埼玉 寄居町・深谷市・熊谷市 ピアノ教室Andante/アンダンテ

~「音楽は楽しい!」から「本物の音楽」へつながるレッスン~

違う視点からの質問

2010年11月11日 | レッスンの出来事
小学校低学年の女の子のレッスンで…。


ピアノランド1の「わたりどり」。

前回のレッスンでは、まだゆっくりのテンポでしたが、
だんだん速くする練習をして、
次のレッスンでは、インテンポの130で弾くことを目標にしていました。

その次のレッスンで、ミュージックデータと130のテンポで弾いてみると、
2番はデータと合いますが、1番は合いません…

そう!「わたりどり」は、1番の伴奏の音がとても少なくて、
ほかの曲に比べて合わせにくいのです。

私でも、ボーっと弾くと、合いません

でも、伴奏が少なくても、自分のテンポをキープして、
合わせることは、とっても大事

テンポ感も身につき、音楽センスもある子ですから、
ここは、気持ちよく合わせられるようになってほしい


そこで、伴奏のみを聞く練習。

そしたら、合わせるポイントがわかりました


次は、伴奏と歌ってみます
初めは、私も一緒に歌いました。

テンポをキープしながら、合わせるポイントで、
ちゃんと合わせることができました

では、今度は、一人で伴奏と歌います。


そしたら…

カウントが終わっても、歌いません…。

私は、その子がどこで入るか、じっと待ちましたが、
最後まで入ることができませんでした。

そして、泣き出してしまいました。


一人でカウントを聞いて入って、歌うことが不安だったのです。


そこで、もう一度、私が一緒に歌うことは簡単です。

でも、レッスンを始めたばかりの子ではありません。

何度も歌っている曲。
私とは歌って合わせれた曲。

あとは、ちょっとの勇気です


もう1回挑戦しましたが、泣いているだけで歌いません
“歌えない”のではなく、“歌わない”のです。


そこで、聞きました。

「すぐにもう1回できる?
 違う曲をやってから、もう1回歌ってみる?
 今日は、もうやめておく?」

最後の「今日は、もうやめておく?」のところで、
首をコクンと小さく縦に振ったのが見えました。

でも、それは、その子の本心ではないと私は感じました。

その子自身の言葉が出てくるまでは、
その首の動きは、見ないふりをすることにしました。

呼吸が落ち着くのをじっと待って、同じことを聞いても、
同じ場所で、首をコクン…。


今日は無理かなぁ…なんて思ったときに、
違う質問が思い浮かびました。


「今日は、この曲を弾けるようになって帰りたい?
 今日は、弾けないままでいい?
 今日は、レッスンをやめておく?」

すると、小さな声で、「弾く…」と


その子自身の言葉を聞くことができました

叫びたいほどのうれしい気持ちを抑えつつ
もう一度歌うために、ミュージックデータを流しました。

見事、最後までピッタリ歌うことができました

もちろん、ピアノでも、
ほんのちょっとしか聞こえない伴奏を聞きながら、
合わせることができました


違う視点の質問がやってこなければ、
「弾きたい」という気持ちを持っていることにも気付かなかったし、
その子自身の言葉を聞くこともなかったかもしれません。


その子にとって、
不安になって泣きだしたことは、大事なことだったのだと思います。

不安であることを私に訴えることができました。

泣くほど不安だったけど、やってみたら簡単にできる!ということにも
気づけたのではないかと思います。


「泣いてよかったね。
 泣いた後に、勇気を出したらいいことがあったね。
 泣きたいときには、いっぱい泣いてね。」

そう伝えて、楽譜に花丸をつけました

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