記事:市民・団体から抗議相次ぐ 市議会正副議長も申し入れ
戦時中の旧日本軍慰安婦についての橋下市長の発言をめぐり、大阪市議会の辻淳子議長(維新)と小玉隆子副議長(公明)が15日、市議会全5会派の意向として「市長として誤解を受けるような対応の仕方は考えて欲しい」と橋下氏に口頭で申し入れた。
小玉副議長が「たくさんの市民から電話をもらった。女性の立場から見たら大変失礼な部分もあるという声もあった」と指摘。橋下氏は「一貫して慰安婦制度は容認していないと言っている。当時はどうだったのかという状況を話したところ、今必要だ、今も容認だ、という報じられ方をされた」と弁明。「メッセージの出し方には注意していきたい」と述べた。
市によると、在大阪中国総領事館からも13日、「市長の発言に驚くとともに怒りを覚えている」との抗議の電話があった。市役所には13日夕から15日午後3時までに、発言への意見が電話やメールなどで462件寄せられ、うち367件が否定的な意見だった。「慰安婦問題を正当化するのは間違っている」「女性や沖縄県民を冒涜(ぼうとく)している」と批判する声の一方、「建前論に風穴を開けられるのは橋下市長しかいない」という声もあったという。15日には大阪に拠点を置く三つの女性団体の関係者12人も市役所を訪れ、発言の謝罪と撤回を求める抗議文を連名で提出した。ASAHI
市役所前で抗議する女性たち=15日午前、大阪市北区
参考
:市民の苦情、2日で137件 橋下氏発言で
「慰安婦制度は必要」などとする橋下徹大阪市長の発言を巡り、発言のあった13日から翌14日午後3時までに、市民らから137件の意見が電話やメールで大阪市に寄せられた。市によると、大半が批判的で、肯定的な意見はわずかだったという。意見の9割はメールだった。
大阪府広報広聴課によると、14日午後5時現在、府民の声を聞く窓口に電話やメールで6件の意見が寄せられた。うち5件が「橋下市長の発言を撤回して欲しい」「知事から橋下市長に発言を控えるよう進言して欲しい」など否定的な意見だったという。1件は「突発的な発言ではあるが、慰安婦問題について正しい発言をしている」と容認する意見だったという。
:女性議員が発言撤回と謝罪要求 橋下市長に
福島瑞穂社民党党首ら超党派の女性議員有志は16日、国会内で記者会見し、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長に対して旧日本軍の従軍慰安婦をめぐる発言の撤回と謝罪を要求した。
民主党の蓮舫元行政刷新担当相や菊田真紀子衆院議員、無所属の糸数慶子参院議員ら計11人が出席。糸数氏は従軍慰安婦の容認ともとれる発言を「慰安婦と呼ばれた女性がまだ生きているのに許せない」と非難し、菊田氏は「国際社会に大きな波紋を広げ、国益も損ねている」と強調した。市長辞任を求める声も出た。
:沖縄の友党も「不適切」橋下氏慰安婦発言で
日本維新の会の母体となる大阪維新の会と友党関係にある沖縄の地域政党「そうぞう」の下地幹郎代表(前衆院議員)が、旧日本軍の従軍慰安婦を巡る橋下徹共同代表の発言に関し、自らのブログで「不適切であったことは間違いない」と苦言を呈した。一方、そうぞう幹部は毎日新聞の取材に、大阪維新の会との政策協定を破棄する考えはないことを明らかにした。
下地氏は14日付のブログで、「政治家の発言は、自分の思いがどうかということと同時に、発言を受ける人がどんな思いや反応を示すのかを、たえず考えたものでなければいけない。今回の橋下代表の発言は、まさにそのズレがクローズアップされている」と指摘。「彼の思いは『どうしたら(米兵による性犯罪)事件が防げるのか』というものであったでしょうが、不適切であったことは間違いありません」と述べた。
在日米軍に風俗活用を促した点についても、「綱紀粛正で解決すべき問題であり、風俗業(の活用)で綱紀粛正を図ろうとすることは本末転倒だ」と書き込んだ。その上で、「しっかり反省をして、新たな信頼回復の姿を取り戻すことが必要」と訴えた。
橋下氏は大型連休中に沖縄を訪問し、米軍普天間飛行場などを視察。そうぞうとは憲法改正など5項目で政策協定を結び、参院選でも統一候補の擁立を視野に入れている。
そうぞう幹事長の呉屋宏氏(沖縄県議)は政策協定見直しについて、「そうはならない」と否定。一方で、橋下氏の発言については、「私たちは同じ立場は取っていない」と述べた。
:橋下大阪市長 慰安婦発言 市民団体が「人間の鎖」で抗議
橋下徹大阪市長の従軍慰安婦に関する発言に抗議し、大阪市役所の周りを人間の鎖で囲む人たち
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が旧日本軍による従軍慰安婦制度を「当時は必要だった」と発言した問題で、元慰安婦の支援団体「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」(同市生野区)は17日、市役所を訪れ、橋下市長に発言の撤回と謝罪を求める抗議文を提出した。
抗議文では、橋下市長の発言を「女性を人間として見ず、戦時下で女性の性を活用することは当然と言わんばかりの発想は、かつて戦場に慰安所を生み出した日本軍の男たちと同じもの」などと批判し、発言の撤回や謝罪、市長の辞任などを求めている。
抗議文の提出後、同団体の呼び掛けで約400人が市役所を「人間の鎖」で囲み、「橋下市長は辞任しろ」「発言を撤回せよ」などと声を上げた。
同団体は、今月24日に元慰安婦の女性2人とともに橋下市長に面会する。方清子(パン・チョンジャ)共同代表は「被害者の声を聞かず、一方的に持論を展開している。どれほど女性の人権を踏みにじったか考え、心から反省して謝罪してほしい」と話した。MAINICHI