MA by So Shi Te 

南青山のインテリアショップ MA by So Shi Te のブログです!
毎日の出来事を綴らせていただきます。

階段から見えるもの

2012-06-10 16:52:05 | Personal
毎朝入谷駅から電車に乗って、
 上野駅で乗り換えて、
 そして外苑前まで通勤しています。

そして帰りは外苑前から電車に乗って、
 上野駅で乗り換えて、
 そして入谷駅に戻る。

それの繰り返しの毎日。

週に何度かは自転車で上野駅まで行き、
 そこから電車に乗り換えて通勤します。
 晴れた朝に地上を自転車で走るのは気持ちが良い。
  だから自転車は好き。

上野駅にはいくつも出入り口があるけれど、
 階段のある出入り口をその時には使います。

するといつも初老の浮浪者の伯母さんが、
 階段の柱のある所に腰掛けています。

彼女はいつもタクシーが乗り入れるロータリーの方をずっと眺め、 
 そしてずっと眺め、
 じっとまっすぐを見つめています。

ある日その伯母さんがそのいつもの階段に居ないと思ったら、
 その伯母さんの居る柱の後ろの柱に、
 まだ20代前半と思われる長髪の男性が座っていました。
 身なりから彼も浮浪者と思われる。

そして何故か彼もいつもの伯母さんと同じように前を見つめる。
 ずっと見つめて、
  じっとしている。

あの階段のあの柱の場所から何が見えるんだろう。
 何故にあの場所に座って前を見つめるのだろう。

別に行きかう人を見るわけでもなく、
 じっと前を向く瞳。

夜になると、
 その階段付近には浮浪者が段ボールを組み立てて、
 寝床を作ります。

人目も気にせず、
 また通り過ぎる人々も特に目を向けることも無く、
 何事も無いかのように過ぎる時間。
  それが上野駅の夜。

欧米の浮浪者は物乞いをする。
 でも日本の浮浪者は物乞いをしない。

通り過ぎる人々も、
 まるでそこに人が居ない様に
 気を止めずに通り過ぎる。
  きっとそこに寝転んでいる浮浪者が死んでいたとしても、
  気を止めることなく過ぎ去る人々。

不思議な空間。
 そしてそれがとっても日本的。
 その事実に何一つと疑問も抱かない。

働かざる物食うべからず。
 そのためか?
  でもこの人たちを雇ってくれる社会ではない。
  それだけ世間に余裕が無い。

何かが違う。

あの階段に座る人。
 そして同じ場所をずっと見つめる人。
 いったい何を考えながらずっと座っているのだろう。


コメント
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