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中国・大連市内を走るBRT~低床連接車の活躍も…

2012-09-21 | バス[中華人民共和国]

最近「MAKIKYUのページ」では、BRT(Bus Rapid Transit)として仮復旧したJR気仙沼線柳津~気仙沼間に関する記事を、2回に分けて取り上げました。

日本でBRTというとこのJR気仙沼線や、旧鹿島鉄道の廃線跡を整備し、鉄道代替の路線バスや石岡~茨城空港アクセス路線を運行している、関鉄グリーンバスの「かしてつバス」などを連想する方が多いかと思います。

これらの路線はローカル線の休廃止路線用地をバス専用道に転用し、地方交通機関として運行しているもので、車両も主に大都市圏中古車を充当(かしてつバスでは自社発注の旧年式車や中型新車も活躍しており、気仙沼線BRTも今後ハイブリッドバスの新車導入予定がありますが…)しています。

しかしBRTというと、世界的には「大都市~中規模都市内における中量輸送機関として運行する基幹バス路線」という位置づけである事が多く、この場合は幅の広い道路の一部をバス専用レーンとして整備し、一般の路線バスよりも速達性や定時性を向上させた付加価値の高い大量輸送型線バスとなっている事が多くなっています。

日本の路線バスの中では、名古屋市内中心部から東郊へ向かう名古屋市営バス・名鉄バス共同運行の基幹2号線(名古屋駅・栄~引山~瀬戸・長久手方面など)のイメージに近く、車両も条件の良好な道路で大量輸送を行うのに適した連接車両などの専用車両を用いている事例が多数存在します。
(名古屋の基幹2号線は通常の路線バス型車両で運行していますが、この路線では日本国内の路線バスでは採用事例が少ないシリーズ式ハイブリッドバス、三菱エアロスター・エコハイブリッドが名鉄バス便で多数活躍しているのは注目です)

海外に目を向けると、MAKIKYUは以前北京を訪問した際には、快速公交線とも呼ばれるBRT路線の第1弾が開業してまもない頃に、同市内の前門から出発する路線に乗車した事もあり、北京では現在3路線が運行しています。

中国では北京以外にも、幾つかの都市でBRTの運行を開始しており、都市内公共交通機関の整備がまだまだ…という状況の中国大陸本土では、今後更にBRT路線の新設・拡張が行われるかと思いますが、7月にMAKIKYUが中国を訪問した際には、まず最初に訪問した都市・大連(Dalian)でその姿を見る事が出来ました。

大連でのBRT運行開始は2008年、MAKIKYUが大連を訪問したのは6年ぶりでしたので、同市内でBRTの姿を見たのは7月が初めてになります。

BRT路線は中国では数少ない有軌電車(路面電車)が走る事で有名な大連において、現在運行する2路線の乗換站ともなっている興工街を起点に、周水子空港の脇(車内から空港の敷地やターミナルを目にする事が出来ますが、空港ターミナルには乗り入れていませんので、空港アクセスとして利用する事は厳しいです)を通り、市内北西部の張前北路までの間を結んでいます。

MAKIKYUは起点となっている興工街へ有軌電車でアクセスし、その後何処へ行こうかと思っていた矢先に、この路線を見つけて気になり、当初乗車予定はなかったものの、「時間にも余裕があり、なかなか乗る機会もなさそうな路線」という事で急遽このBRT路線に乗車したものでした。


始発の興工街は、かつて大連火車站方面からの有軌電車が、興工街から更に北の沙河口火車站まで続いていた頃の軌道敷を転用した、道路中央のBRT専用乗り場から発着しており、運賃収受も車内精算ではなく、乗り場での支払い(乗車前)となっているのも特徴です。


BRT路線自体も、路面電車や名古屋の基幹2号線の如く、屋根付きの専用停留所が道路中央に設けられている箇所も多く、一部区間はバス専用レーンとして整備され、バス運行の速達化にも貢献していますが、バスレーンと一般車両の車線は柵で仕切られており、バスレーン自体も一部は道路中央ではなく、片端に設けられているのも大きな特徴です。

この様な路線ですので、一般の路線バスに比べて速達性に優れており、車両面でも空調完備の低床専用車両が充当されるなど、大連市内の路線バスとしてのサービスレベルは突出しています。

おまけに全線乗り通すと40~50分程度を要するにも関わらず、運賃は全線1元均一と、現地物価を考慮しても割安に設定されている事もあり、昼間でもかなりの盛況ぶりで、終点近くの一部区間を除けば、常に立席客の姿が見られる程の状況でした。


ちなみにこのBRT路線で充当される低床車両は、丹東黄海とMANの合作車両で、MAKIKYUが目撃した限りでは、長尺の単車と2両連接車の2種類が活躍していました。


両者はデザイン的には類似しているものの、単車と2両連接車で装いを変えているのも大きな特徴です。


見た目だけならば、日本の国産バスよりも見栄えは良いものの、座席は中国の市内公交では典型的な「硬座」ですので、長時間の乗車には余り適さない気がします。


またこの路線の終点・張前北路は、BRT車庫がある以外は、郊外バス路線の幾つかが発着する程度の寂しい所で、特に外国人観光客が立ち寄る見所なども…という雰囲気でした。

興工街からのBRT全区間を単車で乗り通したMAKIKYUは、今度は連接車をチョイスして来た道を途中まで戻り、その後一般路線バスに乗り換えて快軌(中国では少数派の郊外電車で、大連は都市規模の割に公共交通機関のバリエーションが豊富で、今後更に地鉄開業予定もあります)站へと向かったものでしたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も大連を訪問する機会がありましたら、有名な有軌電車乗車と共に、BRT乗車も検討してみては如何でしょうか?



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