豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

サリンジャー、初期短編集

2021年11月21日 | 本と雑誌
 
 やっぱり、一部を読み残したまま図書館に返却するのは嫌だったので、読んでなかった「じき要領を覚えます」「できそこないのラヴ・ロマンス」「ある歩兵に関する個人的な覚書き」「週1回ならどうってことないよ」(それに巻末の訳者解説)も読んでから、昨日の夕方『サリンジャー選集 (2) 若者たち』を返却してきた。
 訳者解説によれば、各作品ごとにサリンジャーの文体は異なっているらしいが、ぼくは渥美訳の端正な和訳が一番しっくりきた。しょせん英語で読めないのだから、変に若者っぽい日本語にされても違和感しか残らない。訳者の解説によれば「やさしい軍曹」の英語などは軍曹の優しさにもかかわらず堅くて男っぽい文体で書かれているらしいのだが、日本語でもバークさんの「優しさ」が伝わったのだから良しとしよう。
 
 ぼく自身の備忘のために、サリンジャーの初期短編全21篇を列挙しておく。
 ※ 邦題、原題、掲載誌、掲載年(『選集』(荒地出版社)は年代順に掲載している)の順。邦題は原則として『選集 (2),(3)』に従ったが、鈴木武樹訳『若者たち』(角川文庫、1971年)を採用したり、ぼくが改めたものもある。“Post” は “Saturday Evening Post” の略。

『サリンジャー選集 (2) 若者たち<短編集Ⅰ>』(荒地出版社、1968年)所収
 若者たち The young Folks, Story, 1940.
 エディーに会いな Go See Eddie, Kansas City University Review, 1940.
 じき要領を覚えます(こつはちゃんと) The Hang of It, Collier's, 1941. 
 できそこないのラヴ・ロマンス(途切れた物語の心) The Heart of a Broken Story, Esquire, 1941.
 ロイス・タゲットのやっとのデビュー The Long Debut of Lois Tagget, Story, 1942.
 ある歩兵に関する個人的な覚書き Personal Notes on an Infantryman, Collier's, 1942.
 ヴァリオーニ兄弟 The Varioni Brothers, Post, 1943.
 二人で愛し合うならば(当事者双方) Both Parties Concerned, Post, 1943.
 やさしい軍曹 Soft Boiled Sergeant, Post, 1944.
*最後の休暇の最後の日 The Last Day of the Last Furlough, Post, 1944.
 週1回ならどうってことないよ Once a Week Won't Kill You, Story, 1944.
*フランスのアメリカ兵 A Boy in France, Post, 1945.
 イレーヌ Elaine, Story, 1945.
*マヨネーズぬきのサンドイッチ This Sandwich Has No Mayonnaise, Esquire, 1945.
*他人行儀(一面識もない男) The Stranger, Collier's, 1945.
*ぼくはいかれてる I'm Crazy, Collier's, 1945.

『サリンジャー選集 (3) 倒錯の森<短編集Ⅱ>』(荒地出版社、1968年)所収
*マディソン街のはずれの小さな反抗 Slight Rebellion Off Madison, New Yorker, 1946.
 大戦直前のウェストの細い女 A Young Girl in 1941 with No West at All, Mademoiselle, 1947.
 倒錯の森 The Inverted Forest, Cosmopolitan, 1947. (中編)
 ある少女の思い出 A Girl I Knew, Good Housekeeping, 1948.
 ブルー・メロディー Blue Melody, Cosmopolitan, 1948.

 ※『選集 (2),(3)』は年代順に掲載しているが、鈴木訳『若者たち』(角川文庫)は内容に従って「初期短編物語群」とは別に、「グラドウォラ・コールフィールド物語群」(*印)を独立させて掲載している。ただし、「ヴァリオーニ兄弟」(1943年)だけはページ数の都合からか、『倒錯の森』(角川文庫)に収録されている。

 2021年11月21日 記
 

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