先日中国鉄路(国鉄)で列車同士の追突事故が発生し、情報が様々な所で流れていますので、ご存知の方も多いかと思います。
情報はまだ部分的に報じられているだけですが、事故は中国南部の温州付近で発生し、多数の死傷者が発生するなどの大惨事となっており、不幸にも亡くなられた乗客の方の冥福を祈ると共に、負傷された乗客の方の回復を願うばかりです。
ところで今回の事故ですが、歴史は浅いものの近年急速な発展を遂げ、瞬く間に世界屈指の高速鉄道網を持つに至った中国鉄路の高速鉄道にとって、史上最大の事故にもなっています。
中国鉄路が高速鉄道を運行開始するに当たっては、日本の新幹線をはじめ、世界で活躍する幾つかの高速鉄道車両を導入し、数編成を輸入した後、大半を技術移転や部品購入によって中国国内で製造しており、この事はご存知の方も多いかと思います。
中国で現在活躍する新幹線車両は、JR東日本の東北新幹線「はやて」などで活躍するE2系電車を、中国向けに仕様変更したもので、彼の地ではCRH2という形式が与えられ、車両の仕様によって更に形式が細分化(中には日本の新幹線では未だに営業用車両が実現していない寝台車も存在しています)されていますが、今回の追突事故で大破した2列車の一方はこのCRH2の一派です。
最近は仕事が多忙な事もあって長期休みが確保できず、中国とはご無沙汰になっているMAKIKYUも、CRH2が走り始めたばかりの頃に乗車した事があり、空を飛ぶ事(航空機への搭乗)が駄目な事もあって行動範囲が限られるMAKIKYUにとって、乗車した事がある数少ない海外の高速列車の一つでもあります。
大いなる可能性を秘めた広大な大陸で、活躍し始めたばかりのCRH2に乗車した際には、新旧様々な客車列車などと肩を並べて活躍する姿に感激したものでしたが、運行開始から僅か数年で今回の事故という大惨事になったのは、非常に残念な限りです。
また日本でも鉄道事故は過去に多数あり、近年でもJR在来線で100名以上の乗客が亡くなった脱線事故という大惨事も記憶に新しい所ですが、新幹線に限って言えば世界の高速鉄道で最長の歴史を誇りながらも、乗客の死亡事故は…という状況ですので、新幹線車両初の死亡事故と言っても過言ではありません。
(厳密に言えば新幹線も飛び込み自殺等以外に、駆け込み乗客がドアに挟まれたまま列車が走行した事で、この乗客が亡くなった事故などはあるのですが…)
今回の事故は複線区間において、前後列車が衝突するという日本の新幹線では非常に考えにくい事故で、新幹線というシステム全体ではなく、車両だけを導入して他のシステムと組み合わせている事も一因と考えられ、原因は現在報じられている情報から推測する限りでは、CRH2の設計や技術面などの車両側ではなく、信号などの保安システムや係員のミスである可能性が濃厚な様ですが、早急な原因究明と共に、同種事故の再発防止を強く願いたいものです。
写真はCRH2が走り始めたばかりの2007年4月に、MAKIKYUがCRH2充当列車に乗車した際に撮影したものです。
(過去に掲載したCRH2関連の記事で使用した画像です)