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惜別・オリエントフェリー「ゆうとぴあ」(4)~シャトルバス編

2016-01-18 | バス[中華人民共和国]

昨年末で残念ながら運航休止となってしまった山口県・下関~中国山東省・青島間を結ぶオリエントフェリー「ゆうとぴあ」は、国際航路で両港共にボーディングブリッジなどを備えていない事もあり、両港でフェリーを上下船する際には、出入国手続きを行う港ターミナルとの間での移動でシャトルバスが用いられていました。

日本側はターミナルビルのバス発着口とフェリー乗下船口との間を徒歩2~3分程度でも移動できる距離ですが、出国後(或いは入国前)の制限区域内という特殊な状況に加え、フェリー周辺で荷役を行う車両などが多数行き交う状況という事もあり、シャトルバスが用いられていました。


車両自体は三菱製小型車の自家用仕様車ながらも、制限区域内のみを運行し公道上を走らない事もあってかナンバープレートなし、車体には「YUTOPIA LINE」の表記もされています。

MAKIKYUが下関港内で乗車したシャトルバスは、1992年(平成4年)製と言う結構な古参、今日では路線バスで乗車する機会もなかなか…という状況になりつつある年式の車両で、オリエントフェリー就航開始よりも前に登場した車両です。


この車両は車内に足を踏み入れるとビックリ、運転席と最後部を除くと座席が全く設けられておらず殆どが立席スペース、おまけにつり革は皆無、手すりも少ない状況で、その上車内は中央部分以外が1段高くなっている状況でした。

元々は通路を挟んで2人がけの座席が両側に並ぶ自家用バスでは一般的な仕様だった車両を何処かから調達、制限区域内シャトルバスとして転用する際に座席を撤去しただけという雰囲気を感じ、これは路線バスなら絶対にありえない、制限区域内シャトルバスならではのゲテモノ車両と感じたものでした。

乗車時間が1分にも満たない極めて短い状況で、乗船旅客数に応じてピストン輸送を行うため、稼働車両は小型車1台だけながらも、輸送力不足と言う事はなく、これで充分という雰囲気を感じたものでした。

また下関港だけでなく、中国側の青島港でも出入国審査を行うイミグレーションのあるターミナルビルと停泊箇所が離れており、こちらもフェリー乗下船口とターミナルビルの間はシャトルバスによる移動となっています。

こちらのシャトルバスは停泊箇所とターミナルビルという2箇所の制限区域間の途中で公道を挟むため、シャトルバス輸送が必然の状況となっており、乗車時間も片道4~5分と下関港よりもずっと長くなっています。

MAKIKYUが以前上海~関西間で就航する国際航路に乗船した際も、上海側は出入国審査を行うイミグレーションのあるターミナルビルと停泊箇所が離れており、この間をシャトルバスで移動、その際は一般路線車両を貸切したバスに乗車したものでした。

ただ青島港では一般路線車両の貸切ではなく、専用塗装で青島港の表記もあるシャトルバス専用車両が用意され、公道上も走行するだけに、こちらは下関港内のシャトルバスと異なりナンバープレート付きとなっています。

青島港では「ゆうとぴあ」以外に威東(Weidong)海運の韓国・仁川航路も発着しており、シャトルバスに「YUTOPIA」表記は見受けられない状況でしたので、威東海運のフェリー乗客向けシャトルバスにも用いられている可能性が高いと思いますが、それでも青島港を発着する国際航路乗客でなければ乗車できない車両ですので、このシャトルバスへの乗車は希少な経験と感じたものでした。


ちなみにMAKIKYUが乗船したシャトルバス車両は、中国の路線バスではありふれた存在の一つとも言える宇通(YUTONG)製のワンステップ車、路線バスではなくシャトルバス専用車という事もあり、運賃箱などの各種ワンマン装備は見受けられない状況でした。

車内画像は撮影していませんが、車内はプラスチック製座席が設けられ、前輪部分は横向き(ロングシート配置)となっているなど、中国国内を走る一般路線のバスとほぼ同等の仕様となっており、座席も手すりも殆どない古参小型バスが活躍する下関港に比べると、車両面ではこちらの方が遥かに上等と感じたものでした。

なお4回に分けて取り上げたオリエントフェリー「ゆうとぴあ」に関する記事は、この記事を持って一区切りとさせて頂きます。

「ゆうとぴあ」は運航休止と謳っていますが、2012年に休航→売船されて実質廃止となった燕京号の様な結末ではなく、他の中古船などを確保して航路復活が実現し、オリエントフェリーに関する続編記事を公開できる日が来る事を願いたいものです。

(お断り)この記事は日本の中国地方と中華人民共和国(中国)の2地域における制限区域内を運行するバスを取り上げた内容になりますが、バス[中華人民共和国]カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。