たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

チョイ雪ハイクのつもりで赤城の荒山へ。表通りに期待したほどの雪はなかったが、裏通りの下りには少々手こずった。

2020年12月31日 | 近所の群馬県の山
◎2020年12月27日(日)

姫百合駐車場(7:33)……展望の広場(8:23~8:30)……荒山(9:02~9:16)……前浅間山(9:45)……軽井沢峠分岐(9:53)……休憩(10:21~10:33)……上の避難小屋(10:37)……荒山高原(11:09)……駐車場(11:37)

 数日前まで、太田から見える赤城山は真っ白だった。それが徐々に薄れ、白い部分は黒檜山だけになって見えていたが、最新のネット記事では荒山あたりには雪があるようだ。もとより、混雑の黒檜、駒ヶ岳に行くつもりはなく、荒山、鍋割で間に合わせるつもりでいた。歩く自信がないということもある。滝見ばかりしていて、まともな山歩きは10月末の高ジョッキ以来だし、2か月のブランクではまともに歩けるわけがない。滝見に出かけても、ちょっと傾斜のある登りに入るとすぐに息切れがしていた。
 鍋割山をどうするか少し悩んでいた。あそこも混雑の山だが、荒山だけでは物足りない。そんな悩みも、考えてみればまっとうに歩けることが前提であって、そういう状態ではないことへの自覚はすっかり飛んでいる。せいぜい、荒山を先行して歩ければ、鍋割山は楽勝だろうという思いしかなく、むしろ、陽が上がってしまうと、鍋割山頂手前が泥濘になってしまうなぁといったことを心配したりしていた。

(荒山高原登山口)


(かろうじて雪は残っているが、ここは日陰だ)


 姫百合駐車場に雪はなかったが、登山口を見ると、若干の積雪があって凍結している。履物は<登山靴+チェーンスパイク>よりもスパ長の方が良いみたいだ。これは直感でしかなく、チェーンスパイクの着脱が面倒なこともあるが、登山靴よりも地下タビと長靴歩きを贔屓目にしている潜在意識の現れだろう。まだ時間が早い(7時半)せいか、駐車場には車が15台もない。意外な感じはしたが、ハイカーが少ないに越したことはない。

(展望の広場への分岐。ここの雪は消えている)


(雪はまばらに散ってはいるが路面は凍結している)


 案の定、登り始めてすぐに息切れがやってきた。これは約束事のようなものだからいいとして、息切れピークを越えるまでがつらい。幸いにも前後を歩くハイカーは、さっき早々に下って来た、スカーフで口と鼻を覆ったネエチャン以外にいない。適当に立ち休みを繰り返した。展望の広場・荒山方面の標識に合わせて、荒山高原に向かう道から離れる。気がつけば、すでに登山道には雪はなく、周囲に雪が散らばっているだけだ。ここであっさりストックを出してしまい、すでに汗をかいていたので上着は脱いだ。
 ゆっくり登ればいいだろうという手もあるが、それは理屈で、息切れするのは同じ。自分の場合、むしろ、あそこまでガツガツ登っては立ち休みといった、小刻みに歩いている方が楽で、それが若い頃から身に着いた歩きだ。ただ、「あそこまで」に達するまでに休む回数が多くなっている。これは心肺と筋肉の働きの老化があるから仕方がない。ともかく、息切れが落ち着くまで我慢するしかない。

(あの尾根に登りたかったのだが…)


(展望の広場)


 いつもなら、とうに後続者に追い越されているが、今回は珍しくハイカーの姿はなかった。何度も、左の尾根に上がりたい衝動にかられる。地図を見れば、尾根は途中から傾斜が急になり、さらに、展望の広場のさらに先に出てしまう。登山道を歩いている方が楽に決まっている。
 登山道に雪が出てきて展望の広場に着いた。雪の量は少なくて堅く、雪が消えているところもあるが、雪の上を歩けるだけでも今日はラッキーで、それが目的で来ている。しかしいつも思うが、ここの「展望の広場」から展望を楽しんだことはない。標識のある周辺はヤブに囲まれていて展望はない。命名された頃は抜群の展望地だったのだろう。

(皮肉にも広場の上が展望地。浅間山)


(富士山アップ)


(鍋割山と浅間山)


 荒山に向かう。しばらく登ってから振り返ると鍋割山の頭が見え出し、その左に富士山が見えた。この富士山の雪、今年はやけに少ないが、この翌日以降のライブカメラでは大分積雪が多くなっていたものの、まだ薄化粧で真っ白ではない。できれば年内に富士山見物に行きたいものだがどんなものだろう。年末から年始にかけて日本海側は大荒れらしく、さりとて、太平洋側は晴天とはいっても、富士山すっきりの天気という保証もない。赤城からでは富士山は遠くて小さ過ぎる。浅間山は真っ白だ。

(荒山)


(真下になっても雪は少ない)


(雪の多い時は、このロープも見えないか凍ってへばり付いている)


 登山道の雪は気まぐれになり、そのうちに雪は消えたが、時間的に直射のあたる前だから、歩いていてザクザクと音がするのは小気味よい。雪は荒山直下で復活した。とはいっても、そのままの凍結で、新雪ではない。いくつかあるロープも、上から下まですべてが露出している。

(鍋割山山頂。雪があったのでほっとした)


(山頂の展望地から)


(同じく)


 荒山山頂に到着。備え付けの寒暖計は0℃。よくここまで登れたものだと我ながら感心した。息切れのピークはすでに終わり、普通の息切れになっていた。幸いにも山頂周辺には雪が残っていて、雪の山に来たといった感慨はそれなりにある。ラッセルしてここまで来ることは、今の自分にはおそらくはできはしまい。地肌が見えていないだけでも満足。
 しばらく山頂をぶらついて、展望を楽しんだが、さて、問題はこれからの歩きだ。定番では、ひさし岩からの景色を眺めて荒山高原に戻り、鍋割山に向かうものだろうが、どうもハイカーの多い鍋割山は敬遠したい気持ちが改めて起きた。だからといって、荒山高原からそのまま姫百合駐車場に戻るのでは寂しい。せめてその分の距離を稼ぎ歩きたい。地図を広げる。ひさし岩方面はここから南東に下るが、北東に破線路が続き、軽井沢峠の方まで続いている。山頂の標識を見ると、そちら方面を指す標識はない。あくまでも物好き向きの破線路のようだ。そちらに行くと、北側ゆえに雪は深そうだが複数のトレースがあった。尾根通しのようだし下れるようだ。こちらを行ってみよう。どうせ、いずれは軽井沢峠手前から西に方向を変え、いずれひさし岩経由の道に合流する。

(北東に下る。この時点では踏み跡も入り乱れている)


(地蔵岳が正面に)


(方向的には袈裟丸だが)


 いきなりの急斜面だった。雪に隠れた岩やら石がやっかいだ。樹につかまって下る。なぜか、複数あったトレースは一人分になっていた。それも反対方向の上り使用。あるだけでも安心はする。雪は深いとはいっても長靴が没しないから30cmくらいか。長靴のスパイクはすでに効かない。石の上ではズルっといく。ここでこけたら、右は急斜面になっているから要注意。傾斜が緩くなって振り返る。こちらから荒山には登りたくはないなと思った。息切れどころでは済まないと思う。いや、むしろ、雪があるからには上り使用が安全かもしれない。

(一人分トレースの尾根歩き)


(トレースは尾根から外れて左の林に避け歩きをしている)


(下って来た荒山を振り返る。表通りからの山容と全然違う)


(鞍部の歩き。先の小高いピークが覗いている。先行者のトレースは、完全に尾根を歩かずに左になっている)


(しつこく振り返って。それほど、短い区間ながらもプチ雪山歩きを楽しめた)


(ピークに到着)


(「前浅間山」とあった)


(この標識を見るハイカーは年間を通じても少ないだろう)


 一時的に平らな尾根歩きになった。なぜか、トレースが消えたり復活したりしている。気になってトレースを追ってみると、左の樹林帯に逃げた歩きをしている。確かに、この尾根を荒山への上りに使えば、雪が深い尾根上の歩きは避けるだろう。今だから、自分は尾根筋に下ってはいるが、赤城山全体が真っ白の時は、少なくともこの辺はどこを歩いてもラッセルを強いられ、大腿筋がパンパンになるのは確実。
 緩やかな尾根の先に小高い丘が見えた。その先に地蔵岳が間近に見える。ピークに着くと、「前浅間山」の標識があった。荒山と軽井沢峠に向けた標柱も置かれている。この前浅間山だが、初めて知った。前浅間があれば、後浅間なり本浅間もあるのだろうが、そんな山があるかどうかは赤城山によく来るわりにはまったく知らない。そんなことよりも標識があるのでほっとした。ここから軽井沢峠方面に南東に下れば良いだけのこと。ただ、ここに至っても、件の足跡は一人分だけのままだった。

(雪が消えての下り)


(途中から荒山)


(あっという間にふれあい道に合流)


 下る。間もなく登山道の雪は消えた。道型ははっきりしているので問題なく下れる。そして標識が複数置かれた鞍部に到着。ふれあい道が入り込んでいるから標識も整備されている。軽井沢峠までは200m、牛首峠までは600m。ここは雪が残っていて、踏み跡もかなりあるが、大方は軽井沢峠方面から来て、小沼への周回のようだ。ここから荒山に向かう人は稀だ。標識で不思議に思ったのは荒山方面の表示。消費カロリーまで出ているが、荒山までは標高差160m。同経由で荒山高原までは210mとあった。この差の50m、荒山から荒山高原まで、それほどの登り返しがあったのか首を傾げてしまう。それはともかく、荒山高原への巻き道標識はないが、赤城温泉方面に行けばいいのだろう。少なくとも5~6人分のトレースが向かっていた。繰り返しになるが、ここのコースを歩くハイカーはいても、前浅間山を経由して荒山に登る人はいず、大方が雪上トレッキングということになりそうだ。

(荒山高原に向かう)


(まだ、雪道は続く)


(結構、アップダウンはある)


 トレースがしっかりあるふれあい道。ひさし岩から下ると目に付く東屋、これは休憩舎かと思っていたが、「上の避難小屋」という名称になっているのを赤城ハイキングマップで初めて知ったが、「下の避難小屋」がどこにあるのかマップを眺めても記されていないのはともかくとして、いつもひさし岩経由で下るから、この区間は初めて歩いている。意外にも起伏があった。
 GPSを見て、そろそろひさし岩からの合流点に近づくようで、その手前で休憩した。おにぎりを食べて一服。ふれあい道にはまだ雪がある。苔の着いた石に腰かけたが、まもなくじんわりと水気を尻に感じた。乾いた石ではなかった。ズボンの下にはヒートテックを履いていたが、パンツまで浸み込み、家に着いても濡れていた。

(上の避難小屋。右からひさし岩からのコースが下っている)


 歩き再開で避難小屋。ここで、反対側からやって来る青年に出会った。上の方からは人声が聞こえ、遠くからは銃声もかすかに聞こえる。もうそんな時期なのか。確かに滝見ばかりしていたら、ハンターの気配を感じることはなかった。

(荒山高原へ)


(そして荒山高原。とはいっても、高原の看板は大分先からあった)


(鍋割山方面)


 もう起伏はない。鍋割山に行くのも余裕かななんて頭をかすめる。いや、やはりやめておこう。混んでいるところは極力避けたい。若いモンが自覚もないままに簡単に運ぶウィルスで年寄りはあっさりと重症化して逝く。ましてニコチン中毒で肺機能は常人よりも弱くなっている。外食から離れてかなり久しい。それだけ神経質になっている。時間は早いが、そのまま姫百合駐車場に下ろう。
 荒山高原に近づき、人声が聞こえてくる。マスクをするのはあからさまで息苦しくもなるので、手ぬぐいを取り出して、口と鼻を覆って首の後ろで結わえる。これだけでもすぐに息苦しくなったが自己防衛だ。
 荒山高原には休んでいる二人と、これから荒山に向かうつもりらしい二人だけ。鍋割山にどれくらいの人出がいるのか見当もつかないが、意外にハイカーの姿は少ないようだ。途中で何人かと出会った。10月に行った黒檜山ではマスクをしている人も結構いたが、登って来る人にマスクをしている方はいない。むしろ、手ぬぐいを巻いた自分が異色かもしれない。それよりも気になったのが長靴姿のネエチャン。これが結構いる。チェーンスパイクを着けて歩くネエチャンの登山靴は決まって真新しい。いつしか、これが定番のスタイルになっているが、長靴にせよ、地下タビにせよ、自分で歩きやすけりゃそれでいいが、長靴のネエチャンの方に親近感を覚える。

(下りで。画像処理をしたわけではない。以前、こんな矢印は見なかった。事故でもあったのだろうか)


(日向に雪山の風景はない)


(降雪がなければ、ここも明日には雪もないだろう)


(姫百合駐車場)


 風穴で出会ったオッサンと立ち話をした。ネエチャンを3人引き連れていた。先週、ここを登ったら吹雪だったそうな。雪のハイクでもそれだけは勘弁だ。
 姫百合駐車場に到着。満車かと思ったら、結構空きがあった。だったら、鍋割山に寄ってもよかったかなと思ったが、ここまで来たらどうにもならない。今季初のスノーハイクは半端な形だったが、荒山から先の前浅間山区間の歩きは、短時間ながらも、軽い雪山歩きをした感じがして楽しかった。定番コースを歩いていたら、鍋割山には雪はないようで、失敗したようだで終わったかもしれない。

(今回の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« これでラストにしておこうと... | トップ | 2020年の山納めは赤雪山と仙... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (瀑泉)
2020-12-31 22:37:34
その先週の20日は、吹雪の中を黒檜山~篭山まで歩いておりましたヨ(笑)。
まぁ、16日の寒波と20日の気圧の谷の影響で、21・2日は雪も多かったでしょうケドね。その後の快晴続きで、日当たりの良い場所はすっかり融けてしまったのでしょう。
それはさておき前浅間山、自分も初めて知りました。以前、地蔵岳から荒山まで繋いでみたいと思ったりもしましたが、此処は名のある山だったのですネ。今度、荒山を登るときは参考にさせていただきますヨ。
さて、今年も色々ありましたが、おかげさまで無事に年を越せそうです。
たそがれオヤジさんも、是非、良い年をお迎えください。
返信する
瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2021-01-02 07:31:24
瀑泉さん、引き続きのコメントありがとうございます。
そうですか。吹雪の中を歩かれましたか。それは勘弁ですが、今回は雪が少なくて物足りなかったですね。ここ数日の間にまた積もったようですけどね。
瀑泉さんも前浅間山はご存知なかったですか。前浅間からは正面に、意外に近く地蔵岳は見えましたが、地図を見る限りは、どうしてもふれあい道やら車道を歩かないと、途中に沢があるようで、なかなかやっかいそうな気がします。
瀑泉さんのことですからどういう歩き方をするのか期待しておりますよ。できれば、前浅間の北側尾根を歩いていただきたいところです。
遅ればせながら、瀑泉さんもよいお年を。
返信する

コメントを投稿

近所の群馬県の山」カテゴリの最新記事