山崎豊子の名作「沈まぬ太陽」が映画化。新潮文庫でも5巻に及ぶ大作で映画化は困難といわれていた作品。日本アカデミー賞受賞作ということなのだが、やはり原作を読んだ人間からすると正直・・・大作だということで、どうしてもストーリーを追いかけるだけになってしまい、人物描写や会社や労組の(権力)闘争の様など、十分に描けているとはいえない。小説を読んでない人には見ごたえがあるかもしれないが、小説を読んでいる人間 . . . 本文を読む
1977年に公開されたウッディ・アレンの傑作恋愛コメディ。ウッディ・アレン節が炸裂し、単なる恋愛コメディでは終わらない「深み」や「味わい」に溢れている。「ハンナとその姉妹」や「ギター弾きの恋」など名作は数多くあるものの、その実験性や叙情性など「アニーホール」はその中でも別格。ダイアン・キートンの魅力もたっぷりで、アカデミー最優秀作品賞受賞作品。
【予告編】
ANNIE HALL - HQ Tra . . . 本文を読む
「ゆれる」で複雑な兄弟の関係を描いた西川美和が、「無医村」問題をモチーフに「善意」と「正しさ」の狭間を描いた日本アカデミー最優秀脚本賞受賞作。「ゆれる」のようなキリキリとする緊張感はないものの、それだけに僕らの日常が無意識に「伊野」を追い込む姿は笑えないものがある。キャッチコピーは「その嘘は、罪ですか。」、果たして被害者は誰なのか――。
【あらすじ】
山間の小さな村のただ一人の医師、伊野(笑福 . . . 本文を読む
写真でもみているかのような美しいカット割りが、その残酷さと対をなす。スタイリッシュでありながら、キリキリとしめ付けられるような痛み。1度罪を犯したものはどこまでも許されることはないのか、あるいは罪を犯していない人々の悪意は許されるのか。アンドリュー・ガーフィールド主演、ジョン・クローリー監督の考えさせられる秀作。
【予告編】
Boy A - Trailer
【あらすじ】
24歳のジャック( . . . 本文を読む
昨年後半から今年にかけて2人の坂本龍馬が登場した。「JIN -仁-」で登場した内野聖陽が扮する坂本龍馬と大河ドラマ「龍馬伝」の福山雅治の坂本龍馬だ。視聴率はともに好調のようだが、こと「坂本龍馬」という役どころで見るとどうだろう。内野龍馬の「男臭さ」や「がむしゃらさ」、「人を引きつける魅力」に満ちているに対して、福山龍馬はどうだろう。坂本龍馬的な魅力やイメージと程遠いのではないか。
坂本龍馬のイメ . . . 本文を読む
構想14年、製作4年、「ターミネーター」「タイタニック」など幾つものハリウッド大作をヒットさせたジェームズ・キャメロンが仕掛けた本格的3D映画。やはりこれは映画館で見なければならないだろうう。ストーリー上の仕掛けもよく出来ている。脚を負傷した人間が仮想状況で完全な身体を獲得する、外見が全く異なるナヴィの人々との交流を図るためにナヴィと人間のDNAを組み合わせたアバターを登場させる、などなど。アメリ . . . 本文を読む
「トレインスポッティング」や「普通じゃない」「28日後…」などスタイリッシュな映像で、独自のエンターテイメント作品を生み続けるダニー・ボイルと「フルモンティ」でオスカーにノミネートされたサイモン・ボーファイがインドを舞台に疾走感溢れる映像で作り上げた一級エンターテイメント作品。第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門を受賞と圧勝。その魅力はどこにあるのだろうか。
【予告編】
映画『スラムドッ . . . 本文を読む
「ベルリン 天使の詩」再見。ヴェンダースの映画が眠いのは仕方がないことだとして、それでもどうしてもその良さがピンとこなかった作品が「ベルリン 天使の詩」。おそらく日本でもっとも有名なヴィム・ヴェンダース作品であり、ニコラス・ケイジとメグ・ライアンの演じた「シティ・オブ・エンジェル」の元ネタにもなった作品。2009年の締めにもう一度見てみたのだが…
【予告編】
Wings Of Desire - . . . 本文を読む
相変わらずのウディ・アレンらしいテーマ。「ウディ・アレンの重罪と軽罪」を彷彿させつつ、皮肉めいた笑いはなく、シリアスに人間のもつ「業」や「欲深さ」、「罪」について考えさせられる作品。もちろん主人公・クリス追った「罪」についてはもちろん、しかし、本当にウディアレンが描いたのは、「罪」の意識さえもたない人々の姿だったのではないか――思わずそんな風に感じてしまう。「アニー・ホール」や「ハンナとその姉妹」 . . . 本文を読む
ウォン・カーウァイの映画を初めて観たのは「恋する惑星」だった。スタイリッシュな映像。ポップな音楽。しかも初めての心斎橋でのミニシアター体験!ハリウッドとも日本のトレンディドラマとも違う新しい感覚にわくわくしたことを覚えている。ただし本当にウォン・カーウァイにはまったのは、「恋する惑星」でも「天使の涙」でもなく、どちらかというともっと泥臭い「欲望の翼」。ウォン・カーウァイらしさが固まる以前の、もっと . . . 本文を読む
生きているということ。愛しい人を亡くすということ。それでも生きていかなければならないということ。河瀬直美監督の「もがりの森」では、遺された者がもう1度「生きていく」ために必要な時間――「喪の時間」を丹念に描いていく。「おくりびと」より深い、「生」と「死」のつながりの物語。2007年度カンヌ国際映画祭グランプリ(審査員特別賞)を受賞作。
殯の森 予告編
殯(もがり)の森
【ストーリー】
奈 . . . 本文を読む
クリント・イーストウッドの最後の出演作ということもあってか、また監督としての実績からか前評判どおりの良作。作品自体は意外とオーソドックスな作品ながら、笑いあり、涙あり、全く退屈するところがない。遠く離れた父親にちょっと電話でもしてみようかな、と素直に思ってしまった。
【「グラン・トリノ」予告編】
【あらすじ】
朝鮮戦争の帰還兵ウォルト・コワルスキーはフォード社を退職し、妻も亡くなりマンネリ化 . . . 本文を読む
「ミリオンダラー・ベイビー」で脚本を、「クラッシュ」では監督を務めたポール・ハギスがイラク帰還兵の実話をもとに描いた重厚な人間ドラマ。主演のトミー・リー・ジョーンズはもちろん、シャーリーズ・セロンやスーザン・サランドンの演技が、脚本の見事さをさらに引き立てる。この映画を見た後で、我々は「正義のため」の戦争を肯定できるのだろうか。
【映画『告発のとき』予告編】
【ストーリー】
2004年、 . . . 本文を読む
「ハッシュ!」以降、うつ病などもあって活動が止まっていた橋口亮輔監督の新作。何よりも、こんな風に年をとれればいいなぁ、結婚をするのも悪くないかもなぁ、と思える映画。どこにでもいそうなあるカップルの10年を通じて、しかし橋口亮輔監督の射程は激動の90年代という時代の背後にあった深い断絶や僕らをとらえている強迫観念をすくいとる。木村多江とリリー・フランキーという異色カップルを通じて、生きることの「希望 . . . 本文を読む
小泉今日子の枯れた笑顔がなんともこの映画の雰囲気とマッチする。夢や希望や、そういった輝かしい時間が過ぎ去った後でも僕らは生きていかねばならず、そういった人生の残り舞台の中にでも悦びはあるのだと、その笑顔は語りかけているように…「ニュータウン」という未来、その輝かしい時間が過ぎ去った後の「家族の再生」と「母と娘」の関係を描いた秀作。
【「空中庭園」予告編】
【あらすじ】
郊外の団地に住む京橋 . . . 本文を読む