Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『とかげの可愛い嘘』(VCD)

2007-01-30 00:20:28 | K-Movie Notes

(Image source: nkino)
原題は『とかげ(도마뱀)』(2006年 監督:カン・ジウン)、どうして邦題になると「可愛い」とか甘ったるい不要な表現がつくのだろうか。英題は『Love Phobia』。恋愛恐怖症とでも訳すのか・・・「可愛い」とはずいぶんとかけ離れているように思えるのだけど・・・

そして、あー、また、ため息をつきながら見てしまったメロ作品。見なければいいのかもしれないけど、見ないという選択は許せない(笑)。カン・ヘジョンとチョ・スンウのこの2人だったら裏切られないような気がしたのだけど、問題は役者じゃなくて、やっぱりストーリーだった。

韓国メロ映画は一体どうしてしまったのだろうか・・・ネタ切れの感・・・
初恋、事故、病気(HIV)・・・ こういったエレメントを使うなと言えないけど、使い方が・・・といっても、どういう使い方が斬新で、面白いのかはわからないし、自分でも何を期待しているのやら・・・。

まだ山積みのDVDに埋もれていて見ていないメロがあるのだけど・・・メロを見るたびに、どんどん落ち込みそう・・・

チョガン(チョ・スンウ)は、黄色いレインコートを着たアリ(カン・ヘジョン)という女の子と出会い、同じクラスになる。アリは、自分には呪いがかかっているので、自分に触れると呪いがうつると言いまわるものだから、クラスメート達はアリを避けるが、チョガンだけは彼女のパートナーになる。それまで、とかげだけが唯一の友人であったアリにとってチョガンは大切な友人となる。ある雨の日、雨を避けるために、2人で肩を寄せ合うと、チョガンは翌日はしかにかかってしまう。はしかにかかっている間にアリは消えてしまう。10年後に高校生になった2人は再会するが、再会するとまもなくやはりアリは突然消えてしまう。そしてチョガンが社会人になったある日、またアリがふと現われるが、やはりどこかへ消えてしまう・・・アリが消えてしまうのには訳があった。

カン・ヘジョンの子供時代を演じる子役がとっても愛くるしい。この子の話はなんだか説得力があったりする。「トカゲを見て人間は驚いたり怖がったりするのは、大昔、地球はトカゲ(恐竜のたぐい)のものだったから、人間はトカゲを見るとまたトカゲにのっとられるのではないかと怖くなる」のだとか・・・爬虫類が苦手な私は、まさしく、この世をトカゲに乗っ取られるのではないかと日々怯えているたぐいの人間なのかもしれない(笑)

不思議ちゃん女優との異名をとるカン・ヘジョン。今回の役柄も不思議ちゃんのようでいて、そうでもない・・・ HIVに感染している自分に他人が近づかないようにするため、そんな不思議ちゃんキャラを装う役柄だと思うので、正確には不思議ちゃんではなかった。

それよりも、不思議ちゃんだったのはチョ・スンウの方・・・(爆)。アリの不思議ちゃん発言を怪訝に思いながらも、実は真に受けたりするし・・・。「この線を超えたらダメよ」と言われたら、絶対その線を越えられず、去っていくアリを追いかけることのできないおバカさ、いえ、純粋さ・・・チョガンの方が明らかに、不思議ちゃんだ

不思議ちゃんカップルの今後には目が離せない。作品がどうのこうのと言ってみても、この2人は許せてしまうのだから、私のレビューなんて、やっぱりたんに好みで書いているにすぎないと・・・

発見!チョン・ジニョンがカメオ出演してた・・・


ヨダレものDVDが・・・

2007-01-24 22:34:11 | Suda on J.J.Y.


 以前ジェヨンの普段着写真をここで出したら、常連コメンテーターさんから、「中川家、弟」と言われ、つい最近、チングからは「劇団ひとり」と言われ・・・どうして、お笑い系路線に見えるのか? ↓シリアスな顔つきなのに・・・ 

さて、いよいよ、「ノワールコメディ」(? ←勝手に言ってみた)というニュージャンルを開拓したチャン・ジン監督の『偉大な系譜」のDVD(韓国版)が今週末あたりに発売予定という話を聞き、ヨダレ を垂らしながらさっそく予約。作品のHPを見ただけで、まだ予習してないけど。
   
ここしばらく韓国映画では流行の「男のガチンコ対決モノ」の Two  Top (チョン・ジェヨンvsチョン・ジュノ)作品だけど、ガチンコ対決にコメディ付きという、相反するものが共存している感じが面白そうだ

鑑賞された方によると、コメディ系は、やっぱりお笑い路線の方が担当しているらしい・・・ 


 とっーてもカメなレポなのだけど、『静かな世界』のVIP試写会@三成洞メガバックス(2006年12月4日)に兄弟揃って(笑)お出かけだったらしい 。
「韓風通信エウル 2007.1」というフリペの記事より。12月4日っていうと、ソウルにいたのに・・・しかも、すぐ近くに・・・

『静かな世界』は、『美女はつらいの』と『中天』におされて、公開後はそれこそひっそり静まりかえっちゃったみたいだけど、これはぜひ見たい作品。

ハギュは、スンボム風・・・ 兄さん、珍しく顔が小さいっ・・・

  

 


『百万長者の初恋』

2007-01-23 23:47:41 | K-Movie Notes


(Image source: nkino)
ヒョンビンファンの友が付いてきてくれというので、DVDになってからでもいいのに、と思いつつ、『百万長者の初恋』(2006年 監督:キム・テギュン)・・・ 
また、初恋? はぁぁ、見る前からタメ息・・・

『夏物語』の現代高校生版かと思わせるような始まり方。ソウルから田舎の高校に転校したドラ息子が、田舎の真面目な女子高生に恋をする・・・ そこからは、勢いよく「セカチュー」的展開

不治の病、交通事故、金持ちと貧乏人、孤児、初雪・・・ 韓流エレメントのテンコ盛り。
こういうのを思い切り楽しみ、泣きたい人にはいいかもしれないけど・・・
たぶん、これだけ書けばあらすじは要らないと思う(笑)。十分に推測可能かと・・・

同じ監督の作品で、高校生主役の純愛メロ『オオカミの誘惑』は、テンポが良くて楽しめたのだけど・・・ おなじような作品でも印象がずいぶんと違うなー。

最近韓国メロでいいと思ったものは皆無。韓国内でも、メロー系韓国映画は昨年秋から続々と公開されていながらも、ことごとく惨敗しているのはどうしてなのかしら。観客が関心を持てないような内容だから?

この作品は、たんにストーリーが2時間ドラマ並みな陳腐なストーリーだから。そして、無理やり制服を着せた年齢設定・・・コメディならどんな羽目をはずした設定でも楽しめるかもしれないのだけど、シリアスメローになると、この無理やりな年齢設定が役者の良い所までつぶしている。それ以前に、そんな作品を選ぶ役者の感性にも疑問が残るといえば残るか・・・

要は、観客対象を中・高校生に絞り、作品性とか気にしていないということなのでしょう。私は完全にターゲット外だから楽しめなくても仕方ないわ 

現地でウケた作品でさえ、日本でウケることは少ないのに、現地で大コケした陳腐なメロ作品が「韓流スターが出ているから」という理由だけで日本で配給される仕組みもそろそろ終わるといいな。配給会社の問題だから、ボヤいても仕方ないけど。もちろん大コケしても、陳腐じゃない作品だってあるけどね。

タメ息 に始まり、タメ息 に終わった映画。
ヒョンビンは、「私の名前はキム・サムソン」のサムシク、好きだったのにな・・・


 


『JSA』

2007-01-20 23:46:06 | K-Movie Notes


(Image source: movist)

『誰にでも秘密がある』の時も、『甘い人生』の時も、そして今回も、L.B.H. の新作公開前には必ずと言っていいほど上映されるようになった『JSA』(2000年 監督:パク・チャヌク)。今回もやっぱり見に行ってしまった。何度見ても、胸のあたりがザワザワして切なく、激しい動きの中に、静けさが宿る作品。

この
野郎4人+美しき将校が全員揃って同じ映画に出演することなどもうありえないだろう。この5人は、決してお互いを潰すことなく、それぞれの個性をあますところなく発揮している。役者が粒ぞろいでイイことももちろんだけど、素人が見ても、監督のディレクティングが冴えていることがよくわかる。

私のお気に入りシーンは、
-ソンシク(キム・テウ)がウジン(シン・ハギュン)に靴の磨き方を伝授するシーン。
-ソンシクがウジンの誕生日に絵の具と絵筆をプレゼントすると、ウジンが涙ぐむシーン。
-ソフィー(イ・ヨンエ)の洗顔シーン。
-スヒョク(イ・ビョンホン)とギョンピル(ソン・ガンホ)が直接対峙する場面で、ソフィーの追求に耐えきれず、壊れそうなスヒョクを見かねて、ギョンピルが暴れるシーン。

ソンシクとウジンの動きは、この作品にちょっとしたなごみを与えてくれる。小さな場面のひとつひとつが無駄に描かれていないところが好きなのだ。

そして、この作品がとらえる「足」は実に象徴的。空港に降り立ったときのソフィーの足、地雷を踏んでしまったスヒョクの足、歩哨所にスヒョクが入っていく足、橋の上で38度線を踏み越えることに躊躇するソンシクの足、ソンシクに靴を磨いてもらうウジンの足。何かに踏み出す時は、「足」を動かさないと・・・。

エンディングのシーンは、当初とは違う設定になったというのは有名な話だけど、当初のエンディングも見てみたい気がする。

今回は韓国映画とはほとんど無縁な友が同行者・・・。その友がコレまでに見た韓国映画とその感想。
『シュリ』 → めちゃくちゃ、面白かった。
『ブラザーフッド』 → 感動。見てよかった。
『甘い人生』 → つまらなーい。
どうも南北ものに弱いみたいなので、『JSA』はどう? と誘ったら乗ってきた。感想は、「すごくいい映画だ、イ・ヨンエが綺麗」。やはり、南北ものには弱いらしい。今度機会があったら、『トンマッコルへようこそ』に連れて行ってみよう

でも、ウジンが連れていたあのワンコは、ゴールデンリトリバーの子犬ではないかと思われるのだけど、北朝鮮にどうしてそんな高級犬が・・・とツッコまれた



 


『夏物語』ジャパンプレミア

2007-01-17 23:57:51 | K-Movie Notes


『甘い人生』の時にはあれほど切望したジャパンプレミアチケット。それほど切望しなくても『夏物語』では降ってきた。世の中の不条理を感じる・・・。オークションサイトで1枚○万円のビットを見た時には、捕らぬ狸の皮算用でソウル旅行資金に充てようかとの考えがよぎったけれど、さすがに極悪人になりきれない。

さて、舞台挨拶は、幾重ものレースのカーテン(?)の向こうから、スモークもくもくの中、セリであがってきた L.B.H. とスエの登場から。演歌歌手じゃないんだからさーって、この時点で、笑いをこらえるのに大変。チョ・グンシク監督も合流し、3人への質問ももう何度も聞いた話だ。しばらくしてから日本版エンディング曲を歌う藤井フミヤ登場。

そして、字幕版上映。すでにソウルで見ているが、会話や言葉のやり取りの面白さで見せる映画ではないので、字幕が付いたからと言って、印象がガラリと変わるものでもなかった。もちろん、韓国版でわからなかった部分が、字幕版(日本版)で確認できたのはよかったが、ショックなことも・・・

・1969年を象徴する曲だった ♪Yesterday when I was young♪ は日本版から完全に消え去っていたこと。やはり、著作権の問題なのか・・・
・ジョンイン(スエ)を買いかぶっていたこと。ソギョン(イ・ビョンホン)と別れたのは、ジョンインたっての選択・意志だとばかり思っていたのに、違っていた。

このジャパンプレミアの模様は、L.B.H. の話題で埋め尽くされそうなので、あえてここでのお題は・・・

「頑張れグン様

今回の舞台挨拶で最高のリアクションだったのは、フミヤの歌が終わって、「いかがでしたか」と感想を聞かれたチョ・グンシク監督。突然フラれて、一瞬言葉に詰まりモゾモゾと「聞き惚れていたもので・・・」と、照れながらかわした。グンシク監督、決して主演2人と同じラインには立たず、2人の後ろに控える通訳さんと同じラインにたたずみ、通訳さんのメモを横から見たりして・・・。

チョ・グンシク監督はいつも控え目な印象だったが、こういう舞台ではあまり居心地良さそうには見えなかった。舞台挨拶で、グンシク監督が口を開いたことと言えば、登場の時の挨拶と、「このお2人と仕事をしてみていかがでしたか?」(ありきたりな・・・)という質問に対して「試写会などでは、お2人とは仕事がしずらかったと冗談を言いましたが、本当はお2人と仕事が出来て嬉しかったです」(無難・・・)との回答、そして、フミヤの歌について。この3点だけ。もう少し気の利いた質問をしてほしかったな。監督の話はほとんど聞けず・・・

まぁ、監督にとってはこの作品はもう過去のもので、すでに次回作の企画やらキャスティングで、頭の中はいっぱいだったりして・・・
そんなグンシク監督も、映画雑誌のインタビューではちょっとだけ雄弁だ・・・

1969年にこだわった理由は、脚本家キム・ウニがもってきたシナリオで、当時人類初の月面着陸ニュースを聞いた人々が、家の屋根の上にあがって人々が月を眺めたシーンがとても印象に残り、そこを生かしたかった  えーっ、「時代が2人を引き裂いた」というキャッチコピーは一体何なの? 月面着陸の方が監督にとって思い入れがあったなんて。(笑)

ごく普通の平凡な男女の姿を描きたかった  ええ、何の取り柄もない平凡すぎる男女にも小さなドラマはあると言いたかった? 

当初は、ジョンイン(スエ)がソギョン(イ・ビョンホン)と別れてから地の果てまでやってきたというイメージで、ソギョンの目の前に海が広がるエンディング構想だった  面白い、そのエンディング。でもその場合には、ジョンインが主人公で、ソギョンにスターをキャスティングしなければ、なんだかしっとりして共感できたかもしれなかったなぁ。ジョンイン版希望だわ。

特別な演技指導はなく、イ・ビョンホンの自由な演技(アドリブ)に任せた  任せてよかったのか、任せなかった方が
良かったのか・・・。L.B.H.は一字一句、一行のセリフにこだわり、計算して演技するスタイルをもつ人。「自由な演技」と、このスタイルは噛みあわないように見えた。

前作『品行ゼロ』(2002年)はデビュー作にして、160万人以上の観客を動員。リュ・スンボム、コン・ヒョジン、ポン・テギュなど若手個性派俳優達を上手く使いこなしながら、各人の個性をうまく引きだしていたように思えた。

それなのに、この作品では、オ・ダルス、ユン・へジン、チェ・ドンムン、チョン・ソギョンと、忠武路のそうそうたる名脇役を揃えながらも、かれらの演じる役は主人公とのかかわりがほとんどなく、主人公のキャラになんら影響を与えることのない人物設定になっているのが、理解しずらい。

そして、高額ギャラ俳優を使っても、30万の観客しか動員できず、この作品が「スターシステムの崩壊/終焉」の代名詞になってしまった。ただコケるだけでなく、映画界の試金石的な役割を果たしたのなら、別の意味ですごいよグン様

前作が品行最悪だったので、今回は美しい俳優と仕事ができて嬉しいなどと、冗談っぽい話もしていたグンシク監督の本当の意図は、一体どこにあるのか、不思議な人。

グンシク監督は、チャン・ソヌ監督の『LIES/嘘
』で助監督をつとめていたのだそうだ。チャン・ソヌ監督は社会批判的な作品を発表する監督で、民主化運動を題材にしたものや、男女の性を赤裸々に描写する作品があり、国際的な評価も高い。チャン・ソヌ監督からは学ぶことが多かったと言う(チョ・グンシク監督インタビュー:『品行ゼロ』  link to)。

『LIES/嘘』(1999年)はベネツィア国際映画祭コンペ部門出品作で、当時、問題になった作品。これ、実は見たのだけどもちろんレビューは書けなかった。過激な性描写が多くて何を書いてよいやら ・・・。また、映画のストーリーと、この作品に出演する俳優のインタビューが交差して描かれているので、ドキュメンタリー映画を見ているような感じがする。ちなみに、『LIES/嘘』で38歳の彫刻家相手に性の虜になる18歳の女の子を演じたキム・テヨンは、ドラマ「オールイン」のジェニー役を演じている(ちょっとビックリ )。

チャン・ソヌ監督については、この作品しか見ていないので、この作品から受ける赤裸々なイメージが強烈で、グンシク監督がそうしたチャン・ソヌ監督の影響を受けているとは意外な感じがするけれど、ちょっと新たな発見。グンシク監督の次回作は、女性が主人公のアクション映画なのだそうだ。この監督がどのように女性をとりあげるのかは、見てみたい気がする。
 


『血の涙』(VCD)

2007-01-15 01:13:40 | K-Movie Notes


(Image source: nkino)
2005年 第13回 春史羅雲奎映画芸術祭で、大賞、監督賞、撮影賞、男優助演賞(パク・ヨンウ)、照明賞、技術賞を取ったというし、チャ・スンウォンssiが出てるし、
見たいような見たくないような、でも先月ソウルでVCD買っちゃったし・・・迷った挙句、『血の涙』(監督:キム・デスン)。英題が『Blood Rain』 になっていたので、なんだかとってもイヤーな予感・・・(*やや怪しげな英語字幕) 

王に献上する紙を製造する島の港で、献上品をつんだ船が炎上。この事件の調査にやってきた捜査官イ・ウォンギュ(チャ・スンウォン)がこの島で次々に起こる猟奇的な殺人事件を解く。島の住人は、7年前に異教徒(キリシタン)であると濡れ衣を着せられ、王への反逆の咎で極刑に処せられたカン一家の祟りだと、恐怖におびえ、島にはただならぬ暗鬱とした空気が漂う。この一連の事件が、カン一族を密告した者たちへの復讐であることを突き止めるが、意外にもウォンギュ自身も実はこの事件に無縁とはいえないことに気づく。

史劇でありながら、スリラー、刑事モノ。 前半は、不可解な事件が次々と起こる犬神家的展開かと、やや安堵しながら見ていたのだけど、そのエグさはだんだんエスカレートするため、あまり人にお勧めできない。

犯人は「コイツだ」と睨んでいた通りだった。ある意味、正統派の謎解きなのだけど、何しろ時代設定や背景が複雑で、シャーマン的要素もあいまって、捜査官たちが惑わされるように、見ている方も訳がわからなくなる。7年前の話と、時間軸を交差させる場面が斬新なのだけど、ぼっーと見ているとどんどんわからなくなる。そして、後半エンディング近く、イヤな予感的中・・・

チャ・スンウォンssi が出演してなかったら絶対見ることはなかったはず。コメディじゃないシリアスなカレを見たかっただけなのだけど、捜査官役のスンウォンssi は完璧だった。そういえば『拍手する時に去れ』では現代の捜査官役だった。なんだか面白い・・・ 製紙所の元締めの息子役を演じたパク・ヨンウ、画工役のチソン、カンの娘役のユン・セアの動きもキーとなる。

そして、何よりも、私的に反応したところは、この映画のテーマ音楽に、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番第1楽章が使われていること。いまや、「のだめカンタービレ」のおかげですっかりお茶の間でお馴染のクラシック音楽になってしまったが、もともと名曲なので、いろんな映画で使用されているのだけど。

今後、このコンチェルトを聴くたびに、血の雨を想い出すことになりそう・・・
恨むよ、デスン監督・・・そういえば、『バンジージャンプする』でも、ショスタコーヴィチの曲を使っていた。もしかして、スラブ系メロディラインがお好み?

ちなみに、トピずれだけど、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番の手持ち盤は2枚。


左:作曲者ラフマニノフが生存中に演奏したピアノ協奏曲第2番(1929年録音)、フィラデルフィア管弦楽団、レオポルド・ストコウスキー指揮)  
右:アレクシス・ワイセンベルク(p)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮


『転がれ!たま子』(DVD)

2007-01-14 16:30:15 | Cinema な時間


(Image source: tamako-movie)
面白そうな予告編の期待に反して、あまり面白くなかった『転がれ!たま子』(2006年 監督:新藤風)・・・とくに前半は、テンポが遅くて、セリフも少ないし・・・やや、シュールがかっている。後半はテンポよく進む。

甘食が大好きで欠かせないたま子は、自立できない24歳。子供じみた鉄かぶとをかぶり、自分の殻に閉じこもって、母と弟との3人暮らし。母親に自分の甘食は自分で買いなさいと言い渡され、バイトに出かけるが会社でも適応できず使い物にならない。そんなある日、ご贔屓の甘食屋「日進月歩堂」の爺さんが病気で倒れ、甘食が手に入らなくなる。どうしても甘食が食べたくて、勇気をふりしぼり新しい世界へ踏み出していく・・・

「嫌われ松子」vs「転がれ!たま子」か(笑)
。そのたま子役山田麻衣子の不思議ちゃんキャラは、最近よく見かける珍しくないキャラだ。奇抜な衣装や、特異なキャラ設定は、なんだか演劇的、コミック的。演劇として、舞台で見ると面白そうだ。映画公開後に、漫画化されている。

自分の殻に閉じこもったキャラのわりには、あの奇抜な衣装はなんだか解せない。思い切り自己表現を楽しんでいるかのようにも見えるので。社会や他人との調和がとれていないということなのか。

出演陣は豪華。岸本加世子、竹中直人、広田レオナ、ミッキーカーチスなど個性派俳優がぞくぞく登場してくれるので、それはそれで見所もある

監督は新藤風。祖父は新藤兼人、父は新藤次郎(近代映画協会のプロデューサー)という、映画一家。いまやタレントだけでなく、製作サイドまでもが世襲的で、閉鎖的な世界なのね。ただ、この新藤風監督は、1作目の『LOVE/JUICE』が国際的評価を得て、邦画界の注目株らしい。

なんだか、とっても甘食が食べたくなった・・・


『僕らのバレエ教室』(DVD)

2007-01-14 15:41:16 | K-Movie Notes


(Image source: nkino)
なんとなく若者映画が見たくなったので、『僕らのバレエ教室』(2004年 監督:ピョン・ヨンジュ)。

定まらない自分の進路や目標、親の期待に悩む高校3年生の4人が、冬休みに偶然集まったバレエ教室を通して、手探りで自分の道を見つけようとする。子供のようで大人、大人のよう子供だったりする高校3年生の微妙な心理がよく描かれているが、ストーリーに意外性はなく、予想通り。

主演は、元 god のユン・ゲサン。と言っても、god についてはよく知らない。K-Popはたまには聴くけど、god は聴いたことがない。そして、キム・ミンジョン、イ・ジュンギ、オン・ジョンワンと、今、若手と呼ばれて活躍している面々。うん、若くて気持ちがいい。


どうしてバレエ教室なの? というのが、真っ先に湧いた質問なのだけど、これについては調べたらちゃんとピョン監督の明快な答えがあった(
link to)。「現実には役に立たないものに熱中するシチュエーションが欲しかった」「勝ち負けではない世界を撮りたかった」そうだ。

現実には役に立たないもの、勝ち負けではない世界に熱中する、か・・・いいな、これ。どうも損得勘定やら、いつかどこかで役に立つに違いないと期待できるものに、時間とお金を投資してしまうのだけど・・・

ピョン監督は韓国映画界を代表する女流監督。東西を問わず、男性が主流の職業である映画監督において、女性の存在はやはり珍しい。この監督の作品で見たのは、前作のキム・ユンジン主演『蜜愛』(2002年)だけ。前作とこの作品とは、受ける印象のトーンがまったく違うので少々驚いた。

女性ならではの視線や観点から・・・というような「女性」をアピールできる部分と、まったくアピールしない部分を、はっきり遣い分けているようだ。


『君はジャズを信じるか』(DVD)

2007-01-11 23:11:51 | K-Movie Notes

(Image source: movist)
チャン・ジン作品大好きと言いながら、まったくリサーチ不足。この『君はジャズを信じるか』(1996年 監督:オ・イルワン)も、レンタルショップでケースのクレジットを何気に見たら、「ええっ」、この脚本もチャン・ジンなの (&オ・イルワン)。実に知らないことが多く、日々あたらな発見があるのは楽しい・・・。

ある日、地下鉄の反対側のホームに立っていた女(イム・サンヒョ)に一目惚れしたサラリーマン(キム・スンウ)は、その彼女にプロポーズをするが、なぜか、その姉と結婚することになる。そして、義妹に想いを寄せながら、結婚生活を送る。会社では、上司のナム部長(ミョン・ゲナム)の奇妙な行動に付き合い、そして家庭では「妻」(バン・ウンジン)が妊娠することにより、「彼」の生活は迷路(?)へ・・・

やっぱりセリフが面白い。字幕がなかったら、かなりツライ・・・。よかった字幕があって。「迷路」とか「混沌」という言葉が頻繁に出てくるのだけど、主人公を軸にして周囲の人々の行動を切り貼りにしたような構成になっていて、その言葉通り、見ている方も途中で迷路に迷い込んだ感じになる。
 
迷路に出口はあったのかどうか、最後はちょっとよくわからなくて、私的には出口が見つからず、見終わってもいまだ迷路の中といった感じだ

そして、この作品には、演者の役に名前がない・・・。最後までとうとう、名前が出てこない。エンドロールを見たら、主演のキム・スンウの役名は、「그」=「彼」だった。唯一、「彼」の上司の部長の名前がナム部長であること、部長の秘書が 「Miss オ」という以外は、他の登場人物にも名前が出てこない。意図的に人物を特定しなかったのだろう。

「人は初恋を胸に抱く時が一番幸せなの」と、「妻」が「彼」に言うセリフは、チャン・ジン監督の恋愛観なのかしら。『リメンバー・ミー(原題:同感)』とか『天国からの手紙(原題:火星に行った男)』を思い出す。

そういえば、チャン・ジン監督、『恋ステ』のインタビューだったか、愛について考えると「パニック状態に陥る」(隣でジェヨンが大笑いしてた)と書かれてあった。この作品の「迷路」や「混沌」の中には、「男と女」、「夫婦」、「初恋」が蠢きながら描かれていて、なんだかその「パニック状態」に通ずるものがあるような気がした。

ところで、「彼」と「妻」が住んでいるアパートの「隣の部屋の住人」が歌った挿入歌がとてもいい歌なのだけど、あれは誰の何という歌なのだろうか・・・

 


 


『魚座』(DVD)

2007-01-11 19:42:24 | K-Movie Notes


(Image source: nkino)

イ・ミヨンssi が第21回青龍映画賞主演女優賞を獲得した『魚座』(2000年 監督:キム・ヒョンテ)。イ・ミヨンssi は、『純愛中毒』も良かったけど、『黒水仙』が一番印象的

フランス映画と熱帯魚(レモンピール)を愛する孤独なビデオショップの店長エリョン(イ・ミヨン)が、売れないシンガーソングライターのドンソク(チェ・ウジェ)に恋をする話。ドンソクが店のTVを修理したり、エリョンの誕生日に歌をプレゼントすることで、2人は親しくなり、エリョンは自分から告白する。告白された彼には恋人ヒス(ユン・ジヘ)がいる。ドンソクはエリョンを避けるようになるのが、エリョンの思い込みがどんどん激しくエスカレートしていく。

男のアパートに勝手に入り込んだり、携帯電話の暗証番号を突き止めたりと、怖い女、ストーカーっぽい
話。こういう話は、イ・ミヨンssi が美しいから許されるのであって、一般人なら単に思い込みの激しい頭のおかしな女とあしらわれるだけ、と最初は思ったのだけど、後から考えると、誰かに対する思い込みの激しい状態や盲目な時間って、ストーカーにならなくても誰にでもあるような気がした。  

ドンソクの恋人ヒスが、エリョンの激しい愛を目のあたりにして彼の元を去るのだけど、どうしてこんなストーカー相手に身を引くのか疑問だった。でも、自分の恋人の後ろにそんな「真直ぐすぎる女性」がいたら、やっぱり引いてしまうかも。
 

映画を見ながら静かに店番をしていた彼女の心の動きが激しくなるにつれ、愛情と執着は表裏一体だということを、まざまざと見せつけられるのだけど、ラストが意外でね・・・。

「映画は食べ物と同じ。体にいいものを選ばなくちゃ。ジャンクフードばかりじゃ体に悪い」
というセリフがある。いつも自分が見ている映画は、どうなんだろうかと心配になったりした。この作品はジャンクフードではないと、この作品の監督は言い切る自信がありそうだ。

映画の舞台となるビデオショップやアパートは、アックジョン辺りでロケでもしたのかなぁと思ったら、なんとアックジョンの空き地に設営したセットなのだそうでビックリした。セットとは思えないほど、さりげない街並みだったので・・・。


『ダンサーの純情』(DVD)

2007-01-08 00:17:45 | K-Movie Notes

(Image source: nkino)
『ダンサーの純情』(2005年 監督:パク・ヨンフン)を見ていたら、「ウリナリダンスチーム韓国版か」と家人に突っ込まれ、「うーん、近いものがあるようで、そうでもない」と曖昧に返答。

ムン・グニョンssi やパク・コニョンssi の社交ダンスの頑張りは見逃せないのだけど、「だ・か・ら、何」というのが正直な感想。

将来を嘱望されていたダンス選手のナ・ヨンセ(パク・コニョン)は、パートナーをライバルのチャン・ヒョンス(ユン・チャン)に横取りされた上、足を負傷。そんなヨンセを心配したマ先輩は、ヨンセに偽装結婚という形式で、中国からダンスの名手を紹介するので、3ヵ月後に控えた選手権で再起を図ろうと言う。ところが、中国からやってきたのはダンスの名手ではなく、その妹チャン・チェリン(ムン・グニョン)。彼女はダンスの経験さえなかった。騙されたと激怒するヨンセだが、ダンスを勉強したいというチェリンに心を動かされ、ダンスを教えることに・・・

偽装結婚か・・・そのテーマ、『パイラン』にもあったな。
偽装結婚によりお金で連れてこられた女性を憐憫の対象にしたくなかったのか、2人の偽装結婚を疑う捜査官2人のコンビが、コミカルに設定されているのだけど、中途半端で面白くない。いっそシリアスにしてくれた方が良かったような。

ダンス協会の息子だったか、財力にモノを言わせるチャン・ヒョンス(ユン・チャン)が、優秀なパートナーを自分のものにするなら、なんでもやる。ライバルのヨンセ(パク・コニョン)を消すためには、ダンサーにとって命の足を傷つけるようなことまでするのは、とても大人の行動とは思えない子供じみた陰湿なイジメの世界で、シローッ

実力のある者はいつも正当に評価されないという現実と、人の心はお金で買うことはできないという普遍性を対峙させようとしているように思えるのだけど、その枠の中に話を無理やり詰め込もうとした感じが否めない

登場人物のキャラの設定が全体的に幼稚で、逆に年の若いチャン・チェリン(ムン・グニョン) に気品があって、かえって浮いた感じもする。ただ、『ダンサーの純情』というタイトルにあるとおり、ダンサーのヨンセに「純情」があることが救いだ。

この監督の前作は『純愛中毒』。興行的には『ダンサーの純情』の方が成功したようだけど、私的には『純愛中毒』の方が好きだな

 


『ぼくらの落第先生』(TV)

2007-01-07 17:38:25 | K-Movie Notes

(Image source: nkino)
昨夜 Mnet をつけたらちょうど、『ぼくらの落第先生』(2003年 監督:チャン・ギュソン)が始まるところだった。チャ・スンウォンssi が出ていて、おっ、と思ってそのまま鑑賞。
原題は『先生キム・ボンドゥ(선생 김봉두)』。邦題の「落第先生」って、よく考えたな。

ソウルの小学校の先生キム・ボンドゥ(チャ・スンウォン)は、授業は自習ばかりで、子供の成績を親からもらう「袖の下」の額で決めるような、教育者として落第の先生。
ところがこの袖の下がばれて、1年先には廃校となる生徒数5名の山奥の分校に転勤となる。しかし、山村の生活になじめず、なんとか生徒全員を他校に転校させて早くソウルに戻ろうとする。そんな自分勝手な教師でも、「先生が大好き」という子供たちに次第に心を開いていく・・・

私はソウルとプサンの都市しか知らないから、韓国の田舎というのは、今でもああいう風景・生活なのかとちょっと驚く。日本でも都会と地方のギャップがあるのは、同じだけど。
ソウルから山奥の分校に赴任した先生は、まるでトンマッコルに迷い込んだ兵士みたいな描かれ方だ。

チャン・ギュソン監督は、この作品の次に『ラブリーライバル』を撮っているので、学校ものがお得意なのかしら・・・
『ラブリーライバル』にもチャ・スンウォンssi はちょこっと出てきているので、今から思うと、ああ、この学校の後には、あの学校なのかぁ、なんて思ったりする。

純真な子供の心と、息子と父親との関係は、先日見た『マイキャプテン、キム・デチュル』とどことなく通ずるものがあるのだけど、こちらの方が、先生に大きく焦点を当てられていて明快だった。

父親の葬儀のシーンで、背の高い大柄なチャ・スンウォンssi が、部屋の片隅で身体を小さくして
泣くシーンなどは、泣けてしようがなかった。
そういえば、私は以前にもスンウォンssi のあの涙目に堕ちそうになったと書いた記憶が・・・『拍手する時に去れ』の時だ(誰にでも墜ちやすい?)

子供らにまじって、文字を教えてくれというお爺さん(ピョン・ヒボン:『グェムル』のお爺さん役)の存在がアクセントになっていて、ストーリーは単純だけど、先生を取り巻く人物構成がしっかりしている。

この作品、ハリウッドがリメイク権を獲得したことでも話題になったそうだ。


『正しく生きよう』 NEWS 2

2007-01-06 02:11:37 | Suda on J.J.Y.

Daum にアクセスしたらジェヨンssi だらけで、(Daum 検索がデフォルトで「チョン・ジェヨン」になっているため)何が起こった?と思ったら・・・

『正しく生きよう(原題)』の撮影現場公開と製作懇談会(@江原道三旺市産業銀行)の記事。撮影は70%以上進行しているそうで、これから終盤に入るのね。この作品の監督は、『拍手する時に去れ』のADだったラ・フィチャン。そして、企画・製作・脚本のチャン・ジン監督の登場で、チャン・ジン色が濃いって感じかなー

   
左から、チャン・ジン、ラ・フィチャン、チョン・ジェヨン、ソン・ビョンホ

「1年に1、2回でもこういう席を持つことができて映画人としては幸せ。」 と言うチャン・ジン監督の言葉は、投資萎縮による映画制作の減少、1編あたりの受益率低下に対して目を背けることのできない忠武路の現状を表している。また、ラ・フィチャン監督は「独特で面白い感覚を持って」おり、この映画を「どんな話にして、どう作りあげるのか、悩みや愛情がいっぱい詰まった作品だ」と説明。[2007/01/05 11:38
뉴스엔

収益があがらないと投資もつかない厳しい現状の中で、チャン・ジン作品は堅実。チャン・ジン作品はスター不在でも内容が面白いもの。最終的に残るのは、コンテンツの良さということなのかな。

チョン・ジェヨンは、2004年『ウェルカム・トゥ・トンマッコル』では北朝鮮訛り、『私の結婚遠征記』では、慶北訛り、『マイキャプテン、キム・デチュル』では慶州訛り、『偉大な系譜』では全羅道訛りと、4篇連続で訛りを使い分ける演技で「訛り専門俳優」とも呼ばれている。今回、「久しぶりに標準語で演技して、ソウルの言葉がぎこちなかった
」。[2007/01/05 11:03 마이데일리]

そういえば、そうだ。ずっと訛り続きだった。ハングルは聞き取れないけど、訛りの有無は、アクセントなどでどことなくわかる。ハングルの方言は、韓国人でも特にソウル出身者にとっては難しいと、韓国語の先生から聞いたことがある。東京の人が、妙な関西弁を話すように。ちなみに、私は関西育ちでもあるので、完璧な国内バイリンガル(多くの人々に驚かれるので、かなりご自慢、へへへ)。

チャン・ジン監督は、「話が良い割には、修正作業が多く必要で長い時間をかけて事前作業をしてきた」「5年余りの企画期間が必要となった映画なので、この作品に対する愛情は特別」。原作映画に対しては、「映画を見た時、楽しさがなくて、『どうして日本で多くの賞賛を得たのか』疑問に思った。」「日本式の(テンポの)遅いコメディを、韓国式に変えた」。また、ラ・フィチャン監督は、「15年前の原作を、韓国の情緒に合わせて多く修正した。」「演出のオファーを受けたとき、『チャン・ジン監督の映画』として見られることを憂慮したが、映画は誰がどんな視線で見るかによって変わる」と語った。[2007/01/05 11:02 노컷뉴스

そりゃ、やっぱり「チャン・ジン色」は拭えないけれど、ジェヨンssi が冗談で言うには、「チャン・ジン監督は、演出はせずに脚本のみ担当の方がいい作品が多い」って(笑)。チャン・ジン監督にこんなこと言えるのはカレだけでしょう。

原作を見たけど、私的には展開が遅いと思わなかったし、話は面白くて楽しい作品だった。銀行強盗(訓練)の話なので、どうしても時間が間延びする所は否めないけど、チャン・ジン監督は、「遅いコメディ」「楽しくない」と感じたというところが面白い。おそらく、私はモックンが演じるキャラに笑ったと思うのだけど、これがジェヨンssi で韓国式にどう料理されているのか楽しみでもある。



 


『マイキャプテン、キム・デチュル』(VCD)

2007-01-04 22:37:52 | J.J.Y. Filmography


(Image source: nkino)
正月早々から、舌を噛みそうなタイトル『マイ・キャプテン、キム・デチュル(마이 캡틴 김대출)』(2006年 監督:ソン・チャンス)、英題『My Captain, Mr. Underground』。この英題、つけるなら「Mr. Loan」 にすればいいのに(笑)・・・(*英語字幕)

この作品、昨年興行的には大コケした作品。ジェヨンssi いわく「少なくとも、私は今まで評壇と観客の両方から無視されたことは一度もなかった。ところがこの作品は、両方から徹底的に無視された映画」([2006/10/24 16:36 티켓링크])。記者試写会の反応が悪く、最初から暗雲たちこめていたとか。

役名キム・デチュルというのは、韓国語で「金貸し」という意味で、映画のプロモーションで記者達にこの映画の宣伝や資料のメールを送信すると、なんとスパムメールとして振り分けられてしまい(*注:
スパムメールはメール内容のキーワードで振り分ける)、記者の目にも留まらなかったのではないかという、笑えない笑い話もあるほど

さらに、当初、役名はキム・マンツルだったそうだけど、ジェヨンssi の前作『ウェディング・キャンペーン』のマンテクと似ているので、わざわざキム・デチュルに変えたのが、かえってアダになった?

ところで、この作品、制作費に窮していたのだろうか(笑) チョン・ジェヨンssi 演じるキム・デチュルの衣装は、主演だとういうのに、最初から最後まで同じ、1着きり・・・着た切りすずめというのも話題になったようだ。子供たちの方が衣装の数は多かった・・・(笑) 

興行成績が惨憺たる結果な割には裏話が多くて、笑った


で、肝心の内容だけど、笑えるコメディだと思って見たら、ヒューマンドラマだった。もちろんコミカルな部分もあるけど、テーマは意外に暗いというか、重たい・・・ ジェヨンssi いわく、これまで演じた中でもっとも重いキャラだったとか。

新羅時代の国宝級の金の仏像を掘り当てた盗掘師デチュル(チョン・ジェヨン)は、これを秘密の場所に隠しているところを少女ジミンに見つかってしまう。これは、特命だからと他言は無用と、自らを大将(キャプテン)と呼ばせ、ジミンを自分のアシスタントに任命する。後日、隠し場所に出向いたデチュルは、そこに仏像がないことを知る。ジミンがどこかへ持っていったに違いないと、ジミンの家に行く。ジミンは学校のロッカーに隠したとデチュルを案内するが、ロッカーからも消えている・・・ジミンと同じ学校に通う吸血鬼になりたがっている少年ビョンオが盗ったのだ。デチュルはなんとかしてビョンオが仏像を隠した場所を知ろうとする。デチュルは、ジミンとビョンオの家庭事情を知り、自分の人生と重ねて、親近感を抱くようになる。

  
 
自分のせいで父親が刑務所送りになった盗掘師デチュル、両親がいなくて祖父に育てられるジミン、父親を亡くし、血を吸えば死なないと信じる白血病の少年ビョンオ。この3人の共通点は、「家族愛の欠如」。三者三様だが、心の渇望は同じ。

見終わってみると、大コケに値するほどひどい作品ではない。ただ
、一体誰をターゲットにした作品だろうか? と疑問が湧いた。ストーリーとしては、どちらかというと映画というよりはTVドラマっぽい仕上がりだなぁと思ったら、ジェヨンssi も後日のインタビューでも同じようなことを言っていて、「子育て世代=TVドラマを見慣れた人にとって共感できる作品なのかもしれない」って・・・明らかに、映画を観に来る層にはウケそうもない。

子役と競演するのは初めてなので、子供の自然な演技を引き立てるように、自分の演技を抑えたというジェヨンssi 。実生活では7歳と3歳の男の子の父親だからか、扱いづらい子供と真剣に向き合って、なんとか仏像を取り戻そうとするデチュルの姿は、何ともほほえましいし、子役2人の天真爛漫さに癒される

個人的なジェヨンssi 贔屓を差し引いても、意味不明な演出もなく、テーマが重たいのに重たすぎない演出で、やたら涙がこぼれる情緒的な作品でないところがいいと思うのだけど、やっぱりストーリーのキメが粗くて、盗掘師という設定自体が強烈。そして、この作品の主役は誰なのかという点も、盗掘師なのか、子供なのか、子役も含めイイ役者が揃っているだけに焦点が絞りきれていなくてもったいないなぁという印象。

新羅の王の話を子供達に聞かせる場面で、話の中で王に扮装したジェヨンssi が出てくる。この人も作品に史劇がないけど、ヅラ(?)も衣装も似合っていて時代劇風なカレもなかなかいい感じ。史劇も演ればいいのに・・・