abc

news

[改憲パズル] 権力側の暴走を防ぐ96条、それを変えろと騒ぐ権力側(何か変だ?)

2013-05-03 | Weblog

 

朝日記事:(憲法はいま)違憲判決、その心は 3裁判官を訪ねて

 「一票の格差」訴訟などで、今年は違憲判決が相次いでいる。三権分立の下、行政や立法のチェック役を期待されながら、違憲立法審査権の行使に消極的とも批判されてきた日本の裁判所。その中で違憲判決を書いた裁判官は、憲法についてどう考えたのか。今までになく改憲機運が高まるなか、各地を訪ね歩いた。

元裁判官・森野俊彦さん(66)

一票の格差訴訟

 

2010年3月、09年の衆院選をめぐる一票の格差訴訟で福岡高裁裁判長として違憲判決を出した。憲法14条の「法の下の平等」などが争点だった。

 

紙面写真・図版

森野俊彦さん

 ■「1人1票」30年前は止められた 2010年3月・一票の格差訴訟

 「何があっても最後は憲法を守ろう」。森野俊彦さん(66)=大阪市=は、そんな初心を胸に約40年間、裁判官を務めた。今は龍谷大学法科大学院で民事法を教える。

 2010年3月、09年の衆院選をめぐる一票の格差訴訟で福岡高裁裁判長として違憲判決を出した。

憲法14条の「法の下の平等」などが争点だ。

「誰もが過不足なく一票を有する」のが憲法の理念とし、従来の最高裁判決より国会の裁量を狭く解釈。原告側から「画期的」と評価された。

 「最高裁と違う判断をすることに迷いや抵抗はあったが、憲法を読み返してみると、やはり納得がいかなかった」と話す。

家裁勤務が長く、ニュースになるような訴訟を担当したことは多くない。ただ、大きな判断を迫られたとき、憲法の理念を守るのが役割だという心構えでいた。判決文にある「原点に立ち戻って検討すれば」との表現には、そんな思いがこもっている。

 憲法が公布された1946年に生まれた。任官した71年は、憲法擁護を掲げる団体に所属する裁判官らの政治的中立性が問題にされ、「司法の危機」が叫ばれていた。憲法に基づいて権力の乱用を防ぎ、少数者の権利を守る――。同じ志を持った司法修習の同期は7人が不採用になった。彼らの無念を、胸に刻んで過ごしてきたという。

 実は、裁判官になって10年たつころにも、大阪高裁で一票の格差訴訟を担当し、「1人1票が原則」とする判決を書こうとした。だが、裁判長から「最高裁で覆される。10年早い」とたしなめられた。「結局、30年後になりました」

 時代に合わせて憲法を見直すことに反対はしない。ただ、権力の暴走を防ぐために厳しい条件を定めている96条の改正は疑問だ。「一票の格差で違憲や無効の判決が相次いでいる。正当に選挙されていない国会が、憲法の根幹まで変えるのは問題ではないか」と森野さんは話す。

 最近の裁判所には、変化を感じてもいる。「価値観が多様化し、女性裁判官も増えた。出世志向で最高裁の意向を気にするのではなく、おかしいと思えばおかしいと自然体で言える世代になってきたのでは」

注:<一票の格差訴訟> 

国政選挙での「一票の価値」が選挙区によって異なることについて、憲法違反かどうかが争われている訴訟。最大格差が2・43倍だった昨年の衆院選をめぐっては今春、各地の高裁で違憲や無効の判決が相次いだ。最高裁判決が年内に出る見通し。

 

元裁判官・福島重雄さん(82)

長沼ナイキ基地訴訟

 

1973年9月、「長沼ナイキ基地訴訟」で「規模や装備からすると、自衛隊は明らかに軍隊であり、憲法9条に反する」との判決を出した札幌地裁の裁判長を務めた。

 

 

紙面写真・図版

福島重雄さん

■「9条に反する」冷や飯食っても 1973年9月・長沼ナイキ基地訴訟

 「裁判所が憲法判断を避ける傾向は、むしろ強まっている」。富山市の福島重雄弁護士(82)の見方は厳しい。一票の格差訴訟で違憲判決が相次いだのも、「最高裁がすでに違憲状態という判断を出していたからだろう」とみる。

 73年9月、「長沼ナイキ基地訴訟」で「規模や装備からすると、自衛隊は明らかに軍隊であり、憲法9条に反する」との判決を出した札幌地裁の裁判長を務めた。

憲法に特別な思い入れがあったわけではない。「必要があれば判断するのが裁判官。それがたまたま自分だった」と話す。

 ただ、福島判決は、高度に政治性のある問題に司法は立ち入らない、とする最高裁の立場に反していた。東西冷戦期、福島判決は政権側から「偏向」と批判を浴びた。二審で覆され、最高裁で確定。その後は地方勤務が多く、「冷や飯を食わされた」という。

 それでも、「裁判官は良心に従うもので、最高裁や上司に従うものではない。今やっても同じ判断でしょう」と淡々と語った。

 福島判決は「政策として自衛隊を持つことが適当かどうかを判断するものではない」と書いている。「違憲なら、憲法を改正するのも一つの選択だ。ただ、違憲だと思うのに司法が沈黙したら、現実を是認するだけになる」

注:<長沼ナイキ基地訴訟>

 ミサイル基地建設に伴う保安林の指定解除をめぐり、自衛隊の違憲性などが争われた訴訟。札幌地裁は住民勝訴としたが、札幌高裁は却下。最高裁も上告を棄却した。高裁、最高裁は憲法判断に踏み込まなかった。

元裁判官・小中信幸さん(82)

朝日訴訟

 

生存権を定めた憲法25条に基づき、生活保護のあり方を問いかけた「朝日訴訟」で、東京地裁は60年10月、当時の国の生活保護基準が憲法の理念に反するという判決を出した。主任として判決を書いた。

 

紙面写真・図版

小中信幸さん

■人らしい生活、考え抜いた 1960年10月・生存権めぐる朝日訴訟

 生存権を定めた憲法25条に基づき、生活保護のあり方を問いかけた「朝日訴訟」で、東京地裁は60年10月、当時の国の生活保護基準が憲法の理念に反するという判決を出した。

判決は高裁で覆されたが、地裁判決をきっかけに生活保護の水準は大きく改善された。

 主任として判決を書いた小中信幸さん(82)は東京都内で弁護士を続ける。担当になったのは、任官5年目のころ。憲法が「新憲法」と呼ばれていた時代だった。「経験が浅く、重荷だった」と振り返る。

 裁判長が日頃から口にしていたのは、「憲法は絵に描いた餅であってはいけない」という言葉だ。原告が暮らす療養所に出張し、生活ぶりも見て、「人間に値する生活とは何か」を考え続けたという。

 判決から半世紀が過ぎた今、社会の中で格差が拡大し、生活保護のあり方が改めて問題になっている。後輩の裁判官には「その時代の中で憲法が何を求めているのかを考え、判断してほしい」と願う。

注: <朝日訴訟>

 生活保護を受けていた結核患者の朝日茂さんが国の給付金について「健康で文化的な最低限度の生活」には不十分だと訴えた訴訟。東京地裁は主張を認めたが、東京高裁で逆転敗訴。朝日さんは亡くなり、最高裁は上告を棄却した。

 
(あとがき)
裁判官に求められることとは。最高裁で人事局長や事務総長を歴任し、最高裁判事まで約46年間裁判官を務めた泉徳治弁護士(74)に聞いた。

 裁判官は「国民に選ばれていない」という意識が強く、三権分立の中で、これまで立法や行政への介入には抑制的であるべきだという雰囲気が裁判所内には強かった。それが憲法判断を不活発にしてきた面はある。

 変わってきているとすれば、要因の一つは、社会が国際化していることだ。成年後見を受けた人に選挙権を認めた3月の東京地裁判決も、世界の潮流を強く意識していた。

 また、一票の格差訴訟のように、最高裁判決に多様な個別意見がつくと、地裁、高裁の判断にも影響を与える。異なる意見を比べることで、裁判官も考えを深められるからだ。

 退官後、外国の研究者から「日本では憲法は守るべき規範ではなく、抽象的な目標だ」と指摘された。行政や立法の「裁量」を尊重しすぎると、「憲法より法律が偉い」となりかねない。憲法を実社会の中で生かしていく努力が裁判官に求められるだろう。

(ほそく)

違憲立法審査権:法律や行政行為が憲法に違反していないか審査する権限。日本では、憲法81条により、最高裁に最終的な権限が与えられていることから、最高裁は「憲法の番人」とも呼ばれる。この規定により、地裁や高裁も憲法判断できる。日本の場合、個別の法律などについて抽象的に憲法違反を訴えることはできないとされており、具体的な争いの中で合憲・違憲が判断される仕組みになっている。


[米WSJ] 危うい安倍政権の原子力政策 米当局すら懸念を表明

2013-05-03 | Weblog

日本の核燃料再処理工場の稼働、米国などが懸念

5/2 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)

  日本は大規模な核燃料再処理工場の操業に向け準備を進めているが、米政府などがそうした動きに懸念を示している。北アジアや中東で核技術、ひいては核兵器の広範な開発競争を招く可能性を危惧しているためだ。

(六ヶ所村の核燃料再処理工場内にある中央制御室)

 日本の当局や原子力産業の専門家によると、青森県の再処理工場は核兵器に転用可能なプルトニウムを年間9トン生産できる能力を有している。核爆弾2000発分に相当する量だ。ただし、日本の当局者は再処理は民生利用を目的としたものだと話している。

 日本の当局者によると、2011年の福島第1原発事故で原発の安全性に対する懸念が高まり、日本では現在国内の原発50基のうちわずか2基しか稼働していないため、プルトニウムの利用目的は発電のみに厳しく制限されるという。原爆を投下された世界唯一の国として、日本の当局者は長年、核兵器の使用に反対している。

 六ヶ所村の再処理工場を運営する日本原燃の広報担当、福士泰史氏は、安倍晋三首相率いる自民党政権のもと、停止している原発は新たな安全基準を満たせば再稼働することになるだろうと述べた。また、使用済み核燃料の再利用を目指す国家的なエネルギー政策の一環として、政府は六ヶ所村の再処理工場の稼働を推進しているとも語った。

 だが、北朝鮮が盛んに核実験を行っているほか、周辺地域で領有権をめぐる緊張感が高まっていることから、米韓日の当局者は再処理工場が他国の核開発計画にも広範囲な影響を及ぼす可能性について懸念を表明している。

 米当局は、日本の近隣諸国、特に中国、韓国、台湾が六ヶ所村の動向を慎重に見守っており、独自の核燃料技術の開発、あるいは中国の場合は核燃料技術開発の拡大を検討すべきかどうかの判断に踏み切る可能性があるとみている。

 米シンクタンク「核不拡散政策教育センター」(本部ワシントン)のトップ、ヘンリー・ソコルスキー氏は、「実際問題として、六ヶ所村の再処理工場が稼働すれば、中国は日本ではなく、中国こそが東アジアで最も優位な核保有国であるということを再認識させるため対応に乗り出さざるを得なくなるだろう」と話し、「そうした核をめぐる応酬は泥沼化する可能性がある」と警告した。

そうした懸念を物語っているのが、北朝鮮が2006年に一連の核実験を強行したあと、日韓両国のタカ派の政治家が自国政府に核兵器開発を検討すべきだと要求したことだ。北朝鮮は最近では今年2月に核実験を実施している。

 米国の2つ目の懸念は、日本のプルトニウム備蓄の保安にかかわるものだ。日本は稼働原発を大幅に減らしたことで、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を燃やして発電する機会も減少したため、余ったプルトニウムを保管する必要性が出てくる。六ヶ所村の再処理工場は、使用済み核燃料を再処理することで原発から排出される放射性廃棄物を削減するためにも利用されるとみられている。

 六ヶ所村の再処理工場が92年に着工して以来、日本の政府や民間企業は210億ドル(約2兆円)を超える資金を投じてきた。だが日本の当局者によると、操業は技術的・財政的な問題で19回も延期されている。

 核政策に携わる米当局者によると、オバマ政権はそうしたたび重なる遅延の結果、六ヶ所村の再処理工場は計画が棚上げにされたとおおむねみている。こうした見方は、福島第1原発事故やそれを受けて日本政府が原発計画を段階的に大幅縮小する方針を明らかにしたことでますます強まった。

 1期目のオバマ政権で核拡散問題を監督したゲーリー・サモア氏は、「オバマ政権にとって(六ヶ所村を)注視する差し迫った必要性はなかった」と述べた。

 だが、12月の総選挙で安倍政権が誕生したことで、日本の原発計画や六ヶ所村の再処理工場の見通しが再び見直されている、と政府や業界関係者は話す。安倍氏は原発推進派だが、同氏の事務所は安倍氏は六ヶ所村についてはコメントしないと述べた。

 日本は核兵器に転用可能なプルトニウムを約9トン国内で生産可能なウラン濃縮と使用済み燃料再処理能力の両方を有している。当局や業界専門家によると、六ヶ所村の再処理工場が稼働すれば、それだけの量を毎年生産できるようになる。日本にはかつて茨城県東海村に再処理工場があり、07年に閉鎖されるまで約7トンのプルトニウムを生産していた。

 日本の原発はほぼ全てプルトニウムベースの燃料ではなく濃色ウラン燃料を利用している。原発には使用中の燃料に応じて、いずれも利用可能だ。核兵器も、核兵器に転用可能なレベルにまで濃縮したウランかプルトニウムを使用して生産可能だ。これに対してイランは、ほぼ核兵器に転用可能なレベルのウランを生産しているが、核兵器に転用可能なプルトニウムを生産できる重水炉も開発中だ。

 日米当局者によると、オバマ政権はここ数週間、余剰プルトニウムの保安に関する懸念を日本に伝えているという。

 内閣府日本原子力委員会の鈴木達治郎・委員長代理は4月、ワシントンでオバマ政権当局者と面会し、おおむね次のように伝えたと話した。日本がプルトニウムの利用計画に関する明確な展望のないまま大量のプルトニウムを保有することを許してしまえば、その他の世界に対して悪しき前例を作ることになる、と。

 日米当局者によると、鈴木氏が面会したのは、ダニエル・ポネマン米エネルギー省副長官やトーマス・カントリーマン米国務次官補をはじめとするオバマ政権の核拡散問題に関する窓口担当者だという。

 米国務省は、米国は日本に将来原発に依存すべきかどうかについて助言するつもりはないと述べた。だが米当局者は、日本政府は福島第1原発事故を踏まえた効果的な規制機関を設置し、六ヶ所村の再処理工場のような施設を効果的に運営できるようにする必要があると米国は考えていると語った。

 日本原子力委員会も日本原燃も六ヶ所村の再処理工場は10月に操業開始の見通し、と述べている。だが福島第1原発事故への対応策として設置された原子力規制委員会は、新たな安全基準は12月まで公布されないため、そのスケジュールに間に合わせるのは「不可能」との見方を示した。再処理工場の建設はおおむね完了しており、原子力業界の専門家は数カ月でフル稼働に至る可能性もあるとみている。

 日本原燃の福士氏は、プルトニウムの核兵器への転用防止に向け、国際原子力機関(IAEA)が再処理工場の操業を密接に監視することになると強調した。

 「日本はIAEAの査察を定期的に受けている。いきなりの査察も受けている。また、プルトニウムの管理状況や利用状況を公表している。これは日本が平和利用を目的にやっていることの証明になる」と福士氏は述べた。

 日本の原子力規制当局は、六ヶ所村の再処理工場の操業開始時期に関してもっと慎重な姿勢をみせている。

 オバマ政権は、六ヶ所村の操業開始がいつになるにせよ、それによって同地域に新たな摩擦の種がもたらされ、他国が核能力の拡大や核能力に対する支配力の強化を検討し始める可能性を危惧している。

 米国産の核燃料や資機材の韓国への輸出継続を可能にする新たな米韓原子力協定の締結は遅れている。

 韓国の交渉担当者は、新たな米韓原子力協定の締結により、自国でウラン濃縮や使用済み燃料の再処理に乗り出すことをともくろんでおり、韓国にとって民生利用を目的とした原発計画の拡大や確保にはそれら技術が極めて重要だと主張した。

 だが米政府はそれを認めず、両国は先週、そうした権利を盛り込まずに現在の協定を2年延長し、その間交渉を継続することで合意した。

 現・元米当局者によると、韓国は、長年のライバルで、かつての植民地支配国でもある日本と自らも同等の能力を持つべきだと考えており、米国にもそう主張している。

 米当局者は、六ヶ所村の再処理工場の操業開始は韓国からのプレッシャーを高めることになり、韓国が日本に倣って独自に核燃料の生産を開始するのを公式に認めるよう一段と迫られる可能性がある、としている。

 クリストファー・ヒル元駐韓米大使「韓国にはできないことを日本はできるという印象を韓国が抱くことになるのであれば、持続可能なコンセプトとは言えない」と語った。

 中国は先週、新たな使用済み核燃料の再処理施設の建設に向け仏原子力大手アレバと契約を交わした。六ヶ所村の再処理工場と同規模で、年間9トンのプルトニウムが生産可能な施設が建設される見込みだ。

 中国政府は同施設は民生利用のみを目的としたものだと述べた。だが、中国は数千もの核弾頭を保有しているとみられている。原子力の専門家は、日本に核兵器に転用可能な核分裂性物質の生産能力を拡大している兆しがみられれば、中国も追随する公算が大きいとみている。

 

 
 

 

 


内閣総理大臣殿 まず合憲選挙で己を正せ (それから国民に問え 改憲を)

2013-05-02 | Weblog

改憲手続き緩和 賛成38%、反対54% 世論調査

 憲法記念日を前に朝日新聞社は全国郵送世論調査を行い、憲法に関する有権者の意識を探った。それによると、憲法96条を変え、改憲の提案に必要な衆参各院の議員の賛成を3分の2以上から過半数に緩める自民党の主張について、反対の54%が賛成の38%を上回った。9条についても「変えない方がよい」が52%で、「変える方がよい」の39%より多かった。

 96条の改正要件緩和については、自民党が昨年作った憲法改正草案で主張。最近は安倍政権も唱えているが、有権者は慎重であることが浮かび上がった。

 衆院と参院の一票の格差が是正されない状態で選ばれた議員が改憲の提案をすることについて尋ねると、「問題だ」が54%、「問題ではない」が38%。改憲手続き緩和の自民党の主張に賛成の層でも、44%が「問題だ」と答えた。

参考

浦部法穂さん「今の議員に憲法いじる資格ない」世論調査

神戸大名誉教授・浦部法穂氏

憲法9条を変えない方がよいという人も、96条の改憲手続きを緩める自民党案に反対という人も5割を超えた。改憲賛成が5割を超えたといっても理由は非常に散らばっていて、最も多くの人が理由に挙げた「国防の規定が不十分」でも全体の3割にとどまっている。国会の論調だけをみると改憲ムードが非常に強いが、国民は割合冷静に見ているのではないか。

そもそも憲法改正権は国民にあるのだから、改憲は国民の側から「国会で案を作れ」という声が起きてから初めて国会が議論するものだ。ところが、憲法で行動を制約され、命じられる側の国会、まして統治権の中枢の内閣が今の憲法では都合が悪いからといって改憲を主導するのは本末転倒でおかしい

 

参考

公明党、96条先行は「慎重に」 憲法見解が判明

公明党が5月3日に発表する憲法記念日アピール案が30日、判明した。憲法改正の発議要件を緩和する96条の先行改正について「慎重に扱うべきだ」と反対姿勢を明記。9条は戦争放棄や戦力不保持を定めた1、2項を堅持し、自衛隊の存在や国際貢献の在り方を新たな項目で加えるかどうか検討するとした。

自民党は、安倍晋三首相が唱える発議要件緩和の先行実施を夏の参院選公約に明記する方向。改憲問題をめぐる自公両党間の違いが鮮明になった。連立関係に影を落とす可能性がある。

アピール案では、96条が衆参両院とも総員の3分の2以上の賛成を発議要件としている点について「妥当性があるというのが党内論議の大勢だ」と強調した。(5月1日共同)


[五輪招致] 対トルコ戦、猪瀬66歳 足(くち)がもつれて自らオウンゴール(日本大失点)

2013-05-01 | Weblog

 

 

「がっかり」「勉強不足」 猪瀬知事発言で都に苦情殺到

5月1日

 2020年五輪招致をめぐり、東京都の猪瀬直樹知事がライバル都市のイスタンブール(トルコ)を念頭に「イスラム諸国はけんかばかりしている」などと発言し、謝罪した問題で、都に苦情の電話やメールが相次いでいる。

 都スポーツ振興局によると、4月29日から1日夕方までに寄せられた意見は184件。「がっかりした」「知事は勉強不足」「自覚が足りない」と猪瀬知事を批判する内容が大半で、「五輪招致よりもトルコとの友好を大切にして」といった声もあった。

 一方で、「これからは言動に気をつけて頑張ってほしい」と、五輪招致活動を続ける猪瀬知事を励ます内容の声も数件あったという。

 内訳は電話が78件、メールは106件。同局あてに寄せられるメールは普段月50~60件程度だといい、担当者は「極めて多い数字」という。ある都幹部は「知事がこうした声を重く受け止めてくれれば」と話した。

 国際オリンピック委員会(IOC)の五輪招致での行動規範は、他都市の批判や比較をしないよう定めており、知事の発言が規範に抵触する可能性が指摘されていた。猪瀬知事は30日に発言を撤回。1日未明、自らのツイッターで「今回の件で誰が味方か敵か、よくわかったのは収穫でした」とつぶやいた。


 

五輪招致「東京負け」の書き込み 知事失言でトルコのサイト

5月1日

 【カイロ共同】東京都の猪瀬直樹知事が2020年夏季五輪招致をめぐりライバルのイスタンブール(トルコ)を批判した問題で、トルコのメディアは4月30日、知事が発言を撤回して謝罪したことを一斉に報じた。

 新聞社のウェブサイトなどのコメント欄には「これで東京は負けだ」などの書き込みが相次いだ。トルコ政府や五輪当局の反応は伝えられていない。

 テレビ局NTVのサイトには「東京都知事がこれだけトルコ人をいじめたら、イスタンブールのチャンスは大きい」「これで東京は負けるだろう」と、失言によりイスタンブールが有利になると期待する声が多く寄せられた。

 

参考

東京五輪招致…今の日本に必要なの

招致委員会が報道用に作成した資料には東京開催のメリットが列挙されている。「巨大マーケットの創出」「日本の国際的な地位向上」「オリンピック・パラリンピックの力で被災地を支援」「全競技の参加はスポーツ振興を促進」「東京の次世代都市化を加速」

国内向けとはいえ、被災地支援をはじめ、オリンピックを手段としてとらえていることに違和感を覚える。日本選手の活躍は喜ばしいことだが、感動は残念ながら一過性のものだ。招致は社会の閉塞(へいそく)感を打破する一大チャンスとしているが、背負わせるものがあまりにも大き過ぎないか。約3兆円とされる経済効果についても大会前に建設工事などの需要が生まれるものの、近年の厳しい経済環境の中では限定的に過ぎないことをロンドン五輪が証明している。


 「復興って、いったい何ですか。俺にはわかんねえ」。福島第1原発事故でゴーストタウンと化した福島県南相馬市小高区で、初老の男性がつぶやいた。2020年夏季五輪の開催を目指す東京都などが「復興五輪」と招致をアピールするが、「復興」の2文字は福島の現実とかけ離れて躍る。

 「放射能の問題があっから、埼玉に避難した娘や孫に戻ってくれとは言えない。町の男たちも原発の仕事がなくなったし、農業も厳しいから多くは帰って来れまい。何もかも元には戻らないんだ。東京の復興五輪? なんですか、それは? 本当に復興って何を意味するんだか、教えてほしいよ」

 こう語るのは昨年4月に小高区中心部の立ち入り禁止が解除された直後から、元の駅前商店街で理容店を再開した加藤直さん(63)。といっても、町に人の姿はほとんどない。原発から20キロ圏内にあり、日中は滞在可能だが宿泊などが禁止されている避難指示解除準備区域だからだ。

 町内には東日本大震災直後の姿をとどめた倒壊家屋が生々しく残る。震災前、同区の人口は1万2842人だったが、今は県内で3分の2、県外で3分の1が避難生活を送る。

 加藤さんは区外の仮設住宅から通って日中だけ店を開く。客は家の様子を見に来る人らが1日に1〜2人。「そりゃあ商売にはならない。補償金で食いつないでいる。でも、町にちょっと戻ってきて、立ち寄れる場所が必要だと思ってやっているのさ」

 小高区の前途は険しい。南相馬市は除染とともに地域のインフラ復旧を進め、住民が戻れるようにする考えだ。だが、除染の有効性には議論がある。復旧工事では、例えば水道工事で掘り返した土が汚染されており、運び先を見つけるのが難しい。環境を整えても、放射能を完全には除去できず不安は残る。加藤さんは「住めるようになったら、茨城県の弟の家に避難している89歳の母親だけは呼び戻す。『小高で死にたい』とずっと言っている。どこの家でも同じじゃないですか。年寄りだけの町になるのが『復興』だとしても、それはそれで仕方のないことさ」と目に涙を浮かべながら語った。

 同区で被災し、地元の復旧事業に携わる公務員の中年男性は、疎遠になった妻子との関係を嘆いた。妻子は福島市内で避難生活を送り、男性は1人で南相馬市内の仮設住宅に暮らす。最近、週末も妻子の元へあまり帰らない。

「もうここへ帰るつもりがないみたいです。妻が年ごろの娘への放射能の影響を心配するのはわかる。だが、本当にそれだけか。便利な都会生活に慣れてしまったのではないか。私は家族が一緒に古里で住めるようにと頑張っているのに……」

 「復興なんて言葉は、こっちの人間にはぐさっとくることがあるんだよ」と、南相馬市原町区で飲食店を営む佐藤ひろ美さん(69)は話す。「町に戻らない人と残った人、補償金が多かった人とそうでない人……。原発事故後は、人間関係がぐちゃぐちゃだ。家族の中でもいろいろある。五輪なんかで復興をうたうのは無神経ではないですか」


 

 五輪招致の詳細計画「立候補ファイル」で猪瀬直樹都知事は「開催できるなら、復興した日本を全世界に示せる」とするが、福島第1原発の廃炉には40年かかるとされる。

 未来を見通せない中、復興のあり方を巡って大混乱に陥っているのが井戸川克隆町長が今月23日に辞職を表明した福島県双葉町だ。町長は「放射能の影響下に住むことは拒むべきだ」とし、除染で出る土や廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設など国の諸方針に反対してきた。これに対し、原発直近の近隣他市町村と同程度には国と協調した方が復興に有利などと考える側からの批判があった。昨年12月、町議会は町長不信任案を可決。対抗して、井戸川町長は町議会を解散した。

 今月21日、町役場機能を置く埼玉県加須市で町民へ町政を報告する集会があった。東京都内に避難中の原中良博さん(70)が発言を求め、悲痛な叫びを発した。「争いはやめ力を合わせましょう。みんなで心を合わせていかないと、双葉だけが取り残されてしまいます」。約150人が詰めかけた会場からは「そうだ」と賛同の声が飛び、盛んな拍手がわいた。体調不良で入院し集会を欠席した井戸川町長に代わり井上一芳副町長が応じた。「原発事故で町民の心までばらばらにされました。目をつむると双葉のあの青い海、緑の山が誰にも見えるはずです。本当は町民の心は一つです」。言葉は参加者の胸を打ち、会場は静まり返った。

 その2日後だった。井戸川町長が辞職を表明し、記者会見で「町長を続ければ、信念を曲げ、妥協しなければならなくなると感じた」と語った。混迷し続ける町政に、原中さんは「こんなことでは本当にダメだ。国が進める復興は双葉そっちのけでも平気なんだから」と嘆いた。

「東京に電力を送るために福島に原発が造られたのですよ。それが爆発して双葉町の人々が困難に陥ったのです。混乱の背景には、復興にかかる費用をどうするかという問題があります。五輪に使うお金は、被災地のために使うべきではないでしょうか」。1万4586人が当時の東京電力幹部ら計33人を業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発した「福島原発告訴団」団長の武藤類子さん(59)はそう憤った。


  「復興という言葉がくせものなのです。復興の名の下に、さまざまなことが隠蔽(いんぺい)されていく」と武藤さんは続けた。原発からは今も大気中に大量の放射線が放出され、野ざらしの使用済み燃料プールや汚染水への対処など深刻な問題が山積している。「何が『収束』ですか。それに続く『復興』の掛け声の中で、福島の現状を憂う声は『まだそんなことを言っているのか』という目で見られるようになりました。被災地に『復興』を押し付けないでほしい」

 「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の佐藤幸子さん(54)は「復興五輪」の掛け声を懸念する。「『復興に頑張っている』とのイメージが広がり、福島の苦しみは終わったと思う人がいる。時間とともに困難は増している面がある。復興五輪なんてのんきな言葉には心の底から腹が立ちます」

 阪神大震災の後も「復興」という大きな言葉が人々を圧迫した。慎重に用いなければならない言葉である。五輪開催は震災や原発事故とは別問題だ。「復興五輪」の看板を掲げるのは、やめた方がいいのではないか。