから始まるので、2人が対峙する際に運命がハッキリと別れてしまったやりきれなさがある。シリーズを通じて"家族"のために闘うことがレオの切なさだったりするのだけど、設定を変えてしまったため犯人像がボヤけてしまったあげく、直後に夫婦そろって泥まみれになってのワシーリーとの格闘で、すっかり影が薄くなってしまった。むしろ犯人どうでもいい感じに・・・ スターリン政権下の異常さをメインで描きたかったのかもしれないけれど、物語を動かしていたのはあくまで児童連続殺人だと思うので、犯人がこんなにどうでもよくなってしまうのはどうかと(´ェ`)ン-・・ そのわりスターリン政権の恐ろしさも、前半は分かりやすかったけど、後半は事件の捜査のじゃまになる程度になってしまったし、クズミン少佐にいたっては何故失脚したのかも不明だし、レオが中央復帰できた理由もよく分からない。原作未読で映画だけ見た人はこれで伝わるのかな? むしろ、未読で映画だけ見た人の方が楽しめるのかな? このくらいの情報量の方が見やすい? サスペンス映画だと思って見たら物足りない気もするけどな(´ェ`)ン-・・ あと、個人的にはロシア語訛りの英語に違和感があった。原作も英語で書かれているのだし、普通に英語で話してもよかったのでは?

 

なんだかダメ出しばかりして申し訳ない でも、キャストの演技は良かったと思う! お目当てのゲイリー・オールドマンは思ったより事件に絡まなくて残念。本来は優秀で正義感もある人物だけど、生き残るために封印している。それがレオに刺激されて目覚めていく感じは出ていたと思うのだけど、生かし切れていなくて残念 そもそもネステロフ将軍の地位も分かりにくいし、結局何したんだっけ?という感じになってしまっている印象。クズミン少佐のヴァンサン・カッセルも利己的で嫌な上司を好演したけど、よく分からないまま失脚してしまっていたのが残念。ワシーリーのジョエル・キンナマンはサイコパスっぽいキャラのワシーリーを好演。ちょっと機械的な容姿も合ってた。この演出で一番得をしたのはワシーリー役のジョエル・キンナマンだったかもしれない。

 

原作既読者としては一番イメージが違っていたのはライーサのノオミ・ラパス。ノオミ演技上手いし好きなのだけど、ライーサってちょっと冷たい感じの知的美女というイメージだったので・・・ まぁ、ノオミなので大失敗にはならないだろうと思っていたけどさすが 美女かどうかはさておき(←失礼)女性らしい魅力も出ていたし、夫を恐れて良い妻を演じていたけれど、レオと共に事件を追ううちに、彼を愛するようになる感じもちゃんと出ていたと思う。原作ではあんなアクションシーンがあったっけ? 強い女性ではあるけれど、そういう風に強いわけではないので、原作のイメージどおりのライーサだとすると、この格闘シーンは違和感なのだけど、ノオミのライーサなら違和感なし。ただ、女性らしい弱さもあって良かったと思う。

 

正直に言うと、トム・ハーディーのレオもイメージと違っていた。表面上はもっと冷たそうなイメージ。ソビエト時代のロシア人を冷たいと思い過ぎ?(笑) 原作の中でどう描写されていたか忘れてしまったけれど、背が高くてがっちりとしたというか、いかり肩の体型をイメージしてて、トム・ハーディーの鍛えられた体型は素敵だけど、ちょっとイメージとは違っていた。イメージとしては感情をあまり見せないという印象だったけど、思ったより感情を出している印象。この辺りはトム・ハーディーの演技によるものなのか、演出によるものなのかは不明だけど、レオが当時のソ連では異端であるという描写なのだと思うし、それはとっても良かったと思う。まぁ、あくまで個人的なイメージだし(笑) シリーズ化するのか不明だけど、トム・ハーディーのレオ・デミドフ像はできていたと思う。

 

サスペンス映画は見たいけど、ちょっと怖いの苦手という方は、残虐シーンはほとんどないのでオススメかも? 原作に思い入れが強いとどうなのかな~? ゲイリー・オールドマン目当てだとやや肩透かし、ノオミ・ラパス好きな方オススメ! トム・ハーディー好きな方是非

 

『チャイルド44 森に消えた子供たち』Official site

 

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