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JR九州・筑肥線に「305系」を導入~高速バスと競合する路線ながらも…

2014-08-02 | 鉄道[九州・JR]

先日JR九州が筑肥線の電化区間用に新型電車「305系」を導入する事を公式発表し、既に同社ニュースリリースなどで情報をご覧になられた方も少なくないかと思います。
(まだJR九州のニュースリリースを見ておらず、同社HPへアクセスされたい方は、こちらをクリックして下さい)

筑肥線の電化区間(姪浜~筑前前原~唐津)と、出入庫も兼ねて一部列車が延長運行される唐津線唐津~西唐津間は、電化区間の殆どが交流電化となっているJR九州では異例の「直流電化区間」となっています。

JR九州では国鉄から継承した交直両用の一般型電車・415系電車を今日でも多数走らせ、中にはJR東日本で余剰になった車両を後に購入した編成も含まれています。

しかしながら415系は、交直切替区間が存在する下関へ向かう列車に専属で充当する他は、専ら交流電化区間での運行となっており、中には交直切替区間を走る運用とは全く無縁の、鹿児島地区に転属した車両も存在しています。

そのため直流電化区間の筑肥線は、JR九州の他電化区間とは異なる直流専用車での運行となっており、現在福岡県内区間(筑前深江以東)の一部列車で相互直通運転を行っている福岡市営地下鉄の車両が充当される他は、JR九州に所属する2形式の直流専用車での運行となっています。

その中でも303系と呼ばれる車両は、JR九州発足後に導入され、某有名デザイナーの個性が光るステンレス製車両で、相互直通運転先の福岡市営地下鉄空港線内におけるワンマン運転にも対応しています。

しかしながら多数派を占める103系は、同系の中では最末期に導入された「1500番台」と呼ばれる車両ながらも、国鉄から継承した経年車で、基本設計は何十年も前のモノを踏襲していますので、エネルギー効率も芳しいとは言い難く、福岡市営地下鉄空港線内におけるワンマン運転にも対応していません。

おまけに近年では老朽化も災いしてか、時折車両故障も発生し、相互直通運転先の福岡市営地下鉄線内で車両要因による輸送障害が発生した際には、同局ニュースリリースでも「JR車両」と特記される程の有様ですので、筑肥線用に103系代替用車両の登場情報が流れても驚く事はなく、「やっと公式発表が出た」と感じたものでした。


新型車両305系は、現在発表されている概要を見る限りでは、現在JR九州の交流電化線区用に導入している最新型車両・817系を4扉直流電化区間用に設計変更した様に見受けられ、地下鉄直通用という事もあってか、車体断面はすそ絞りの幅広車体ではなく、ストレート断面になっているのも大きな特徴です。
(画像は導入告知記事から転載したものです)

前面は黒く塗られている事もあり、一見すると817系と大差ない車両の様にも見受けられるのですが、6両固定編成で前面貫通扉は専ら非常用という事もあってか、右側に寄せた配置となっており、灯具類は片側2灯ずつ設けられているヘッドライトの大きさが、同一サイズではなく異なっているのも大きな特徴です。


装いは交流電化線区を走る最新型車両・817系の中でも、一部では「白缶」などとも呼ばれ、最近福岡地区で導入されているロングシート車の2000番台(2両編成・写真)・3000番台(3両編成)と同様の真っ白な装いとなっていますが、ニュースリリースを見る限りでは外見だけでなく、白を基調とした車内も同番台に近似した雰囲気となっています。

しかしドア上には近年大都市圏の鉄道では一般的な装備になりつつあるものの、JR九州ではまだ装備車両が見受けられないLCDモニターによる情報案内装置が設置されています。

ドア脇にはこれまたJR他社では良く見かけるものの、JR九州では見る機会のない押しボタン式ドアスイッチが装備されている様に見受けられ、これらは今後更に導入されるであろう817系などにも採用されていくのか気になる所です。


また「白缶」とも呼ばれる817系2000番台・3000番台の座席は、木材をふんだんに活用し、車両内に様々な柄のモケットが見受けられるなど、非常に特徴的な反面、背もたれの腰が当たる部分には湾曲した板が露出しており、一部では「板切れ」「ベンチ」などと呼ばれるなど、賛否両論が激しく繰り広げられる「好みが大きく分かれる座席」です。
(写真は以前「MAKIKYUのページ」でも取り上げた817系2000番台の車内画像を再掲したもので、首都圏の標準軌某大手私鉄が近年導入している「ブカブカした感触の座席」などに比べれば、個人的にはまだ評価できる部類なのですが…)

MAKIKYUは日頃首都圏に身を置く事もあり、「白缶」とも呼ばれる817系2000番台と3000番台には、それぞれ1度ずつ乗車した程度で、頻繁に乗車機会のある車両ではありません。

白缶の座席に関しては、座面はまだしも背もたれに関しては…と感じ、都市圏における短距離列車なら許容できるとは言えども、長時間乗車には余り適さない印象があります。
(福岡都市圏にお住まいで、日頃白缶によく乗車されている方がこの記事をご覧になっている様でしたら、是非同車座席に関する見解を頂ければと思います)

福岡市営地下鉄空港線~JR筑肥線が運行している博多・天神~筑前前原や唐津間は、高割引回数券設定なども行っている昭和自動車の高速バス(いと・しま号/からつ号)とも競合しており、MAKIKYUもいと・しま号には1度乗車した事がありますが、JRはトイレ付きで定時制に優れているという強みこそあるものの、現状でもオールロングシートで設備面での見劣りが否めないと感じています。

その様な状況において、305系が白缶と同種の「板切れ」「ベンチ」などと呼ばれる「好みが大きく分かれる座席」を採用するとなれば、博多・天神~前原・唐津間などを移動する際に、今まで地下鉄~JRを利用していた客層の中に、この座席を敬遠して昭和自動車の高速バスに流れる事例も出てくるのでは…と感じます。

座席の見た目は白缶に類似している様に見受けられても、305系では木材をふんだんに活用した座席に、JR側が何らかの改良を施してくるのか否かも気になる所です。

個人的には305系の座席は余り期待できなさそうに感じているものの、JR九州は他では類を見ない独創的な車両を多数走らせているだけに、営業開始した暁には是非一度乗車してみたいものです。



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16 コメント

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さすがに (6994)
2014-08-02 18:45:09
 関東在住の身としては、来春は青春18きっぷの生存が怪しいので、この車両に乗る機会はまずなさそうです。こんなベンチのような硬い座席に乗るはめになる北九州の方々が、実にお気の毒です。JR九州も早く目を覚ましてほしいです。
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今後を懸念する声もありますが… (MAKIKYU)
2014-08-02 22:28:31
6994様こんばんは。

JR九州では既に817系ロングシート車(通称白缶)で実績のある、木材をふんだんに利用した座席は、某デザイナーが関与した車両ならではの代物ですので、関東で同種座席が出てくる可能性は低そうな気がします。

筑肥線自体も関東に身をおく状況であれば、福岡を訪問した際に相互直通線区の地下鉄空港線内短距離利用(福岡空港~博多~天神など)で乗車する事を除けば、沿線に用務がない限り利用頻度は低い路線かと思います。

そのため6994様が長時間乗車する可能性はかなり低いかと思いますが、この車両の登場発表に際して、特徴的な座席故に今後を懸念する声も散見され、好みが大きく分かれる座席だけに不評の話も数多く出そうですね。

登場予告の出た305系は、実質的に白缶の直流4扉版と言っても過言ではなさそうで、白缶自体も最近登場した車両では、座面のクッションを厚くするなどの改良が施されている様ですが、板がむき出しでせり出した背もたれは相変わらずで、これはこちらも少々問題ありと感じています。

公共交通機関、それも通勤電車ともなれば不特定多数が利用する事も考えると、某デザイナーのお陰で大成功したJR九州と言えども、観光列車の如く強烈な個性と奇抜さで存在をアピールするだけでなく、もう少し万人受けする設備を考えても良いかもしれませんね。
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「白缶」の悪い点まで・・・ (NaCl)
2014-08-03 00:06:10
沿線住民には念願の「白缶」ベースの新車で、JR初のPMSMなど最新技術が採用されていますが、座席だけは最悪そうですね・・・
「白缶」の座席はほとんどが否定的な評価ばかりで、他の車両に「避難」するケースまで発生しているそうです。木材の質感を活かしたデザインは良いのですが、背もたれが板な上に、クッション性皆無、滑ってしまいホールド感もないと、快適性はどうしようもない状況ですね・・・(最近座面は改善されたみたいですが、焼け石に水です・・・)木の使用部分を袖仕切りだけにするなどの工夫をして欲しいですが、水戸岡さんはなぜか座席の快適性には無頓着ですね・・・
賛否が分かれやすいと言われる「赤い電車」の座席は、好意的な評価が大多数なのとは対照的です。(なので筆者を始め、否定的な評価があったのは驚きました)柔らかいと言われることが多いのですが、個人的には弾力が強いせいか極端に柔らかい感じはしませんでした。(座席がへたり気味の古い車両の方が柔らかいと感じます。)
筆者が苦手とする点についてですが、カーブの多い路線を高速で走行することから揺れが大きいため、座面が沈み込む感じがするのかもしれません。
モケットのホールド力が強いため、深く腰掛けると背もたれが強力にホールドし、座面が沈み込む感覚が軽減されるのではと思います。私もアクセス特急でたまに遭遇しますが、深く腰掛けることで、高速走行中でも体が揺さぶられる感覚なく、快適に座れています。
初期A-trainなどにありがちな直角座席だけはどう座っても不快ですが・・・
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Unknown (MAKO)
2014-08-03 22:40:49
こんばんは!
ついに筑肥線に新型車両305系が投入されることになりましたね。

現行の103系1.5Kは、車両故障が珍しくなくなり、特に地下鉄線内ではダイヤが乱れやすくなってきています。

305系投入で、車両故障が減るといいのですが・・・・。


あと、305系にはトイレは設置されるのでしょうか?
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Unknown (車両故障は減りそうです)
2014-08-03 23:40:06
>>MAKOさんへ
303系にトイレが設置されているので、設置されると思われます。
103系の引退により、車両故障が減りそうなのは歓迎できそうです。

305系のベースとなっている「白缶」は水戸岡デザインだけに座席以外の内装は素晴らしいのですが・・・座席が台無しにしているように感じます・・・
外観は、如何にもコスト優先という感じの質素な前面ですね。デザインに定評あるJR九州ですが、何故か普通列車の外観は平凡で味気ないんですよね。JR西日本の方が格好良い気がします。座席も近郊形車両なら素晴らしいです。ロングシートはイマイチですが・・・
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コメントありがとうございます (MAKIKYU)
2014-08-04 00:00:25
皆様こんばんは、管理人MAKIKYUです。
コメントありがとうございます。

>NaCl様
305系は既存「白缶」を地下鉄直通対応の4扉直流区間用に設計変更した車両と言っても過言ではないと思いますので、個人的にも座席は決して高く評価できるものではなさそうに感じています。
ただ一部で「板切れ」「ベンチ」などとも言われている白缶の座席や、様々な所で不評の話をよく聞く初期A-train標準座席(東武50000系列初期車などで採用)も、個人的には首都圏某標準軌大手私鉄が近年続々と導入している「ブカブカした感触の座席」よりはマシと感じています。
「ブカブカした感触の座席」の評価は、こちらの周囲でも高評価している人物も居るものの、A-train以下と評している人物も居ますので、好みが非常に大きく分かれる座席と言う事は確かで、首都圏標準軌某大手私鉄も近年はメーカー標準仕様を多く取り入れた車両を導入する位ですので、もう一歩深度化して座席もメーカー標準仕様にすれば…と感じる所です。
(最近のSバネ入り総合製標準仕様座席は、座面の安定感と硬過ぎない座り心地を両立しており、比較的万人受けするのではと感じています)
また白缶と他車種が併結した場合、他車両の事を「避難車両」と呼ぶ話は他でも聞いた事があります。
彼の地では比較的グレードが高い転換式クロスシート車が主流を占め、白缶同士でなければ転換式クロスシート車と併連するのであれば、座席が「板切れ」でなくても敬遠されるのは止むを得ない面があり、単線で連結両数も限られる福北ゆたか線のラッシュ対策で導入した経緯も考えると、ある程度は致し方ない気もします。
とはいえ中には荒尾~門司港間で白缶2編成併結の快速と言う列車も存在していますので、これはさすがに考え物で、福北ゆたか線の混雑列車以外は、なるべく足の短い列車や短距離利用主体の普通に重点運用するなど、運用面での配慮は…と感じます。

>MAKO様
はじめまして。
103系1500番台の車両故障頻発は、首都圏に居る身でも話を聞く程ですので、現地ではかなり有名な話かと思いますし、使い勝手の悪さやエネルギー効率も考えると、代替は当然かと思います。
新型車導入で故障減少は勿論、性能向上などで一層の安定輸送実現に期待したいものです。
またトイレに関しては発表がありませんが、現在活躍中の筑肥線車両は、福岡市営からの乗り入れ車以外は全てトイレ追設を行っている事や、ラッシュ対策で導入された白缶こと817系2000・3000番台でもでもトイレ付きである事を踏まえると、トイレ付きで登場する可能性が高いと思います。
前原での運用分断増加、以西の短編成化を進め、車庫のある唐津方面には朝晩だけの運行であれば、トイレなしの可能性も否定できないのですが、導入数が6編成もあると、専ら前原・深江以東を走る特定運用に限定する訳にもいかないと思いますので…

>車両故障は減りそうです様
はじめまして。
白缶は座席の不評をよく聞きますし、個人的にも長時間乗車には…と感じる所で、デザイナーの方針で木をふんだんに使う事は構わないと思いますが、乗車時間を考慮すれば板がむき出しの背もたれは改善の余地があると感じます。
また近年のJR九州近郊型は、比較的簡素な造りと感じるのは同感で、高級志向のJR西日本に比べると…という向きもあると思います。
しかしながらデザインで一工夫するだけでも、随分見栄えが変わる事を証明している様にも感じ、首都圏で近年大増殖している安っぽく貧相で没個性的な車両に比べれば…と感じる面もあります。
JR九州のロングシートも、様々な所で不評を聞く白缶を除けば、個人的にはさほど問題はなく、製造メーカーの標準座席を導入するよりは…とも感じています。
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訂正 (NaCl)
2014-08-04 00:38:25
5番目のコメント投稿時に名前とタイトルを書き間違えました。
正しくは名前が「NaCl」、タイトルが「車両故障は減りそうです」です。
失礼しました。
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了解致しました (MAKIKYU)
2014-08-05 00:00:23
NaCl様こんばんは。

訂正の件了解致しました。
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Unknown (尾崎俊史)
2014-08-09 22:45:16
お久しぶりの書き込みです。

確かに車両取り換えで良くなるとは言え、仮に座席が板張りだと、長時間は辛いですね。もっとも、地下鉄乗り入れでそれが可能かどうか気になりますが…
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材質よりも形状が… (MAKIKYU)
2014-08-10 22:34:35
尾崎俊史様こんばんは。

通称「白缶」の座席は、木材を用いた材質の性質に起因する「硬さ」だけでなく、背もたれが湾曲している形状も問題ありと感じています。

背もたれの厚みが比較的薄く、壁面に固定されていない事などが影響し、走行中に背もたれが微妙に動く事で、腰部に硬い合板が当たる事で、非常に違和感を感じるのは困ったものです。

これなら中国などで普及しているプラスチックやステンレス製座席の方がまだ…と感じる程で、地下鉄線内や博多~筑前前原辺りまでならまだ許容範囲かと思いますが、福岡市内~唐津市内の乗車ともなれば、高速バスとの対抗上も芳しくない気がします。
(それでも個人的には首都圏の標準軌某大手私鉄が近年多数導入している、異様に軟らかい「ブカブカした座席」に比べれば、まだマシとは感じているのですが…)

また「白缶」と全く同一の木製座席、おまけに西唐津方1両は床もフローリングとなれば、木材と言う材質故に地下鉄対応のA-A基準に合致できるのかも気になる所で、この事もネット上で結構騒がれていますね。
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