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年度末で終焉を迎える地方交通

2012-03-30 | Weblog

明後日から新年度となり、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも進学・就職などで新たな道に進む方も居られるかと思いますが、日本国内の公共交通では、今年度末で終焉を迎える事業者・路線が幾つも存在しています。

まず鉄道関係では、長野電鉄屋代線(旧河東線)と青森県の十和田観光電鉄(十鉄)が営業を終了し、新年度から代替バスによる運行に切り替わります。

前者は分社の長電バスが運行し、後者は十鉄自身がバス運行を行う事になりますが、特に十鉄は鉄道路線が三沢~十和田市間の1路線のみでしたので、今回の鉄道線廃止で事業社名にこそ「電鉄」が残るものの、鉄道事業者からバス専業事業者に転換する事になります。

今回廃止になる2路線は、MAKIKYUは共に2回程乗車機会がありましたが、長野電鉄の方は長野市の南郊を取り巻く線形となっており、路線が人の流動と一致しない上に、沿線の主要駅でもある松代周辺から長野市中心部へ向かう場合、アルピコ交通(川中島バス)の路線バスを利用した方が本数・運賃・所要時間のいずれも優位な状況です。


屋代線の充当車両も今時本州では珍しく非冷房車が主体を占めていた事、以前から廃止の噂が流れていた事等を踏まえると、遂にこの時が来たと言う感があり、また同時に永年活躍してきた自社発注の特急型車両・2000系(写真)も最後の一編成が退役となります。


これに対し十和田観光電鉄は、比較的近年に定期営業用車両の総入れ替えを行い、中古車両ながらも地方私鉄では異例のVVVFインバーター制御車が主力になると共に、設備面での近代化も図られて暫くは存続の雰囲気だっただけに、沿線自治体との間における助成金問題などで廃止の話が持ち上がり、あっという間に廃止確定となってしまったのは予想外でした。

東北新幹線新青森延伸に伴って七戸十和田駅が開業し、JR東北本線八戸~青森間が経営分離(青い森鉄道へ移管)されると共に、多数の特急も停車していた三沢駅の地位低下や、東日本大震災の影響などがあるかと思いますが、今回の十鉄廃止で十和田市は鉄道駅のない「市」になってしまい、この様な都市は衰退の道を辿る事が多いだけに、十和田市の今後の行く末も気になる所です。

また長野電鉄屋代線の車両は、かなり古い上に非冷房車が主体、現状でも廃車が進んでいる状況ですので、廃線と共に役目を終えるかと思いますが、十和田観光電鉄が定期列車で使用していた車両は、地方私鉄にしては状態が良く、大手私鉄の支線区などよりも…という状況ですし、単行運転可能な7200系に関しては地方私鉄間での再譲渡事例(上田電鉄→豊橋鉄道)も存在する程ですので、今後何らかの動きが出てこないか気になります。

そして路線バスも近年、全国各地で公営事業者の路線縮小や民営移管が相次いでいますが、明後日限りで北海道の苫小牧市交通部と広島県の呉市交通局が永年の歴史に幕を閉じます。

 
こちらも首都圏住まいのMAKIKYUにとっては、決して近場ではないだけに、利用機会は前者が3回、後者が2回程しかありませんでしたが、明後日からは全路線が地場の民間事業者(前者は道南バス・後者は広島電鉄)による運行に移管となります。
(これ以外にも今月、兵庫県明石市で市営バスが運行を終了し、こちらも神姫バスや山陽バスに移管されています)

他にも一部路線の廃止や変更などは、MAKIKYUが把握できない程多数存在しているかと思いますが、今後苫小牧や呉の市内路線バスが民間事業者による運行に切り替わっても、引き続き安心・快適に利用できる地域の公共交通として愛され、末永く利用される事を願いたいものです。

今年度限りで運行終了となる幾つもの公共交通機関、日頃利用する機会の多かった方などは、思い入れもあって終焉を残念に感じる方も多いかと思いますが、過去の交通機関になってしまう長野電鉄屋代線や十和田観光電鉄線、苫小牧市営バスや呉市営バスの存在を、記憶の片隅に留めておきたいものです。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も長野電鉄屋代線や十和田観光電鉄線、苫小牧市営バスや呉市営バスに関する思い出などありましたら、コメントもどうぞ。

(写真は全て以前「MAKIKYUのページ」記事で使用した画像の再掲です)