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変化を受け入れることと経緯を大切にすること。バランスとアンバランスの境界線。仕事と趣味と社会と個人。
あいつとおいらはジョージとレニー




コントローラブル。

官僚の間では絶対の指標である。
自分達の意思でコントロールできないものなど、この国にあっては
ならないのだ。
長年、政権与党の座を占めている政党とは、阿吽の呼吸があった。
互いの顔を立てつつ、最終的には官僚機構の保全が成立してきた
のである。ところが、改革を旗印に掲げた首相とその内閣は強すぎ
た。圧倒的な支持率を背景に、構造改革が断行されていく姿は、
官僚にとって危機以外の何者でもなく、それらは排除されなければ
ならない。それから何代かの政権が短命に終わったのも、実は官僚
の暗躍の賜物である。そして、再び従前の官僚と密着した政権を
成立させるに至った。ここまでは筋書き通りである。

ところが、その政権は想定を超える不評を買ってしまった。国民は、
意識的かどうかは兎も角として、旧体制にNoをつきつけたのだ。
そして、野党の躍進。
容赦のない野党の攻撃は、当然のように官僚とその機構にも向け
られた。このまま野党に政権交代を許してしまっては、官僚組織の
崩壊を招く恐れがある。政治が官僚の手を離れてしまう。
その危惧を具現化させない画策が必要である。現内閣の支持率を
上げねばならないが、彼らの中に、向上という言葉はない。優れた
者を退場させることが画策なのである。
そして、内調室長のもとに、官僚を代表する賓客が現れたのだ。

ネタはある。検察が掴んでいる。

あとは、それをいつ行使するかの問題だと言う。
政治献金の問題が適当だろうとも言った。
野党を追い落とす結果が伴うのであれば、内閣とて諸手で歓迎する
に違いない。簡単なことだ。検察から不正献金を公表させればいい。

公安組織として、政局や自己保全の為に、公表時期をコントロール
してもいいものだろうか。室長は自問自答した。
勿論、答えはNoである。
しかし、慢性的な人手不足は、全ての案件に取り組むことを不可能
にしている。その結果、優先順位といったビジネス的観念が入り込
むのを許しているのが現状。そして、優先順位というものは、恣意的
になる宿命を帯びたものなのだ。

悩んでみても、室長も官僚の一人。選択肢は限られていた。

野党第一党の党首、政治献金の問題で・・・・

この記事が紙面を飾ったのは、室長室に賓客が訪れた翌日のこと
だった。そう、賓客が退出した後、彼は同期である検事総長に面会
した。何を言うべきかは明らかだった。内調の上位機関である内閣
と、官僚組織の保全。両者を成立させるのだ。
公安の長である検事総長とて、抵抗はしない。官僚としての大儀が
あるのだから。

彼らの大儀は、正義に優先するのだ。


・・・

なんて感じじゃないことを祈るばかり。
別に民主党の支持者だとは言ってませんが、様々は権力と思惑の
暗躍を邪推する今回の一件でした。

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内閣調査室。

「内調」とあだ名されるこの組織の実体を知る者は少ない。

米国のCIAとFBIや英国のMI5とMI6だと説明されることがある。
超法規的な戦術を含めて国家の保全を担うという意味では、
それも間違いではない。しかし、その実は肥大化した日本の
官僚構造の一部でしかない。
三権分立という旗の下、政治介入の抑止力として公安機関は
独立性を担保されている。検察官の指揮命令権が、法務大臣
に与えられていないというのも、その一例である。
内調にしても、行政機関である内閣と距離を置くべく、実行権
は官僚にある。
しかし、法律上の独立性が担保されるということは、形式だけ
を整えれば良いという発想を許し、人が癒着するといった構造
を招く。内調の構成員と言えば、法務省や総務省、あるいは
検察や警察のOBと経験者だけである。そんな組織が、内閣の
意思や戦略で動かないのは自明の理で、結局は官僚組織の
防衛という不文律が行動規範となるのも止むを得まい。

首相官邸。
この国の政治の中心に、限られた人間だけが立ち寄ることを
許された部屋がある。その中に、明治を思わせる豪奢な木製
の机と、長時間座っていたとしても苦痛を最小限に抑えること
が容易に想像できる椅子。職人が手掛けたであろう細工を凝
らした肘掛に肩肘をつき、座っている男がいた。齢50といった
ところか。
彼は、検事総長のポストを同期に譲った。昨年のことだ。
ただ、官僚の常としてどこかへ天下るには、彼は優秀過ぎた。
そんな彼に用意された席がここだ。
内閣調査室 室長。
官邸にあって、地下には危機管理機能が設置されているが、
内調の室長室も、ひっそりと地下に置かれていた。

室長専用の部屋は今、二人の客人を迎えている。
彼の机の前に置かれた応接セット。そのソファに座る二人の
男達は、室長の方を向いて寛いだ姿勢を保って、室長の反応
を伺っていた。

「今が、その時期だと仰るのですね。」
室長から発せられた言葉は質問というより、確認であった。
「このままでは、大変なことになる。君もお分かりだろう?」
客の一人が応えた。
意味するところは明確である。

保身。

官僚の保身とは、個人だけを意味しない。組織や構造を含めて、
”現状を踏襲”することである。

「わかりました、考えておきます。」
立ち上がった室長が右腕で出口を指した。
会談は終わったということだ。
だが、客人は納得していなかった。確約が欲しいのである。
部屋の主が会談の終了を告げた以上は退出するしかないが、
尚も確認を怠らない。
「正しい判断を期待している。」
二人がドアの向こうに消えた。

室長の正義感が警告を発していた。

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