Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

「白い馬」+「赤い風船」 から 「レッドバルーン」へ

2008-11-28 23:57:46 | Cinema な時間


2007 年カンヌ国際映画祭の監督週間でデジタルリマスター版として復刻、出品されたアルベール・ラモリス監督の 「白い馬」 と 「赤い風船」 。両作品とも約 40 分の短編。

          


「白い馬」
原題: Crin Blanc: Le Cheval Sauvage (フランス 1953 年)
監督: アルベール・ラモリス
出演: アラン・エムリー、ローラン・ロッシュ、フランソワ・プリエ、パスカル・ラモリス
1953 年カンヌ国際映画祭 グランプリ受賞

荒地に暮らす少年フォルコ(アラン・エムリー)は、白い鬣を持つ野性馬が捕らわれるところを目にする。ところが勇ましいこの白い馬は囲いから逃げ出す。フォルコは、この馬と心を通わせようとするが・・・。


「赤い風船」
原題: Le Ballon Rouge (フランス 1956 年)
監督: アルベール・ラモリス
出演: パスカル・ラモリス、サビーヌ・ラモリス、ジョルジュ・セリエ
1956 年カンヌ国際映画祭 パルム・ドール受賞

少年パスカル(パスカル・ラモリス)はある朝、赤い風船が街灯に絡まっているのを見つけ、よじ登ってそれを手に取る。不思議なことに風船には 「意思」 があるようで、風船はパスカルが手を放してもついてくる。


両作品ともとにかく映像が美しい。「白い馬」 はモノクロ作品だが、どこから見てもイケメン(?)の白い馬の白さを引き立たせる。また少年フォルコの着衣の白さもまぶしい。

           

「白い馬」 では少年と馬、「赤い風船」 では少年と風船が心を通わすというストーリー。人間が心を通わせる対象が、一方では生物、他方では無生物と対照的だが、生物、無生物問わず人間は何かと共生するという現実の厳しさが根底に流れているようである。

          

映像は優美で、どちらも大切にしまっておきたい詩のようでもあり、絵本のようでもあり、ファンタジー小説のようでもある。ラストはどちらも、心に波が押し寄せてくるような味わいだ。

「赤い風船」 のパスカル役は、アルベール・ラモリス監督の息子で、「白い馬」 でも少年の弟役で出演していて、とても可愛らしい。



          *******************************



この 「赤い風船」 へのオマージュとして、オルセー美術館開館 20 周年記念事業として製作されたのが、ホウ・シャウシェンの 「レッドバルーン」。


          

「レッドバルーン」
原題: Le Voyage du Ballon Rouge (フランス 2007 年)
監督: ホウ・シャウシェン
出演: ジュリエット・ビノシュ、イポリット・ジラルド、シモン・イテアニュ、ソン・ファン
2007 年カンヌ国際映画祭 ある視点部門出品

少年シモン(シモン・イテアニュ)が街路樹に引っかかった赤い風船を発見するが、手が届かない。あきらめて立ち去ると、風船は街路樹を離れ、ふわりと空に浮かび上がった。

少年の母親スザンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は人形劇の声優。公演を目前に控え、準備に忙殺されている。シモンの世話をベビーシッターのソン(ソン・ファン)に依頼する。ソンは映画「赤い風船」をリメイクしようとする学生。スザンヌは、階下の部屋に下宿する友人マルク(イポリット・ジラルド)と衝突。夫との別居。神経をすり減らす日々。


ホウ・シャウシェン監督の 「悲情城市」 に感動したので、この作品もぜひとも見ておきたかった。台湾の監督の目に映るパリの街は、どのように描かれているか興味もあった。

「赤い風船」 を見ていないと、少年シモンを遠くから見守る赤い風船の意味がわからないだろう。先に 「赤い風船」 を見ておいてよかった。

ジュリエット・ビノシュは、人形劇の声優と母親という顔を併せ持つ女性を好演。
人形劇の声優というと、どこか浮世離れしているようだが、下宿人とのトラブルや夫との別居など、彼女を現実の世界に引き戻す。

彼女の人間関係を通して見る現実は、ごくごく小さなものにすぎないが、下宿人が料理する羊のシチューや人形劇のセリフに至るまで、ディテールがよく描かれている。

ただ、複数の小さなストーリーが寄せ集められただけのような感じもする。そのためか、「赤い風船」 が詩や絵本のようなイメージであるなら、この 「レッドバルーン」 は、絵画をひとつひとつ見て歩くような静けさを持つ。 

映画を学ぶソンという女学生が 「赤い風船」 のリメイク版を製作するという設定は、監督自身をこの街に重ね合わせ投影させるためなのだろうか。

この作品の中では、「赤い風船」 のように、風船が 「意思」 のようなものを主張せず、人間との関わりも濃密でなく ただただ 「傍観者」に徹している。普段のイメージ通り、ふわふわとどこかはかなげな存在である。

風船の持つファンタジックな力を借りて、夢と現の間を行ったり来たりする場面もあり、だんだんとその境界線を見極めることができなくなるような気がする。





「ブレス」 (韓国版DVD)

2008-11-27 23:56:20 | K-Movie Notes


「ブレス」

原題: 숨 (2007 年 4 月)
監督: キム・ギドク
出演: チャン・チェン、パク・チア、ハ・ジョンウ、カン・イニョン



キム・ギドク監督作品は嫌いじゃない。でも、なんというか、体調のいい時に見たいと思う。ギドク作品でまだ見ていない作品は、「受取人不明」 と 「鰐」。HDD に録画したままだけど、体調を整えてからね(笑)。

さて 「ブレス」。昨年のプサン国際映画祭で、自分の目の前でチケットが売り切れ見逃して以来、日本公開時も見逃した。今年 6 月にヘイリ芸術村に行き、俄然見たくなったのに、やっぱり DVD 放置。ここへ来てようやく開封できたのは、単なるチャン・チェン狙い。

ヘイリ芸術村にご自宅があるという監督。自宅の近所なんて、お手軽な撮影地だけど、劇中でハ・ジョンウとパク・チニが演じる夫婦の家として使われた Ponetive Space (写真参照↓)を初め、ここもあそこも見た、行ったという場面にいちいち頷きながらの鑑賞も悪くない。


          

                   

          


そして、チャン・チェン。こんなに美しい囚人がいていいのかというぐらい、その容貌もさることながら、一言も発することを許されないというストイックな演技がこの作品の美しさの要かもしれない(すみません、単なるにわかファンなもので・・・)。セリフの少ないギドク作品ならではの怪演でもある。

別にここで語らずとも、あちこちですでに語られていることだけど、四季、刑務所、彫刻など、これまでのギドク作品で描かれたエレメントをいいとこ取りしたような作品。

面会にやってくる見知らぬ女の 「春夏秋冬」 ショー。最初は女の変人ぶりに唖然とするけれど、次は何が出てくるかと楽しみになるのは、この囚人と同じ気持ちなのかも。その面会の模様をモニターでチェックしているのは監督自身らしいが、この覗き見の趣味も 「悪い男」 みたいだわ(笑)。

そして、最後はそこまでいっちゃうのか・・・と。
そこまで行ったら、この囚人はまた独りぼっちになってしまうのに・・・
じゃ、次はワタシが面会に行こうかと・・・(笑)


死刑囚チャン・ジン(チャン・チェン)に擦り寄る同房の囚人は、ドラマ 「王と私」 に出演していたムン内官こと、カン・イニョンだった。あの中性的な魅力をこんなところでも披露していたのね(笑)。

ここに出てくるハ・ジョンウは、珍しくミスキャスティングじゃないかと思うほど浮いて見えたのは、この人がごく普通の人間の役だからかな。


見終わって、なぜタイトルが 「息」 なのかと、肝心なところがよく分かっていないことに気づきあわてて検索・・・

監督いわく、“憎しみが吸い込む息ならば、赦しは吐き出す息” なんだとか。 



 Cine 21 の長~~い 映画評 ( link to


 Cine 21 チャン・チェン(以下、CC)のインタビュー記事より抜粋 ( link to

Q: 今年は韓国映画でカンヌを訪ね、以前と少し気分が違うのか。

CC: ベニス映画祭で <空き家> を見て深い印象を受けた。 キム・ギドク監督が同じホテルで昼食を食べておられたので、知り合いを通じて挨拶をしたいと頼んだ。 その時は、こういう形でまたお会いするとは思っていなかった。


Q: キム・ギドク監督のどんな作品を一番好むか。

CC: <空き家> と <悪い男>


Q: ご存知のとおり、とても力強い映画だ。キャスティングされる瞬間、恐れや抵抗感はなかったか。

CC: 何の抵抗感もなかった。 韓国語もできないのに、いったいどんなキャラクターを演技するように作られるのかととても楽しみにしていた。 そしてシナリオを受けとったら、本当に挑戦してみたいキャラクターだった。


Q: キム・ギドク監督の撮影は途方もなく速い。 テンポに合わせるのに難しいことはなかったか。

CC: 率直に言うと、とても荷が重かった(笑)。撮影が速いとは聞いていたが、これほどまで速いとは想像もできなかったから。 率直に話をして、ストレスをちょっと受けたのも事実だ(笑)。だがキム・ギドク監督の立派な点は、俳優が自ら実力を発揮できる空間を十分に配慮することができるということだ。


Q: 韓国俳優との演技はどうだったか。 準備期間も短くて、言語も通じなくて呼吸合わせるのが難しかっただろう。

CC: 撮影前にあらかじめ対面を済ませていたので拒否感もなかったし、皆さん、とても良い演技者ばかりで大きな困難はなかった。 ただ、パク・チアさんと演技する時はセリフにすぐ反応しなければならないのに、いつどのような表情にするべきか把握するのが少し難しかった。

 


今年もまた・・・

2008-11-21 00:10:57 | Suda on J.J.Y.


11 月 20 日はボジョレー・ヌーボー解禁日でした。
別にワイン通でもないし、ボジョレーを喜んで飲むのは日本人ぐらいだそうですが、いいの、いいの、そんなことは気にしない。単に飲みたいだけだから・・・

というわけで、会社帰りに酒屋に駆け込み、家に帰ってボトルを開けました。
ボジョレーらしく爽やかな味わいで、ワインの色はちょっとバイオレットがかかっていて、好きな色でした。

ワインをくゆらせながら、ほろ酔い気分でいたら、突然思い出しました・・・

いやん、日付が変わって本日 11 月 21 日は麗しの君チョン・ジェヨンのお誕生日ではありませんか・・・
おめでとう




韓フェス 4 本立て!

2008-11-18 22:55:03 | K-Movie Notes


ようやく、韓フェス 4 本立て !!
韓フェス、長期間やっているのに、なかなかスケジュールが合わない(笑)。

上映作品については、コチラ ( link to
韓フェス

以下、軽いネタバレを含みます。



 「俺たちの街」

原題: 우리 동네 (2007 年 11 月)
監督:  チョン・ギリョン
出演: オ・マンソク、イ・ソンギュン、リュ・ドクファン

                     


原題の 「우리 동네」 の 「동네」 は 「街」 というより 「町内」 という響きの方が、この作品に馴染むかも。街より、もっともっと近くて、狭い空間での出来事だから。

心の準備がないと、冒頭の映像にいきなり 「ぎぇーーーーっ」 ってことになるかもしれません。でもこれはほんの序の口であって、そのあと一体、何体出てくるか(笑)。最初に免疫つけてねってことのようで。

カワイイどころ、イケメンどころを集めておきながら、グロさ、エグさを基本とする、サディスティック路線を貫く作品なので、麗しき出演者とのそのギャップにかなり戸惑う観客もおられたようで。

確かに 「星の王子さま」 のイメージにはぴったりのリュ・ドクファン君の全裸サービスショット(?)あり。そんなサービスショットも楽しめる余裕があるかどうか・・・

どんでん返しというほどではないが、そういうことだったのかというオチはしっかりあった。一度狂った歯車は、永遠に狂い出すということなのか、なんとも哀しい話だった。

(余談:公園の碑に確か 「바르게 살자 (正しく生きよう)」 と刻まれていて、こっそりウケた。)




 「M (エム)」

原題: M (2007 年 10 月)
監督: イ・ミョンセ
出演: カン・ドンウォン、イ・ヨニ、コン・ヒョジン 

                      


スクリーンで見ておきたかった作品。でも、前半の途中で気を失ってしまった。ごめんなさい、イ・ミョンセ監督、握手してもらったのに。だってだって、とっても目が疲れんだもの(笑)。色彩はスクリーンの方がもちろんキレイだけど、あの凝りに凝った映像は、意外と小さな画面で見た方が目には良いかも。

最初 DVD で見たときは、酷評されるほどじゃないと思ったけど、2 度目になるとやはり少しクドイというか、リピート映像が多いなと思うところがあった。でもそれは一度見ていて話がわかっているから、そう思うのかもしれない。

とにかく、最初は何が何だか話がちっとも分からず、迷宮だったもの。迷宮を抜け出すと呆気ないけどね



 「正しく生きよう」

原題: 바르게 살자 (2007 年 10 月)
監督: ラ・ヒチャン
出演: チョン・ジェヨン、ソン・ビョンホ、イ・ヨンウン

                     


ソウルでこの作品を見たときは、なんだか可愛らしく、とってもヒューマンな味わいだったことが意外だった。リメイク元の 「遊びの時間は終わらない」 にはそんな感覚はなかったので。でも 「遊びの~」 を見たのがかなり前の事だったし、はっきりとは覚えていないからかなぁと思っていた。

可愛らしいと思ったのは、ポップな音楽のせいもあるかな。あの音楽が流れると、ちょっと癒される。

ともあれ、今回見てもやっぱりヒューマンな味わいは変わることなく、確認できてよかった。笑いのツボは、場内、かなりドッカンとウケていました。もともと 「遊びの~」 でも銀行内での設定は面白かったからね。

そして、登場人物のキャラクターの作り方がとにかく丁寧だなぁと、再度確認。ラ・ヒチャン監督の持ち味なのか、師匠譲りなのか。チョン・ドマン(チョン・ジェヨン)はもちろん愛すべきキャラだけど、署長さん(ソン・ビョンホ)も、行員たち、警官たちひとりひとりに至るまで、いいキャラなんだなぁ、これが・・・。

笑いたい人にはぜひおススメ・・・

 

 「楽しき人生」

原題:  즐거운 인생  (2007 年 9 月)

監督: イ・ジュニク
出演: チョン・ジニョン、キム・ユンソク、キム・サンホ、チャン・グンソク

                       


オッサンバンドの楽しき人生のウラには哀しき人生ありなんだけど。

バンドってイケメンボーカリストがいないと成り立たないのね。チャン・グンソク君がいないとこのオッサンバンドも成立しえない。しかし、"活火山" ってロックバンドとは思えないネーミング(爆)。

"活火山" の代表曲 トジルコヤ もオッサンたちが大学生だった 80 年代の曲って設定なんだけど、オッサンたちが歌うと、どう聞いても日本の 60 年代のグループサウンド風にしか聞こえない。でも、グンソク君が歌う現代アレンジでようやく 80年 代に追いつく感じ?(笑)

家庭、リストラ、子供の教育・・・と悩める 40 代のオッサンたち。友の死をきっかけにバンド活動を始めるが、ただ 「青春よ再び」 と過去を振り返らせるだけでもなく、現実逃避させるのでもなく、「自分と向き合う」 時間を持たせるという、思い切りヒューマンなストーリーで、ちと泣ける


奥さんたちにもちゃんとスポットが当たっていて、ギヨン(チョン・ジニョン)の奥さんなんて、出来た人だわ~(感心)。

失業中のくせにバンド活動していることを内緒にして、練習で夜遅く帰宅する夫に、「外に女がいるのね~」 と奥さんが詰問する。

この奥さん、ダンナにほんと惚れてるのね~と。失業中で自由になるお金もない甲斐性なしで、身なりも中年オーラ満開の男に、普通、女は寄ってこないと思うけど・・・とツッコミたくなった。奥さんが思っているほどダンナは外でモテないと思うのに、奥さんの目にはダンナはとても魅力的に映っているんだなぁ~と微笑ましかった。

ちょっとベタな演出もあるのだけど、人と音楽の関係って元々ベタなのかも。普段とても口にできないような言葉をメロディーに乗せると、歌えてしまうのはなぜかしら。

ストーリーの面では、それぞれの家庭の話が自然に展開。そして、終わり方も好きだな~。楽しき時間はあっという間。ともあれ、このキャスティングだもん。見ないなんて、もったいないわ~

 

 


可もなく不可もなく系 Part III

2008-11-17 23:45:12 | K-Movie Notes


なんとコメントしようかと悩んでしまうほど、フ・ツ・ウ。
見どころナシって訳でもないけど、おススメって訳でもなく。



「ラヂオ デイズ」 (韓国版 DVD)

原題: 라듸오 데이즈 (2008 年 1 月)
監督: ハ・ギホ
出演: リュ・スンボム、イ・ジョンヒョク、キム・レハ、ファン・ボラ、キム・サラン

           


「ラヂオの時間」 (監督:三谷幸喜)の韓国版か? とやっぱり思ってしまう。

京城モノ。ドラマを初めてラジオ放送するラジオ局を舞台にした話。ラジオ PD(リュ・スンボム)、シナリオ作家(キム・レハ)、ラジオドラマの声の出演者らが織り成すコメディ?

いろいろ笑いどころはあるけれど、オモシロイようでオモシロくない(笑)。
なんともツッコミどころ、いや、ツカミどころのない話。
京城モノ定番の独立運動家(?)の存在が話に弾みをつけるのかな~と思ったら、その辺りの話はシリアスにしたくなかったのか、弾むどころか、絡み方がな~んとも中途半端。

「ラヂオの時間」 の韓国版か? と言ったものの、「ラヂオの時間」 ほど緻密な展開が用意されているという訳でもない。コレはコレでオモシロイ というところを見せて欲しかったなぁ。
エンドロールでは、ダンシング スンボムの後ろで一生懸命運動 している(=踊っている)キム・レハをついつい目で追ってしまった(笑)。





「私の愛」 (韓国版 DVD)

原題: 내 사랑 (2007 年 12 月)
監督: イ・ハン
出演: カム・ウソン、チェ・ガンヒ、オム・テウン、チョン・イル、イ・ヨニ、リュ・スンニョン


          


「ラブ・アクチュアリー」 韓国版か? というより、TV ドラマかと思った。

4 組の愛の形が絡み合う。それぞれの話は悪くないのだけど、カム・ウソン&チェ・ガンヒのカップルの話の結末にちょっと引いてしまった。

事故に遭遇とか、若くして病に倒れるとか、メロに障害はつきものなんだろうけれど、それはバランスの問題で、ああいう非現実的な展開は、見せ方によってはとてもチープに見えてしまう。

製作者はロマンチストなんだろうか。恋愛に幻想を抱いているような、そんな憎めないところもあるのだけど。

個人的に胸キュンだったのは、プチメロウなリュ・スンニョンの男の色気。むふふ、なかなかステキ。

ところでシネマート六本木で観た 「私の愛」 の韓国版予告編にソ・シネちゃんが出ていて 「んん?」。ソ・シネちゃん、本編では見かけなかったような・・・。見逃した?



「追撃者」 (韓国版DVD)

2008-11-15 01:24:50 | K-Movie Notes




「追撃者」


原題: 추격자 (2008 年 2 月)
監督: ナ・ホンジン
出演: キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ
link to Cine21


今年の話題の韓国映画のひとつ。

ロンドンのとあるレビューでは、 "superb direction (秀逸な演出)" と絶賛。 
link to
viewlondon.uk.com

とにかく画面は暗くて、そして寒々しい雰囲気。

 

八の字まゆ毛で笑うとお人好しそうな顔なのに、頭の中ではとんでもないことを考えている被追撃者のハ・ジョンウも良かったけど、何といっても圧倒的だったのは、追撃者のキム・ユンソク。

気迫というより "鬼" 迫(造語)というべきか。演出が秀逸かどうかって、私にはよく分からないけれど、明らかに観て分かるのはまずもってこの俳優の秀逸さなのではないかしら。もうファンになりそう(笑)。

いくつか始まっている韓国映画界の賞レース。
キム・ユンソクが賞を獲るなら納得だわ・・・

 


猟奇的殺人犯とそれを追いかける 元刑事の対決  の構図が鮮明に描かれている。ただ、ストーリーや話の展開にはそれほど目新しいものは感じなかった。

猟奇性と言っても、どこかで読んだような、あるいは観たような設定だし、キム・ユンソクの執拗なオッカケぶりと、金槌を振り上げる姿はふとオールドボーイを思わせたり・・・

 


展開の緩急の間がいいというか、追い詰めるところは観ている方もガンガン追い詰められて手に汗握る感覚だし、路地や坂のような空間の使い方も面白いので、見ていて飽きることはない。

低予算の制作だったっけ?人工的なセットよりロケ中心の撮影だったせいか、「ここはお金かけて作りました」 というように見せびらかすようなところはもちろんなくて、リアリティあふれる、人間同士のガチンコ勝負と言う感じ。

 

でもね、とにかく暗くて、出てくる人がみな決して幸せそうではない。
映画を見た後にドヨ~~ン とするのは、エンタメ志向ではないという作品性のせいかもしれないし、スクリーンと現実の間にあまり隔たりがないような気がするからかもしれ
ない。

そのうち日本でも上映されるかな。


 


Nominated As Best Actor For 大韓民国映画大賞

2008-11-07 22:28:10 | Suda on J.J.Y.


久々、ジェヨンネタです。

全く興味のなかった賞レースでしたが・・・

「‘追撃者’大韓民国映画大賞最多候補作..‘奴奴奴’ダークホース」
link to

おお、ジェヨンが大韓民国映画大賞 主演男優賞候補になっているではないですか。

「神機箭」 は作品としてはナニですが、個人的にはさんざん 「神機箭」 で騒いできたので、ジェヨンがノミネートされたのは嬉しいですね。

このメンツなら、どなたが受賞してもおかしくありませんね~。

キャストや監督がらみの賞だけ見ていたら、どうして 「奴奴奴」 がダークホースなんだ?ってことになるので、スタッフがらみの賞もリストしておきました。



  第 7 回 大韓民国映画大賞 授賞部門別候補者

▲最優秀作品賞
素敵な一日 멋진 하루
夜と昼 밤과 낮
映画は映画だ 영화는 영화다
私たちの生涯最高の瞬間 우리 생애 최고의 순간
追撃者 추격자

▲監督賞
チェ・ホ (ゴーゴー70)
イ・ユンギ(素敵な一日)
ホン・サンス(夜と昼)
キム・ジウン(良い奴、悪い奴、変な奴)
ナ・ホンジン(追撃者)

▲主演男優賞
ハ・ジョンウ(素敵な一日)
チョン・ジェヨン(神機箭)
ソ・ジソプ(映画は映画だ)
ソン・ガンホ(良い奴、悪い奴、変な奴)
キム・ユンソク(追撃者)

▲主演女優賞
キム・ヘスク(慶祝! 私たちの愛)
キム・ミニ(お熱いのがお好き)
コン・ヒョジン(ミス にんじん)
キム・ユンジン(セブン デイズ)
ソン・イェジン(妻が結婚した)

▲男優助演賞
カン・シニル(カン・チョルジュン: 公共の敵1-1)
ソン・ヨンチャン(目には目を、歯には歯を)
パク・ヒスン(セブン デイズ)
パク・チョルミン(スカウト)
コ・チャンソク(映画は映画だ)

▲助演女優賞
シン・ミナ(ゴーゴー70)
キム・ミスク(セブン デイズ)
キム・ジヨン(私たちの生涯最高の瞬間)
チョ・ウンジ(私たちの生涯最高の瞬間)
ソ・ヨンヒ(追撃者)

▲新人男優賞
チャ・スンウ(ゴーゴー70)
カン・ジファン(映画は映画だ)
イ・ヨンフン(GP506)
シン・ミョンチョル(クロッシング)
ウン・ウォンジェ(ヘンゼルとグレーテル)

▲新人女優賞
コ・ジュニ(ガールスカウト)
チャン・ヒジン(待ちくたびれて)
ソウ(ミス にんじん)
イ・ハナ(食客)
ハン・イェスル(用意周到 ミス シン)

▲新人監督賞
オ・ジョムギュン(慶祝! 私たちの愛)
イ・ギョンミ(ミス にんじん)
チャン・フン(映画は映画だ)
チョン・ビョンギル(私たちはアクション俳優だ)
ナ・ホンジン(追撃者)

▲脚本/脚色賞
ユン・チェグ(セブン デイズ 脚本)
キム・ヒョンソク(スカウト 脚本)
ソン・ヘジン(妻が結婚した 脚色)
キム・ギドク(映画は映画だ 脚本)
ナ・ホンジン(追撃者 脚本)

▲美術賞
チョ・サンギョン(モダンボーイ)
チョ・ファソン(良い奴、悪い奴、変な奴)
チャン・ジュンソプ(GP506)
キム・ヒョノク(クロッシング)
リュ・ソンヒ(ヘンゼルとグレーテル)

▲撮影賞
チェ・ソンホ(素敵な一日)
チェ・ヨンファン(セブン デイズ)
イ・モゲ(良い奴、悪い奴、変な奴)
イ・ソンジェ(追撃者)

▲照明賞
シン・ギョンマン(ゴーゴー70)
キム・ギョンソン(素敵な一日)
カン・テヒ(モダンボーイ)
キム・ソングァン(セブン デイズ)
イ・チョロ(追撃者)

▲編集賞
シン・ミンギョン(セブン デイズ)
キム・サンボム(スカウト)
ムン・インデ(私たちの生涯最高の瞬間)
キム・ソンミン(追撃者)

▲視覚効果賞
カン・ジョンイク、ソン・スンヒョン(モダンボーイ CG)
チョン・ソンジン(神機箭 CG)
チョン・ドゥホン、チ・チュンヒョン、ホ・ミョンヘン(良い奴、悪い奴、変な奴 武術)
チョン・トアン、イ・ヒギョン(良い奴、悪い奴、変な奴 特殊効果)
イ・チャンマン(GP506 特殊メーク)

▲音響賞
キム・ソクウォン、キム・チャンソプ(ゴーゴー70)
ソ・ヨンジュン(モダンボーイ)
イ・スンチョル、イ・ソンジン(セブン デイズ)
キム・ソクウォン、キム・チャンソプ(神機箭)
キム・ギョンデ、チェ・テヨン(良い奴、悪い奴、変な奴)

▲音楽賞
パン・ジュンソク(ゴーゴー70)
キム・ジョンボム(素敵な一日)
イ・ジェジン(モダンボーイ)
タルパラン、チャン・ヨンギュ(良い奴、悪い奴、変な奴)
キム・ジュンソク、チェ・ヨンナク(追撃者)

▲短編映画賞
飛んで行った爆弾あられ(パン・ウンジン監督)
豚とシェークスピア(キム・ゴン監督)
曲がり角の男(イ・ジヌ監督)
春に咲く(チョン・ジヨン 監督)
息子の女(ホン・ソンフン監督)


*名前、名称、間違っていたらごめんなさい

 


中国映画にわかオタク......への道

2008-11-05 22:11:43 | Cinema な時間



先日、友人から教えていただいた中国・香港映画の上映企画。
「中国映画の全貌 2008 」 @ 新宿 K's Cinema
2008/10/18(土)~12/19(金) ( link to


今さらながら、中国・香港映画ってほとんどスクリーンで観ていないということに気づきました。観た作品の大半は DVD 鑑賞ですませているのです

その理由は、単に自分の中でのプライオリティの問題だとわかっています。

ワタシの場合、韓国映画と単館系ヨーロッパ映画を優先して観てしまうので、中華圏やその他のアジア系映画にも興味はあるけど、劇場に足を運ぶところまでなかなかたどり着かない。邦画やハリウッド系に至っては、さらに足が遠のいています。

ともあれ、まとめて上映してくれるなら、そんなお悩みは一気に解決といわんばかり、韓フェスもびっくりな大型ラインナップ 69 本上映。

すでに観たけどスクリーンでも観ておきたいと思うものも含め、このラインナップで食指が動いたものが 5 本ぐらいありました。

もちろん、ミーハー心も潜んでいますが(笑)。

さっそく来週あたりから通ってみるぞ


 


余談ながら、この企画上映が終わったら、同じ K's Cinema で 「フレンチ・シネマで 5 週間」 という企画が・・・ おお、そちらにも目が・・・

 


「レッドクリフ Part 1」

2008-11-03 21:48:11 | Cinema な時間


今秋最大の期待作(?)「レッドクリフ Part 1」 。

さすがに公開初週末、劇場は大入り満員でした。場内の観客のほとんどが、画面を食い入るように見つめていました。

三国志オタクが同行者だったので、内容にうるさいかなぁと思ったら、同行者も満足な出来栄えだったようです。

もともと原作の 「三国志」 が面白いからこそ、こうやって後世の人に、映画、ドラマ、演劇、漫画と取り上げられるわけで、それぞれの作り手が独自の視点や切り口で描くから、それがまた面白いんだとか。そりゃそーだ。

原作と比較することにあまり意味はないということのようで。「レッドクリフ」 は、監督ジョン・ウーの三国志という視点で十分に楽しめる作品。


そして、三国志は登場人物が多いので、いちいち説明していたら、そりゃもう大変な時間がかかってしまいます。知りたかったら原作を読めってことなのでしょう(笑)。


個人的には、孫権(チャン・チェン)目当てでしたが、孫権に限らず、この作品に登場する人物、誰もがそもそも魅力的であることは間違いなく、キャスティングが良いとか悪いとか、そんなことはどうでもよくなります。

まず冒頭、劉備の息子を助ける趙雲(フー・ジュン)にいきなりがっつり心を持っていかれました(笑)。

有徳の君主、劉備(ユウ・ヨン)はいかにも民衆に慕われるという容貌で、三顧の礼を以って孔明(金城 武)を軍師に迎えたという話は、さすが賢君に見る目あり・・・と思わせるだけの隠れた迫力がありました。

三国志で人気の武将関羽(バーサンジャプ)や張飛(ザン・ジンシェン)が、歌舞伎の見得を切るような登場の仕方で、いかにも東洋的で面白かったです。

そして、曹操(チャン・フォンイー)。Part 1 の主役のはずですが(笑)、この作品ではヒール役。でも決して暴君ではなかったはずで、この曹操の色ボケ?いや純愛によって、開戦の火蓋が切られるとしたら、この戦いは一体・・・。

周瑜(トニー・レオン)と小喬(リン・チーリン)のラブシーンがちょっとモダンな感じがして、余計じゃないかと思ったのですが、戦闘アクション場面ばかりでは、むさ苦しく埃っぽいですから、やはりトニーの大人の色気を発揮しない手はないですかね。

赤壁の戦いは今からちょうど 1800 年前、A.D. 208 年のお話。A.D.208 年というと日本は、まだ弥生時代。ちょうど卑弥呼が邪馬台国を治めている頃でしょう。卑弥呼が有史に登場するのは、それこそ三国時代の「魏」の史書、魏志倭人伝。日本はこの時代、シャーマニズムの世界だったわけですね~。

そうそう・・・ ご覧になられる方、ご覧になる前にぜひ 「5 人の男」 性格占いでもやってみてはいかがでしょうか。( link to yahoo redcliff

結果、ワタシは孫権でした(おおー、やったぁ~
「優柔不断な一面もあるがやる時はやる」 らしいです。

         

Part 2 公開は来年 4 月。



 


やっぱり、「あどぅる」 にして

2008-11-02 22:32:20 | K-Movie Notes



第 9 回 NHK アジア・フィルム・フェスティバルのオープニングを飾ったチャン・ジン監督の 「My Son ~あふれる想い~」(原題: 아들 <息子>)
。朝早い上映だったにもかかわらず、なかなかの盛況でした。

この邦題、やはりどうもしっくりきません(笑)。原題 「知り合いの女」 が 「小さな恋のステップ」 になっているのと同じぐらい違和感あり。


昨年ソウルで観たときに書いた鑑賞記に 「この作品は日本で見られるのでしょうか」などと記しましたが、公開から 1 年半たって日本にやってきたのですね~。

この作品では、父と子という普遍的なテーマをありきたりな親子愛ドラマで描くのでなく、ちょっとファンタジーなスパイスを取り入れたり、「心の中の語り」 と 「語り以外」 の部分を絶妙な交錯で見せるところが、個人的には気に入っています。

日本で紹介されることになって良かったと思いますが、不思議なことに、字幕なしで見た時の方が自分にはしっくり、グッときました。もちろん自分の思い入れのせいでもあり、すでに内容は英語字幕で確認済みなので・・・。


上映後は、チャン・ジン監督&リュ・ドクファン君の登壇による Q&A、そしてサイン会と、初めての生ドクファン君を間近で堪能しました。ドクファン君は、華奢な体つきで、一体どこにあの胆の据わった演技力が隠されているのかと思いました。話し方も落ち着いていて、声もスクリーンの中で聞く声より穏やかで、役者だなぁと感心してしまいました。

華奢と言えば、チャン・ジン監督も 5 月にパルコで拝見したときよりも、さらにスッキリしておられたような気がします。ノータイのスーツ姿がバッチリ  きまっていて、ワタシの同行者 2 人は、カッコイイを連発しておりました。 
           


Q&A でとりあげられた作品に関する質問では、初めて聞く内容はなかったような・・・

そして、やっぱり相思相愛(?)のジェヨンネタも出ました。

一緒に仕事をしたい俳優は誰かいるかという質問に、監督は、「俳優のこともあまり知らないし、他の映画はあまり見ない。ただチョン・ジェヨンが自分以外の監督の作品に出演するときは、自分の作品の時より上手く演じていたりしないか、演技をチェックしに行く」 とのご回答。


監督のサインは持ってるから要らないや~(笑)と思ったのですが、サイン会の流れでそうもいかず。しかし、いざ監督の前で DVD を差し出す手が震えてしまい、ああ、やはり、ワタシの憧れの監督なのだとあらためて悟りました。手が震えたという割には、大胆にも少しだけお話をしてみたのですが、通じてよかった
  
 

            
               


            
               リュ・ドクファン君のサイン  

ふれあいホールだけに、ふれあいたっぷりの楽しい時間でした