先月末と今月はじめという短い間に、2度関西へ出向いたMAKIKYUですが、今年春の関西は阪神なんば線開業以外にも鉄道関連の話題が目白押しで、先月末には姫路を起点とするJRのローカル線・姫新(Kishin)線で走り始めた新型車両にも乗車する機会がありました。
姫新線で走り始めた新型車両は、キハ127形・キハ122形と呼ばれる新形式で、同線の姫路周辺が運用範囲(概ね兵庫県内)となりますが、JR西日本の車両に詳しい方であればこの形式名を聞いただけで、同社山陰地区で活躍しているJR西日本の新型気動車キハ126形・キハ121形(以下キハ126系列と記します)の後継版と連想される方も居られるかと思います。
車両形式の付番方法が前者は片運転台の2両編成、5を引いた形式を名乗る後者は単行運転可能な両運転台車となっている点は、キハ126形・キハ121形の関係と同様で、キハ127形とキハ122形の両者(以下キハ127系列と記します)は実質的にほぼ同等の車両と言え、3両以上の編成では両形式の併結運転も行われています。
このキハ127系列は気動車でありながらも、電車のシステムを広く取り入れている点をはじめ、ワンマン運転時の車内放送や、何故か前面行先表示の種別部分がスクロールする点(写真の状態では「ワンマン」の文字がスクロールしており、この程度なら文字サイズを小さくして固定表示した方がと感じてしまいますが…)も山陰地区で活躍しているキハ126系列と共通しており、実際に顔を合わせる機会自体が滅多にないとは思いますが、両者の互換性があるのか否かは気になるものです。
こんな事を記すと、キハ127系列は北陸方面の特急で活躍している同社681系・683系電車の様な関係なのでは…と思ってしまう方もいるかと思いますが、車両のデザインは大きく異なっており、キハ126系列は外観も何となく東北地方でよく見かけ、ワンマン運転にも対応する通勤型電車を連想させられ、実用本位の雰囲気が強く感じられますが、これに対してキハ127系列はJR西日本の新型電車そのものといったデザインになっています。
また車内もキハ126系列ではボックスシート主体の座席配置だったのに対し、キハ127系列では新快速で活躍する223系電車や、同社の改装車両でよく見られる転換式クロスシートの座席配置となっています。
そのため内外共に姫路駅で接続する新快速電車に近いイメージとなっており、「新快速もどき」と言っても過言ではない車両と言えますが、これは新快速を見慣れた姫新線沿線の乗客に配慮し、敢えてこの様な車両を製造したのか、それともJR西日本の新標準仕様として、このデザインの車両を今後ローカル用にも導入を進めていくのかも気になる所です。
ただキハ122形同士の2両編成や、3両編成以上での運転時は貫通路を使用して車両間の通り抜けを行うため、前面デザインは非常用貫通路を備えた新快速用223系タイプではなく、岡山地区の快速マリンライナーや福知山地区で活躍する223系と類似したものになっており、客扉も両開き式を採用しながらも、223系の3扉に対して2扉(特に扉増設に対応している様子もなし)になっているなど、探せばラインカラー以外にも新快速用223系とは幾つもの違いが見られます。
車内もワンマン運転時に車内を後ろから前に移動する事も考慮してか、車内の座席は新快速で活躍する223系などとは異なり、2列+1列の座席配置で通路幅を確保できる様になっており、座席モケットの色も赤系統で223系など(茶系統)とは異なるなどの違いも見受けられる他、蛍光灯カバーが省略されている事や、押ボタン式のドアスイッチの形状が異なるなど、こちらも探せば223系との違いが幾つも…という状況です。
この様に「新快速もどき」の印象を受けながらも、探せば223系とは幾つもの違いが見受けられるキハ127系列は、蛍光灯カバーが省略されている点はやや格落ちという感を受けるものの、新快速と比べても遜色ない設備を備えていると言えます。
キハ40系列の国鉄型気動車がノンビリと走り、新快速から乗り継ぐと随分な格差を感じたつい最近までの姫新線姫路近郊の状況を考えると、昨年末に完成した姫路駅高架化と共に、姫新線の大変貌振りを実感させられます。
ただ今年春のダイヤ改正で姫新線姫路周辺を走る車両が、キハ127系列に総取替えとなったとはいえ、まだ高速化工事途上で新系列車両導入による所要時間短縮などは先送りとなっており、また一部駅ホームでは電車並みのキハ127系列床面高さに合わせたホーム嵩上げが完了しておらず、車両側に注意書きを掲示して注意を促す状況になっています。
そのため新形式車両の本領発揮はもう少し先になりますが、姫新線で走り始めたキハ127系列が末永く活躍する事に期待すると共に、ローカル用気動車としては比較的ハイグレードな設備を誇るキハ127系列が、今後他地区でも導入されるのか否かも気になる所です。
写真は姫路駅で発車待ちのキハ127形と、同系車内の様子です。
先だって登場した521系も踏まえると、今後も「223系顔」とも言うべきスタイルがJR西日本の標準になりそうですね。
姫新線の高速化は沿線自治体が長年要望していた物で、それが今回新車導入と共にようやく適った格好です。
こちら(特に京阪神地区)では、なんやかんやで223系の『新快速』に大きなステータスのようなものが確立しつつあり、(話がそれますが)福知山支社管内への223系配備も、地元ではなかなか好評のようです。
今後も新製車は電車・気動車問わず、このスタイル(に準じた物)がどんどん登場しそうな気配です。
>酔扇様
単に223系と同グレードの車両と言うだけであれば、加古川線などに導入されている単行用電車・125系の気動車版でも良いのでしょうが、敢えて223系風のデザインとした辺りは、やはり新快速の影響が大きいと推測しています。
新快速もどきと言っても良いこの車両の登場は、今まで新快速から姫新線に乗り換えた乗客臥、相当な格差を感じていた以前の状況から比べると、大きく改善されていますが、高速化工事はまだ途上段階にあり、この工事完成と共に本領発揮となる事が期待されますね。
>6994様
そちらのご指摘通り姫新線姫路~佐用間はさほどの距離ではなく、ロングシート車やセミクロスシート車(クロス部分はボックス)程度でも充分な気がするのは同感です。
(それも運行列車の過半数は途中の播磨新宮辺りまでの運行ですので…)
それを敢えて転換式クロスシート車とした上に、外観まで223系に似せて「新快速もどき」となっているのは、姫路駅を頻繁に発着する新快速電車の影響が大きいのでは…と感じています。
またJR西日本では閑散線区用キハ120形の後に、山陰地区快速列車用のキハ126系列を導入しており、キハ120形はさすがに2~3時間の乗車ではしんどいものですが、キハ126系列はキハ127系列には劣るものの、地方ローカル輸送には充分な設備を備えていると感じますので、今後JR西日本エリア各地で新型気動車が導入される際には、キハ126系列の増備再開となるのか、それともキハ127系列が増備されるのかも気になる所です。
ただ「ことぶき」「みよしライナー」などの都市間快速列車にもし新車導入となるならば、是非キハ127形の登場を期待したいもので、特に後者は高速バスとの競合も激しいですので、他交通機関との競争力強化という点でも有効かと感じるものです。
ちなみにキハ122・127系の前面が223系風なのは新快速の影響よりも単線トンネルの微気圧波対策であるのと運転機器の取り扱いなどを極力共通化したいという狙いがあるようです。
転換クロスになって快適かなとも思われがちなのですが、車内移動をスムーズにするため3列化したので座席数がキハ40形・47形に比べて2割~5割に減りましたからどうなんでしょう。
小浜線の125系のように座席数減で苦情殺到して地元の追加負担で4列化するような間抜けな事態は避けたいところですけどね。
アーバンネットワーク以外の在来線で新車が導入される際は、今までも自治体負担による高速化などの設備改善とセットになっている事がJR西日本の通例ですので、この車両の導入には地元の意向も…と感じたものですが、トンネル微気圧対策などもあるのですね。
(姫新線兵庫県内区間程度であれば、キハ126形の様な四角い形状でもさほど差し支えなさそうですが…)
また座席数減少の件ですが、姫新線は小浜線に比べて一般的に乗車時間が短い事もありますので、姫路周辺の数駅程度であれば立席でもさほど問題ない気がしますし、昼間であれば車両増結で凌ぐ事も可能な気もしますが、小浜線の2の舞のだけはならない事を願いたいものです。