Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

DIE ZAUBERFLOTE (Sat Mtn, Sep 26, 2009)

2009-09-26 | メトロポリタン・オペラ
そもそもの作品自体への人気と、ジュリー・テイモアの演出へのそれが重なっているからでしょう。
ある年はドイツ語のフル上演により、またある年は英語によるアブリッジ版の上演により、と、
手を変え品を変えつつ、毎年ゾンビのごとくメトに帰ってくる『魔笛』の公演日がまたまたやって来ました。

このテイモアのプロダクションがメトに初お目見えしたのは2004-5年シーズンのことですが、
こう毎年毎年舞台にかかると、初めてこのプロダクションを観た時の驚きといったものは色あせはじめ、
あ、次はこの役の人がこういう風な演技をするんだよね、とか、
次は、こういう仕掛けで客を喜ばせたり驚かせたりする場面が来るんだよね、といった風に
ほとんどの場面の仕掛けや演技付けをこちらが覚えてしまっているので、
キャストがただメトに来て漫然と歌うだけではもう面白くないし、
公演の内容が悪いと、プロダクションまで古ぼけて見える時があります。

今日の公演は、歌の精緻さとか完璧さの話をすれば、問題がないわけでは全くないのですが
ビッグ・ネームと言える歌手が一人も含まれていないキャスティングでありながら、
なかなか充実したパフォーマンスだったと思います。
これまでにはパペがザラストロを歌った公演、ダムローがパミーナを歌った公演など、
人気および力のある歌手が登場した際の公演も鑑賞していますが、
今日の公演の方もそれらに負けないくらい、
いや、あるいは全体でみるとそれ以上に魅力的に感じました。
そして今日のような満足感を感じることは実は簡単でないのがこのオペラです。



タミーノを歌うのは、今シーズンの『魔笛』への登場がメト・デビューになった
ドイツ人テノール、マティアス・クリンク。
このクリンクに関しては、鑑賞を終えた今でも、何と判断すべきか、正直迷う部分があります。
彼はドイツ語の台詞の部分を聴いているとわかるのですが、
元々少し喉が締まっているように聴こえる傾向があって、
歌がその延長線上にあるように感じる部分が多かったのは問題です。
しかし、かと思うと、突然柔らかいフレーズを綺麗に歌ってみせたりして、
彼はいつもこのように発声が安定しないのか、今日はたまたまコンディションがすぐれないだけなのか、
よくわかりません。
タミーノ役の歌のなかで、最も肝心な”掴み”の部分にあたるといってもよい、
”なんと美しい絵姿 Dies Bildnis ist bezaubernd shon"では、
まるでこの曲がカバーしている音域では全く声のコントロールが出来ないのか?と思うほど、
ヘロヘロな歌唱で、本人が繊細に音を絞って出そうとしている部分ではことごとく音程が揺らぎ、
耳を覆わんばかりの出来でしたが、残りの部分については無難に歌いこなしていましたし、
パミーナとの二重唱では非常に美しい部分もありました。
演技の方もこれまでこのプロダクションで同役を歌ってきたテノールたちの流れを汲みながら、
のびのびと演じていたと思います。
パパゲーノが色々な刺激にすぐに集中力を欠いてしまう場面で、
舞台監督の指示なのか本人のアイディアによるものかはわかりませんが、
横でそっと座禅のポーズを組んでパパゲーノを完全無視!の状態に入る演技を入れるなどの工夫も見られました。
アジアの架空の国の王子であると考えられているタミーノの設定
(実際、このテイモアのプロダクションでもタミーノがアジアっぽい衣装を身につけています。)
を考えると見ていて無理がなく、所在なげに舞台で立っているよりはずっと気が利いています。



このオペラで最もわかりやすい形で観客の注意をひくのは、夜の女王のアリアで、
実際、メトでもほとんど歌の内容の如何に関わらず、
ただただあの曲の旋律を追えるだけですごい!ということで、無条件に拍手が多い役ですが、
少なくとも私がここ数年生で聴いたソプラノの中には、
本当の意味で目が眩むようなアリアを聴かせた夜の女王は一人もいません。
なので、最近では期待値そのものがすっかり下がってしまって、
このアリアが楽しみでもなんでもないという、悲しい事態になってしまっています。
今日のミクローザはDVDになったアブリッジ版(ただしメトのギフト・ショップのみでの販売)で
夜の女王を歌っていたのと同じソプラノですが、
生の歌声はDVDで聴くよりも一層軽く、すかすかでした。
彼女の場合、音が徹底的に高くなってしまった方が、綺麗な音が出てくる傾向にあって、
そこに至る前の、アリアの出だしの部分、ここが迫力がなく、また音色にあまり魅力がないのが最大のネックです。
音が上昇する一方向的な音型の時はそうでもないですが、
一音ごとに上がったり下がったりする音型では音を外すことが一度や二度ではなく、その点でも不満が残りました。
メトのキャスティングではずっとこのようなもともと声がふわふわに軽いソプラノばかりが配されていて、
実際、現在のオペラ界でこの役を歌うソプラノにそういうタイプしかいなくなっているのかもしれませんが、
一度でいいから少し重めの声で構わないから、この役、このアリアが持っている
怒りを適切に歌に反映させられる人を聴いてみたい、と思っている私です。



パパゲーノを歌ったクリストファー・モルトマンは、昨シーズン、
アラーニャクーラとの『道化師』で、シルヴィオを歌っていたバリトンで、
その時は特に印象的な歌ではなかったのですが、
(シルヴィオ役に関しては、2006-7年シーズンでラセットと組んだ時のクロフトが素晴らしかったので、
この役を見る目は厳しいのです。)
『魔笛』のパパゲーノは役得というか、この役の歌唱で客に愛されなかったとしたら、
あなた、相当やばいですね、という感じではあるのですが、
それでも、この公演ではとてもチャーミングに同役を演じていて、
もしかするとシリアスな役より、このようなコミカルな役の方が合っている歌手かもしれないな、と思います。
この演出でパパゲーノが与えられる魔法のベルというのが、
普通良く用いられる、取っ手がついた鈴のようなものではなくって、
なぜか、箱みたいなもののてっぺんに鈴がついていて、箱の横のハンドルを回して音を出す仕組みになっているのですが、
鈴を鳴らすシーンで、やおらその箱状のものを肩にのせ、
まるでブームボックスでラップをがんがん鳴らしながらストリートを歩いている
黒人キッズのようなリズムの取り方をしながら舞台を歩いていたのは、
メトがあるNYにぴったりの振付で、観光客と思しき方がたくさん混じっていると見える観客からも笑いが出ていました。
こういうオペラハウスの所在地に合わせた演技とかアドリブというのは楽しいものです。
また、イギリス人であるモルトマンがそれをやるところにウィットを感じます。
シルヴィオを歌ったときよりも、声が円く温かく聴こえる点も、
私が彼がこの役に向いていると感じるもう一つの理由です。



登場場面が非常に短いながら、非常に美しい凛と響く声が印象的だったのは、
パパゲーナ役のキャスリーン・キム。
韓国出身のソプラノで、そういえば、彼女は昨シーズンの『ルサルカ』の第1の水の精でも、
残りの二人の水の精が全くかすんでしまうような、
美声を聴かせていましたが、小さい役でも観客の耳を捉える力は今回も変わらず。
さらに一つ前の2007-8年シーズン、『フィガロの結婚』で、バルバリーナ役を歌っていたのも彼女だったんですね。
その『フィガロの結婚』では少し癖のある発声が気になりましたが、
『ルサルカ』とこの『魔笛』での彼女の歌唱はすごく素直で良かったです。



彼女は昨年のアブリッジ版の『魔笛』の公演でもパパゲーナ役を演じていて、
すぐ上の写真はその公演からのものですが(パパゲーノ役はポゴソフ。
この写真以外はすべて今シーズンの公演のものです。)、
写真でもわかるとおり、ルックスが猛烈にアジア人していて、かつ、ものすごく小柄なので、
一線で活躍していくにはハンデはありますが、
メトだけでも、上にあげた公演以外にも『仮面舞踏会』のオスカルなど、
脇の役で、ずっと地道にがんばってきた人のようです。
ブログで過去検索をかける前から、どこかで聞いた名前だな、、と思っていたら、
彼女、今年、『ホフマン物語』で、ネトレプコ、ガランチャ、ヴィラゾン、パペら、
人気歌手に混ざって、オリンピアにキャスティングされていたソプラノでした。
(その後、ガランチャ、ヴィラゾン、パペ、それぞれが違った理由で降板してしまったので、
地味なキャスティングになってしまいましたが。)
また、シーズン後半の『ナクソスのアリアドネ』ではツェルビネッタを歌うようです。
頑張ってほしいですね。期待してます。

弁者役のデイヴィッド・ピッツィンガーは、現在『トスカ』のアンジェロッティ役とかけもちで
メトの舞台に立っています。いろんな意味で、ご苦労様、、。
演出にぶちきれるあまり、『トスカ』での彼の歌唱の印象を何も感想に書かずに終わってしまいましたが、
アンジェロッティ役に通常観客が期待するものを大きく超えたエレガントな歌唱で、
声自体も悪くなく、好印象を持ちました。

テイモアのプロダクションの人気に貢献しているキャラクターの一人がモノスタートスだと思うのですが、
今回同役を歌ったのはグレッグ・フェダリー。
彼も同じプロダクションで同役を過去に歌ったことのある出戻り組。
前述のDVDになっているアブリッジ版で歌っているのも彼。
この役もパパゲーノと同じく、観客の人気をとらないと嘘、という、
同プロダクションでは成功を約束された役の一つなのですが、
今まで数々の歌手がこの役を歌ってきた中でも、一番、生き生きと感じられるのがフェダリーです。
彼も地道にメトで頑張っている歌手の一人で、
『フィガロの結婚』でもドン・バジリオ役を意地悪なゲイとして表現した公演で光っていた怪演脇役系ですが、
昨シーズンの『蝶々夫人』で、ゴロー役をつとめた際には、
この役でしばしば用いられるわざとらしい演技や作った声音を下手に用いず、
誠実な役作りが逆に印象的で、
こういった脇役としてのリズム、出所をきちんとわかっている歌手というのは、非常に貴重です。
黒のハイヒールをはき、出っ張った腹(しかも地肌!)を見せつつ、
舞台をぴょんぴょん飛び回る姿に笑わされますが、歌がおざなりにならず、しっかりしているのが○です。

今日の公演で、しかし、私が何に魅力を一番感じたかというと、
今まで『魔笛』を生で観た際にはあまり感じたことがなかった種類の、
人間らしさ、血が通った感じを、二人の登場人物から体験できた点です。

まず、一人目は、ザラストロを歌ったゲオルク・ゼッペンフェルト。
ドイツ人バスで、今シーズンのメトの『魔笛』への出演がメト・デビューとなっているのは、
タミーノ役のクリンクと同じです。
ドイツのバスでこの役をメトで歌った人と言えば、まず、すぐ思い浮かぶのがパペですが、
パペのような誰をもすぐに印象づけるスケールの大きさはない代わりに、
地味ながらとても細かい表情が感じられる歌です。
それほど押しの強い声でも強大な声でもないので、
観客からの評価も控えめだったのが本当に残念ですが、私はこの役としては非常にすぐれた歌唱だと思いました。
ゼッペンフェルトの声と歌唱には独特の温かみがあって、
これがこのザラストロという役と上手くかみ合っています。
この役から威厳だけでなくこれほどの慈愛を感じたのは、これまでの私の鑑賞歴の中ではあまりなかったことです。
ザラストロを超越的な存在として観たい、聴きたい方には物足りないかもしれませんが、
父親的存在のザラストロとしては魅力的な歌です。
ゼッペンフェルトの声は低音もきちんとは出ていますが、
魅力があるのはむしろ高い方の(もちろんバスとして高い方、という意味ですが)音域で、
一切の無理がなく、自然に広がっていくような歌声は聴いていて大変快く、
ものすごい細面とひょろりとした体からこんな声が出てくるとは意外です。

そして、もう一人の立役者は、パミーナを歌ったスザンナ・フィリップス。
昨シーズンの『ラ・ボエーム』でムゼッタ役を歌ってメト・デビューを果たし、
他の誰でもないこの私に、”あかぬけない女”呼ばわりされた彼女
ですが、
(ただし、何日か後に鑑賞した公演のムゼッタでは、よい歌唱を聴かせてもいました。)
今日の彼女のパミーナ役は垢抜けない女どころか、大変魅力的でした。
というか、いつの間にかオフィシャルサイトまで出来て、すっかり垢抜けた姿にびっくりです。
こうしてサイトを見ると肌の色が(日本の)東北の人かと思うほど、
透きとおった色白で、なかなか綺麗な人です。
あの去年の姿は何だったのでしょう?プレイビルに掲載されているバイオの写真も、
早くこのサイトの写真に取り替えた方がいいです。



巷では、2007-8年シーズンにダムローが演じたパミーナが歌も見た目もぴったり!との評判でしたが、
チャーミングさではこのフィリップスは一歩もひけをとっておらず、
着こなしが難しいはずの衣装も、すっごく似合ってます。
ただ、こうしてダムローの頃の写真と比べてみると、今年のフィリップスの方は
衣装に濃い青の部分が増えているんですね。
歌手のスタイルとか顔色に映えるように、との衣装係の配慮なんでしょうが、大成功してます。

彼女はまだ少し声のトーンのコントロールに課題があって、
意図した以上に、声がきついトーンを帯びてしまう時があるのですが、
(役柄によっては、こういったきついカラーが出せるのも有益でしょうが、
パミーナ役には必要がありません。)
抑制がきちんと効いている時の彼女の声は非常に美しく、
また、響きがリッチで、どこか芯の強さを秘めているように聴こえるのが魅力です。
今はまだアメリカの中堅から比較的小さいオペラハウスを中心に歌っているようで、
その中のレパートリーとして、『椿姫』のヴィオレッタが含まれていますが、
実際、私は彼女のコロラトゥーラの技術がどれほどのものか知らないので断定的なことはいえませんが、
こと声の音色に限っていうと、ヴィオレッタは彼女に向いた役に成りえると思います。
実際、ダムローが歌ったパミーナとは対照的に、きわめて生身の人間らしさを感じるのが彼女のパミーナで、
ストーリー自体には何の共通性もないのに、
それこそ、『椿姫』を鑑賞している時と同じ種類の、イタリア・オペラ的熱さを感じさせるのです。
パミーナがどうしてタミーノは自分と口をきいてくれないのだろう?それならいっそ死ぬわ!と嘆くシーンでも、
なぜか、『椿姫』とオーバーラップするようなインテンシティを彼女の歌から感じました。
私は『魔笛』を鑑賞していても、いつもパミーナには感情移入できなくて、
それはダムローが歌った時も全く同じだったのですが、
初めてこの役の気持ちを観客にきちんと伝える歌唱に出会った気がします。

ドイツ・オペラにこのようなイタリア・オペラ的な歌唱で取り組むある種のエキセントリックさ、
また、歌唱技術としてはダムローよりずっと未熟な部分がある点を問題視する観客の方もいるかもしれませんが、
私は、見慣れたオペラにこのように全く新鮮な感じ方や見方があることを気付かせてくれるならば、
いつだって、ダムローの歌唱より、フィリップスのそれをとります。

また、彼女が繰り出した長く引っ張る高音の中のいくつかは、その美しさに、
私の周りにいた年季の入ったヘッズたち(インターミッション中に交わした会話から、それとわかる)からも、
”Wow”という驚嘆の溜息の声が上がっていたことも付け加えておきます。
安定感ともっと研ぎ澄まされたコントロール能力がつけば、彼女は面白い存在になる可能性があるかもしれません。

カナダのケベック出身の指揮者、ベルナール・ラバディは、
適切なテンポの設定は良いと思いましたが、少し指示に曖昧なところがあるんでしょうか、
細かいアンサンブルの乱れや、ソロの楽器のちょっとした部分での雑な音の出方が気になりました。
ドレス・サークルの最前列は目の前にある柵のせいで、普通に座っていると、
指揮者の姿が全く見えないのが難です。
悪いのは指揮者の方か、最近目に見えて集中力を欠いているオケのせいか、
判断は別の機会にゆだねたいと思います。

それにしても、テイモアの『魔笛』の演出はそれほど好きでなかったはずなんですが、
今シーズンデビューした『トスカ』の演出を観た後では、これも悪くないのかも、、と思えるところが怖いです。
こうやって、まずい演出はこちらのスタンダードを段々下げていく悪魔のような力も持っているのでしょう。
嘆かわしいことです。


Matthias Klink (Tamino)
Susanna Phillips (Pamina)
Christopher Maltman (Papageno)
Erika Miklosa (Queen of the Night)
Georg Zeppenfeld (Sarastro)
Greg Fedderly (Monostatos)
Wendy Bryn Harmer, Jamie Barton, Tamara Mumford (First/Second/Third Lady)
David Pittsinger (Speaker)
Kathleen Kim (Papagena)
Conductor: Bernard Labadie
Production: Julie Taymor
Set Design: George Tsypin
Costume Design: Julie Taymor
Lighting Design: Donald Holder
Puppet Design: Julie Taymor, Michael Curry
Choreography: Mark Dendy
Stage direction: David Kneuss
Dr Circ A Odd
OFF

*** モーツァルト 魔笛 Mozart Die Zauberflote ***

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4 コメント

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おお! (Boni)
2009-09-29 11:56:51
Madokakipさんもツェッペンフェルトに注目されましたか。

一昨年ドレスデンで、彼の歌を2回聴きましたが、とても優れたバスだと感じました。
「タンホイザー」の領主ヘルマンと「リゴレット」のスパラフチレです。

特に前者の歌唱は素晴らしく、彼が元々ゼンパーオパーのアンサンブルの一員であったことも手伝ってか、カーテンコールではタイトルロールを歌ったロバート・ギャンビルを上回るほどの拍手で迎えられていました。
名前も知らなかった歌手だったので、嬉しい驚きでした。

「リゴレット」は、フローレスやダムラウ、ルチッチといった人気歌手が出演した話題の公演で、日本でもテレビで放映されたので、ご覧になっているかも知れません。
ここで驚いたのは、彼の驚くほどスリムな体型です。
スパラフチレの衣装が体にぴったりとフィットするようなものだったのでよく判ったのですが、いったいあの細い体のどこから、あのような深みのある声が出てくるのか、不思議なほどです。

彼のザラストロ、聴いてみたいですね。

「指導者としての威厳」と「父親のような慈愛」の両方を兼ね備えたザラストロとしては、クルト・モルなんかはどうでしょう?
93年か94年のことだったと思いますが、ライン州立劇場の引越し公演で、彼のザラストロを聴くことができました。
余りに圧倒的な存在感で、他の役柄についての記憶が残っておりません。
返信する
ツェップ(と呼ぶとツェッペリンのようですが、、) (Madokakip)
2009-09-29 14:43:19
 Boniさん、

おお!Boniさんもツェップ(なれなれしく呼ぶな!と本人に言われそうですが、、)を生で聴かれていましたか!

そう、彼はゼンパーオーパーの専属だった時期があるんですね。
プレイビルによると、
今年はメトのザラストロのほか、
スカラ座で『ドン・ジョヴァン二』の騎士長と『タンホイザー』のヘルマン、
そしてドレスデンで『ローエングリン』のハインリッヒ王、
『リゴレット』のスパラフチーレ、
『フィガロ』のバルトロを歌うそうです。

ヴェルディ、ワーグナー、モーツァルト、
そして、シリアスからコミカルな役まで、
守備範囲が広いですね。

ただ、彼は声の押しの強さとか一声聴いてうわっ!と思うような迫力ではなくって、
役をじわじわっとリアルに感じさせるそこに上手さと良さがあるタイプのように私には思えました。
なので、プレイビルを眺めていた時に、
騎士長とかスパラフチーレはどうなんだろうな?と思っていたのですが、
Boniさんのお言葉からすると、スパラフチーレも印象が強いということですよね。

メトのこの演出ではザラストロは
猛烈なメイクと青島幸男の意地悪ばあさんも泣いて逃げ出すような、
すごい頭(黄色い衣装を着たのがそうです)
に、
体型もほとんどわからない衣装なので、
素の面影がほとんど舞台ではわからないのですが、
ご本人の写真をプレイビルで見て、
すごくほっそりしているのにびっくりしました。

>クルト・モル

実は『魔笛』、ずっとあまり好きでなかったので、
CDもほんの数枚しか持ってないんです。
そしてその中には彼が歌っているものはありませんでした。
もちろん、生も聞き逃しています。

ただ、昨年、アブリッジ(英語短縮)版を観た辺りから、
なんだかこの作品が好きになってきました。
英語版を観てオリジナル作品の良さに目覚める、なんて、
こんなことがあるんですね。
返信する
ツェッペンフェルトのスパラフチレ (Boni)
2009-09-30 11:54:16
>スパラフチーレも印象が強いということですよね

ヘルマン役は掛け値なしに素晴らしかったのですが、スパラフチレに関しては、歌もさることながらヴィジュアル面も大いに与っていたのではないかと思います。
何せ、この怪しさですから。

http://www.youtube.com/watch?v=LeECL1XGlmU

>実は『魔笛』、ずっとあまり好きでなかったので

私にしても、イタリアものと比べると、やはり優先順位は下がってしまいますね(まあ、モーツァルトは全般にそうなんですが)。
ザラストロ目当てで「魔笛」のCDを買う人も少ないと思いますし。
返信する
怪しい~(笑) (Madokakip)
2009-10-01 14:14:01
 Boniさん、

これはまた滅茶苦茶怪しいですねー(笑)。
なんか、このままハーレーか何かにまたがって
走り去っていきそうな、
バイカーみたいなスパラフチーレです。

しかし、これがまた、私が聴いた時と
声の雰囲気まで違うのにびっくりです。
これならドン・ジョの騎士長もイメージが湧きます。
それにしても、こうして、役で全然声の雰囲気が変わるというのは素晴らしい。
ザラストロは本当に優しくて分別のある、
父性を感じさせる歌でしたからね。
バイカーとは正反対の!!
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