ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

攻守交替となるか?!ソフトバンクとドコモ、それぞれのスマホ戦略

2011年07月29日 | モバイル
ガラケーからスマホへの民族大移動は、携帯3社の決算にも大きな影響を与えたようだ。2011年4~6月期連結決算はiPhoneが好調なソフトバンクやスマートフォンへの取り組みがうまくいったdocomoは前年同期比で1割以上増えたものの、スマートフォンの投入が遅れたKDDIは減益、さらには1契約者あたりのデータ通信収入ではついにソフトバンクに抜かれる結果となった。

 携帯大手3社決算、スマートフォンで明暗 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

しかしその一方で、日経新聞は「ソフトバンク、早くも岐路に立つスマホ戦略」という記事を書いている。

 ソフトバンク、早くも岐路に立つスマホ戦略 :記者の目 :企業 :マーケット :日本経済新聞

ポイントをピックアップすると、

・スマホ利用者の特性として音声ARPUは低下
・データ通信ARPUは定額制をとっているため伸び代に限界がある
・スマホのトラヒックが増大しているが、ヘビーユーザーの利用に偏っている
・成長を目指すためには、1)ヘビーユーザーに対しての定額制→従量制への転換、2)デジタルフォトフレームといった新市場の開拓が必要

となる。

これは決してソフトバンクの問題だけではなく、PCインターネットの世界に近いスマートフォンが中心になる以上は、docomoもauも他人事ではないだろう。auがスマートフォンに出遅れた理由はまさにこの問題への対抗策がなかったからだと言っていい。

ガラケーの場合、あらゆるサービスの主導権を通信キャリアが握っている(た)といっていい。キャリア課金を利用した公式サイトを通じて、着うた/うたフル、アプリやゲーム、コミックが提供され、ポータルサイトをキャリアが提供することで勝手サイトへの流出もある程度抑えこむことができた。通信キャリアが主導で経済圏を創りだすことができた。

しかしiPhoneはそうではない。

apple側からの制約が多く、しかもappStore、iTSはApple主導のサービスだ。ソフトバンクの口出す余地はない。つまりiPhoneではキャリアはただのインフラ以外の何者でもないのだ。これまではソフトバンク的にもガラケーからスマートフォンへと競争軸を変えることで、シェアを拡大し、優位なポジショニングを獲得するに重きを置いていたのだろう。iPhoneブランドは絶大だ。競合が対抗策を繰り出してくる前に一気果敢に攻めればよかった。そしてそれは成功した。

これに対しdocomoはandroidを軸にガラケーの持っていた「便利な」サービスやコンテンツホルダーの協力を得ながら通信キャリア手動のプラットフォームを整備してきた。

ワンセグ、Bluetooth、おサイフケータイといったガラケーでは一般的となっている機能を搭載し、ドコモマーケット上でキャリア課金でコンテンツを提供できる仕組みも用意した。単純な「インフラ」としての役割だけでなく、ARPUを伸ばすためのプラットフォームや機能も合わせて用意したのだ。

また現時点では3GであるFOMAでの提供となっているが、冬モデルくらいからは3.9G/4Gと呼ばれるXiに対応したスマホも発売されるだろう。このFOMAからXiへの進化というのは、利用者にとっては通信速度が早くなるということになるが、通信キャリアからすると、電波帯域の利用効率を上げることが可能になる。

電波というのは有限の資産だ。そこにどれだけ多くの利用者を伝播するか、利用者の満足を維持しつつやり利用効率を高めるかというのは大きな問題だ。それによって同じ定額制であっても、利益率を高めていくことが可能となるのだから。


iPhoneという切り札を得て一気に攻め込んできたソフトバンク。しかしそれ故のハードルが見え始めてきている。スマートフォンでは先行されたものの、インフラ、ビジネスモデル両面を抑えながら着々と体制を整えてきたdocomo。といっても、ガラケーに比べれば端末の魅力もサービス面での充実もまた洗練されたとは言えない。auはauで端末面の遅れを、もともと得意だったコンテンツやサービスの強化でしのごうとしている。スマートフォンをめぐる戦いはまだまだこれからなのだろう。



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