「MAKIKYUのページ」では先月に一度、中国の「四川省・沙湾を走る市内公共汽車」という記事を公開したものの、記事中で取り上げたバスの終点・草*具を起点に走る鉄道に関しては、近日中に別途取り上げたいと…と記事中で記しながら、なかなか取り上げる事が出来ませんでしたので、今日取り上げたいと思います。
この鉄道は沙湾という四川省の省都・成都から200km程離れた田舎町の外れ、街の中心部から川を隔てた草*具という所を基点に、老鉱線と向陽線の2路線が運行されている通称ナローゲージと呼ばれる軌道幅762mmの軽便鉄道で、MAKIKYUは昨年夏に四川省を訪問した際に乗車したのですが、沿線に炭鉱が存在し、この貨物輸送が主体の鉄道ながら、旅客列車も運行されています。
小規模な鉄道ながら路線は両路線共に電化されており、旅客列車も凸形の電気機関車が客車を牽引して運行されますが、客車は窓も座席も全くない非常に質素な2軸車が使われているのが大きな特徴で、車両によっては出入口が全く設けられていないなどかなり特徴的ですが、2軸車だけあって居住性はお世辞にも褒められるものではなく、某国のとある路線で走っている平日朝10時までの一部車両(異様に扉数の多い車両)どころか、一日中全車両が無座というのも、極めて異例と言えます。
その上軌道状態も見るからに貧弱な感がありますし、おまけに走行中は電気機関車のパンタグラフから青白い火花と異音を放ちながらという有様でしたので、こんな鉄道は現代の日本では絶対に考えられませんし、広大な中国といえどもこの様な鉄道はあまり事例がないかと思いますので、印象はなかなか強烈で快適とは程遠く、自転車並みの鈍足ながらもダイナミック過ぎる乗り心地は、とても21世紀の現代を走る鉄道とは思えませんが、乗車時間も短いだけあって、なかなか面白いものでした。
また沙湾からさほど遠くない石渓という所(沙湾からはバスを乗り継いで、3~4時間程で行けます)を走り、軽便SLが牽引する旅客列車が走る事で有名な芭石鉄路(「MAKIKYUのページ」でも以前、この鉄道に関する記事を何度か取り上げています)などと異なり、余り観光客が入り込まない事もあってか、路線や沿線の雰囲気も余り観光化されていない点も魅力ですが、運賃は1乗車5角(0.5元:昨年乗車時の値段です)と割安ながら、外国人だと分かると6倍の3元(といっても、専用の乗車券が用意されている訳ではなく、単に乗車券を6枚渡されるだけです)を徴収される点は要注意です。
写真は始発駅である草*具駅の様子と乗車中のワンシーン(この写真のみ昨年夏の旅行記記事にて既公開)、停車中の客車外観と車内の様子です。
あと沙湾の軽便鉄道に関しては、近日中に続編も公開したいと思います。
*具=「土」へんに「具」です。