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株に出会う

独自開発のテクニカル指標で株式市場の先行きを読む!

ケースシラー住宅価格指数(2010年10月度、季節調整前)

2010-12-28 23:46:21 | 金融全般
本日発表されたケースシラー住宅価格指数(10月分、季節調整前)は前年比0.8%低下となり、予想値の0.2%低下を上回る低下となっております。全米20地区の前月比での値上がり地区数の推移は、

*2010年4月-----19地区
*     5月-----19地区
*     6月-----18地区
*     7月-----13地区
*     8月----- 4地区
*     9月----- 2地区(ワシントンDCとラスベガスのみ)
*    10月----- 0地区

ついにゼロとなりました。

少し良くなった点は、中古住宅の在庫が、今回のデータの10月の10.5ヶ月分から11月は9.5ヶ月分に減っていることと、同様に10月から11月にかけては中古住宅の価格もわずかながら平均値と中央値ともに上昇していることです。

来年1月末発表の11月分については多少の改善が見られるかもしれませんが、在庫については、例の差し押さえの一時停止の影響があるのかも知れません。(差し押さえできないため、市場への流通戸数が減少し在庫も減っている)

いずれにしても、アメリカの住宅問題が解決(恒常的に価格が上昇)しない限り、失業率も景気も良くならないことだけは言えそうです。また、最近の金利上昇で住宅ローンの金利まで上昇しているのは、その回復への道のりの阻害要因ですが、2008年12月の30年固定ローンの5.14%の金利に比べれば、12月23日段階では4.81%となっており、この点ではあまり影響はまだ出ていないと言えます。(いずれもフレディマックの金利)
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ケースシラー住宅価格指数(2010年9月度)はかなり悪化

2010-12-01 22:02:49 | 金融全般
昨日発表された、ケースシラー住宅価格指数の2010年9月度分についてですが、前年度比+0.59%(予想は+1%)となっております。しかし、8月分についてこのブログで指摘した状況から更に悪化しております。(季節調整前)

前月比で上昇した地区の推移をプロットしてみます。

*2010年4月-----19地区
*     5月-----19地区
*     6月-----18地区
*     7月-----13地区
*     8月----- 4地区
*     9月----- 2地区(ワシントンDCとラスベガスのみ)

前月より上昇した地区は因縁のラスベガスを入れてたったの2箇所。
しかも、全米20地区の平均値は-1.1ポイントとなっており、下げが加速している状態です。

ロイターによると投資調査会社のギャリー・シリングは、過剰在庫が大きな問題(2009年10月に7.2ヶ月分まで落ちた在庫が2010年8月の12ヶ月分をピークに10月でもまだ10.5ヶ月分もあります。)となっており、住宅価格はさらに20%下落すると予想しております。

そうなると、筆者の定点観測地のロスアンジェルス地区の住宅指数は、9月で175.36ポイントですので、その20%ダウンは140ポイントとなります。これは2008年7月17日に筆者が試算した142ポイントと近似してきます。

この住宅市場の下落の加速は、ローンを延滞した場合の金融機関の抵当権の執行に法的な違反行為があったことと関連しております。全米各地で訴訟が多発しているようです。あたかも日本のサラ金の過払い金利の返還請求のような様相です。

今は、欧州の債務危機が焦点となっておりますが、アメリカの住宅問題もそれに劣らずに経済の根幹を揺るがす火薬庫のままであることは忘れてはならないと思います。



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米住宅価格指数は再度悪化中

2010-05-29 09:21:28 | 金融全般
ケース・シラー住宅価格指数の今年の3月度分が先日発表されました。これを丹念にみてみると、全米20地区のうち、

1.一貫して下げ続けている地区の数:9地区
2.2009年2月-5月に底打ちし上昇継続中:2地区
3.上昇から再度下降に転じている地区:9地区

となっております。(季節調整前、1ポイント以下は切り捨て)

対前年比で下げ止まったとして市場はいささか楽観気味ですが、この事実を見る限り、住宅価格は懸念していた二番底へと向かっているようです。

昨年9月19日に「アメリカ住宅問題に二番底は来るのか?」というブログを書いた際、プラス面とマイナス面を列記しましたが、それらを中心に現況を確認しておきます。

・アフォーダビリティ(所得対比での買いやすさ)
 昨年4月の67.5%から66.2%に低下→評価X

・住宅ローン金利(フレディマック)
 昨年5月の4.91%から4.78%に低下→評価○

・政府のタックスクレジットプログラム
 この4月で終了→評価X

・中古住宅在庫
 昨年4月の10.1か月分から8.4か月分へ→評価○
なお、これからローンの延滞率はピークを迎えますので直近は増加気味。

この中のアフォーダビリティに着目したのがIMFのエコノミストです。

特に西海岸地区は、後30%から40%は下落すると見立てておりますが、個人所得が増加傾向(今年1月の1.3%から3%-年率)であることを併せ見ると、そこまでの下落はなくとも、筆者がロスアンジェルス地区の指数が142ポイントになるまでは下落すると試算した2008年7月17日のブログ記事の試算通りに行ったとして、後20%程度の下落はあり得る話ですね。

これに商業用不動産の下落からくる金融機関の損失分(2-3000億ドル程度)が加わりますので、今のケースシラー住宅価格指数は二番底に向かっている兆候と見ることができるのではないでしょうか。

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ヨーロッパ債務危機の本質

2010-05-15 08:17:08 | 金融全般
今回のギリシャ問題に端を発した市場の揺れがどうにも収まりません。それは何故かを端的に示します。

1.南欧の債務はドイツ・フランス・イギリスの金融機関によって支えられている。
 今や有名になったNYタイムズのこの相関図を参照。

2.ドイツ・フランス・イギリスの金融機関は南欧諸国の国債を担保に融資している。その南欧の国債金利がギリシャの10年物のように急騰すれば莫大な評価損が出る。ギリシャ国債の5%→12%への上昇で30%のロス。 ドイツの金融機関の相関図にある4国への融資残高は6590億ドル。これの30%は1977億ドルにものぼる。

3.南欧の不動産バブルはまだ弾けきっていない。
 マルタ島への旅行記に書いたように、平均月収が12-3万円の国の中心部から離れた海沿いの1戸建てが5000万円。スペインでは平均的な日本の1戸建て住宅でも1億円ものバブル。このバブルの清算により融資している金融機関に更なる損失が覆い被さる。

4.南欧諸国が強引な債務圧縮に動けば、欧州経済全体の停滞につながり、経済成長の果実を原資としての債務弁済が機能しない恐れがある。これも独・仏・英の金融機関のダメージにつながる。 

こうして、独・仏・英の今回の危機が同時に米・日へも波及し、世界金融危機=世界経済恐慌へとつながる恐れを内包しております。

まぁ、こうならないように祈るばかりですが、知れば知るほど、世界の金融構造は実に危うい金融ゲームによって相当に腐食が進んでいたようです。
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今回の下落の根は深い

2010-05-08 07:26:49 | 金融全般
今回、連休前にポジションを取ったのは失敗でしたが、人間はそれまでの流れに沿って明日も動くものと、習慣的に思考するものだと改めて思いました。

今回のソブリン・リスクは、サブプライムの比ではないと思っております。理由は、

1.サブプライム信用危機は国家への負債移転で解決可能であった。
2.国家が抱えた負債は民間かグローバル国家にしか転化できない。
3.民間の金融機関はまだ半分ほどの隠れ不良資産を抱えており動けない。
4.グローバル国家の1形態であったユーロが機能しなくなっている。
5.各国中央銀行を超えるグローバルな最上位の「世界銀行」がまだ存在しない。

といったことです。

このままでは、これまで放置されてきた「市場の反乱」で、市場の機能そのものが停止される懸念さえ出てきております。つまり、個別国家対個別市場といった構図でこれまで対処してきた関係が、市場の方がいちはやくグローバル展開しているにもかかわらず、国家・政治のレベルで対抗できていないため、やむを得ず国家間協議での緊急処置として、一旦市場の動きをリセットすることが余儀なくされる可能性です。

要するに、世界のGDPを遙かに超える5百数10兆ドルとも言われるデリバティブ金融資産の暴走を今のままでは食い止められないのですね。現にギリシャは2年もの国債で20%にもなり、その分CDS取引の果実を食い合っている現状があります。一方では、ヘッジファンドを始めとする投資機関は再度の信用収縮に備えて資金の回収・移動を加速させようとしており、再度の流動性危機が生じる可能性があります。しかし、サブプライム時と比べて、その流動性を供給する原資が国家に不足しております。

ここまで追い込まれてくると、ECBも禁じ手の国債引き受けにより流動性の確保に打って出るのかが当面の焦点ですが、その流れになってしまうと、後は(ハイパーにはならない)通常のインフレによる終息を図る以外にはないと思います。

いつの時代も、国家はお金を様々な理由から濫費し、トコトン行き詰まったところで、戦争などによるリセット(徳政令もその1つ)を図るか、通貨の粗製乱造でインフレを引き起こし、借金を大幅に減らすかの「前科」があることを忘れてはなりません。
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