◎2021年1月16日(土)
大洞駐車場(9:38)……地蔵岳(10:26~10:33)……八丁峠(10:53)……小滝(11:57~12:14)……長七郎山分岐(12:39)……小沼水門(12:42)……八丁峠(13:00)……大洞駐車場(13:17)
氷瀑は趣味ではないが、昨年の一月に長七郎山から遠回りしておとぎの森経由で小沼に出た際、何か見忘れているようなすっきりしない気分がずっと続いていて、その時は思い出せなかったが、それは粕川の上流にある<小滝>の氷瀑だった。これは瀑泉さんのブログで知った氷瀑で、それが頭の片隅にありながらも思い出せなかった。そんな経緯があったので、この氷瀑だけは見ておきたかった。すぐに行くつもりが、この一年後になってしまった。氷瀑見物だけでは物足りないだろうと、地蔵岳と長七郎山を加えることにする。その時点では、瀑泉さんとは反対歩きながらも、小滝の氷瀑にはすんなり行けると思っていた。つまりは、雪はあったとしても踏み跡くらいはあるだろうという甘い考えだ。この甘さは先日の雨乞山歩きの時と何ら変わらない。
姫百合駐車場を過ぎると路面が一部、凍結していた。雪道と凍結路を走る自信はないので遅い時間に出発したのだが、一部とはいえ慎重にならざるを得ない。特に、新坂平手前からの下りのカーブ。幸いにも、先行車がいらつくくらいの低速で走ってくれたのでトラブルもなく大洞駐車場に到着。車は12~13台だが、次々に入ってくる。天気は今のところ晴れ。午後からは崩れる予報になっている。登山靴と軽アイゼンは用意していたが、やはり雪が少ないのでスパ長にした。雪が多いに越したことはないが、それは登山道のトレースがしっかりあるという前提であって、雨乞山のように、登山道を歩いているようでラッセルもどきになってしまうようではたまらない。だが、今日の赤城山は雪が少な過ぎやしないか。車道も凍結はあっても着雪はなかった。
(地蔵岳登山口)
(自分には、結構きつかった)
車道を少し戻って地蔵岳登山口。ここを上りに使うのは初めてかもしれない。二年前に下り使用で途中から分かれて新坂平駐車場に出たことはある。雪はそれなりにあって、地肌は見えていない。正直のところきつい。登り一辺倒だ。早々に息が上がって汗ばみ、上のジャケットは脱ぐ。今回もまたワークマンズボンだが、今日は気温が上がるということでヒートテックを履いてはいないが、それでも下半身も汗が溜まり出している。気になるのが、後ろからすぐに登って来た二人連れで、早いとこ先に行って欲しいところだが、振り返るといつの間にか姿は見えなくなっている。こちらがハイペースでもないのに珍しいこともあるものだ。結局、山頂までだれとも会うことはなかった。
(緩やかになって電波塔が見え出した)
(覚満淵と鳥居峠が見える)
(黒檜山、駒ヶ岳、大沼)
(地蔵岳山頂)
(大沼の、着雪のない部分は立入禁止ではないのかねぇ)
(地蔵岳から下る)
立ち休みを繰り返し、ようやく左に方向転換して傾斜も緩やかになった。山頂の電波塔も一基見えている。ここで息切れピークも峠を越えて地蔵岳に到着。ハーハーしながら山頂からの景色を眺める。赤城神社を見て違和感があったが、見慣れた大沼の景色は、地蔵岳からは逆向きだった。道路沿いからテントを張ったワカサギ釣りはいくつか見えていたが、ここからでは小さ過ぎるのか見えない。全面凍結というわけでもないみたいだ。黒く見えるところは薄氷ではないのか。晴れてはいるが、いくらか雲量も多くなって、遠望はぼんやりしている。日光方面は見えないし、武尊方面はシルエットだ。石に腰をかける。一服吸う気にはならない。呼吸が落ち着いたところでセルフ撮りをしてさっさと退散。地蔵岳にして正解だったかもしれない。おそらく、黒檜と駒ヶ岳コースは相応に密の状態だろう。姫百合駐車場にも15台ほどの車があった。
(小沼。中央が長七郎山で左が小地蔵岳かと思う。自信はない)
(覚満淵と小沼)
(階段が続く。こちら登りが楽かもしれない)
(二股の広場。左が大洞駐車場方面になる。帰路でここに戻ってくる)
(八丁峠。この先は通行止めになっている)
小沼方面に下って行くと、4人ほどとすれ違った。男性はそろってサングラスをかけている。確かに陽の下では雪の白さがまぶしい。自分もと、久しぶりにサングラスを出した。木の階段が続く下り。広場に出た。ここからスキー場、つまりは大洞駐車場に続く道が分岐する。そのまま行くと車道に出た。路肩に車が一台。赤城山観光マップを広げるとこの車道は県道16号線・大胡赤城線で、標識看板には八丁峠とある。赤城温泉方面はゲートが閉まっていて冬季通行止め。この車道をスノーシューで歩いた覚えがある。帰ってから調べると、16年前に高木らと地蔵岳に登っている。メモには積雪1mとあった。ここで、頭の中の地図、位置関係が混乱し、小滝まで続くことになる。方向音痴というのは治るものではない。
(車道歩き)
(ふれあい道も、この先がどうなっているのかわからなかった)
(車道に戻ると正面に荒山)
(右に地獄谷分岐。行ったことはない。と思う)
ゲートを越えて赤城温泉方面に車道を歩く。左に「血の池」の標識があった。血の池には行ったことがないので寄り道をしたかったが、池そのものは年中、水を湛えているわけでもないらしく、行って、ただの雪原ではつまらない。標識を見ると、ふれあい道の窪みが車道に並行してあったので、これを利用しようかと車道から外れ、血の池とは反対方向に向かう。
窪みはあったものの、トレースもないままにふれあい道はヤブに吸収され、道型も少なくとも四方には目に入らず、結局、車道に戻ることになった。あわよくばこれを使えるかと思っていただけに当てが外れた。
車道をまっすぐに行くと、正面に三角形のピークが見えた。山の形からして、疑問もなく鈴ヶ岳と思ったものだが、南西に歩いているのにそんなことがあるわけがない。マップを見ると荒山だった。なるほど、先日登った荒山も、北東側から見るとあの形だったなと思い出す。
(かすかな踏み跡と道型を見つけて逆方向に戻る)
(ハイキングコースだった。この時点で戻り過ぎだったかもしれない)
車道を歩き過ぎているような気がした。それでいて、左側に入り込む標識も足跡もない。ここまであった標識は、さっきの血の池と、右手に向かう「地獄谷」。ふと、左に道型が見えた。何日か前に人が歩いたような窪みも残っている。先に行き過ぎているから、これで戻る。すぐに<荒山3>の樹に打ち付けられた標識を見かけた。ここで頭の中の地図がつながった。これはふれあい道で、荒山方面に向かえば軽井沢峠に出る。先日の荒山からの下りで軽井沢峠からの道に出ていた。だが、このふれあい道も小沼に向かう道であって、小滝に向かう道ではない。ではあっても、ふれあい道なら、小滝に向かう道も分岐しているはずだと楽観的になった。
(ヤブ入り。雪が少なくて幸い)
(地図上の崖マーク地帯には、こんな溝があちこちにあって紛らわしい)
(ここを行こうとしてやめた)
小滝のある場所は大体わかっていた。小沼からの沢(これが粕川の本流かと思う)に別沢が合流する付近だ。周囲は広範囲な崖マークになっている。その崖マークに沿って回り込んで小滝に出るつもりでいるのだが、気になってGPSを観ると、すでに崖マーク部分からは離れていて、つまり戻り過ぎになっている。ふれあい道に期待したのがいけなかったようで、分岐道やら、分岐する踏み跡もなかった。こうなったらヤブを漕いで崖マークに近づくしかないわけだ。雪が少なくて幸いだった。
万事、うまくいくわけがない。この辺が崖状のところかと思ったら、地形が複雑で、小尾根をはさんで、深い沢型が二本あったりしていて、いずれが地図上の崖地なのか。このままヤブを歩いていけば、またどんどん離れて行きかねないし、さりとて、沢に下りてしまえば、雪も積もっていて、思わぬ障害に出遭うことになるかもしれない。
(まばらながらも、彼の残したトレースが心強かった)
(足跡は消え、どこをどう歩いているのかわからなくなる。この先で左右が溝になる)
(ここを下って沢に出ようとしたが)
(堰堤があった。左から容易に巻けた)
思案しながら、結局はGPSを確認しながらの歩きになったが、ヤブの中を歩いて行くと、何と、進行右手10mほど離れたところを人が歩いて来る。コンニチワと大声を出すと、彼はキョロキョロして自分に気づかないので、こちらから近づく。話を聞けば、小滝からの帰りとのこと。恥を忍んでこのまま行っていいのか尋ねた。大方は想像の通りで安心した。最後は沢に下りるとのことだったが。
ヤブの中の雪ながらも、彼の足跡はところどころで確認できたが、そのうちに雪がなくなりわからなくなった。左右に沢型。いずれにしても沢に下るからにはどちらかを選ばねばならないが、この先で両沢が合流しているようだ。ここは安全そうな右を選んだが、左が正解だったようだ。右から回り込むと、堰堤にぶちあたった。堰堤は容易に巻けたが、沢には水がしっかりと流れていた。
(こんな広い湿地帯に出た。写真の中央正面から下って来るのが安全ルートらしい)
(すぐに左に行くと堰堤。沢を間違えた。戻る)
(そして小滝の氷瀑)
渡渉というほどのレベルの水量ではないが、長靴だから歩きに支障はまったくない。出たところは、広い湿地帯といった感じ。反対側から人の声が聞こえた。ちらりと姿が見えた。小尾根を登っている。ほっとした。滝見の帰りだろう。小滝がここにあることだけは確かだ。
沢を上流に向かうとまた堰堤。どうもおかしい。GPSで確認すると、別沢を歩いていた。戻る。そしてもう一方の沢へ。前方に小滝の氷瀑が見えた。ようやく着いたか。方向感覚のずれたおかしな歩きになってしまったが、ここに来るには、やはり長七郎山側から来た方が無難だろう。自分が歩いたから言えることだが、ここから地蔵岳側に行くのなら、崖地沿いにはこだわらず、そして幾多もある沢型からはさっさと離れ、北に向かうようにすれば、すんなりとふれあい道なり車道に出られるかと思う。
(氷瀑のメイン部分)
(右側)
(滝の落ち口のようだ)
(今にも落ちてきそうだ)
(周囲が茶色だからへばりついているような感じだ)
(左側はかなり落ちている)
(本体部のアップ)
(この氷柱は気に入った)
氷瀑見物者は3人いた。ため息をつきながら眺めている。自分もしばらく見入ったが、本体左右の氷柱の崩れが気になった。下に広範囲に堆積している。おそらく数日前はもっと幅があったかもしれない。現に、左側のむき出しの地層は、今しがた露出したばかりといった感じで、周囲の岩盤や地層とは様相が異なっている。それにしても見事な氷瀑だ。次第に人が増え、写真を撮ってはさっさと帰って行く。周囲に人がいなくなってから、石に腰かけ、滝を見ながらゆっくりと一服つけた。この滝は凍っていない時はどうなのだろう。小滝という名前からして、そして上でチョロチョロ流れている水の様子を見ると、大して見映えする滝とは思えない。
(ここを登った)
(上はズルズルだった)
(上がった小尾根も崩壊しつつあるのだろう)
(小尾根から)
(本尾根からも見えていた)
下流に行けば安全に上の小尾根に戻れそうなルートがあるようだし、現に来た時に、そこを登って行く人たちの姿が見えた。だが、滝からすぐの斜面に、直に下った足跡があったので木につかまりながら登った。上は砂礫になっていて歩きづらかった。細い尾根を登り返すと、やたらとテープがある出口でオトギの森に続くふれあい道に出た。ここからでも小滝の氷瀑は小さいながらも見えている。昨年、ここを歩いた時、当然、崩壊した谷間を眺めたろうに、何で気づかなかったのだろう。
しばらく行くと、単独氏が下りて来た。小滝はこの先でいいのかと聞かれ、得意気に道順を教えてやったが、急斜面下りのことは言わなかった。そのまま先に行けば、安全地帯から下れるとアドバイス。その安全地帯を自分は見ていない。
(この時点で、長七郎山はどうしようか迷っていた)
(長七郎山分岐。パス)
長七郎山分岐に着いた。長七郎山まで700m、500mの二種類の標識が間近に置かれている。ここから標高差は100mもないし、急なところもない。行くのは容易だがやめた。特別な理由はない。面倒くささもある。氷結の小沼を渡りたいだけ。そうなると長七郎山はピストンになる。大回りすれば鳥居峠に出て小沼は渡れない。そのまま水門に向かった。
(小沼の水門)
(小沼を歩きながら地蔵岳)
(こういうところは避けた)
(黒檜と駒ヶ岳。とにかく暗い)
湖上を歩く姿が3人。雪がつかずに透明な氷になっているところはやはり避ける。ドボンは死につながる。前回のように長い距離を歩いてもよかったが、あまりそうする意義を感じず、左側を歩いて、そのまま湖畔の遊歩道に上がった。その頃から、雪がポツラポツラと落ちてきた。見上げると空の青みはすっかり取れ、寒々とした濃い灰色になっている。
(八丁峠に戻る)
(駐車場への帰路)
八丁峠に出てスキー場方面に向かう。雪はいよいよ本降りになり、ジャケットを着るのも面倒で、帽子をかぶっているからいいかと、フリースのままで行く。自然に早足になり、先行者をかわす。
(スキー場)
(帰り支度のファミリーが多い)
(大洞駐車場に到着)
スキー場にはソリ滑りやスキーを楽しむ子供たちが結構いる。それを見守ったり、いっしょに遊んでいるパパとママ。ここのゲレンデ、上に雪はなく、雪遊びできるのは下の広場だけだ。雪が降ってきたせいか、帰り支度をしているファミリーが目立つ。
駐車場に到着。車がかなり少なくなっている。自分の歩きは遅いが、4時間も歩いていない。出発が遅かったのを棚に上げ、みんな地蔵岳と見晴山でおしまいだったのだろうかと不思議に思う。あるいはワカサギだったのか。
帰路、姫百合駐車場に近づくと雪は雨になり、前橋市内に入ると天気雨になっていた。たいして歩いたわけでもない。雪も少なかった。満足とはいえないまでも、目的は小滝の氷瀑だったわけで、いつもよりはちんまりした氷瀑になっていたとしても、それを見ただけでも十分だ。赤城山は気軽に雪山気分を楽しめるから密な山にもなる。今季はこれで終わりにしていいだろう。
(今回の軌跡)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
大洞駐車場(9:38)……地蔵岳(10:26~10:33)……八丁峠(10:53)……小滝(11:57~12:14)……長七郎山分岐(12:39)……小沼水門(12:42)……八丁峠(13:00)……大洞駐車場(13:17)
氷瀑は趣味ではないが、昨年の一月に長七郎山から遠回りしておとぎの森経由で小沼に出た際、何か見忘れているようなすっきりしない気分がずっと続いていて、その時は思い出せなかったが、それは粕川の上流にある<小滝>の氷瀑だった。これは瀑泉さんのブログで知った氷瀑で、それが頭の片隅にありながらも思い出せなかった。そんな経緯があったので、この氷瀑だけは見ておきたかった。すぐに行くつもりが、この一年後になってしまった。氷瀑見物だけでは物足りないだろうと、地蔵岳と長七郎山を加えることにする。その時点では、瀑泉さんとは反対歩きながらも、小滝の氷瀑にはすんなり行けると思っていた。つまりは、雪はあったとしても踏み跡くらいはあるだろうという甘い考えだ。この甘さは先日の雨乞山歩きの時と何ら変わらない。
姫百合駐車場を過ぎると路面が一部、凍結していた。雪道と凍結路を走る自信はないので遅い時間に出発したのだが、一部とはいえ慎重にならざるを得ない。特に、新坂平手前からの下りのカーブ。幸いにも、先行車がいらつくくらいの低速で走ってくれたのでトラブルもなく大洞駐車場に到着。車は12~13台だが、次々に入ってくる。天気は今のところ晴れ。午後からは崩れる予報になっている。登山靴と軽アイゼンは用意していたが、やはり雪が少ないのでスパ長にした。雪が多いに越したことはないが、それは登山道のトレースがしっかりあるという前提であって、雨乞山のように、登山道を歩いているようでラッセルもどきになってしまうようではたまらない。だが、今日の赤城山は雪が少な過ぎやしないか。車道も凍結はあっても着雪はなかった。
(地蔵岳登山口)
(自分には、結構きつかった)
車道を少し戻って地蔵岳登山口。ここを上りに使うのは初めてかもしれない。二年前に下り使用で途中から分かれて新坂平駐車場に出たことはある。雪はそれなりにあって、地肌は見えていない。正直のところきつい。登り一辺倒だ。早々に息が上がって汗ばみ、上のジャケットは脱ぐ。今回もまたワークマンズボンだが、今日は気温が上がるということでヒートテックを履いてはいないが、それでも下半身も汗が溜まり出している。気になるのが、後ろからすぐに登って来た二人連れで、早いとこ先に行って欲しいところだが、振り返るといつの間にか姿は見えなくなっている。こちらがハイペースでもないのに珍しいこともあるものだ。結局、山頂までだれとも会うことはなかった。
(緩やかになって電波塔が見え出した)
(覚満淵と鳥居峠が見える)
(黒檜山、駒ヶ岳、大沼)
(地蔵岳山頂)
(大沼の、着雪のない部分は立入禁止ではないのかねぇ)
(地蔵岳から下る)
立ち休みを繰り返し、ようやく左に方向転換して傾斜も緩やかになった。山頂の電波塔も一基見えている。ここで息切れピークも峠を越えて地蔵岳に到着。ハーハーしながら山頂からの景色を眺める。赤城神社を見て違和感があったが、見慣れた大沼の景色は、地蔵岳からは逆向きだった。道路沿いからテントを張ったワカサギ釣りはいくつか見えていたが、ここからでは小さ過ぎるのか見えない。全面凍結というわけでもないみたいだ。黒く見えるところは薄氷ではないのか。晴れてはいるが、いくらか雲量も多くなって、遠望はぼんやりしている。日光方面は見えないし、武尊方面はシルエットだ。石に腰をかける。一服吸う気にはならない。呼吸が落ち着いたところでセルフ撮りをしてさっさと退散。地蔵岳にして正解だったかもしれない。おそらく、黒檜と駒ヶ岳コースは相応に密の状態だろう。姫百合駐車場にも15台ほどの車があった。
(小沼。中央が長七郎山で左が小地蔵岳かと思う。自信はない)
(覚満淵と小沼)
(階段が続く。こちら登りが楽かもしれない)
(二股の広場。左が大洞駐車場方面になる。帰路でここに戻ってくる)
(八丁峠。この先は通行止めになっている)
小沼方面に下って行くと、4人ほどとすれ違った。男性はそろってサングラスをかけている。確かに陽の下では雪の白さがまぶしい。自分もと、久しぶりにサングラスを出した。木の階段が続く下り。広場に出た。ここからスキー場、つまりは大洞駐車場に続く道が分岐する。そのまま行くと車道に出た。路肩に車が一台。赤城山観光マップを広げるとこの車道は県道16号線・大胡赤城線で、標識看板には八丁峠とある。赤城温泉方面はゲートが閉まっていて冬季通行止め。この車道をスノーシューで歩いた覚えがある。帰ってから調べると、16年前に高木らと地蔵岳に登っている。メモには積雪1mとあった。ここで、頭の中の地図、位置関係が混乱し、小滝まで続くことになる。方向音痴というのは治るものではない。
(車道歩き)
(ふれあい道も、この先がどうなっているのかわからなかった)
(車道に戻ると正面に荒山)
(右に地獄谷分岐。行ったことはない。と思う)
ゲートを越えて赤城温泉方面に車道を歩く。左に「血の池」の標識があった。血の池には行ったことがないので寄り道をしたかったが、池そのものは年中、水を湛えているわけでもないらしく、行って、ただの雪原ではつまらない。標識を見ると、ふれあい道の窪みが車道に並行してあったので、これを利用しようかと車道から外れ、血の池とは反対方向に向かう。
窪みはあったものの、トレースもないままにふれあい道はヤブに吸収され、道型も少なくとも四方には目に入らず、結局、車道に戻ることになった。あわよくばこれを使えるかと思っていただけに当てが外れた。
車道をまっすぐに行くと、正面に三角形のピークが見えた。山の形からして、疑問もなく鈴ヶ岳と思ったものだが、南西に歩いているのにそんなことがあるわけがない。マップを見ると荒山だった。なるほど、先日登った荒山も、北東側から見るとあの形だったなと思い出す。
(かすかな踏み跡と道型を見つけて逆方向に戻る)
(ハイキングコースだった。この時点で戻り過ぎだったかもしれない)
車道を歩き過ぎているような気がした。それでいて、左側に入り込む標識も足跡もない。ここまであった標識は、さっきの血の池と、右手に向かう「地獄谷」。ふと、左に道型が見えた。何日か前に人が歩いたような窪みも残っている。先に行き過ぎているから、これで戻る。すぐに<荒山3>の樹に打ち付けられた標識を見かけた。ここで頭の中の地図がつながった。これはふれあい道で、荒山方面に向かえば軽井沢峠に出る。先日の荒山からの下りで軽井沢峠からの道に出ていた。だが、このふれあい道も小沼に向かう道であって、小滝に向かう道ではない。ではあっても、ふれあい道なら、小滝に向かう道も分岐しているはずだと楽観的になった。
(ヤブ入り。雪が少なくて幸い)
(地図上の崖マーク地帯には、こんな溝があちこちにあって紛らわしい)
(ここを行こうとしてやめた)
小滝のある場所は大体わかっていた。小沼からの沢(これが粕川の本流かと思う)に別沢が合流する付近だ。周囲は広範囲な崖マークになっている。その崖マークに沿って回り込んで小滝に出るつもりでいるのだが、気になってGPSを観ると、すでに崖マーク部分からは離れていて、つまり戻り過ぎになっている。ふれあい道に期待したのがいけなかったようで、分岐道やら、分岐する踏み跡もなかった。こうなったらヤブを漕いで崖マークに近づくしかないわけだ。雪が少なくて幸いだった。
万事、うまくいくわけがない。この辺が崖状のところかと思ったら、地形が複雑で、小尾根をはさんで、深い沢型が二本あったりしていて、いずれが地図上の崖地なのか。このままヤブを歩いていけば、またどんどん離れて行きかねないし、さりとて、沢に下りてしまえば、雪も積もっていて、思わぬ障害に出遭うことになるかもしれない。
(まばらながらも、彼の残したトレースが心強かった)
(足跡は消え、どこをどう歩いているのかわからなくなる。この先で左右が溝になる)
(ここを下って沢に出ようとしたが)
(堰堤があった。左から容易に巻けた)
思案しながら、結局はGPSを確認しながらの歩きになったが、ヤブの中を歩いて行くと、何と、進行右手10mほど離れたところを人が歩いて来る。コンニチワと大声を出すと、彼はキョロキョロして自分に気づかないので、こちらから近づく。話を聞けば、小滝からの帰りとのこと。恥を忍んでこのまま行っていいのか尋ねた。大方は想像の通りで安心した。最後は沢に下りるとのことだったが。
ヤブの中の雪ながらも、彼の足跡はところどころで確認できたが、そのうちに雪がなくなりわからなくなった。左右に沢型。いずれにしても沢に下るからにはどちらかを選ばねばならないが、この先で両沢が合流しているようだ。ここは安全そうな右を選んだが、左が正解だったようだ。右から回り込むと、堰堤にぶちあたった。堰堤は容易に巻けたが、沢には水がしっかりと流れていた。
(こんな広い湿地帯に出た。写真の中央正面から下って来るのが安全ルートらしい)
(すぐに左に行くと堰堤。沢を間違えた。戻る)
(そして小滝の氷瀑)
渡渉というほどのレベルの水量ではないが、長靴だから歩きに支障はまったくない。出たところは、広い湿地帯といった感じ。反対側から人の声が聞こえた。ちらりと姿が見えた。小尾根を登っている。ほっとした。滝見の帰りだろう。小滝がここにあることだけは確かだ。
沢を上流に向かうとまた堰堤。どうもおかしい。GPSで確認すると、別沢を歩いていた。戻る。そしてもう一方の沢へ。前方に小滝の氷瀑が見えた。ようやく着いたか。方向感覚のずれたおかしな歩きになってしまったが、ここに来るには、やはり長七郎山側から来た方が無難だろう。自分が歩いたから言えることだが、ここから地蔵岳側に行くのなら、崖地沿いにはこだわらず、そして幾多もある沢型からはさっさと離れ、北に向かうようにすれば、すんなりとふれあい道なり車道に出られるかと思う。
(氷瀑のメイン部分)
(右側)
(滝の落ち口のようだ)
(今にも落ちてきそうだ)
(周囲が茶色だからへばりついているような感じだ)
(左側はかなり落ちている)
(本体部のアップ)
(この氷柱は気に入った)
氷瀑見物者は3人いた。ため息をつきながら眺めている。自分もしばらく見入ったが、本体左右の氷柱の崩れが気になった。下に広範囲に堆積している。おそらく数日前はもっと幅があったかもしれない。現に、左側のむき出しの地層は、今しがた露出したばかりといった感じで、周囲の岩盤や地層とは様相が異なっている。それにしても見事な氷瀑だ。次第に人が増え、写真を撮ってはさっさと帰って行く。周囲に人がいなくなってから、石に腰かけ、滝を見ながらゆっくりと一服つけた。この滝は凍っていない時はどうなのだろう。小滝という名前からして、そして上でチョロチョロ流れている水の様子を見ると、大して見映えする滝とは思えない。
(ここを登った)
(上はズルズルだった)
(上がった小尾根も崩壊しつつあるのだろう)
(小尾根から)
(本尾根からも見えていた)
下流に行けば安全に上の小尾根に戻れそうなルートがあるようだし、現に来た時に、そこを登って行く人たちの姿が見えた。だが、滝からすぐの斜面に、直に下った足跡があったので木につかまりながら登った。上は砂礫になっていて歩きづらかった。細い尾根を登り返すと、やたらとテープがある出口でオトギの森に続くふれあい道に出た。ここからでも小滝の氷瀑は小さいながらも見えている。昨年、ここを歩いた時、当然、崩壊した谷間を眺めたろうに、何で気づかなかったのだろう。
しばらく行くと、単独氏が下りて来た。小滝はこの先でいいのかと聞かれ、得意気に道順を教えてやったが、急斜面下りのことは言わなかった。そのまま先に行けば、安全地帯から下れるとアドバイス。その安全地帯を自分は見ていない。
(この時点で、長七郎山はどうしようか迷っていた)
(長七郎山分岐。パス)
長七郎山分岐に着いた。長七郎山まで700m、500mの二種類の標識が間近に置かれている。ここから標高差は100mもないし、急なところもない。行くのは容易だがやめた。特別な理由はない。面倒くささもある。氷結の小沼を渡りたいだけ。そうなると長七郎山はピストンになる。大回りすれば鳥居峠に出て小沼は渡れない。そのまま水門に向かった。
(小沼の水門)
(小沼を歩きながら地蔵岳)
(こういうところは避けた)
(黒檜と駒ヶ岳。とにかく暗い)
湖上を歩く姿が3人。雪がつかずに透明な氷になっているところはやはり避ける。ドボンは死につながる。前回のように長い距離を歩いてもよかったが、あまりそうする意義を感じず、左側を歩いて、そのまま湖畔の遊歩道に上がった。その頃から、雪がポツラポツラと落ちてきた。見上げると空の青みはすっかり取れ、寒々とした濃い灰色になっている。
(八丁峠に戻る)
(駐車場への帰路)
八丁峠に出てスキー場方面に向かう。雪はいよいよ本降りになり、ジャケットを着るのも面倒で、帽子をかぶっているからいいかと、フリースのままで行く。自然に早足になり、先行者をかわす。
(スキー場)
(帰り支度のファミリーが多い)
(大洞駐車場に到着)
スキー場にはソリ滑りやスキーを楽しむ子供たちが結構いる。それを見守ったり、いっしょに遊んでいるパパとママ。ここのゲレンデ、上に雪はなく、雪遊びできるのは下の広場だけだ。雪が降ってきたせいか、帰り支度をしているファミリーが目立つ。
駐車場に到着。車がかなり少なくなっている。自分の歩きは遅いが、4時間も歩いていない。出発が遅かったのを棚に上げ、みんな地蔵岳と見晴山でおしまいだったのだろうかと不思議に思う。あるいはワカサギだったのか。
帰路、姫百合駐車場に近づくと雪は雨になり、前橋市内に入ると天気雨になっていた。たいして歩いたわけでもない。雪も少なかった。満足とはいえないまでも、目的は小滝の氷瀑だったわけで、いつもよりはちんまりした氷瀑になっていたとしても、それを見ただけでも十分だ。赤城山は気軽に雪山気分を楽しめるから密な山にもなる。今季はこれで終わりにしていいだろう。
(今回の軌跡)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
ところで、赤城小滝の氷瀑、確かに氷が落ちてしまった印象は否めませんね。自分の行った昨年より氷柱が少ないみたいダシ、やはり10日前後か、もしかしたらこの週末の方が良いかも知れませんよ。
それはさておき、はじめに軌跡を見なかったので、往路は何処を歩かれたのかと思っていたのですが、堰堤の下に降りたのを除けば、自分の逆回りだったのですネ。登れる場所はピンポイントだったから、下降は難しかったでしょう。それと足下はスパ長でしたか。自分はスパ長はパスかなぁ。雪は滑るし、チェーンスパイクも付けられないし。
ちなみに赤城小滝は、雪解け時季だけ豪快な姿を見せてくれますヨ。
どうも、私の行った時はタイミングが悪かったようですね。氷柱がかなり崩れ落ちていましたから、その数日前はもっと幅のある氷瀑を楽しめたのかもしれませんね。
近所にいながら、今季の赤城山の雪の様子は予想しづらいものがあります。ここ数日の寒波ですっぽり雲に覆われ、雪が大分降ったのかなと思いきや、今朝の赤城は真っ白どころか黒々としていました。二月になればどうなのでしょうかね。
ここのところ、まっとうに登山靴を履いて歩いたことがなく、地下タビ、長靴、ワークマンズックと手軽なものになってしまい、正直のところ、登山靴に重アイゼンを装着して歩く自信がなく、例えば、スパ長で行き詰ったら、おそらく、そのまま戻ってくるスタイルになりそうで、早々に登山靴に復活しなければと思っているのですが、スパ長レベルで行けるところにわざわざ重い登山靴でいくのもなぁと、現地で選択しようと登山靴は持っていくのですが。
コロナの緊急事態宣言も悩みどころですね。私なんかは、県内の奥に行くよりも栃木の足尾やら足利の方が近いのですが、栃木は宣言対象になっている。いくら、人がいない山だからいいだろうとは思っても、そうにもいかないんじゃないのといった気持ちも出てくるし、果てまた、家から移動する以上は、どこに行っても同じじゃないのと思ったりもする。まぁ、当面は県内の、行ったことのない、あまり面白みのない山で済ました方が無難といえば無難ですが。瀑泉さんの場合は、のんびりしている群馬と違いますから、立場も難しいですね。