豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

“メグレ警視 運河の秘密”

2008年06月15日 | テレビ&ポップス
 
 息子の野球の応援から帰宅して、DVDで“メグレ警視 運河の秘密”を見た。

 原題は、“Maigret et Croqueuse de Diamants”、直訳すると“メグレとダイヤモンドの浪費者”となる。
 余りにもおかしいので、辞書を引くと、“croqueuse de diamants”には「(男に囲われた)浪費癖のある女」という訳がついていた(プログレッシブ仏和辞典)。
 これなら、内容にぴったりである。というより、こんな慣用句に合わせてストーリーを作ったのではないかとさえ思える。

 原作はなんだろうか。
 もともと、ツタヤで借りた時の選択の基準は、「原作の雰囲気を映像で見てみたい作品」である。
 メグレ警部のシリーズには、運河が舞台になった作品がたくさんある。
 ぼくが持っている本だけでも、『オランダの犯罪』(創元推理文庫)、『第1号水門』(『13の秘密』創元推理文庫所収)、『メグレと口の固い証人たち』(河出書房)などがある。
 しかし、そのいずれにも、“Maigret et Croqueuse de Diamants”という作品は見出せなかった。テレビシリーズのオリジナルなのか、邦訳されていないのか、それともぼくが知らないだけなのかもしれない・・・。

 もう一度見直すと、始まりのタイトルの中に、“d'apres le roman ; Le charretier de la Providence de George Simenon”とあるのを見つけた。
 長島良三『メグレ警視』(読売新聞社)で調べると、この作品は『運河の秘密』という邦題で出版されたようだ(伊東英太郎訳、1952年、京北書房)。残念ながら、ぼくは持っていない。
 “Le charretier de la Providence”は直訳すると、「神の荷馬車引き」だが、どういう意味なのだろうか。おそらく、直訳だと犯人はすぐにわかってしまうから、『運河の秘密』などという邦題にしたのだろう。『運河の秘密』の方が内容にふさわしいかもしれない。

 でも、いずれにしろ、それらの作品の背景となったフランス国境(あるいはベルギーかオランダ)地帯の運河の雰囲気は十分に味わうことができた。
 松本清張の『アムステルダム運河殺人事件』などと比べると、のどかな田園のなかにある、こじんまりとした運河である。
 流域の人たちにとっては、かけがえのない交通の手段である。たとえ連続殺人事件の捜査のためであったとしても、足止めを食らうようなことになったら、すべての住民が警察(メグレ警部)を敵視することになる。

 ちょっと残念だったのは、昨日見た“メグレ警視と聖歌隊少年の証言”と同じく、当初もっとも捜査に協力的に描かれていた登場人物が犯人だったこと。真犯人が画面にはじめて登場した途端に、「こいつだ!」という予感がした。
 そして、予想は的中してしまった。犯人探しが目的ではない、とはいえ・・・。
 
 * 写真は、DVD“メグレ警視 運河の秘密”の1シーン。

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