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JR西日本・大糸線の列車代行バス~代行輸送でも利便性は…

2012-04-06 | バス[甲信越]

数日前MAKIKYUは青春18きっぷを利用し、新潟県内へ足を運ぶ機会があったのですが、その際には長野県と新潟県に跨り、松本~信濃大町~南小谷(Minami-Otari)~糸魚川間を結ぶJR大糸線にも乗車したものでした。

大糸線は県境近くの南小谷駅を境に、北側がJR西日本が運行する非電化区間、南側がJR東日本が運行する電化区間となっている事は、ご存知の方も多いかと思います。

南小谷駅構内では一応線路こそ繋がっており、過去には気動車列車などがJR東日本区間に直通運転を行っていた事もありますが、今日では南小谷駅を境に全く別の路線と言っても良い状況になっており、輸送量も桁違いと言う有様です。

大糸線のJR西日本管轄区間は一部で大糸北線とも呼ばれ、特に県境を跨ぐ区間は険しい山が迫る山間部で、人口も希薄な地域だけあって列車本数が僅少ですので、なかなか乗り難い路線の一つで、同区間は先月末にJR東日本が岩泉線廃止に関する資料をリリースした際にも、利用人員の少ない路線として名前が挙がっていた程でした。

また1995年に大規模災害に見舞われ、長期不通となった際には、一部では復旧せずに路線廃止になってしまうのではないか…と懸念された程ですが、この時には2年以上もの長期に渡る不通期間を経た後、復旧して今日に至っています。

ただ一時期運行されたシュプール号などの臨時列車設定も近年はなく、基本的に1両のワンマン列車が走るだけになっていますが、それでも近年まで古参のキハ52形気動車が健闘していたこの区間も、車両の老朽化進行に伴う代替で、昨年春に岡山地区から転属したステンレス製気動車に置き換えられるなどの動きがあります。

とはいえ過去に災害によって長期不通になった事がある急峻な山岳部では、2月から雪崩の恐れがあるためとして列車の運休が続き、列車代行バスによる運行となっており、MAKIKYUがこの区間を利用した際にもステンレス製気動車ではなく、列車代行バスに乗車したものでした。

MAKIKYUが今年になってから列車代行バスを利用するのは、先月復旧した身延線に続いて2回目、またJR西日本の列車代行バス利用も、随分前に芸備線備後落合~備後西城間で乗車したのに続いて2回目となります。

個人的には鉄道だけでなくバスも好きで、代行バスとなると狙ってもなかなか乗れない代物、大糸北線自体も過去にキハ52形で2回程利用した事がありますので、代行バスに乗るのも鉄路を走る列車とはまた異なった楽しみもあります。

JRの列車代行バスは、グループのJRバス各社が運行を担う事もありますが、至近にJRバスの営業所等がない場合や、運行台数が多くJRバスで賄えない場合などは、地場の民間事業者などのバスを動員する事も多く、状況次第で一般路線車から貸切車両まで様々な車両が充当されますので、どんな車両がやってくるかは乗る時のお楽しみといった状況です。

大糸線代行バスでは、MAKIKYUが乗車した際には新潟県上越地方に広く路線を持つ頚城自動車(マルケー)グループで、糸魚川に拠点を持ち大糸線の一部区間に並行路線バスも運行する糸魚川バスの一般路線車が充当され、ネット上で大糸線代行バスに関する記事などを見ても、大抵糸魚川バスの一般路線車が充当されている様です。


乗車した車両はラッシュ時間帯の積み残しなどを懸念してか、マルケーグループでは数多く活躍する大型ショート車(車体長約9m:一昔前の大型2種試験車サイズ)ではなく、収容力の大きい大型路線車が動員され、途中ですれ違った車両も同型の車両でした。


大都市圏では最近見かける機会が少なくなった前後扉の2段ステップ車ながらも、平成10年式のいすゞV8エンジンを搭載した車両でしたので、新潟県内では中堅格の部類に入り、さほど古い車両ではありませんが、2+1人がけの座席は、2人がけの座席形状が少々特徴的に感じたものです。

日頃旧年式車に乗りたくても至近のバスは新しい車両ばかり…と言う状況のMAKIKYUとしては、割安な青春18きっぷで大都市圏では退役が続出する年式の車両に約1時間も乗車できる上に、糸魚川バスへの初乗車(その後市内循環線のバスにも乗車したのですが…)も果たせたのは大収穫と感じたものです。

またこのバスはJRグループではない地場の事業者に所属し、行先表示も字幕式であるにも関わらず、方向幕は臨時や貸切、社名表示などではなく「JR代行バス」としっかり表示され、運賃箱も硬貨投入口を塞ぐ形状の乗車券回収箱が設置されるなど、代行バス運行の常態化を見越している雰囲気も感じられたものでした。

MAKIKYUが乗車した大糸線代行バスは、南小谷駅を出発すると各駅に停車して糸魚川を目指しますが、急峻な地形で有名な黒部峡谷とも数十km程度しか離れていない土地だけあり、険しい山中を駆け抜けて行き、バスが進む道路や並行する大糸線の鉄路の至る所にスノーシェッドが見受けられるのは、雪崩多発地帯でもある事を実感させられます。


所々で幹線道路から離れて余所者が通る機会はまずない道や、通常であれば列車で駆け抜ける鉄路を眺めながら並行道路を走るのも、趣味的には代行バスならではの注目点ですが、乗車したバスは途中駅での乗降0、南小谷~糸魚川の全区間を乗り通す乗客が11名だけで、それも旅行者と見受けられる割安な青春18きっぷ利用者が大半を占めており、大糸北線における昼間時間帯の流動が極めて少ない事を実感させられたものでした。

また代行バスは基本的に列車ダイヤで運行するため、バス故に多少の時分変動(遅れ)が発生するとはいえ、大糸線の線路規格やJR西日本名物とも言える徐行運転などが影響してか、列車の運行速度が非常に遅く、途中駅での乗降がない事もあってか、ほぼ定刻と言っても良い状況で運行し、大糸北線では唯一の交換駅になっている根知駅では、2分の時間調整を行う有様でした。


時間調整を行っている間には駅舎併設のトイレに出向きながら、通常の鉄道利用では通り過ぎるだけの根知駅(駅舎外だけですが…)に立ち寄れたのも貴重な機会で、除雪用と見られるディーゼル機関車がホームに停車しているのも目撃でき、代行バスから眺める大糸線の鉄路も除雪が行き届いている雰囲気でしたので、安全が確保できればいつでも運行再開を…という印象を受けたものでした。

根知駅で時間調整を行った代行バスは、その後も糸魚川の一つ手前にある姫川駅を定時で出発し、終点の糸魚川駅にも定刻より指の数以内の遅れ(分)で到着しましたので、MAKIKYUが乗車した限りでは代行バスでも鉄道と利便性に大差なく、それどころか朝の平岩→糸魚川間代行バスでは糸魚川駅から更に糸魚川市役所方面への延長運行を行う告知まで見かけた程でしたので、状況次第では代行バスの方が便利なのかも…と感じてしまった程でした。

またJR側が「雪崩の恐れ」があるためと案内し、代行輸送が続いていた大糸北線は、明日から通常の列車運行に戻る見込みですが、現状ではスノーシェッドの増設や除雪の手間を掛けて列車運行を行うよりも、バスによる代行輸送を行った方が費用面で優位な上に、代行輸送でも利便性はさほど低下しないために、長期に渡る代行輸送を行っているのでは…と感じてしまったものです。
(JR西日本では中国山地の陰陽連絡路線でも、近年冬季運休&代行輸送が常態化している線区が存在し、こちらは代行輸送実施の案内で「タクシーなどによる代行輸送」と告知していますので、大糸線のバス代行はこの路線・区間に比べれば、はるかにマシな状況ですが…)

これでは北陸新幹線延伸&北陸本線並行区間の経営分離後に、存続が議論されるのも無理はない気がしますが、JR大糸線はJR東日本管轄区間でハイブリッド気動車による観光列車も走り、沿線に幾つもの観光地などを抱えています。

現在大糸線の観光列車で運行する際には、電化区間のみを走るハイブリッド気動車も、物理的にはJR西日本区間乗り入れが可能な様ですので、この車両を用いた観光列車運行による活性化策などで、生活流動の少ない大糸北線も、現在のインフラを新幹線開業後にも積極的に活用する方向に動く事を期待したいものです。



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