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高松琴平電気鉄道1200形電車(琴平線)~加速性能が災いして早期引退を迫られた車両ですが…

2009-03-09 | 鉄道[四国]

  

「MAKIKYUのページ」では最近、高松琴平電気鉄道(琴電)で活躍している車両を相次いで取り上げていますが、今日はその中でも先月琴平線に乗車した際に遭遇した車両の一つで、1200形と呼ばれる車両に関して取り上げたいと思います。

この車両は最近琴電に相次いで移籍している元京浜急行車の一派で、京急では700形と呼ばれていた車両ですが、比較的近年まで京急で活躍していたこの車両も、京急では既に全車引退しており、今では琴電で活躍するのみとなっています。

車体長18m車で片開き扉が4つという車両は、現在日本国内各地を走る鉄道を探しても、この車両と京急で今も活躍する800形程度で、片開き4扉という車両自体も他には南海程度、また逆に18m4扉車も大阪市営地下鉄などで見られる位ですので、この点では非常に特徴的な車両と言えます。

また京急では冷房改造の際に4両編成(中間2両が付随車)でしか使えない様になってしまった事(冷房改造以前は中間に付随車1両を挟んだ3両編成での運行も可能でした)もあり、4扉車で乗降性には優れるものの、他車両に比べて加速が劣る車両になっていました。
(ただ京急は懲りないのか、今でも普通車の一部で元快特用2ドア車改造の加速が悪い車両や、クロスシートでドア付近に乗客が集中し、乗降性の悪い車両を運用している有様で、快特に乗車していて前方列車の影響で減速運転を迫られた際には、追い抜いた際にかなりの確率でこれらの車両の姿を見かける有様です)

この事が災いして本線普通では使いにくく、晩年は主に通常は他線区との直通運転がない大師線で運用される状況で、同時期に製造された1000形に比べても、早期の引退を迫られる有様でしたが、琴電へ移籍する際には4両固定編成ではさすがに使い難い(一応琴平線なら物理的には可能ですが…)事もあって先頭車同士の2両に短縮されています。

先頭車同士の2両で譲渡となると、単純に考えれば電動車2両という事になり、元々高加速・高速運転で知られる鉄道の車両だけに、相当な加速性能を誇る事になりますが、さすがにそれは琴電では性能過剰という事もあり、一部のモーターを外して電動車1両相当の性能に落としているのも特徴で、加速性能の悪さが災いして早期の引退を迫られた車両が、加速性能を落とす改造を施されて譲渡されるとは皮肉なものです。

またこの改造以外にもブレーキ装置の変更(琴電既存車両との併結に対応する為:今はイベント用となっている旧型釣り掛け駆動車との併結も可)や、座席モケット・床材・つり革の交換等が実施されていますので、乗った時の感触は京急時代とは少々異なる印象を受けますが、車内は首都圏他私鉄からの移籍車(この車両も下回りは元京急ですが…)程には大きく手を加えられていませんので、何となく京急時代の面影を感じるものです。

この1200形は現在琴平線では最大勢力を誇る主力車両として活躍しており、同線を利用する際には先日取り上げた1080形と共に遭遇頻度も高く、「京急琴平線」とでも呼びたくなる現在の琴平線を象徴する存在と言えますが、かつては急曲線にあるホーム対策で3扉車の中扉を埋めて2扉車に改造した車両を走らせていた路線で、4扉車が堂々と走る姿は琴電も随分変わったものと感じさせられます。
(ただ4扉車導入も3扉車では対応できないと言うよりは、たまたま譲渡対象の車両が4扉車だったという事が大きい様ですが…)

ラッシュ時間帯の4両運転時には2扉元快特用で、京急時代は対照的な存在だった1070形(元京急(旧)600形)と併結して活躍する姿も見られ、興味深いものがありますが、現在琴平線で活躍する1200形は同線の多数派だけに、琴平線標準塗装以外に「しあわせさんこんぴらさん号」と呼ばれる黄色一色の派手な装いとなった車両や、広告電車となった車両も存在するなど、カラーバリエーションの豊富さも大きな特徴といえます。

写真は琴平線標準塗装と「しあわせさんこんぴらさん号」の1200形、同形車内の様子です。