(Image source: movist)
チャン・ジン作品大好きと言いながら、まったくリサーチ不足。この『君はジャズを信じるか』(1996年 監督:オ・イルワン)も、レンタルショップでケースのクレジットを何気に見たら、「ええっ」、この脚本もチャン・ジンなの (&オ・イルワン)。実に知らないことが多く、日々あたらな発見があるのは楽しい・・・。
ある日、地下鉄の反対側のホームに立っていた女(イム・サンヒョ)に一目惚れしたサラリーマン(キム・スンウ)は、その彼女にプロポーズをするが、なぜか、その姉と結婚することになる。そして、義妹に想いを寄せながら、結婚生活を送る。会社では、上司のナム部長(ミョン・ゲナム)の奇妙な行動に付き合い、そして家庭では「妻」(バン・ウンジン)が妊娠することにより、「彼」の生活は迷路(?)へ・・・
やっぱりセリフが面白い。字幕がなかったら、かなりツライ・・・。よかった字幕があって。「迷路」とか「混沌」という言葉が頻繁に出てくるのだけど、主人公を軸にして周囲の人々の行動を切り貼りにしたような構成になっていて、その言葉通り、見ている方も途中で迷路に迷い込んだ感じになる。
迷路に出口はあったのかどうか、最後はちょっとよくわからなくて、私的には出口が見つからず、見終わってもいまだ迷路の中といった感じだ 。
そして、この作品には、演者の役に名前がない・・・。最後までとうとう、名前が出てこない。エンドロールを見たら、主演のキム・スンウの役名は、「그」=「彼」だった。唯一、「彼」の上司の部長の名前がナム部長であること、部長の秘書が 「Miss オ」という以外は、他の登場人物にも名前が出てこない。意図的に人物を特定しなかったのだろう。
「人は初恋を胸に抱く時が一番幸せなの」と、「妻」が「彼」に言うセリフは、チャン・ジン監督の恋愛観なのかしら。『リメンバー・ミー(原題:同感)』とか『天国からの手紙(原題:火星に行った男)』を思い出す。
そういえば、チャン・ジン監督、『恋ステ』のインタビューだったか、愛について考えると「パニック状態に陥る」(隣でジェヨンが大笑いしてた)と書かれてあった。この作品の「迷路」や「混沌」の中には、「男と女」、「夫婦」、「初恋」が蠢きながら描かれていて、なんだかその「パニック状態」に通ずるものがあるような気がした。
ところで、「彼」と「妻」が住んでいるアパートの「隣の部屋の住人」が歌った挿入歌がとてもいい歌なのだけど、あれは誰の何という歌なのだろうか・・・