ジャックニコルソンのくしゃくしゃに笑う表情に改めて人間臭い演技もピカイチだなぁと感心する。余命6ヶ月を宣告された立場の異なる男が死ぬ前に( before we kick the bucket )やり残したことを楽しむための旅に出る。ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの名優2人が温かみのある演技を人生の最期を描いてくれる良作。
最高の人生とは「自分を認めてくれる人がいるかで決まる」のだ。
【予告編】
最高の人生の見つけ方 予告編
【あらすじ】
46年の間、家族のためにひたすら働いてきた自動車整備工カーター・チェンバース(モーガン・フリーマン)。彼は学生時代、哲学の教授から勧められ“棺おけリスト”を作ったことがあった。それは、自分たちが棺おけに入る前に、やりたいこと、見たいものすべてを書き出したリストのことだった。とはいえ、カーターの前には現実という壁が立ちはだかった。結婚、子供、さまざまな責任。そのうち“棺おけリスト”は、そのチャンスを失ったという苦い思い出と、仕事の合間に時折思い出す程度の空想に変わっていた。一方、会社を大きくすることに人生のすべてをつぎ込んできた大金持ちの実業家エドワード・コール(ジャック・ニコルソン)。多忙な人生を過ごしてきた彼は、企業買収や美味しいコーヒーを飲むこと以上に、より深く自分が求めているものについて考えることさえできなかった……。(「最高の人生の見つけ方 | Movie Walker」より)
【レビュー】
生き方も立場も異なる2人が、人生という旅路の中で偶然に交差し、影響を受けあい、これまで自らでは省みなかったものに気付き、よりよき人生に目覚める――。言ってしまうと、王道中の王道といった展開。しかしこの作品の凄いところは、そのその主人公の二人が余命6ヶ月という終末期であることと、そのための装置として「The Bucket List」が用いられたことだろう。
The Bucket List。正確な訳は知らないけれど、死ぬ前に( before we kick the bucket )やり残していること、したいことを書き起こしたリストのことだ。
もし仮に自分の人生が後、数か月で終わるとしたら、果たして残りの人生に何をしたいと考えるだろう。あるいは(できるできないは別として)自分の人生で何をしたかったと考えるだろう。こんな質問を受けると困ってしまう。あれが欲しい、これが欲しいといった即物的な欲求なのか、旅行に行きたいといった体験的な欲求なのか、精神的な充足を求めるのか、家族や友人などとの親密な時間の共有なのか…
実業家として成功を収めているエドワード(ジャック・ニコルソン)は勤勉家で節度のあるカーター(モーガン・フリーマン)が書き記した「The Bucket List」を見つける。そこには「荘厳な景色を見る」、「赤の他人に親切にする」、「涙が出るほど笑う」といった言葉が書き記されている。それをみたエドワードは、自分のやり残していること(「スカイダイビングをする」、「マスタングを乗り回す」、「世界一の美女にキスをする」等)を書き加える。
異なる生き方と異なる欲望。
それでもカーターがエドワードとともに旅に出たのは、カーター自身が家族のために自らを犠牲にしてきたという思いがあったからだろう。妻・バージニアのそれでもまだ家族のために癌と闘うことを望む姿が、自らの人生を見つめ返ししたいという想いに駆らせたのだろう。
エドワードにしても、世界各地を回る中で様々な知識や考え方を示してくれるカーターの存在は、唯我独尊的な世界で生きてきたエドワードの考え方に影響を与え始める。
「あなたは誰かに喜びを与えてきたか」
カーターからの問いに「他人がどう思うかはわからない」と応えるエドワード。それは自らの奥に隠してきた「娘への想い」に再び対峙することになる。
旅を通じて、カーターは再び、妻・バージニアや家族への想いを再確認し、彼らの元へと戻っていく。そしてエドワードは元の生活に戻ろうとするが、そこには虚しさしかない。彼も旅を通じて、自らの正直な気持ちに気付いてしまったのだ。そしてエドワードは娘のもとへと向かう…
この物語は良質な物語だと思う。と、同時にもう一つ物足りなさを感じてしまう。僕らが本当に死を意識するときに、果たして何を求めるだろうか。結果的に家族や友人など「自分を認めてくれる人」がいることが幸せなのだということはわかる。しかし現実にはそう簡単ではない。
娘に許しを請うことを求めたエドワード。死期が近い父に娘も許すかもしれない。しかしあの旅でエドワードが変わったとしても、何年もの間抱えたわだかまりや関係が一瞬ですべて解決することは難しいだろう。エドワードはカーターにはなれないのだ。その上で、それでも満足した、納得したと言えるためには何が必要だったのか。100%思い通りになるとは限らない人生の中で、それでも「最高の人生」だったと思えるための物語がここにはない。すべてがHAPPY ENDの物語などただのおとぎ話でしかないのだ。
【評価】
総合:★★★★☆
ジャックニコルソンの愛おしい演技!:★★★★★
物語ができすぎてます:★★★☆☆
最高の人生の見つけ方 [Blu-ray]
CNN.co.jp : 「死ぬ前にしたいこと」を書こう 世界400カ所にボード設置 - (1/2)
最高の人生とは「自分を認めてくれる人がいるかで決まる」のだ。
【予告編】
最高の人生の見つけ方 予告編
【あらすじ】
46年の間、家族のためにひたすら働いてきた自動車整備工カーター・チェンバース(モーガン・フリーマン)。彼は学生時代、哲学の教授から勧められ“棺おけリスト”を作ったことがあった。それは、自分たちが棺おけに入る前に、やりたいこと、見たいものすべてを書き出したリストのことだった。とはいえ、カーターの前には現実という壁が立ちはだかった。結婚、子供、さまざまな責任。そのうち“棺おけリスト”は、そのチャンスを失ったという苦い思い出と、仕事の合間に時折思い出す程度の空想に変わっていた。一方、会社を大きくすることに人生のすべてをつぎ込んできた大金持ちの実業家エドワード・コール(ジャック・ニコルソン)。多忙な人生を過ごしてきた彼は、企業買収や美味しいコーヒーを飲むこと以上に、より深く自分が求めているものについて考えることさえできなかった……。(「最高の人生の見つけ方 | Movie Walker」より)
【レビュー】
生き方も立場も異なる2人が、人生という旅路の中で偶然に交差し、影響を受けあい、これまで自らでは省みなかったものに気付き、よりよき人生に目覚める――。言ってしまうと、王道中の王道といった展開。しかしこの作品の凄いところは、そのその主人公の二人が余命6ヶ月という終末期であることと、そのための装置として「The Bucket List」が用いられたことだろう。
The Bucket List。正確な訳は知らないけれど、死ぬ前に( before we kick the bucket )やり残していること、したいことを書き起こしたリストのことだ。
もし仮に自分の人生が後、数か月で終わるとしたら、果たして残りの人生に何をしたいと考えるだろう。あるいは(できるできないは別として)自分の人生で何をしたかったと考えるだろう。こんな質問を受けると困ってしまう。あれが欲しい、これが欲しいといった即物的な欲求なのか、旅行に行きたいといった体験的な欲求なのか、精神的な充足を求めるのか、家族や友人などとの親密な時間の共有なのか…
実業家として成功を収めているエドワード(ジャック・ニコルソン)は勤勉家で節度のあるカーター(モーガン・フリーマン)が書き記した「The Bucket List」を見つける。そこには「荘厳な景色を見る」、「赤の他人に親切にする」、「涙が出るほど笑う」といった言葉が書き記されている。それをみたエドワードは、自分のやり残していること(「スカイダイビングをする」、「マスタングを乗り回す」、「世界一の美女にキスをする」等)を書き加える。
異なる生き方と異なる欲望。
それでもカーターがエドワードとともに旅に出たのは、カーター自身が家族のために自らを犠牲にしてきたという思いがあったからだろう。妻・バージニアのそれでもまだ家族のために癌と闘うことを望む姿が、自らの人生を見つめ返ししたいという想いに駆らせたのだろう。
エドワードにしても、世界各地を回る中で様々な知識や考え方を示してくれるカーターの存在は、唯我独尊的な世界で生きてきたエドワードの考え方に影響を与え始める。
「あなたは誰かに喜びを与えてきたか」
カーターからの問いに「他人がどう思うかはわからない」と応えるエドワード。それは自らの奥に隠してきた「娘への想い」に再び対峙することになる。
旅を通じて、カーターは再び、妻・バージニアや家族への想いを再確認し、彼らの元へと戻っていく。そしてエドワードは元の生活に戻ろうとするが、そこには虚しさしかない。彼も旅を通じて、自らの正直な気持ちに気付いてしまったのだ。そしてエドワードは娘のもとへと向かう…
この物語は良質な物語だと思う。と、同時にもう一つ物足りなさを感じてしまう。僕らが本当に死を意識するときに、果たして何を求めるだろうか。結果的に家族や友人など「自分を認めてくれる人」がいることが幸せなのだということはわかる。しかし現実にはそう簡単ではない。
娘に許しを請うことを求めたエドワード。死期が近い父に娘も許すかもしれない。しかしあの旅でエドワードが変わったとしても、何年もの間抱えたわだかまりや関係が一瞬ですべて解決することは難しいだろう。エドワードはカーターにはなれないのだ。その上で、それでも満足した、納得したと言えるためには何が必要だったのか。100%思い通りになるとは限らない人生の中で、それでも「最高の人生」だったと思えるための物語がここにはない。すべてがHAPPY ENDの物語などただのおとぎ話でしかないのだ。
【評価】
総合:★★★★☆
ジャックニコルソンの愛おしい演技!:★★★★★
物語ができすぎてます:★★★☆☆
最高の人生の見つけ方 [Blu-ray]
CNN.co.jp : 「死ぬ前にしたいこと」を書こう 世界400カ所にボード設置 - (1/2)
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