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引っ越しました~
by lotusruby

パルコ劇場ドラマリーディング・シリーズ 「不器用な人々」

2008-05-20 23:29:46 | その他


「不器用な人々」
パルコ劇場ドラマリーディング・シリーズ Vol.2

作・演出:チャン・ジン
出演: 松重 豊、池田成志、小須田康人、内田 慈

【登場人物】
不器用な泥棒(チャン・ドクペ) --- 松重 豊
不慣れな女性中学教師(ユ・ファイ) --- 内田 慈
自殺願望の男 --- 池田成志
車のセールスマン(ソ・パロ) --- 池田成志
ユ・ファイの父親(ユ・ダルス) --- 池田成志
ナレーター --- 小須田康人

【ストーリー】 (PARCO 劇場HPより)
女性教師の住むアパートメントに深夜忍び込んだひとりの泥棒。
今夜も住人に見つからないうち、目ぼしいものだけ奪って立ち去ろうとするが、
眠りについたばかりの女性教師は、運悪く?起きてしまう。
侵入者を見つけて慌てるあわてる女性教師に、男は、一晩で何件かの家を回ろうとしているから危害は加えないと告げるが、そんな時同じアパートメントで事件が起こり、出口には警察官やマスコミ、野次馬が押し寄せ、泥棒は完全に足止めを食らう。
挙句の果てに彼女の父親まで訪ねて来てしまい・・・。

チャン・ジン WEEK 終わってしまいました。さすがに 1 週間以内の 3 日間のパルコ通いは疲れました。楽しかったのでなお一層今週はお疲れモードな感じで・・・

チャン・ジン監督の言葉通り、初日は 30 秒に 1 回笑いました。さすがに 2 日目は 3 分に 1 回ぐらいでしたが(笑)。あー、単純な私。だって面白かったのです

比較することに意味はありませんが・・・
行定勲監督演出の 「見知らぬ女の手紙」 は、素材の好き嫌いはあると思うのですが、「まるで舞台劇」 とジン様も評しておられてように、ドラマリーディングとしては確かに完成度が高かったです。役者は中島朋子ひとりでしたが、稽古期間は 3 日間(1 日 4 時間)あったそうです。

「不器用な人々」 では、ジン様が来日した 13 日から稽古に入り、毎日稽古していたわけではないようなので、言葉のハンディを考えると、演出と役者の意思疎通に倍かかるわけですから、これはかなりスケジュールがタイトだったのではないでしょうかね~

こんな急な仕込みでも、ただ朗読するだけでなく、セットやら小道具を駆使して、台本を持ちながらも簡単な動きを合わせて、セリフもポンポン交わしながら、間とか呼吸とかを計らいつつ、飽きさせない内容でした

ジン様の演出意図がどこまで汲みとられていたのかはわかりませんが、あれだけ笑わせてもらったということは、翻訳版でも、ばっちり笑いのツボは押さえられていたということですね。シチュエーション・コメディーで、笑いがとれなかったら OUCH ですから、役者さんの力量がモロ出ます。ドラマリーディングとはいえ、日本の演劇界でご活躍の実力派メンバーが揃って演じてくれた、チャン・ジン作品のステージを見ることができてラッキーでした。

劇中のファイがドクペにクラっとくるのも納得で、松重さんはとてもステキですし、池田さん、内田さん、小須田さん、みなさん個性豊かで好感度高でした。

「牛売り」 ネタ、「ホリデー」 ネタ、MC ネタなど、あちらのローカルネタをカットせず、そのまま観客に投げていましたが、韓国エンタメに少し足をつっこんでいるとクスッと笑えたりするところでもありました。何も知らないと、面白さがわからず、笑っている人がいるのに自分は笑えないとなると、乗り遅れた感があってちとさびしいだろうなぁとは思いましたが・・・。

でも、こういうことは翻訳モノにはつきもので、たとえば、よく欧米の映画などでもキリストのたとえ話が引用されたセリフがあったりすると、聖書を読んだことがなければ意味がよくわからないというのと同じようなものでしょう。

ところで・・・
昨年12月、現地ソウルでの 「不器用な人々」 稽古中に骨折したハン・チェヨンですが、一体このお芝居のどこを演じていて骨折したのでしょうかね? 骨折するようなシチュエーションがいまひとつ分からないのですが、あちこちに動きまわる設定だったということですよね?

ともあれ・・・
30 秒に 1 回笑えるこの作品をソウルで見たら、私はきっと 30 分に 1 回しか笑えないだろうなぁ~~と、言葉の壁の厚さをひしひしと感じたのでした(泣 &笑)。

そして・・・
ドラマ・リーディングは 「見知らぬ女の手紙」 が初めてだったのですが、別に本格舞台劇でなくとも、ドラマ・リーディングにはドラマ・リーディングなりの魅力があって、自分の頭の中で勝手に舞台を繰り広げる想像力が試されるとか、言葉の余韻に浸るとか、そんな良さも今回ちょっとわかってよかったかな~。


トークショーの時は緊張しまくっていて、心なしか弱気な声だったチャン・ジン監督ですが、ご自分の作品が日本の劇場で紹介され、今回の日本の観客の反応に満足していただけたのでしょうか。「日本でもまたやろうかなぁ」 と思ってくれたらいいのですが。

師団ごと呼べとは言いませんが、こういう形でも触れることができる機会が増えたらいいですね~
パルコ劇場さん、よろしく・・・