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【art】「ルーブル美術館展 -17世紀ヨーロッパ絵画」鑑賞@国立西洋美術館

2009-06-18 00:41:40 | art
'09.06.13 「ルーブル美術館展 –17世紀ヨーロッパ絵画」@国立西洋美術館

気になってたけど迷っているうちに終了1日前・・・。絵画は西洋画も大好きだけど、フランドル派の作品はそんなにグッとこない。美しいけど色や光が強すぎる気がする。見たい作品といえばフェルメール「レースを編む女」、ベラスケス「王女マルガリータの肖像」そしてラ・トゥールの「大工ヨセフ」くらい。その3点のために・・・。行くことにした。

明日が最終日だからか、前日皇后様が来場された効果か不明だけど、いつもの上野駅構内の窓口に着いたら2時間待ちとのこと。すでに3時半。開館は5時半まで。全く間に合わないので一度は諦めた。アトレに用事があったので、それを済ませてぶらぶらした後、帰ろうかと思ったけど、もしかしたら時間延長しているかもしれないし、せっかくなのでどんな様子か見に行ってみた。なんと予感的中! 7時まで開館。待ち時間も100分と短くなっている。20分だけど・・・ しかし長蛇の列。どうしようか悩みつつチケット売場へ。すると2人連れのおば様が招待券を下さった! あまりのことにビックリしてしまい「ありがとうございます」と棒読みでお礼を言うのが精一杯。この記事をご覧になっているなんてことはないと思いますが、本当にありがとうございました! 薄い反応でごめんなさい。

16:15ぐらいから並んで入れたのは18:00少し前くらい。チケット売場までの通路を挟んで、左側にアトラクション待ち状態でくねくね曲がりながら列を作り、次に通路を渡って右側に同様に列を作る。左側は比較的余裕があったけど、右側は狭い。ちと辛かった。しかし並んだ・・・。アトレで貰ってきたL25の活字は全て読んだと言っても過言ではない。でも、入場規制していたおかげで、会場内は思ったよりも混んでいない。先にも書いたけれど、フランドル派は・・・だし、もう本当に並び疲れてしまって腰が痛くて辛いので、お目当てと心に留まった作品以外はほぼチラ見。いやチラ見よりちゃんと見たけど(笑) Ⅰ~Ⅲのパートに分けて展示。流し見なので全部の作品については語れないけど、それぞれの章で心に留まった作品をご紹介。

【Ⅰ「黄金の世紀」とその影の領域】
長々待ってようやく入ってすぐの展示。実はお目当ての「レースを編む女」もこのパートにあって。入口を入って曲がったら実は正面にある。あまりに小さいので全く見えませんが(笑) この作品が1番の目玉なのでいつものように後ほどゆっくり語るとして、ここでの見ものはレンブラント「縁なし帽を被り、金の鎖を付けた自画像」かな。レンブラントは自画像を数多く残した画家で、有名なところでは「放蕩息子の酒宴」 レンブラント自身と妻サスキアの姿だと言われている。この作品では酒に溺れてくずれた表情をしているけれど、今作は眉間にうっすらシワを寄せ、こちらを見ている。苦悩しているようにも見えるし、黒のコート(?)に金の鎖を身につけ、そろいの帽子を被り、皮の手袋をつけた手を鎖にそえた姿を見ると、気取っているようにも見える。しかし、写実的。こういう人いるなぁと思う。例えばロココ時代のマリー・アントワネットの肖像画などは美化してしまって(って本物知らないけど)、やっぱりどこか現実的じゃない。でも、レンブラントの自画像はその人物の欠点までも隠すことなく描いていてとてもリアル。もしかしたら気取っちゃった?などと、その人物の心情まで想像できるところがスゴイ。さすが。

わりとさり気なく展示されていたレンブラントの自画像の隣りに展示されていたのが、フランス・ハリス「リュートを持つ道化師」 表情がいい。赤と黒のストライプの衣装に身を包み、リュートを弾きながら右上の方向を振り返る姿を描いている。コードを押さえる指の描写がいい。指先に力が入っているのが分かる。弦を爪弾く右手の表現もいい。そして、今まさに振り返った感じの表情。おそらく誰かに声をかけられたのだろう。微笑みを作りながら振り返っている感じ。なので、まだ目元や口元は微笑みきってはいない。目線が先に声の方に向かっているので、ほとんど白目状態。そして右側だけ髪に動きがある。これはいい。中途半端な表情がちとキモイ感じなのもいい。作者不明「襲撃」は大きな作品。のどかで美しい村は何者かの襲撃を受けたらしい。右下あたりに命乞いする男と、彼を取り囲む襲撃者たちの姿が小さく描かれている。そんな悲劇などおかまいなしに、全面に描かれた緑の木々の美しさ。人間の愚かさが浮き彫りにされている。

【Ⅱ 旅行と「科学革命」】
ここでの見ものはディエゴ・ベラスケスとその工房による「王女マルガリータの肖像」でしょう。ベラスケスは宮廷画家として王女マルガリータの肖像画をたくさん描いている。最も有名なのは王と王妃が鑑賞者となるよう描かれた「ラス・メニーナス」だけど、マルガリータの肖像画の多くは未来の夫となる婚約者に送られたのだそう。いわばお見合い写真? 今回はイヤフォンガイドを借りなかったので、この肖像画の王女が何歳なのか不明だけど、まだ6~7歳くらいかと思われる。かわいい。大きく横に分けた髪を大きなリボンで留めている。その金髪に縁取られた顔は、まだ頬に丸みがあって下ぶくれの幼さの残る輪郭。バラ色の頬が額の白さと美しさを際立たせる。レンブラントの欠点までも描くリアルさに比べると、お見合い写真であるということを考えれば、美化した部分はあるかもしれないけれど、この愛らしさはやっぱりいい。バルトロメウス・ブレーンベルフ「ルネ・デカルトの肖像」「手紙を持つ20歳の若者」で2人が身に着けているのは大きな白い襟のついた黒い服。レンブラントの「夜警」でも似たような服を着てたような・・・。当時流行っていたのかな?

この章ではもう1点気になる作品があった。ヨアヒム・ウテワール「アンドロメダを救うペルセウス」 画面左半分いっぱいに怪物の生贄となるべく、囚われたアンドロメダが描かれている。右半分は荒れた海に怪物。でもこの怪物そんなに恐ろしくはない。ちょっと馬みたいな・・・。そして空には天翔ける馬上のペルセウス。でも、描きたかったのは勇者ペスセウスよりも、囚われの美女アンドロメダ。その白い肌とバラ色の頬がなんとも色っぽく美しい。絵として好きかと聞かれると微妙ではあるけれど、このアンドロメダはエロくて好き(笑)

Ⅲ 「聖人の世紀」古代の継承者?
肌もあらわな美女といえば、この最後の章のウィレム・ドロスト「バシテバ」も美しかった。暗い部屋の中で胸をはだける娘。バシテバっていうのはこの娘の名前なのかな? 光が彼女の形の良い乳房を浮かび上がらせる。その傾けた品のいい顔もさることながら、この肌の白さは素晴らしい。そしてエエ乳(笑) 驚いたのは作者不明の「聖ペテロの口述をもとに福音書を記述する聖マルコ」 左手を真っ直ぐ伸ばし、画面右奥を力強く指差し、右足を踏み出して口述するペテロ。それに応えて記述するマルコ。ノート(?)を置くために足を組む。その足の裏が汚い(笑) 熱を帯びる2人のやりとりが伝わってくるのは、画面下に僅かに描かれた縁にかけられた2人の足。その踏み出した足の力強さがいい。そしてこの作品すごくデカイ(笑)

カルロ・ドルチの「受胎告知 天使」「受胎告知 聖母」の2枚が美しい。2枚に描かれているけれど対の作品なのだと思う。正直、宗教画は苦手。でも、この2枚はホント美しい。聖母マリアにキリスト受胎を告げる天使は少女のように清らかで美しい。対してマリアは頭の後ろに光背のような光が描かれている。まるで彼女自身から光が放たれているかのよう。でも、その表情はあくまで穏やか。普通に考えて、処女のまま神の子を宿しましたよと天使がやってきて告げられたら、落ち着いてなんかいられないと思うけれど、それをありがたいこととして受入れるマリアの穏やかで安らかな表情が美しい。そして手の表情がいい。胸の前で組まれた手に感謝と決意が表れている。何かを包み込むようなその形は、絵に描かれてはいないマリアのお腹の中で育まれている神の子イエスを抱いているかのよう。なんとも穏やかで品があって、でも女性らしい受入れる強さを表した作品。素晴らしい。

今回の目的はフェルメール「レースを編む女」だったけど、”今日の1枚”は実はこの章にあった。ということで順番は前後するけど先にフェルメールから。小さい・・・。小さいのは知っていたけど小さい。20×25センチくらいかな。だけど、その中に表現された日常はやっぱりスゴイ。レース編みといっても、これはオランダのボビンレース。詳しくは知らないけれど、糸巻きに巻かれたままのレース糸を、何本も組み合わせ、ボビンをあちこち動かしながら模様を編んでいく。カギ針を使ったレース編みなら高校の家庭科で高評価をもらったことがある(自慢)けど、正直あんまり好きじゃない・・・。だって大変だし(笑) この絵の中の女性がしているボビンレースなんて幾何学的で一体何をしているのか分からない。だけど、出来上がったものはホントに細かくて美しい。お土産でもらった花のレース編みは飾ってあるけど、ホントかわいい。話が反れた。とにかくそんなイライラしちゃうくらい細かい作業をもくもくとこなす女性。たぶん、仕事ではなくて趣味の延長というか、テーブルクロスを作り変えましょくらいの感じなのでしょう。なんとも穏やかな時間。手元のやわらかい美しさがいい。ホントに編んでいる感じが伝わってくる。お得意の光の表現はこの作品ではそんなに顕著ではないけれど、やわらかい光の中で好きなレース編みをする、その静かで何気ない日常がいい。やっぱりフェルメールはいい。彼の作品に漂う穏やかで美しい、そして何気ない日常がホント好き。フェルメール作品はこれで13作品を見たのだと思う。現在、フェルメール作品であると確認されているのは36点だったかな? 目指せコンプリート!

そして”今日の1枚”はジョルジュ・ラ・トゥールの「大工ヨセフ」 暗い部屋の中で腰をかがめ大工仕事をする大工のヨセフ。ロウソクに手をかざし、父を見つめる息子。何気ない日常。その優しげな少年が神の子イエスであることを除けば・・・。これはスゴイ作品。ラ・トゥールはフェルメールと別の画風で光を巧みに使った画家。フェルメールが自然の光を取り入れたのに対し、ラ・トゥールは暗闇の中に浮かび上がるロウソクの光を印象的に使った作品を多く残している。この作品はその代表作。大工ヨセフというわりにヨセフの姿はほとんどが闇の中にある。イエスの持つロウソクが映し出すのは幼いイエスの横顔。ロウソクにかざした手が赤く透けて見える描写もいい。血の通ったこの少年は神の子であり人間である。それゆえ彼には苦しく辛い道が待っている。その子が持つロウソクのわずかな光で照らされた、ヨセフの腕の筋肉の隆起。ヨセフは決して筋骨逞しい人物ではないけれど、その額や眉間に刻まれた深いしわや浮き出た血管が、運命により我が子となった神の子イエスの庇護者としての強い決意が感じられる。この絵に描かれているヨセフは明るい人物のようには見えない。むしろ厳しく無骨なタイプの人に見える。でも厳しいのは根底に強く秘めた決意があるから。それはイエスの影となり彼を守っていくということ。だからこの絵のタイトルは、こんなにイエスに光を当てながらも「大工ヨセフ」なのだし、ロウソクがあるとはいえ、自ら光を放っているかのようなイエスの、そのわずかな光を自分に浴び、あくまで暗闇の中にいるんだと思う。とにかくその光の表現が素晴らしい。愛らしいイエスの後の運命をも感じさせる描写。ヨセフの皺の驚くほどリアルな表現。素晴らしい!

チラ見程度といいつつ、いつものように長々書いてしまったけど、待ってた時間より館内滞在時間の方が圧倒的に短かったのは間違いない。でも、迷ったけど行ってよかった! ありがたいことにタダだったし(笑) とにかく、フェルメールとラ・トゥールが見れてホントよかった。

追記:国立西洋美術館はル・コルビジェの作品ってことで、世界遺産登録を申請したけど却下されてしまったとのこと・・・ 残念


★ルーブル美術館展:2月28日~6月14日 国立西洋美術館
「ルーブル美術館展」Official site


撮ってみた(笑) ロダン作「地獄門」

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【art】「日本の美と出会う -琳派・若冲・数寄の心-」鑑賞@日本橋高島屋8階ホール

2009-06-12 03:11:24 | art
'09.06.08 「日本の美と出会う -琳派・若冲・数寄の心-」@日本橋高島屋8階ホール

京都にある細見美術館のコレクション展。琳派、若冲の作品が見れるなら行くしかないでしょう! ってことで行ってきた。仕事が早めに上がれたので、トコトコ歩いて高島屋8Fの会場に着いたのは18時頃。けっこう空いてる。余裕をもって見れるのはうれしい。

まずは光琳の作品から。「大琳派展 ~継承と変奏~」の記事にも書いたけれど、琳派とは尾形光琳が確立した絵画、工芸の一派。でも、狩野派のように一大絵師集団として脈々と続いているわけではない。光琳が憧れた俵屋宗達から光琳、そして光琳を敬愛した酒井抱一、その弟子鈴木其一までの流れを言う。宗達から光琳までが80年、光琳から抱一までが100年。トータル200年の大きな流れ。もちろんこの展示会も俵屋宗達から。宗達といえば同時期に活躍した本阿弥光悦とのコラボ。宗達が絵を描き、光悦が書を書く。光悦の書は美しくて好き。全く読めないけど・・・。実は光琳は本阿弥光悦の血筋。光琳や弟の尾形乾山の作品もある。どれも素晴らしいけれど、正直今回そんなにグッとくる作品はなかった。点数も多くはなかったし。

次の展示は酒井抱一。抱一の作品は穏やか。姫路城主の息子として生まれながら不遇の人生を送った抱一。穏やかな境地に辿り着くには葛藤もあっただろうに・・・。「白蓮図」がいい。画面中央からやや右の位置にすっと伸びた蓮の花がいい。かなり大きく描いた大胆な構図。でも、穏やか。墨かな? 茶色っぽい絵の具の濃淡でのみ表現されているのもいい。だけど、やっぱり抱一よりも弟子の鈴木其一の方が好み。「桜花返咲図扇面」がいい。扇に描かれた作品で季節外れに咲いた桜なのかな? 桜のかわいらしい美しさもさることながら、手前に描かれた赤い葉の美しさがスゴイ。「雪中竹梅小禽図」がいい。それぞれ竹と梅を描いた2幅の掛軸。小禽って何だろう。この展示会で何作も"小禽"とタイトルにつく作品があって、全て鳥が描かれている。鳥の種類かなと思ったけど、どれも違う鳥。調べてみたら小鳥のことなのだそう。なるほど(笑) 話がそれたけど「雪中竹梅小禽図」はどちらもいいけど、竹がいい。画面右と左上に雪の積もった竹を配している。竹の緑と雪の白のコントラストがいい。そして画面中央に2羽のスズメ。この2羽がまさに今飛び立ったのであろうことは、画面右端に描かれた雪が落ちる様子で分かる。小さな鳥が飛び立つ際に立てた振動が、竹を揺らし雪を落とす。でも、竹は揺れてはいない。鳥が羽ばたく躍動感はあるものの、感じるのは静けさ。これはいい。

其一作品で一番好きだったのは「糸瓜に朝顔図」 実はこれ入口から順路にそって進むと、突き当たりに展示されている。他の作品も並んでいるにもかかわらず、目に飛び込んできた。力のある絵は光を放っているかのように、どんなに遠くから見ても、目に飛び込んでくる。そして心を捉えて放さない。画面中央にたらし込みの技法で描かれた糸瓜。形がいい。葉や蔓は写実的で細部まで手を抜かずきちんと描いているけれど、あくまで繊細にやわらかく描かれていて、なんとも品があってかわいらしい。すっと引かれた線で表現された蔓が素晴らしい。こういう線って絶対に描けない。とにかく蔓の表現がスゴイ。ところどころに描かれた白い花も美しいけど、中央やや左下に描かれた朝顔の青が画面を締める。なんとも優しく品がある。早くも今日の一枚かと思ったけれど、今日の一枚は別にあった・・・。

次がお目当て、大好きな伊藤若冲のコーナーだけど、これは後ほどたっぷりと(笑) 円山応挙の「若竹に小禽図」がかわいい。小さな作品ながら竹のスッキリした表現と小鳥のかわいらしさはさすが応挙。作者不明だけど「江戸名所遊楽図」がいい。囲碁などさまざまな遊びに興じる江戸の人達。江戸時代の人々もこんな風に楽しんでいたのかと思うとかわいい。絵画展示の最後を飾るのは葛飾北斎の肉筆画2点。「夜鷹」は"宗理"と名乗っていた30代後半の作品とのこと。夜鷹というのは街娼のこと。どことなくうらぶれた感じと、胆が据わっている感じがスゴイ。「五美人図」がいい。右側で2人の娘が反物を広げていて、そばから1人が覗き込んで品定めしている様子。反物の赤と娘たちの袖や裾からのぞく赤が呼応している。左の2人は3人よりやや年上なのか、茶と黒の着物でぐっと渋い。立てひざをして煙管をくゆらす女性がなまめかしい。3人の華やいだ感じと、2人の落ち着いたなまめかしさの対比がいい。さすが北斎。

最後は焼物などの飾り物を展示。「黒織部沓形茶碗」がいい。黒の色がなんとも艶やか。上薬のかかっていない部分には、織部独特の模様。変形させた形もいい。根来の作品が並ぶ。根来とは朱塗、黒漆塗の漆器の通称。高野山の僧が紀州に根来寺を開き、仏具や日用品を作ったことから根来と呼ばれているのだそう。「根来菜桶」がいい。黒塗の桶で、蓋の取っ手部分が菊をかたどっていてかわいい。「根来湯桶」いい! かなり大きな・・・急須? 角張った形がいい。朱塗りで角の部分が少し剥げた感じになっているのも味わい深い。取っ手がいい。急須の端から端まで渡してある取っ手は角張っている。って上手く表現できないのでさっぱり伝わらないと思う(涙) とって大胆。これは室町時代作。斬新!

さて、伊藤若冲について。まずは「糸瓜群虫図」から。これは素晴らしい。同じ糸瓜を題材にしながら其一の作品とは全然違う。其一の糸瓜は瓢箪のような形だけど、若冲のは細長いきゅうりのような形。葉の形も違う。其一の葉は朝顔の葉なのかもしれないけど・・・。若冲の方は全体的に写実的。枯れたり、虫食い穴が空いた葉まで描いている。って、多分これはあえて描いているんでしょう。右上に枯れて虫食いのある葉を配し、そこから真っ直ぐ下に伸びる糸瓜。その糸瓜を中心に2本のやや短めの糸瓜を描く。黄色の花はほとんど目立たない。そしてカタツムリやカマキリ、トンボなどが描かれているけど、これもホントに糸瓜の葉や蔓と一体化している。でも、その1つ1つはものすごく写実的で動きがある。これは素晴らしい。其一の作品もホントに素晴らしく、どちらが好きかと聞かれればとっても困るけど、飾るなら其一。鑑賞するなら若冲かな。しかし、植物と虫のコラボ(?)といえばアールヌーボー。アールヌーボーの代表ミュシャや印象派の巨匠達は、浮世絵などの日本美術を愛したそうだけど、この作品を見たらビックリしたんじゃないかと思う。ホントスゴイ!

「虻に双鶏図」がかわいい。ほっこりふくよかな鶏2羽座っている。その頭上を飛ぶ虻。のろっとした動作で見上げる鶏。なんとものんびり。鶏といえば若冲だけど、いつもの生きてるかのような写実性よりも、鶏のかわいらしさと少し間の抜けたのんきな感じを表現している。これはかわいい。「伏見人形図」は若冲にしてはめずらしく人物を描いた作品。人形だけど・・・(笑) 伏見人形がどんなものなのか不明だけど、"まんが日本昔話"のキャラのよう。こんな若冲初めて。「群鶏図」すごい! 画面中央下に左を向き片足をわずかに上げて立つ鶏。立派なとさかがあるので雄でしょう。胸を反らして立つ姿がいい。胸の辺りと尾の黒々した墨が画を引き締める。この鶏のうしろに1羽の雌が描かれていて、画面左奥にもう1羽正面を向く鶏が描かれている。この鶏は体の輪郭はほとんど描かれていない。墨の濃淡だけで描かれている作品ではあるけど、ほわほわとして毛の表現として、ほんの少し薄い墨をおいているだけ。でも、きちんと鶏に見える。そして何故体をこんなにぼかしているかといえば、長く弧を描く尾を見せたいから。この尾が素晴らしい! なんという筆使い。迷い無く一気に描かれた力強さと、その中にある繊細さ。これはスゴイ。

ここまでの作品はすべて掛軸。あと屏風が2点。まずは「鶏図押絵貼屏風」 これは伝伊藤若冲となっているので、若冲作品として確定しているわけではないらしい。比較的小さな鶏ばかりを描く。繊細ではあるけれど、やや迫力にかけるなぁと思ったのは、実は次の作品のせい。そして、こちらが"今日の一枚"「花鳥図押絵貼屏風」これすげー! さまざまなポーズの鶏が描かれている。その躍動感がスゴイ。今にも飛び出してきそう。これも墨の濃淡だけで描かれた作品だけど、1枚1枚の羽根やとさかの描写は繊細で写実的。たくさんの鶏を庭で放し飼いにしてスケッチしていたという若冲のまさに真骨頂。こちらも一気に描かれる濃い墨で尾が画を引き締める。その動きのある大胆な力強さがスゴイ! 鶏の間に描かれている植物も鶏がおとなしめの時には力強い枝を描いて、時に荒々しい。鶏が力強く描かれている時には淡い花を描く。それらが全て繊細で美しい。墨の濃淡の使い方が見事。足をしっかり踏みしめ体を右に向け、こちらを振り返る鶏の迫力がスゴイ! 凛とした美しさ。動物だって鳥だって気品のあるものはある。若冲の鶏には凛とした気品がある。そして、この両足を踏ん張った鶏には品格がある。素晴らしい! やっぱり若冲は大好き。

とにかく若冲が見れてホントに幸せだった。デパート内での展示会なので、点数は少ないかもしれないけれど、鈴木其一「糸瓜に朝顔図」伊藤若冲「花鳥図押絵貼屏風」は見るべき!


★日本の美と出会う:6月3日~15日 日本橋高島屋8階ホール
「日本の美と出会う -琳派・若冲・数寄の心」(毎日放送)

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【cinema】『ターミネーター4』(試写会)

2009-06-08 00:43:40 | cinema
'09.06.01 『ターミネーター4』(試写会)@中野サンプラザ

これは気になった! yaplogで当選。うれしい!

「2018年。<審判の日(Judgment Day)>の後の世界では、スカイネットと僅かに生き残った人類による抵抗軍との壮絶な戦いが繰り広げられていた。後に抵抗軍のリーダーとなるジョン・コナーは1人の少年を探していた。将来、重要な宿命を担うカイル・リース。スカイネットもまた彼を探していた。謎の男マーカスがカイルと行動を共にするが、カイルはスカイネットに捕らえられてしまう。マーカスとは何者なのか? ジョンはカイルを救い出すことが出来るのか?」という話。『ターミネーター』シリーズのファンならカイル・リースと聞いただけでニヤリなのでしょう。『ターミネーター』『ターミネーター2』は見たけど、正直細かな部分は覚えていない。1作目は1984年公開。2作目は1991年・・・。覚えていないのもムリないか(笑) まぁ、1作目はテレビ放送で鑑賞したので、実際は25年までは経っていないけど。しかし、カイル・リースといえば1作目の重要な役なのに・・・。覚えていないとは自分でもビックリ。もちろん役自体は覚えているけど、名前はすっかり忘れていた。

しかし、スゴイ迫力! そしてスピード感。これはおもしろい。戦闘シーンがすごくて常にドキドキ。のんびり考えているヒマとか全くなくて、一気に見てしまったという感じ。カイル・リースの事を覚えていなかったことでも分かるとおり『ターミネーター』シリーズにそんなに思い入れはない。2作目はおもしろかったし、シュワちゃんが親指立てて溶鉱炉に沈んでいくラストでは感動の涙を流したものだけど・・・。3作目では主人公ジョン・コナーの容姿の急降下ぶりにガッカリ。そして女ターミネーターっていうのもねってことで未見。何故、急に見に行く気になったのかといえば、ジョン・コナーがクリスチャン・ベイルになったから。クリスチャン・ベイルは神経質っぽくてタイプではないけど、演技上手いし、彼が選んだ作品なら間違いないと思ったから。まぁ、エドワード・ファーロングがクリスチャン・ベイルにはならないだろうと思うけど、同行したAが言うように"蛇の舌"(LOTRのキャラ)のようになってしまったエドワードくんには、人類は救えないかもしれない。ザリガニなら救えるようだけど(笑) とにかく、ジョン・コナーがクリスチャン・ベイルなのは正解。

冒頭、2003年の刑務所から始まる。死刑囚のマーカスの刑が執行される日、1人の女性が彼を訪ねてくる。以前からマーカスに献体を頼んでいるらしい。マーカスが何の罪で死刑になるのかは不明。ただ、彼のセリフから父と兄が彼のために命を落とした事は分かる。わりと終始そういう感じで、登場人物達の細かな説明はあまりない。背景とかキャラなんかはセリフで拾っていく感じ。その潔さはいいかも。あくまでもスピード感にこだわった作り。でも、ジョン・コナーのことは皆知ってるでしょというスタンスでもないので、知らなくても分かると思うし、もし仮に分からなくても十分楽しめるので大丈夫! 末期ガンに冒されているというこの女性から、マーカスに献体を頼む理由は、人類の未来が心配だからだと言われ、同意するマーカス。彼は薬物による処刑で死を迎える。そして再び目覚めることになる。

しかし・・・。1991年の2作目の時点で、液体窒素のアイツのCGもスゴイと思ったけど、あれから18年。CGの進化はスゴイっす。車から流れる音楽に反応して追ってくるハンターキラー。ターミネーターの足から出てくるバイク状のモノ(名前覚え切れない・・・) どんどん繰り出されるマシンの数がスゴイ。そしてターミネーターでかい! あんまり精度はよくないみたいだけど・・・。とにかく何が怖いって相手は機械であるということ。ターミネーターのようにまだ人に近い形なら、なんとなく意志みたいなものを無理やり感じとることもできるけど、バイク型をしているのに誰も乗っていない。そいつがプログラミングに従ってひたすら追ってくる。こんな相手にはどうすればいいのか分からない。バイク型のは好きだった。

1作目でシュワちゃんが演じたT-800がこの時代では最新型となっている。それが量産されているのを目にして愕然とするジョン・コナー。このシーンを見ていた時はあんまり理解できなったけど、彼はT-800の事を既に知っていたんだね。こんな感じでファンだったらニヤリなシーンがいろいろあるんだと思う。あるんだけどスピードが速くて着いていけないかも(笑) そのスピード感のおかげで、いろいろ矛盾点に気付かないっていうのもある。なんでスカイネットはカイル・リースを捕らえながら直ぐ殺さないんだろうとか・・・。まぁ、そこは言っちゃダメですが(笑) あと、少し人間ドラマみたいな部分は希薄かなと思ったりするけれど、そこが描きたいわけじゃないなら別にいいと思う。伝わってないわけじゃないし。ただ、その割マーカスがジョンの元に現れるまでが長かったかな・・・。女戦士とのエピソードなんかは不要だったかも。

1984年の1作目を作った時点では、ここまでシリーズ化するとは思っていなかったわけで、よくここまで膨らませたなと思うけれど、これはやっぱり1作目のコンセプトがしっかりしていたってことだと思う。人類を勝利に導いたジョン・コナーを誕生させないために、その母を殺害するため送り込まれたT-800。それを阻止するためジョン・コナーからの指令で未来からやって来たカイル・リース。そしてカイルはジョンの父となる。これは今考えるとスゴイ設定かも。要するにジョンは救世主となるべく、時間を操り自分の父となる男を自ら遣わすわけで、カイルは結果的に過去で命を落としてしまい、サラは未婚の母となる。つまりこれはキリスト教の話なんだと思う。ジョンはジーザスなのかも。Johnってヨハネの英語名なんだっけ? まぁ、キリスト教徒ではないので、よく分からないけど・・・。3作目を見ていないので、どういう流れなのか不明だし、2作目についても細かい部分は忘れてしまったので、全体的にキリスト教で貫かれているのか分からない。でも、この作品がキリスト教ベースで作られているのは間違いないと思う。

英語のタイトルは『TERMINATOR SALVATION』 SALVATIONは調べてみたところ"魂の救済"という意味で、主にキリスト教で使われるのだそう。知らずに見ていたけど、このシリーズを通して一貫しているのは"運命"と"自己犠牲" 1作目カイル・リースはサラ・コナーを守るため自らを犠牲にする。2作目サラは自分の人生全てをジョンを守ることに捧げている。そしてラストT-800の自己犠牲。3作目は未見なので不明だけど、この作品でも・・・。ネタバレになるので書きませんが、ジョン・コナーが自らの運命を知りながら逃げずに戦っていることが、シリーズ最大の自己犠牲なんだと思う。救世主は全てを捧げて人類を救う決意をしなしなくてはならないのかも。2作目でもそうだけど、特定の誰かでなくても、自分の信念に従って、人々を救うため自分を捧げる姿を見るのは切ない。その切なさが、このスピード感ある作品の中にも貫かれているのがいい。そもそも、ジャッジメントされて生き残った人類の必死の抵抗自体が切ない。

1作目を作った1984年の時点では2000年超えってかなり先の未来だから、そりゃ2018年にはスカイネットも自我に目覚めているかもと思ったかもしれない。でも、2009年現在から見れば、せいぜいアナログ放送が終了しているくらいだろうと思うけれど、その辺りはもう押し切って行く感じもいい。これはあくまで<審判の日>があった後の2018年の世界ですっていうのも潔くていいかも。砂漠化した土地や廃墟の感じもいい。そこに突如現れるハンターキラーやターミネーター。この世界観はいいかも。ゲームはビックリするほど下手なので、全くやらないから分からないけど、多分ゲームの世界観ってこうなのかもと思う。

キャストはクリスチャン・ベイルが出ていることくらいしか知らずに見たけど、チョイ役みたいな冒頭の女博士の役でヘレナ・ボナム・カーター。あまり活躍シーンのないジョンの妻ケイト役でブライス・ダラス・ハワードと意外に豪華。いわゆる"美女"を使っていないところがいい。イヤ2人もキレイだと思うし、いわゆるゴージャス美女が出てもいいですが(笑) この作品は違うかなと。ヘレナは後に重要な役で出てくるので、なるほどなキャスティング。冒頭シーンの得体の知れない感じが、後のシーンに生かされている。これはさすが。ブライス老けた、そして太りましたね。誰だか分からなかったけど、あの切れ長すぎる目は彼女しかいない(笑) そんなに目立った活躍シーンはないけど、ジョン・コナーが選んだ女性としてはいいんじゃないかと思う。人類の救世主となる男が選ぶ女性は、派手ではなくて芯が強く、めったに取り乱したりしない。そしてしっかり自分の意志を持って、夫を支える女性であると思う。

カイル・リースのアントン・イェルチンはマイケル・ビーンに似てる気がする。似てる子を探したのかな? そんなにビックリするほど演技が上手いとは思わないし、好みのタイプでもなかったけれど、まだ少年の彼がこれから果たすことになる役割を思うと、その運命の重さに切なくなる。その切なさを感じさせる部分では良かったと思う。実は全編を通じて重要な役割を担っているマーカスについては、諸事情によりほとんど触れられなかった。ネタバレになってしまうので。多分、献体した彼が再び目を覚ました時点で、なんとなく分かると思うけれど・・・。彼のその切ない存在感は良かった。サム・ワシントンについては知らなかったし、正直好みのタイプではないけれど(いちいち、うるさいか(笑)) でも、この役には合っていると思う。なぜマーカスが選ばれたのかって考えると、生い立ちや、彼が死刑になった理由にあるんだと思うけれど、そこは語られないのに納得させる感じが良かった。彼の存在がエラーを起こす。そして・・・。・・・の部分については見てのお楽しみ。

クリスチャン・ベイルはやっぱり上手い。孤高の救世主っていえば、もう一つのヒットシリーズ『バットマン』のブルース・ウェインを思い出すけど、全然違う。同じ顔、同じ声で同じような役柄を演じているのに、全く別人なのはスゴイ。まぁ、役者なんだから当たり前なんだけど・・・。ブルース・ウェインは自らの意志でバットマンになった。だけど、ジョン・コナーは誕生の瞬間から救世主となる運命を背負っている。新型ターミネーターに追われた少年の日から、きっとその運命を自問自答し、そして受入れてきたんだと思う。この作品の中では既にしっかり運命を自覚している。その感じがいい。でも、時に迷うことがあって、母サラ・コナーが吹き込んだテープ(電源はどうなっているのか? 電池はあるのか?)を聞き、改めて運命と向き合う。そういう部分もわりと無表情で淡々と演じられるのに、きちんと伝わってくる。ブルース・ウェインの抑えた強さよりも、ジョン・コナーの内に秘めた強さの方が個人的に好み。どちらも切ないけれど・・・。この作品ではジョン・コナーは抵抗軍内で重要人物ではあるけれど、人類の指導者にはなっていない。だけど、将来自分がそうなることを自覚している彼が、生き残った人々にラジオを通じて呼びかけ、勇気を与えて、次第にリーダーになっていく姿がいい。CMでも使われているけど、決死の覚悟で敵地に向かう際、妻のケイトに言う「I’ll be back」はニヤリ。この言い方が切ない中にも、強い意志が感じられていい。

とにかく"ダダンダンダダーン"というお馴染みの曲を聴いただけでワクワクする。ダニー・エルフマンの音楽がいい。人類 vs 機械の対決シーンはどのシーンもすごいスピード感。常にドキドキしっぱなし。ラストはちと感動。人間の強さは"自己犠牲"なのかと思うけれど、プログラミングに従い壊れるまで追い続けるターミネーターも自己犠牲といえばそうなのかも。そう考えると、その姿が自爆テロ犯に重なったりもする・・・。彼ら自身は崇高な自己犠牲と思っていると思うけれど、特別信仰のない人間からすれば、ターミネーターの自己犠牲と重なってしまう。なんて、ちょっと考えすぎか。個人的にはこんな世界に生き残るんだったら<審判の日>に、一思いに死にたい(笑)

続編を作る気満々なエンディングだなぁと思っていたら、新シリーズなのだそう(笑)

CGでアノお方も登場!


『ターミネーター4』Official site


こんなのいた!

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【MJ】「見仏記 ゴールデンガイド篇 みうらじゅん&いとうせいこうトークイベント」

2009-06-04 02:40:15 | MJ
'09.05.31 みうらじゅん&いとうせいこうサイン会@LIBRO吉祥寺店

「見仏記 ゴールデンガイド篇」発売記念のトークイベント&サイン会。「見仏記」とは、その名のとおりMJことみうらじゅんとSIこといとうせいこうが、お寺を巡り仏像を見るという企画。もともと仏像が大好きな2人だけど、1992年に雑誌の企画がきっかけで始まったユニット(?) 見仏の様子をSIが文章にし、MJがイラストを描くという形で、今作を含めて5冊の本が出ている。2001年からは関西テレビ★京都チャンネルにて「テレビ見仏記」として放送開始。DVDも発売されていて、何故かvol.3だけ持っている(笑) ちなみに本は全て持ってます!

吉祥寺パルコB2にある書店LIBROの企画。「ゴールデンガイド篇」を購入し、整理券をゲットした100名を対象としたイベントなので、けっこうなスペースが必要ってことで、屋上に特設会場を設けて行うとのこと。14:00~だけど、30分くらい前に屋上に様子を見に行ってみたら雨。もちろん屋根はなく、会場にはイスが並べられていたけど、カサをさして見るのはムリそう。100キンでレインコートでも買うかと話しつつ、会場設営中のおにいさんに聞いてみたところ、雨天の場合はB2での開催になるとのこと。同じく屋上で開催されてたフリマも撤収し始めていたので、これはB2だねってことで移動。

B2に着くと階段に列が出来ていた。トークイベントの事を忘れてて、サイン会なら最後の方にした方が、ずっとお2人を見られるねなんて話してグズグズしてたら、真ん中らへんになってしまった もともと本が並んでいた一角に急ごしらえでイベント会場を設置。本来はご本人達も私達も座って行われるハズだったので、お2人用にイスが用意されているけれど、これは全く見えないぞ。なんて思っていたら、お2人登場。ビニールシートで囲まれたスペースに、ギッシリ詰まったお客さん達。ステージらしき部分との境界線は曖昧。あまりの近さにビックリしておられた(笑) 話始めるお2人。全く見えない・・・(涙) MJが「いつ座ればいいんだろう?」と言うと、SIが「座らないよ! 皆が見えなくなっちゃうだろう!」とツッコミを入れる。さすがのコンビネーション(笑)

実はお2人はThe Rock’n Roll sliders’ として 1996年から「ザ・スライドショー」を開催。これはMJが全国から集めてきたDS(どーかしてる)モノやコト。もしくは人などをスライドにしてスクリーンに映し出し、SIがツッコミを入れるという素敵イベント。ずっと見たかったけどチケットが全く手に入らず、ついに一昨年に念願の「ザ・スライドショー10」を見ることができたのだった。まぁ、余談ではあるけれど・・・。お2人のトークは基本このパターン。MJのボケに対してSIのツッコミで進行する。

「見仏記 ゴールデンガイド篇」はbaruが私の分も入手しておいてくれて、早く読みたいだろうと、わざわざユニコーンLIVEの時に持ってきてくれたにもかかわらず、ほとんど読めていない。吉祥寺までの長い道のり頑張って読んでみたけど、半分も読めなかった。お2人の宗教事情については知らないし、私のように単純に美術品として見ているのか、鑑賞スタンスも良く分かっていないけれど、小学生の頃初めて仏像を見て「怪獣だ!」と思った瞬間から、今まで仏像を愛し続けているMJの知識はスゴイものなんだと思う。SIがいつから仏像が好きなのか不明だけど、SIも同じくスゴイ。だけど、2人の見仏姿勢は、上から目線なそぶりは全然ない。見仏を心から楽しんでいる。それは実は確かな知識があるからこそできることでもあるのだけど・・・。そして、仏像の楽しみ方としてバンドだと思えばいいとか、そういう分かりやすいというか、素人が入りやすいやり方で紹介してくれたりする。きちんとした知識があるのに、分からない人のレベルに合わせて、分かりやすく説明するのは、実は結構大変なことだったりする。でも、そんな2人の見仏ぶりに心動かされて、仏像に興味を持つのはアリなのかなと思う。最近話題の「アシュラー」には正直げんなりではあるのだけど(笑)

しばらくお2人が全く見えない状態でのトークが続いたけれど、お店の方が台を持ってきてくれる。脚立?!と思ったけれど、後から見るとどうやらちょっと広めの台みたいな感じ。それにしても、上に立って話すのは大変だったと思うけれど、そんなことも感じさせず軽快にトークを繰り広げるのはさすが! マイクがハウってしまうのを気にしたり、すごく気遣ってくれて素敵! 台に上ってしまったために電気に近づいてしまって、暑かった様子。汗をかきながらも楽しませてくれた。素敵

見仏記のイベントのわりには仏像の話題は少ない。仏壇を家具調にしたらいいんじゃないかって話の時に、SIが「暖炉にしたり・・・」とふると「仏だんろでしょ?」と返すMJ。なんというコンビネーション(笑) 終始こんな感じで進んで行く。全部は書ききれないし、もちろん覚えていないけれど、印象に残った話題を1つだけご紹介。

「国宝 阿修羅展」のため、阿修羅像は梱包されて運ばれたわけだけど、どうやらMJはその様子を紹介した番組を見たようで、いたくお気に召したらしい。部分によって詰めたり、包んだりする素材も変わってくるようで、SIを梱包するなら頭は和紙だななどと、どうやって人を梱包するか考えてしまうらしい(笑) そして、そんな事を考えているうち、ほとんどのスター仏像は上京を果たしていらっしゃるけど、たった1人未だに上京していない大スターがいらっしゃることに気付いたのだそう。そう奈良の特大サイズのあのお方(笑) あのお方をどうやって上京させるのか考えたとのこと。

1:大仏殿の屋根をはずし、四方の壁をパタパタと倒して広げる。
2:巨大網を使ってあのお方をすくい上げる。
3:強力ヘリで空輸。
4:途中、鎌倉のあのお方の上にパカっとかぶせてみる。

という方法。4スゲー! ぜひ見てみたい! まぁ1~3の光景もバカだけど・・・。ちなみに4は最終的には奈良のお方の上から、さらに国会議事堂をかぶせたいのだそう(笑)

トークの予定時間は40分だったそうで、時間超過して終了。お2人は一度退場。サイン会会場へと設置し直し。再び登場する際、MJが直ぐそばを通って行った。うれしい!

ちょうど真ん中くらいの位置だったので50番目くらい? って、ホントに100人いたのかな? まぁ、いいか。ほとんどの人はサインをしてもらって、握手してもらって退場って感じだけど、中にはいろいろ話しかけている人もいる。実はMJにサインしてもらうのはかれこれ5~6回目になるので、勇気をふりしぼって話しかけてみたこともあるのだけど、毎回緊張してしまって何も言えないことがほとんど。今回も待っている間いろいろ考えたけど何も浮かばない(涙) MJはどんなことを言っても、たいてい気さくに答えてくれるのだけど・・・。

事前に購入した「ゴールデンガイド篇」の表紙を開いたところにSI ⇒ MJの順にサインを書いてもらう。何事もサクサクきちんとこなすSIと、マイペースなMJ。MJはカエルのイラストも描いてくれる。これは毎回。ウシの時もあったけど(笑) 直前に係りの人に本を渡すと、表紙を開いてSIに渡してくれるというシステム。そして、今回はなんとSIから素敵プレゼントが! 見仏記のイラストにMJが描いた「いとうせいこうファッションチェック」を人数分プリントしてくれたのです。なんという心遣い。素敵です

SIには緊張して話しかけられなかったけど、きちんと目を見て握手してくれてうれしかった。MJに何とか話しかけようと考えついたのが、名前を入れてもらうというもの。マルと書いてくださいと言うつもりが、緊張のあまり「マルさんへと書いてください」と、自分をさん付けしてしまった でも、快く書いてくれて「マルさんありがとう!」と言って握手してくれた。幸せ! もう顔が勝手に笑ってしまって直らない(笑)

サインしてもらった後は会場を出ないといけないのだけど、少しでも様子をうかがおうと、ちょっと店内をウロウロする。時々「あぁ! 君か~」などと言っているのが聞こえる。気になる! でも、シートで何も見えず(涙) そんな感じで待つことしばし。中から「これでイベント終了です!」の声と拍手が起こる。そしてお2人退場。にらんだとおり私達が出待ち(?)してたトコから出てこられた。やった!

ホント楽しかった。最近ちょっといろいろあって落ちてたけど、元気になった。お2人ありがとうございました!

※みんなが写メり出したので、一応写真撮ったのだけど、撮影禁止とのことだったので、お2人の写真の掲載は遠慮しておく。代わりといってはなんだけど、雨天のため中止になってしまった屋上の会場写真を載せておくとする。いらないか(笑)


みうらじゅんOFFICIAL SITE
「テレビ見仏記」(関西テレビ★京都チャンネル)


見仏記 ゴールデンガイド篇 1,400円(角川書店)

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