介護にかかわっている友達がいる。
若いテニス仲間。末期がんの義母を自宅にひきとり、毎日介護を続けている。
かつて、憩いの場所であった自宅が、自分の家ではなくなったという。自宅に入ることができなくて、車の中で20分くらいも大泣きをして、それから覚悟を決めて自宅に帰るという。
誰にも言えない思いを抱えたまま、夜、車を走らせ、大きな声で歌を歌うこともあるという。聞いているだけで、こちらから返す言葉が見つからない。
自分の両親には「心配するから言えない」という。
「今は彼女の番だけど、これからきっと私たちも通るみちだからね」と仲間と話し合った。せめて彼女のストレス解消にと誘ったランチには、彼女だけが来られなかった。
専業主婦は、介護が当たり前ととらえられてしまう。当たり前だけど、やっぱり介護はしんどいなあ。神様が彼女を選んだんだなあ・・・と、帰っていく彼女の背中を見ていた。
介護を終えた友達がいる。
先日10年ぶりに集まった、長男の小学校での役員仲間のひとりだ。途中、彼女が義母を介護していることは聞いていた。
起業しているご主人のために、夕食にお弁当を作って会社に届けていた。義母と息子(ご主人)が触れ合う時間が少ないからと、義母を車に乗せ、ご主人の会社へ一緒にいき、三人でお弁当をたべるのよ~と聞いたことがある。
その彼女は8年義母を介護した。天国へ送った後、その義母への自分の対応が、本当に義母が望んだとおりであったのか・・・と悩みに悩み、体調を崩したという。
そこにいる彼女以外の全員が、「間違いなく献身的な介護で、お義母さまはお幸せだったよ」と言葉をかけるが、彼女は頷かなかった。
厳しいなあ・・・と思う。介護って厳しい。ほんとに厳しい。
誰もが行く道。私も通る道。父が亡くなり、今度は私の番だと思った。