世界経済の成長率見通しが引き下げられ、米欧の債務危機が高まっておりますが、リーマン・ショック以後、リバウンドを強めた筈の世界経済が、何故このような結果になってしまったのか?
その根本原因は、まずは米国の住宅価格の下落基調が、一旦2009年春に底打ったかに見えて、実は、その後も二番底をつけるほどに下落していたためでした。住宅価格がコンスタントな上昇に転じない限り、金融機関が抱え込み、あるいは飛ばしている不良債権処理は、FRBが幾ら金を注ぎ込んでも、それが贈与でない限り、いつかは返済しなければならないため、一向に進みません。
そのため、筆者もずっとケースシラー住宅価格指数を追跡している訳ですが、その価格指数の5月度までのデータを見て、少々微細な変化に気づきました。それは、いわゆる二番底から脱しつつあるのではないかとう兆候です。データをまとめます。
◆リーマン・ショック後の最安値を付けた月(季節調整前)
2009年2月 --- 2カ所(デンバー、ダラス)
2009年3月 --- 2カ所(サンフランシスコ、ワシントンDC)
2009年4月 --- 2カ所(サンジエゴ、10地区平均)
2009年5月 --- 1カ所(ロス・アンジェルス)
2011年2月 --- 1カ所(シアトル)
2011年3月 --- 9カ所(フェニックス、マイアミ、アトランタ、ミネアポリス、シャーロット、ニューヨーク、
クリーブランド、ポートランド、20地区平均)
2011年4月 --- 4カ所(タンパ、シカゴ、ボストン、ラスベガス)
2011年5月 --- 1カ所(デトロイト)
これを見て歴然なのは、確かに2009年5月に一旦底打ちはしました。しかし、今年の2月から二番底が始まり、そのピークは今年の3月だったということです。その後、4月、5月と改善し、ついにはあのバブルに沸いたラスベガスも、不況が深刻だったデトロイトも、底を打ったかに見えます。(デトロイトは6月にまだ落ちている可能性はありますが。)
もう1つ注目して欲しいのは、底打ち時期は全米20カ所についてはバラツキがあるものの、ちょうど4ヶ月で終了していることです。2009年2月~5月と2011年2月~5月はピタリと期間が一致しておりますね。
もちろん、データには誤差があり、この程度の傾向は一時的な兆候に過ぎないのかも知れませんが、それでもこの微細な変化には注目しておきたいところです。懸念材料は8月に入ってからの株式の大きな下落と景気後退観測で、3ヶ月遅れのケースシラー住宅価格指数に更なる下落のサインが現れているかも知れない点です。これは11月度にならないと分かりません。
いずれにしても、今の世界経済の不安定要因の「癌」である、住宅価格指数の動向については、引き続きフォローしていきたいと思います。
なお、欧州(特に南欧)の住宅バブル崩壊は米国よりも後になったため、欧州債務危機の原点とも言える住宅バブルの後遺症は、米国よりも深刻度が高いと見ております。
その根本原因は、まずは米国の住宅価格の下落基調が、一旦2009年春に底打ったかに見えて、実は、その後も二番底をつけるほどに下落していたためでした。住宅価格がコンスタントな上昇に転じない限り、金融機関が抱え込み、あるいは飛ばしている不良債権処理は、FRBが幾ら金を注ぎ込んでも、それが贈与でない限り、いつかは返済しなければならないため、一向に進みません。
そのため、筆者もずっとケースシラー住宅価格指数を追跡している訳ですが、その価格指数の5月度までのデータを見て、少々微細な変化に気づきました。それは、いわゆる二番底から脱しつつあるのではないかとう兆候です。データをまとめます。
◆リーマン・ショック後の最安値を付けた月(季節調整前)
2009年2月 --- 2カ所(デンバー、ダラス)
2009年3月 --- 2カ所(サンフランシスコ、ワシントンDC)
2009年4月 --- 2カ所(サンジエゴ、10地区平均)
2009年5月 --- 1カ所(ロス・アンジェルス)
2011年2月 --- 1カ所(シアトル)
2011年3月 --- 9カ所(フェニックス、マイアミ、アトランタ、ミネアポリス、シャーロット、ニューヨーク、
クリーブランド、ポートランド、20地区平均)
2011年4月 --- 4カ所(タンパ、シカゴ、ボストン、ラスベガス)
2011年5月 --- 1カ所(デトロイト)
これを見て歴然なのは、確かに2009年5月に一旦底打ちはしました。しかし、今年の2月から二番底が始まり、そのピークは今年の3月だったということです。その後、4月、5月と改善し、ついにはあのバブルに沸いたラスベガスも、不況が深刻だったデトロイトも、底を打ったかに見えます。(デトロイトは6月にまだ落ちている可能性はありますが。)
もう1つ注目して欲しいのは、底打ち時期は全米20カ所についてはバラツキがあるものの、ちょうど4ヶ月で終了していることです。2009年2月~5月と2011年2月~5月はピタリと期間が一致しておりますね。
もちろん、データには誤差があり、この程度の傾向は一時的な兆候に過ぎないのかも知れませんが、それでもこの微細な変化には注目しておきたいところです。懸念材料は8月に入ってからの株式の大きな下落と景気後退観測で、3ヶ月遅れのケースシラー住宅価格指数に更なる下落のサインが現れているかも知れない点です。これは11月度にならないと分かりません。
いずれにしても、今の世界経済の不安定要因の「癌」である、住宅価格指数の動向については、引き続きフォローしていきたいと思います。
なお、欧州(特に南欧)の住宅バブル崩壊は米国よりも後になったため、欧州債務危機の原点とも言える住宅バブルの後遺症は、米国よりも深刻度が高いと見ております。