『クロワッサンで朝食を』鑑賞
『クロワッサンで朝食を』鑑賞。ジャンヌ・モローがスゴイ!あれだけ貫いて生きるのは、そりゃ辛かろうと・・・ フリーダと関わるのは厄介だけど、一度深く関わると離れがたいのも分かる気がする。毎日シャネルスーツを着てるのも素敵!アンヌの人も良かった。大人のパリが素敵☆ Posted at 11:18 PM
公開時気になっていたけど、見逃してた・・・ 何度も言うけどシネスイッチ苦手なんだよね・・・ ということで、WOWOWで放送していたので録画。ちょっと温めちゃったけど、見てみた!
ネタバレありです!
「長年介護してきた認知症の母親を亡くしたアンヌ。酒癖の悪い夫とは13年前に離婚し、既に子供たちも独立。そんな中、パリでエストニア出身の老婦人の家政婦を募集しているので、働かないかという話が舞い込んでくる。しかし、フリーダは気難しくて・・・」という話。これは、良かった! 感動って感じでもないし、特別大きな事件が起きるわけでもなく、老婦人フリーダとアンヌの関係も、一山越えたところで終わる。でも、とっても大人な感じで、いかにもヨーロッパ映画だなという気がした。
監督はエストニア出身のイルマル・ラーグ。どうやら、パリ第8、3大学で学んだ経験があり、帰国後も新聞社やテレビ局のパリ特派員として働いていたそうなので、パリは第二の故郷と呼べる場所なのかもしれない。なので、この作品にもいわゆる観光名所というようなところは、エッフェル塔くらいしか出てこない。でも、その普通のパリがなんだかとっても良かった。
冒頭は雪の舞うエストニアの街並みから。バスから中年女性が降りてくる。酔っ払いが声をかけてくるけど無視して歩く。足を滑らせた酔っ払いが転倒。仕方なく抱き起そうとしていると、パトカーが近づいてきて手を貸すと言うけれど、それを断り男性に肩を貸し歩き始める。実はこれは別れた元旦那。玄関先でキスを迫られ慌てて家に入ろうとするも、認知症の母親に締め出されそうになる。なんともトホホな滑り出し・・・ 鼾をかいて眠る母親を静かに見つめる。朝、冷たくなった母親を見つめる目・・・ 後のセリフで「母親が亡くなった時、ホッとした」と語っているけど、そういう部分はあると思う。もちろん悲しいことには違いないけれど、意識のハッキリしている病人を毎日見舞うことだって大変なこと。ましてや認知症の母親を1人で介護しているとなれば、その苦労はいかばかりか・・・ ホッとしてしまうのアンヌを責めることは誰にもできないと思う。
とはいえ、子供たちも独立しているし、離婚して今は独身。1人家にいても特にすることもない。どうやら、以前は介護施設で働ていたけど、母親の介護のために退職したらしい。50代になって1人自由になったものの・・・ という感じがエストニアの冬の街の風景と相まって、じんわりと孤独感が伝わって来る。でも、押しつけがましくはない。そんな時に紹介されたのがパリでの家政婦の話。エストニアってバルト三国だよね? ヨーロッパは地続きなので、日本人のように海を越えてみたいな感覚がないのかもしれないけれど、いきなりパリが就職先ってスゴイな! もちろん、アンヌも即答はできない。どうやら、この仕事フランス語が話せるってことで紹介されているらしいので、そういう面では心配はなかったのでしょうけど・・・ で、娘に電話すると、アッサリ「あら!よかったじゃない!いってらっしゃい」と言われてしまう(笑) まぁねぇ・・・ まだ20代とかならもっと簡単なのでしょうけれど・・・ でも、よく考えれば失うものもないわけだし! ってことで、アンヌはパリに向かう。向かってもらわないと困るしね(笑)
さて、待ち構えていたのは毒舌で気難しい老婦人フリーダ。50年以上前にパリにやって来たエストニア人。旦那さんが残した広いアパルトマンに1人暮らし。恋愛に関してかなり奔放だった様子で、アンヌを雇ったのも40は年下と思われる元愛人。もっとも、未だに彼を恋人と思っているのはフリーダの方で、ステファンの方にはその気はない。ステファンはフリーダの資金援助を受けてカフェを持ったようで、その恩返しの部分も大きいみたいだけれど、やっぱり愛情はあるのだと思う。それはもはや息子のような愛情というか、情のようなものだと思うけれど・・・ そうそう、このステファンがカフェを出してもらったというのは、お金を借りたということではなく、店を買ってもらったということらしい。日本人の感覚からすると、ヒモになって買ってもらったのか・・・って感じなんだけど、お金のためにフリーダに仕えているんじゃないと言いたいがために、あえて強調していたので、きっと文化的にお金持ちの愛人のマダムに、店を出してもらうということは、後ろめたいことではないのかもしれない。その辺りの感じもパトロン文化のあったヨーロッパ的な感じ。
さて、フリーダに話を戻す! アンヌが来た日も背を向けてベッドの上から動かず。最初に受けた引き継ぎは薬棚のカギは渡さないこと! なんでも以前自殺未遂をしたことがあったからだそう・・・ 口が悪くて気難しいというのはステファンが言っていたような気がするけど、どうだったかな? 翌朝、簡単なスープを作って寝室に運ぶと、こんなものは食べられないと見向きもせず、家政婦など必要ないから出ていけと言わんばかりの態度。薬棚のカギをよこせというので、止められているからと答えると罵倒し、解雇されてしまう。初日の朝から(笑) 仕方なくステファンのカフェへ行くと、カウンターの常連客が好奇の目を向けてくる。早くも新しい家政婦とやり合ったなという感じ? そして、アンヌのことも値踏みしているような・・・ 考え過ぎかな?
とりなしに来たステファンとソファに並んで、腕を組んでベタベタに甘える。先に書いてしまったけど、この時点ではアンヌも見ている側もステファンとの関係が分かっていない。当然息子だろうと思っていたのに、この態度でビックリ! フリーダはもう何年もアパルトマンから一歩も出ない生活で、自炊も出来ない。でも、家政婦に居られるのも嫌だと言う。イヤイヤ、どう考えても1人で生活できないのだから、誰かに来てもらわなきゃ無理でしょうと、ステファンも見ている側も思うわけです。見ている側は何というわがままBBAだと思っているわけだけど、ステファンは辛抱強く上記の内容を噛み砕いて言って聞かせる。すると、「あなたが毎日来てくれればいいのに~❤」と甘えるわけです。困ったね(笑) 男性はゾッとする人もいるかもしれないけれど、女性としてはあらまぁって感じ。もちろん、自分には出来ないし、さすがフランス女は死ぬで恋するのね(o-艸-o)とも思わないのだけど・・・ なんというか、この人はこうやって生きてきたんだなっていうことと、こういう風にしか甘えられないんだなと思っていた。憐れに思うのともまた違うのだけど・・・ 説明が難しいな(笑)
結局、説得されてアンヌを雇うことにする。朝食にはクロワッサンと紅茶しか食べないことをステファンから聞き、翌朝スーパーで買ったクロワッサンを出すと、こんなものはクロワッサンじゃない!と叱られる。パン屋で本物のクロワッサンを買うのだと言われる。フリーダは口うるさいけど、来客もないのに、毎日きちんと化粧して、髪を整え、シャネルを着る人。きちんとしているから口うるさい部分もあるのだということ。一方、アンヌもクロワッサンを裏返して焼き加減を見るような生真面目な人。そういう部分と、やっぱり故郷のエストニアから来た人という安心感があってか、いつの間にかフリーダの心をつかんで行く。この辺りの描き込みが足りないような気もするけれど、2人が仲良くなるのだろうことは分かって見ているわけだから、フリーダのわがままエピソードをそんなに見せなくてもいいかなと思うので、この程度でもいいかな。フリーダが本当にただのワガママなだけな人だったら、ステファンも見捨てていただろうし、見せているほど嫌な人ではないのだと思うし。難しい人であるのは間違いないけれど・・・
アンヌはフリーダが眠った後、一人パリの街を散歩するのが楽しみになっていた。いわゆる観光名所には行けないけれど、近所をぷらぷらと歩く。そんな、普通のパリが素敵。夜の散歩や、買い物の合間などにショーウィンドーを眺める。シャレた服と自分の垢抜けない服装を比べてため息・・・ でも、冒険する気はない。アンヌはそんな女性。でも、適当にまとめただけで、後れ毛だらけだった髪を綺麗にまとめる。それだけで、ずいぶんキレイになる。そういうのがいい。そんな散歩の途中、エストニア教会を発見。エストニアの人たちと交流したいと寄ってみるが、現在はそういう集まりはしていないとのこと。でも、この時対応してくれた老婦人がフリーダのことを知っていた。これは後の伏線。
アンヌにネイルをしてもらい、華やかな気持ちになったのか、2人でオシャレをしてステファンのカフェへ行こうと言い出すフリーダ。外出するのはとっても良いこだと、アンヌも賛成する。洋服を選ぶアンヌは楽しそう。そう、どこへ出かけるかってことも重要だけど、洋服を選んだり、お化粧したりして、オシャレするだけでも楽しいんだよね! フリーダはいつも臨戦態勢できちんとしているけれど、やっぱり外出する気になったのはネイルを新しくしてもらったからなんじゃないかなぁ・・・ この辺りは共同脚本のアニエス・フォーヴルとリーズ・マシュブフによるものかな? フランス人の名前は詳しくないけど、アニエスとリーズなら女性だよね?! 女性ならでわの視点だなと思ったので・・・
アンヌの選んだ服は地味ではあったけれど、フリーダに褒められる。個人的はそんなにピンとこなかったけど、まぁ50代の女性だからね・・・ ただ、コートがダメだと言う。クローゼットの中からバーバリーのトレンチコートを出し、アンヌに着せる。首のストールもカッコよく巻いてあげる。母と娘のよう。いつもシャネルを着ているフリーダがバーバリーのトレンチコートを持っているのは何となく不思議な気もしたけど、このコートはアンヌの生真面目な感じには合っていたと思う。あなたの方が似合うからあげると言ってポーンとくれちゃうけど、このコートも後に重要なアイテムとなる。
ステファンのカフェへ向かう途中も、2人とも華やかな気持ちになってウキウキしているのが分かる。いつもは、ヨロヨロと歩くフリーダが、シャキシャキ歩き出すのがカワイイ。こういうところが憎めないところ(笑) ビックリさせたいから、あなたは後から来てと言って一人でカフェへ。当然、歓迎されて上機嫌。特別なお客として接待してもらうのも、当然という感じ。あの常連客も隣へどうぞという感じ。でも、カフェで恋人のようにステファンに接するフリーダに、とうとうステファンが切り出す。自分にも自分の生活がある、いつもあなたと一緒にいるわけにはいかない。うーん。ステファンとフリーダが恋人(愛人?)だった頃のことは、2人の出会いなどがフリーダから語られるくらいなので、どのくらい続いていたのか不明だけど、少なくともステファンの中では終わったことなんだよね。フリーダの中では終わってないという見方も出来るけれど、それはないんじゃないかな・・・ 少なくとも"恋愛"という絆でつながっているのではないのは分かっているのだと思う。あるとすれば"恋愛"の名残のようなもの・・・ ステファンはアンヌにフリーダが死ぬのを待っているのかと聞かれて、その時には否定するけれど、後に認める。もちろん死んで欲しいわけではないでしょうけれど、重荷であることは事実なんだろうな・・・ それが、カフェでの発言なんだと思う。決して見捨てるという意味ではなく。
フリーダがどこまで考えてカフェに行ったのかは分からない。もちろん、こんな事態になるとは思っていなかったでしょうが、単純にビックリさせてやろうくらいの気持ちだったのか、それとも彼の気持ちをこちらに向かせようという意図があったのか・・・ 個人的には単純にビックリさせてやろうと思って出かけて、ステファンが恋人ごっこに付き合ってくれてたら気が済んだのかなという気もする。ちょっと"女"を味わいたいというか・・・ おそらくステファンもそれは分かって、今までは付き合ってきたけど、いつでも付き合うことは難しいってこと言いたかったのでしょう。カフェは彼の職場だからね。
すっかり落ち込んでしまったフリーダは、それ以来食事を食べなくなってしまう。エストニア料理を作ってみても食べない。困ったアンヌは一計を案じ、エストニア教会の女性に会いに来てもらう。たまたま知り合ってフリーダの話になり、久しぶりに会いに行きたいと言われたという設定。見ている側に種明かしがされているわけではないけど、教会での反応を見ていれば、アンヌの優しいウソなのは分かる。当日、ウキウキと準備をするフリーダ。やって来たのは3人。教会の老婦人と、初老の男性、そして初老の女性。歓迎するフリーダ。でも、初老の男性がアンヌから招かれてと言ってしまう。まぁ、口裏を合わせなかったアンヌの失敗と言えるけれど、こんなこと言わなくてもいいのに無粋な人だな・・・ まぁ、でも事の真相を知って怒り出したフリーダや、彼らの言葉によれば、50年前にフリーダがグループの中の男性と不倫、その夫婦は離婚、それ以来エストニア人グループは壊れてしまったというのだから、彼らからしてみれば来たく来たわけじゃないというのが本音。反省しているのだと思ったから来てみれば、招かれざる客だと言われれば言いたくないことも言ってしまう。それでも、なんとか場を収めようとしていた初老の女性も、耐えきれないと去って行き、お茶会は散々な結果に。50年も前の浮気をまだネチネチ言うような連中だというけれど、不倫の挙句に相手の家庭を壊すって、そういうことなんじゃないのかな?
結果、アンヌは今度こそ解雇される。アンヌ自身ももう無理だと思う。お茶会用にオシャレしていたアンヌは、ヒールのまま荷物を持ってステファンのカフェへ。解雇されたことを告げ、エストニアに帰るつもりだと言う。ステファンも納得するしかない。そして、2人は自然と近づいていき・・・ 2人のそういうシーンはなかったけれど、2人がそうなることは分かった。この場合2人とも恋しているわけではないと思うけど、まぁそういう事ってあるよね(笑) これは自然の流れのような気がした。自分も母親が死ぬのを待ってたって告白したのはここだったっけ? ステファンが告白したのはもっと後だった気がするけれど・・・
カフェを出て、ヒールのままパリの街をさまようアンヌ。寒さと疲れで地下鉄のホームで寝込んでしまうけれど、駅員に起こされ追い出されてしまう。オシャレではないけれど、温かくて歩きやすいブーツに履き替え歩くパリは、憧れのキラキラしたパリでもないし、優しい街でもない。でも、不思議と冷たくもない。空が明るくなって来たころ、どこかで買った焼きたてのクロワッサンで手を温めながら、朝日の中のエッフェル塔を見る。このシーンは好き!
一方のフリーダ。アンヌが出て行った部屋には、例のバーバリーのトレンチコートが残されている。まぁ、普通に考えて持って行けないよね。もちろん持って行けちゃう人もいると思うけど、アンヌは持って行かない。もちろん、遠慮もあるし、フリーダへの当てつけもあるし、プライドの問題もある。そういうのをトレンチコートで表現しているのは好きだった。そして、それをフリーダが抱きしめるシーンもいい。フリーダにはアンヌの気持ちが分かったのでしょう。自分のプライドが傷つけられたことに腹を立てて、アンヌのプライドを傷つけてしまった。フリーダがアンヌに死んだらエストニアの母の隣で眠りたいと語ったシーンがあった。母親の死を知ったのは、亡くなってから1ヶ月も経ってからだった。兄は知らせてくれなかった。それ以来、故郷に帰っていないけれど、エストニアの母墓の隣に埋葬されたいと・・・ 実際そのセリフを聞いていた時より、後からそれがきいてくる・・・ 本当はとっても寂しがりやで、誰よりも人を求めているのに、素直になれず武装してしまう。素直に人の好意に甘えることができないから、ステファンに対していつまでも愛人のように振る舞ってしまう。
結局、大方の予想通りアンヌは戻って来る。アンヌもステファンも、フリーダを放っておけないのは、彼女の本当の寂しさを知っているからだろうし、やっぱり彼女を好きなのでしょう。そして、アンヌも自分の居場所はここだと思ったのだと思う。いずれは帰るかもしれないけれど、今居る場所はエストニアにはない。原題は『Une Estonienne a Paris』(英題:A Lady in Paris)で、"パリのエストニア女性"という意味なので、納得という感じ! 英語はちょっと違うかな? 邦題も違うけど、これはフリーダとアンヌの繋がりの最初のきっかけがクロワッサンなのと、エッフェル塔でクロワッサンを食べるシーンを、『ティファニーで朝食を』にかけているんでしょう。まぁ、『パリのエストニア人』も『巴里のアメリカ人』(原題:An American in Paris)にかけてるのかもしれないけど、『パリのエストニア人』じゃ日本のマダムは見に行かないかも?(笑)
出演者はほぼ3人という感じ。ステファンのパトリック・ピノーは、イケメンではないのに年上の愛人がいたという役に説得力を持たせてしまうのがスゴイ! まぁ、半分冗談だけど、半分本気でホメてます(笑) 傷ついたフリーダを慰めようと、ベッドの隣に寝れば股間を触られたりと、やれやれと思いつつも、そんなフリーダの哀しさが分かっているのが感じられた。アンヌのライネ・マギが良かった! エストニアでは有名な女優さんだそうだけど、出演作を見るのは初めて。元々はダンサーだったそうでビックリ! ずっと母親を介護してきたアンヌは、感情を抑えることが身についている。それは怒りだけでなくて、笑顔も。人のために生きてきたから自分に構う時間がなかった。気づけば50過ぎ。今さら恋をしたり、輝きたいと思っているわけでもない。新しい仕事場はパリという憧れの街ではあるけれど、仕事は結局老婦人の世話でオシャレは必要ない。でも、フリーダから"女"であることを教えられる。でも、大人の女性だから、取り入れるのはオシャレをする部分と、ほんの少し羽目を外すこと。それも分相応に。決して踏み外すことはない。その感じが素晴らしい! そして、何といってもジャンヌ・モロー! もう存在感がスゴイ! 画面に映っていない時でも、フリーダが気になってしまう。撮影時はもう少し若かったと思うけれど、御年85歳。皺も一切隠さない。皺だらけの顔の分厚い唇に、濃い色の口紅をつける。ある時はグロテスクですらあるけれど、やっぱり美しい。ツッパリかえって毒舌で武装したフリーダの傷つきやすさや悲しさ、人恋しいけど素直に甘えられないから、息子のような年齢の元愛人に、いつまでも恋人のように振る舞ってしまう。それは単純に不器用なだけでなくて、憐れな老人であることを見せたくないから。そういうのがしっかり伝わってきた! 素晴らしい
自分が知ってるパリの街はエッフェル塔くらいしか出てこない。普通のパリの街。でも、それが素敵過ぎなくて素敵。フリーダのアパルトマンが素敵! '60年代の手縫いのサンローランのカーテン、ウェッジウッドのティーセット、そしてシャネルの自宅にあったコロマンデル風の屏風! フリーダが身に着けたシャネルの服は、すべてジャンヌ・モローの自前だそう!! 素敵
2人の女性の友情物語と考えると、ちょっと肩すかしかもしれない。表面上はまだそこまで深い関係にはなっていないから。でも、やっぱりこれは2人の女性の物語。友情というのとはちょっと違うのかも・・・ 大人なパリ、大人な映画見たい方おススメ!
『クロワッサンで朝食を』Official site
http://twitter.com/maru_a_gogo
『クロワッサンで朝食を』鑑賞。ジャンヌ・モローがスゴイ!あれだけ貫いて生きるのは、そりゃ辛かろうと・・・ フリーダと関わるのは厄介だけど、一度深く関わると離れがたいのも分かる気がする。毎日シャネルスーツを着てるのも素敵!アンヌの人も良かった。大人のパリが素敵☆ Posted at 11:18 PM
公開時気になっていたけど、見逃してた・・・ 何度も言うけどシネスイッチ苦手なんだよね・・・ ということで、WOWOWで放送していたので録画。ちょっと温めちゃったけど、見てみた!
ネタバレありです!
「長年介護してきた認知症の母親を亡くしたアンヌ。酒癖の悪い夫とは13年前に離婚し、既に子供たちも独立。そんな中、パリでエストニア出身の老婦人の家政婦を募集しているので、働かないかという話が舞い込んでくる。しかし、フリーダは気難しくて・・・」という話。これは、良かった! 感動って感じでもないし、特別大きな事件が起きるわけでもなく、老婦人フリーダとアンヌの関係も、一山越えたところで終わる。でも、とっても大人な感じで、いかにもヨーロッパ映画だなという気がした。
監督はエストニア出身のイルマル・ラーグ。どうやら、パリ第8、3大学で学んだ経験があり、帰国後も新聞社やテレビ局のパリ特派員として働いていたそうなので、パリは第二の故郷と呼べる場所なのかもしれない。なので、この作品にもいわゆる観光名所というようなところは、エッフェル塔くらいしか出てこない。でも、その普通のパリがなんだかとっても良かった。
冒頭は雪の舞うエストニアの街並みから。バスから中年女性が降りてくる。酔っ払いが声をかけてくるけど無視して歩く。足を滑らせた酔っ払いが転倒。仕方なく抱き起そうとしていると、パトカーが近づいてきて手を貸すと言うけれど、それを断り男性に肩を貸し歩き始める。実はこれは別れた元旦那。玄関先でキスを迫られ慌てて家に入ろうとするも、認知症の母親に締め出されそうになる。なんともトホホな滑り出し・・・ 鼾をかいて眠る母親を静かに見つめる。朝、冷たくなった母親を見つめる目・・・ 後のセリフで「母親が亡くなった時、ホッとした」と語っているけど、そういう部分はあると思う。もちろん悲しいことには違いないけれど、意識のハッキリしている病人を毎日見舞うことだって大変なこと。ましてや認知症の母親を1人で介護しているとなれば、その苦労はいかばかりか・・・ ホッとしてしまうのアンヌを責めることは誰にもできないと思う。
とはいえ、子供たちも独立しているし、離婚して今は独身。1人家にいても特にすることもない。どうやら、以前は介護施設で働ていたけど、母親の介護のために退職したらしい。50代になって1人自由になったものの・・・ という感じがエストニアの冬の街の風景と相まって、じんわりと孤独感が伝わって来る。でも、押しつけがましくはない。そんな時に紹介されたのがパリでの家政婦の話。エストニアってバルト三国だよね? ヨーロッパは地続きなので、日本人のように海を越えてみたいな感覚がないのかもしれないけれど、いきなりパリが就職先ってスゴイな! もちろん、アンヌも即答はできない。どうやら、この仕事フランス語が話せるってことで紹介されているらしいので、そういう面では心配はなかったのでしょうけど・・・ で、娘に電話すると、アッサリ「あら!よかったじゃない!いってらっしゃい」と言われてしまう(笑) まぁねぇ・・・ まだ20代とかならもっと簡単なのでしょうけれど・・・ でも、よく考えれば失うものもないわけだし! ってことで、アンヌはパリに向かう。向かってもらわないと困るしね(笑)
さて、待ち構えていたのは毒舌で気難しい老婦人フリーダ。50年以上前にパリにやって来たエストニア人。旦那さんが残した広いアパルトマンに1人暮らし。恋愛に関してかなり奔放だった様子で、アンヌを雇ったのも40は年下と思われる元愛人。もっとも、未だに彼を恋人と思っているのはフリーダの方で、ステファンの方にはその気はない。ステファンはフリーダの資金援助を受けてカフェを持ったようで、その恩返しの部分も大きいみたいだけれど、やっぱり愛情はあるのだと思う。それはもはや息子のような愛情というか、情のようなものだと思うけれど・・・ そうそう、このステファンがカフェを出してもらったというのは、お金を借りたということではなく、店を買ってもらったということらしい。日本人の感覚からすると、ヒモになって買ってもらったのか・・・って感じなんだけど、お金のためにフリーダに仕えているんじゃないと言いたいがために、あえて強調していたので、きっと文化的にお金持ちの愛人のマダムに、店を出してもらうということは、後ろめたいことではないのかもしれない。その辺りの感じもパトロン文化のあったヨーロッパ的な感じ。
さて、フリーダに話を戻す! アンヌが来た日も背を向けてベッドの上から動かず。最初に受けた引き継ぎは薬棚のカギは渡さないこと! なんでも以前自殺未遂をしたことがあったからだそう・・・ 口が悪くて気難しいというのはステファンが言っていたような気がするけど、どうだったかな? 翌朝、簡単なスープを作って寝室に運ぶと、こんなものは食べられないと見向きもせず、家政婦など必要ないから出ていけと言わんばかりの態度。薬棚のカギをよこせというので、止められているからと答えると罵倒し、解雇されてしまう。初日の朝から(笑) 仕方なくステファンのカフェへ行くと、カウンターの常連客が好奇の目を向けてくる。早くも新しい家政婦とやり合ったなという感じ? そして、アンヌのことも値踏みしているような・・・ 考え過ぎかな?
とりなしに来たステファンとソファに並んで、腕を組んでベタベタに甘える。先に書いてしまったけど、この時点ではアンヌも見ている側もステファンとの関係が分かっていない。当然息子だろうと思っていたのに、この態度でビックリ! フリーダはもう何年もアパルトマンから一歩も出ない生活で、自炊も出来ない。でも、家政婦に居られるのも嫌だと言う。イヤイヤ、どう考えても1人で生活できないのだから、誰かに来てもらわなきゃ無理でしょうと、ステファンも見ている側も思うわけです。見ている側は何というわがままBBAだと思っているわけだけど、ステファンは辛抱強く上記の内容を噛み砕いて言って聞かせる。すると、「あなたが毎日来てくれればいいのに~❤」と甘えるわけです。困ったね(笑) 男性はゾッとする人もいるかもしれないけれど、女性としてはあらまぁって感じ。もちろん、自分には出来ないし、さすがフランス女は死ぬで恋するのね(o-艸-o)とも思わないのだけど・・・ なんというか、この人はこうやって生きてきたんだなっていうことと、こういう風にしか甘えられないんだなと思っていた。憐れに思うのともまた違うのだけど・・・ 説明が難しいな(笑)
結局、説得されてアンヌを雇うことにする。朝食にはクロワッサンと紅茶しか食べないことをステファンから聞き、翌朝スーパーで買ったクロワッサンを出すと、こんなものはクロワッサンじゃない!と叱られる。パン屋で本物のクロワッサンを買うのだと言われる。フリーダは口うるさいけど、来客もないのに、毎日きちんと化粧して、髪を整え、シャネルを着る人。きちんとしているから口うるさい部分もあるのだということ。一方、アンヌもクロワッサンを裏返して焼き加減を見るような生真面目な人。そういう部分と、やっぱり故郷のエストニアから来た人という安心感があってか、いつの間にかフリーダの心をつかんで行く。この辺りの描き込みが足りないような気もするけれど、2人が仲良くなるのだろうことは分かって見ているわけだから、フリーダのわがままエピソードをそんなに見せなくてもいいかなと思うので、この程度でもいいかな。フリーダが本当にただのワガママなだけな人だったら、ステファンも見捨てていただろうし、見せているほど嫌な人ではないのだと思うし。難しい人であるのは間違いないけれど・・・
アンヌはフリーダが眠った後、一人パリの街を散歩するのが楽しみになっていた。いわゆる観光名所には行けないけれど、近所をぷらぷらと歩く。そんな、普通のパリが素敵。夜の散歩や、買い物の合間などにショーウィンドーを眺める。シャレた服と自分の垢抜けない服装を比べてため息・・・ でも、冒険する気はない。アンヌはそんな女性。でも、適当にまとめただけで、後れ毛だらけだった髪を綺麗にまとめる。それだけで、ずいぶんキレイになる。そういうのがいい。そんな散歩の途中、エストニア教会を発見。エストニアの人たちと交流したいと寄ってみるが、現在はそういう集まりはしていないとのこと。でも、この時対応してくれた老婦人がフリーダのことを知っていた。これは後の伏線。
アンヌにネイルをしてもらい、華やかな気持ちになったのか、2人でオシャレをしてステファンのカフェへ行こうと言い出すフリーダ。外出するのはとっても良いこだと、アンヌも賛成する。洋服を選ぶアンヌは楽しそう。そう、どこへ出かけるかってことも重要だけど、洋服を選んだり、お化粧したりして、オシャレするだけでも楽しいんだよね! フリーダはいつも臨戦態勢できちんとしているけれど、やっぱり外出する気になったのはネイルを新しくしてもらったからなんじゃないかなぁ・・・ この辺りは共同脚本のアニエス・フォーヴルとリーズ・マシュブフによるものかな? フランス人の名前は詳しくないけど、アニエスとリーズなら女性だよね?! 女性ならでわの視点だなと思ったので・・・
アンヌの選んだ服は地味ではあったけれど、フリーダに褒められる。個人的はそんなにピンとこなかったけど、まぁ50代の女性だからね・・・ ただ、コートがダメだと言う。クローゼットの中からバーバリーのトレンチコートを出し、アンヌに着せる。首のストールもカッコよく巻いてあげる。母と娘のよう。いつもシャネルを着ているフリーダがバーバリーのトレンチコートを持っているのは何となく不思議な気もしたけど、このコートはアンヌの生真面目な感じには合っていたと思う。あなたの方が似合うからあげると言ってポーンとくれちゃうけど、このコートも後に重要なアイテムとなる。
ステファンのカフェへ向かう途中も、2人とも華やかな気持ちになってウキウキしているのが分かる。いつもは、ヨロヨロと歩くフリーダが、シャキシャキ歩き出すのがカワイイ。こういうところが憎めないところ(笑) ビックリさせたいから、あなたは後から来てと言って一人でカフェへ。当然、歓迎されて上機嫌。特別なお客として接待してもらうのも、当然という感じ。あの常連客も隣へどうぞという感じ。でも、カフェで恋人のようにステファンに接するフリーダに、とうとうステファンが切り出す。自分にも自分の生活がある、いつもあなたと一緒にいるわけにはいかない。うーん。ステファンとフリーダが恋人(愛人?)だった頃のことは、2人の出会いなどがフリーダから語られるくらいなので、どのくらい続いていたのか不明だけど、少なくともステファンの中では終わったことなんだよね。フリーダの中では終わってないという見方も出来るけれど、それはないんじゃないかな・・・ 少なくとも"恋愛"という絆でつながっているのではないのは分かっているのだと思う。あるとすれば"恋愛"の名残のようなもの・・・ ステファンはアンヌにフリーダが死ぬのを待っているのかと聞かれて、その時には否定するけれど、後に認める。もちろん死んで欲しいわけではないでしょうけれど、重荷であることは事実なんだろうな・・・ それが、カフェでの発言なんだと思う。決して見捨てるという意味ではなく。
フリーダがどこまで考えてカフェに行ったのかは分からない。もちろん、こんな事態になるとは思っていなかったでしょうが、単純にビックリさせてやろうくらいの気持ちだったのか、それとも彼の気持ちをこちらに向かせようという意図があったのか・・・ 個人的には単純にビックリさせてやろうと思って出かけて、ステファンが恋人ごっこに付き合ってくれてたら気が済んだのかなという気もする。ちょっと"女"を味わいたいというか・・・ おそらくステファンもそれは分かって、今までは付き合ってきたけど、いつでも付き合うことは難しいってこと言いたかったのでしょう。カフェは彼の職場だからね。
すっかり落ち込んでしまったフリーダは、それ以来食事を食べなくなってしまう。エストニア料理を作ってみても食べない。困ったアンヌは一計を案じ、エストニア教会の女性に会いに来てもらう。たまたま知り合ってフリーダの話になり、久しぶりに会いに行きたいと言われたという設定。見ている側に種明かしがされているわけではないけど、教会での反応を見ていれば、アンヌの優しいウソなのは分かる。当日、ウキウキと準備をするフリーダ。やって来たのは3人。教会の老婦人と、初老の男性、そして初老の女性。歓迎するフリーダ。でも、初老の男性がアンヌから招かれてと言ってしまう。まぁ、口裏を合わせなかったアンヌの失敗と言えるけれど、こんなこと言わなくてもいいのに無粋な人だな・・・ まぁ、でも事の真相を知って怒り出したフリーダや、彼らの言葉によれば、50年前にフリーダがグループの中の男性と不倫、その夫婦は離婚、それ以来エストニア人グループは壊れてしまったというのだから、彼らからしてみれば来たく来たわけじゃないというのが本音。反省しているのだと思ったから来てみれば、招かれざる客だと言われれば言いたくないことも言ってしまう。それでも、なんとか場を収めようとしていた初老の女性も、耐えきれないと去って行き、お茶会は散々な結果に。50年も前の浮気をまだネチネチ言うような連中だというけれど、不倫の挙句に相手の家庭を壊すって、そういうことなんじゃないのかな?
結果、アンヌは今度こそ解雇される。アンヌ自身ももう無理だと思う。お茶会用にオシャレしていたアンヌは、ヒールのまま荷物を持ってステファンのカフェへ。解雇されたことを告げ、エストニアに帰るつもりだと言う。ステファンも納得するしかない。そして、2人は自然と近づいていき・・・ 2人のそういうシーンはなかったけれど、2人がそうなることは分かった。この場合2人とも恋しているわけではないと思うけど、まぁそういう事ってあるよね(笑) これは自然の流れのような気がした。自分も母親が死ぬのを待ってたって告白したのはここだったっけ? ステファンが告白したのはもっと後だった気がするけれど・・・
カフェを出て、ヒールのままパリの街をさまようアンヌ。寒さと疲れで地下鉄のホームで寝込んでしまうけれど、駅員に起こされ追い出されてしまう。オシャレではないけれど、温かくて歩きやすいブーツに履き替え歩くパリは、憧れのキラキラしたパリでもないし、優しい街でもない。でも、不思議と冷たくもない。空が明るくなって来たころ、どこかで買った焼きたてのクロワッサンで手を温めながら、朝日の中のエッフェル塔を見る。このシーンは好き!
一方のフリーダ。アンヌが出て行った部屋には、例のバーバリーのトレンチコートが残されている。まぁ、普通に考えて持って行けないよね。もちろん持って行けちゃう人もいると思うけど、アンヌは持って行かない。もちろん、遠慮もあるし、フリーダへの当てつけもあるし、プライドの問題もある。そういうのをトレンチコートで表現しているのは好きだった。そして、それをフリーダが抱きしめるシーンもいい。フリーダにはアンヌの気持ちが分かったのでしょう。自分のプライドが傷つけられたことに腹を立てて、アンヌのプライドを傷つけてしまった。フリーダがアンヌに死んだらエストニアの母の隣で眠りたいと語ったシーンがあった。母親の死を知ったのは、亡くなってから1ヶ月も経ってからだった。兄は知らせてくれなかった。それ以来、故郷に帰っていないけれど、エストニアの母墓の隣に埋葬されたいと・・・ 実際そのセリフを聞いていた時より、後からそれがきいてくる・・・ 本当はとっても寂しがりやで、誰よりも人を求めているのに、素直になれず武装してしまう。素直に人の好意に甘えることができないから、ステファンに対していつまでも愛人のように振る舞ってしまう。
結局、大方の予想通りアンヌは戻って来る。アンヌもステファンも、フリーダを放っておけないのは、彼女の本当の寂しさを知っているからだろうし、やっぱり彼女を好きなのでしょう。そして、アンヌも自分の居場所はここだと思ったのだと思う。いずれは帰るかもしれないけれど、今居る場所はエストニアにはない。原題は『Une Estonienne a Paris』(英題:A Lady in Paris)で、"パリのエストニア女性"という意味なので、納得という感じ! 英語はちょっと違うかな? 邦題も違うけど、これはフリーダとアンヌの繋がりの最初のきっかけがクロワッサンなのと、エッフェル塔でクロワッサンを食べるシーンを、『ティファニーで朝食を』にかけているんでしょう。まぁ、『パリのエストニア人』も『巴里のアメリカ人』(原題:An American in Paris)にかけてるのかもしれないけど、『パリのエストニア人』じゃ日本のマダムは見に行かないかも?(笑)
出演者はほぼ3人という感じ。ステファンのパトリック・ピノーは、イケメンではないのに年上の愛人がいたという役に説得力を持たせてしまうのがスゴイ! まぁ、半分冗談だけど、半分本気でホメてます(笑) 傷ついたフリーダを慰めようと、ベッドの隣に寝れば股間を触られたりと、やれやれと思いつつも、そんなフリーダの哀しさが分かっているのが感じられた。アンヌのライネ・マギが良かった! エストニアでは有名な女優さんだそうだけど、出演作を見るのは初めて。元々はダンサーだったそうでビックリ! ずっと母親を介護してきたアンヌは、感情を抑えることが身についている。それは怒りだけでなくて、笑顔も。人のために生きてきたから自分に構う時間がなかった。気づけば50過ぎ。今さら恋をしたり、輝きたいと思っているわけでもない。新しい仕事場はパリという憧れの街ではあるけれど、仕事は結局老婦人の世話でオシャレは必要ない。でも、フリーダから"女"であることを教えられる。でも、大人の女性だから、取り入れるのはオシャレをする部分と、ほんの少し羽目を外すこと。それも分相応に。決して踏み外すことはない。その感じが素晴らしい! そして、何といってもジャンヌ・モロー! もう存在感がスゴイ! 画面に映っていない時でも、フリーダが気になってしまう。撮影時はもう少し若かったと思うけれど、御年85歳。皺も一切隠さない。皺だらけの顔の分厚い唇に、濃い色の口紅をつける。ある時はグロテスクですらあるけれど、やっぱり美しい。ツッパリかえって毒舌で武装したフリーダの傷つきやすさや悲しさ、人恋しいけど素直に甘えられないから、息子のような年齢の元愛人に、いつまでも恋人のように振る舞ってしまう。それは単純に不器用なだけでなくて、憐れな老人であることを見せたくないから。そういうのがしっかり伝わってきた! 素晴らしい
自分が知ってるパリの街はエッフェル塔くらいしか出てこない。普通のパリの街。でも、それが素敵過ぎなくて素敵。フリーダのアパルトマンが素敵! '60年代の手縫いのサンローランのカーテン、ウェッジウッドのティーセット、そしてシャネルの自宅にあったコロマンデル風の屏風! フリーダが身に着けたシャネルの服は、すべてジャンヌ・モローの自前だそう!! 素敵
2人の女性の友情物語と考えると、ちょっと肩すかしかもしれない。表面上はまだそこまで深い関係にはなっていないから。でも、やっぱりこれは2人の女性の物語。友情というのとはちょっと違うのかも・・・ 大人なパリ、大人な映画見たい方おススメ!
『クロワッサンで朝食を』Official site
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