Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『インビジブル・ウェーブ』

2007-05-29 23:19:26 | Cinema な時間


(Image source:www.cinempire.com)

ちょっと現実逃避したい心境だったので、ロードムービーならどこまで逃げられるかなぁなんて思いつつ・・・昨年TIFFで上映されていたにもかかわらず、見逃した『インビジブル・ウェーブ』(2006年 監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン)。

心の中に水路ができて逃げられる感じがしたのだけど、結局逃げられないってことがわかった(笑) 映画に諭されたって感じで、心情的には納得

  愛-美しき人妻との情熱的な愛
  罪-代償として夫に命じられた彼女の殺害 
  そして愛を失った男は異国へ旅立った

このキャッチコピーは、ちょっと違うかも・・・ これじゃ、なんだか愛はすべてという話のように思えてしまう。裏切り感が心地よいかどうかは見た人によると思うけれど。

こってり、しっとり、激しさなどの感情の突出はなく、このタイトルどおり、「見えない波」が現実世界にも精神世界にもじわじわ寄せては返しという淡々としたイメージ。監督はタイのタランティーノと呼ばれているペンエーグ・ラッタナルアーン。他の作品は未見。アジア的なツボは抑えているという感じがする。どんなツボかと突っ込まれると返答に困るけど・・・見えない波だから(言い訳)。

料理人キョウジ(浅野忠信)は、ボスの情婦と逢瀬を楽しんだ後、ボスの命令で彼女を殺す。翌日、勤務先のレストランに出向いた彼はボスから休暇を言い渡され、用意されたチケットで船に乗り、タイのプーケットへと向かう。船中では小さなトラブルに巻き込まれたり、赤ん坊を連れた女性ノイ(カン・ヘジョン)と出逢ったり、何者かにつけ狙われたり・・・そして、プーケットでキョウジを待ち受けているのは・・・

ただ、万人には勧めません。ストーリーとしての面白さはやや物足りない。撮影監督クリストファー・ドイルの流れるようなカメラワークや心象風景などの映像を辛抱づよく楽しみたい場合とか、浅野忠信という俳優を楽しみたい場合にはOK。

セリフも少ないのに、浅野さん1人でぐいぐいとすべてを引っ張っていく。1人遊びのようにコミカルだったり、シリアスだったり、そんなさじ加減が実に上手い。英語のセリフも流暢に言い回そうとせず、無理なく自然で彼らしい。

ボスの情婦を自分の女にして、結局ボスの命令で殺すことになったキョウジの罪の意識は、罪の深さ、重苦しさに身もだえするような情緒的なものではなくて、自分に次々とふりかかる不遇や不運を受け入れるというストイックな方法で表現されているように思える。アパートのみすぼらしさや、窓のない無機質な船室など、キョウジの心の陰影を映し出しているのかと思わせる演出。

各国から参加している脇役陣も個性的で、浅野忠信のキャラと交わりそうで交わらない、交わらなさそうで交わっている。

『インファナル・アフェア』のエリック・ツェンの顔を見ると、この人、アンダーグラウンドな世界には欠かせない人物だわー、とニンマリしてしまう。

カン・ヘジョンという女優は、カメレオンのようであり、不思議ちゃんでもある。英語のセリフにもふりまわされず、発音もよくて聞きやすい。作品ごとに変わっていくのに、足元がしっかりしているというか、彼女の存在には安定感がある。

浅野忠信のストイックキャラとは、とっても対照的なキャラでギラギラしている光石研との、かみ合わないやりとりもちょっと面白い。



Bulldog on NBNT

2007-05-24 23:11:58 | Suda on J.J.Y.


ネットサーフィンをしていたら、何気に『血も涙もなく』の海外版DVDのパッケージでステキなものを見つけました。

このフランス版(左)、いいじゃないですか・・・Bulldogくんの金歯見えているのです・・・
これ欲しいなぁ・・・
 
   フランス版↓                ドイツ版↓
     

   北米版↓                UK版↓
    
  

日本版DVDも楽しみ・・・SPOさん、もちろん出してくれるよね。その際は、Director's Cut版にしてね~

ついでに、海外でのレビューも検索でたまたまひっかかったものを3つほど読んでみました。londonistというサイトのレビュー(L)と、フランス(語)の映画サイトのレビュー(F)と、あと一般サイト(G)・・・手放しのほめ言葉ではないけれど、特に人物キャラ、アクション、スピード感が魅力的に映っているようでした。 

この作品は、入り組んだ折り重なるプロットでありながら、フリーフォールのように最後には全員がビシッと決まって、拍手したくなる作品だ・・・ (L)
小さな人間関係の輪がいくつも重なりあって、最終的にその輪が噛みあうという印象はありますね。

この作品は、キャラクターの魅力がたっぷり詰め込まれている・・・女2人の組み合わせは「テルマ&ルイーズ」を思いおこさせる。・・・ (L)
キャラクター設定については、かなり評価が高いですね。

話の展開ペースに巻き込まれていくが、決して混乱することなく、描写も細かく、不変的なテーマは情(love)と義(loyalty)である。・・・ (L)
情は一貫して流れていましたが、義の部分は反語的ですかね。騙して、欺いての連続だから、信用できるのは誰かということより、カバンの行方を追ってしまいますね。

過去に『オールドボーイ』でタコに苦い思い出がある方、闘犬に抵抗がある方、ご心配は無用。陰気くさい映画(dark movie)ではありません。・・・ (L)
タコの踊り食いの場面のことですね。欧米ではタコは悪の象徴なので、食べない習慣が残っているのです。とくにアングロサクソン系。イタリア、スペイン、地中海沿岸地域では、食材として親しまれていますが。アングロサクソン系からすると、タコを食べる、しかも活きているタコを食べるという行為自体、目を疑うようなショッキングな場面だったに違いありません。

ヘビーなバイオレンスがあるため、見る前に心づもりをしてください・・・ (G)
バイオレンスシーンについては評価が分かれるのは当然ですね。アクションそのもののレベルの高さは、認められているようですが、コンテンツとして楽しいかどうかは見る人によりますよね・・・

登場人物の善悪を問うではなく、全員が善と悪の間をさまよっている(drift)・・・ (G)
面白い表現だなぁと思いました。

スウィンドル(詐欺劇)を扱った代表作と共通点はあるが、他作品と異なるところは、洗練されたアクションの振り付け(chorégraphiées)、銃撃戦、カーレースなど、アクションとバイオレンスがシナリオに足し込まれている点。・・・ (F)
chorégraphiées (コレグラフィー) というとまさしく舞踏的「振り付け」をイメージしてしまいますが、演出というよりは、動きの絡みとか、キレとか、導線とかコーディネートするのが、振り付け師 ドゥホンアクション監督なのですね。

現実離れした「お遊び」的なスウィンドル(詐欺劇)を好む人にとっては、劇的で激しい(暴力描写)作品・・・ (F)
なので、見る見ないは自分で決めてね・・・ってことらしい。(笑)

で、ジェヨンの役名は、トクプルだったと思うのですが、海外版では逆さから読んでブルドック(=Bulldog)になっているようで、レビューの中では Bulldog と呼ばれていました(爆)。韓国版の英語字幕ではどうなっていたか憶えていませんが・・・

さらに、レビューのひとつの中に「NBNT is indeed a dramatic film...」という文章に出くわし、一瞬理解できなかったけど・・・
NBNT = No Blood, No Tears = 血も涙もなく
いまどきの若者言葉、「H/K (えっちけー)」 みたいじゃないですか(もう古いっ?)・・・
*「H/K = 話かわる(Hanashi Kawaru) けど」 



HAPPY WEDDING !

2007-05-23 22:21:34 | Suda on J.J.Y.


(Image source: newsen)

やっぱり書かずにはいられません・・・

チャン・ジン監督、ご結婚おめでとうございます


なんだかとてもいい雰囲気な集合写真ですねー。

ご本人たちが幸せそうなのはもちろん、出席者の皆さんも、とても嬉しそうで・・・
はぁ~、結婚っていいものですね~、なんてしみじみ思ってしまいました。

似たもの夫婦とはよく言ったもので、新婦のチャ・ヨンウンさん、チャン・ジン監督とどことなく雰囲気が似ているような気がします。

芸能界からの出席者は、チョン・ジェヨン、シン・ハギュン、チャ・スンウォン、チョン・ジュノ、キム・ジス、ユ・ヘジン、イ・ハンウィ、カン・ソンジン、リュ・ドクファン・・・
あすの芸能ニュースは要チェックだわ・・・

そ、そして・・・ジェヨンの髪が伸びてるぅ
(嬉

 

 


『グリーン・フィッシュ』(DVD)

2007-05-22 00:16:24 | J.J.Y. Filmography


(Image source: nkino)

何でまた今ごろになって『グリーン・フィッシュ(초록 물고기)』(1997年2月 監督:イ・チャンドン)。公開当時話題になり、その年の国内外の映画賞総なめ、名作と語り継がれているのだけど、未見だった。
出演:ハン・ソッキュ、ムン・ソングン、シム・ヘジン

先日、友人がいきなり「ウチにこれあったから、貴女にあげる」と言われ、ちゃっかりいただいた代物。「ひゃ~~ぁ、ウレシイぃぃ」と、満面の笑みを浮かべた私に友人が、「あれっ、シュリの人(=ハン・ソッキュ)のファンだったっけ?」。えっ、いや、違うけど、この作品に今私が ALL IN  している人の下積み時代が・・・とか言っても、四天王ぐらいしか分からない彼女にとってはちんぷんかんぷんだろうし・・・この監督がね・・・とか言ってごまかした。

実はイ・チャンドン監督の作品、多方面から絶賛されている『ペパーミントキャンディ』とか『オアシス』とは個人的に相性があまりよくない(どんな相性なんだか?)。でも、今週には封切りになる、チョン・ドヨン&ソン・ガンホの『密陽』は注目しているので、その前に監督デビュー作のこれをチェックしておこうかと思って・・・

この作品には、ちょっと知った顔がぞろぞろ出てくる。ソン・ガンホは頭の悪そうなワルのチンピラで、『王の男』の狂王チョン・ジニョンは卵売り、イ・ムンシクは見逃しそうなぐらいちょい役のケンカっぱやい不良青年?、ヒロインは「宮」のユル君オンマのシム・へジンだし、そして酔っ払いのキャバレー客がジェヨン・・・と、人に歴史アリ・・・。ハン・ソッキュの実兄ハン・ソンギュも出演している。

チョン・ジニョンのファンサイトで知ったのだけど、チョン・ジニョンは、この作品の助監督としてもクレジットされている。この頃、俳優を諦めて演出に回る決意をしていたらしい。ところが監督から突然ハン・ソッキュの三番目の兄という役で出演するように言われたのだとか。

そして、チョン・ジェヨンは、キャバレーの酔っ払い客の
役。後ろ姿がほとんどで、キャバレー店内が薄暗く、顔も正面からはロクに映っておらず、声で分かったけど、あっけなくハン・ソッキュにボコボコに・・・お客様なのに。哀れ・・・。この間約30秒。
 
 

で、作品はというと・・・前半は、やっぱりこの監督との相性は悪いわー、と思いながら早送りにしようかとも思ったけど、端役のジェヨンを見逃したら、この映画を観た目的の半分が・・・(笑)。

↑このジェヨン登場後あたりから、後半の話は面白くなってくるので、この30秒シーンはターニングポイント的な場面かもしれません(無理やりこじつけ? )。

除隊したマクトン(ハン・ソッキュ)は、除隊したものの就職したあてはなく、家族(母、兄3人(長兄:脳性まひ障害者、次兄:刑事、三兄:卵売り)、妹)は日々の生活に追われバラバラに暮らしている。マクトンには夢や希望もなく、汽車の中で出逢った女ミエ(シム・ヘジン)との縁で、言われるがままに、アンダーグラウンド組織の世界に足を踏み入れる。たったひとつの夢は、家族が一緒に暮らし食堂を経営すること。組織のボス テゴン(ムン・ソングン)の信任を得て、ボスの情婦ミエにほのかな恋心を抱きながらも、組織に身を投じて、破滅へ・・・

韓国ノワールによく見る世界でもあり、アンダーグラウンドの世界と、一般庶民の家族のリアルな生活とか平行線で描かれているところが面白い。マクトンの家族はバラバラに暮らしていたのに、皮肉にもマクトンが裏の世界で果てることによって、家族は再び結束することになる。マクトンは小さな夢を叶えたわけだが、その夢の構図に自分の姿がないことに気付かなかったことが哀れでもある。

この作品が公開されたのが今から10年前。時代背景的には、この映画が公開された1997年の後半に韓国は前代未聞の経済危機に陥るので、そのちょっと前の作品。そんな世相を反映してか、登場する人物キャラにあまり覇気とか生気、活気が感じられず、何かに呑み込まれそうな予感のする作品。

この作品の公開前にどれほどのノワール作品があり、公開後の作品群との比較を語れるほど見識もないのだが、私が観てきた韓国映画のノワールというのは、この作品の後のものばかり・・・ さほどこの作品から何か新鮮なものを感じることができなかったのは、『グリーンフィッシュ』が韓国ノワールのマイルストーンなのかと思ったりする。

10年前の作品でも、最近の作品でも、相変わらずヤクザたちは穴掘って人を脅迫するし、組織内で頭角をあらわすために手を汚すこともいとわないのも同じ。「若さ」が無駄に費やされる。ヤクザのシステムは変わることがなくて、システムそのものの存在感も変わっていない。

ちょっと前にトピにあげた『卑劣な街』は、どこにも救いのない世界が哀しかったのだけど、『グリーンフィッシュ』には、大きなものに呑みこまれそうでいて、まだ救いがどこかに残っているような気がして少しだけ安心できた

 


『卑劣な街』(DVD)

2007-05-17 22:27:26 | K-Movie Notes


(Image source: cine21)

チョ・インソンが昨年大韓民国映画賞主演男優賞を獲得した『卑劣な街(비열한 거리)』(2006年6月 監督:ユ・ハ)。インソンがこの賞を獲ったときは、『死生決断』の主演2人をさしおき、少々納得いかなかったけれど・・・ジェミン(「バリでの出来事」)やウンソプ(「春の日」)のボンボンキャラは、さっぱり捨てて、確かにがんばっていた作品。

生活のため(母親の治療費を稼ぐために)、生きていくための手段としてヤクザになり、ヤクザとしてステップアップしスポンサーを見つけるために、手を汚し・・・ 前途ある若者が、そんな世界で身も心もボロボロになる姿は、あまりにやるせなく、胸が痛い。未熟さ、焦燥感、本来の自分の価値観とのギャップに苦悩する姿がストレートに描かれている。

ナムグン・ミンは、最初から笑顔がワルだった(笑)。新進気鋭の映画監督ミノ役で、この作品中、最も卑劣で嫌なヤツを演じている。自分がのし上がるためには、何でも利用する。同級生だからとミノに心を許したビョンドゥ(チョ・インソン)とは対照的に、ビョンドゥのことは友人だなんて思っていない。卑劣なのはヤクザだけではない・・・ということか。

ノワールと呼ばれるヤクザ作品に見るヤクザの弱点は、たいていチング(友)、ヨジャ(女)、カジョク(家族)のいずれかで、情に飢えた姿を誰かに見られたり、ほんの少しでも情に流されたりすると、ヤクザシステムからははじかれてしまう。

この作品には、これらがすべて盛り込まれているため、徹底的に追い込まれていく姿があまりに哀れで、心の揺れ具合や、肉体の凶暴性と心の凶暴性のアンバランスがちゃんと伝わってきたところは良かった。ただ、あれもこれも欲張った感じがするのに、結局どこにも救いがないというのは・・・不条理

上映時間141分・・・長い・・・
全体的にとても丁寧に作られた作品。丁寧すぎて、なんだか息苦しい。それは、先ほど述べたように、見ている間、ずっと胸が痛くなるような気持ちにさせられるせいでもあるから。音楽は、70年代風のシチリアのマフィアや東映の任侠劇がどこか懐かしく思い出されるような感じだったり、劇中インソンのボスが歌いエンドロールでも流れる
Alan Parsons Project の「Old and Wise」は、80年代前半の British Rock の代表曲 ( link to YouTube)だったり

この曲、ちゃんと日本でも流れるのだろうか。あれがなかったら、141分の長編の意味がなくなってしまうのだけど・・・ 著作権契約の問題なんだかよくわからないけど、韓国映画が日本で上映されるときに、音楽がすり替わるのはアンデェなんだけどな・・・

ところで、昨年PIFFの野外舞台挨拶で見た生インソンは、羨ましいほど顔がとっても小さかった・・・イイナ

<2007年 韓流シネマフェスティバル上映予定>

 


『甘く、殺伐とした恋人』(DVD)

2007-05-16 22:40:10 | K-Movie Notes


(Image source: nkino)

パク・ヨンウ落ちした皆さまがヨカッタとおっしゃる作品『甘く、殺伐とした恋人(달콤、살벌한 연인)』(2006年4月  監督:ソン・ジェゴン)。
出演 : パク・ヨンウ、 チェ・ガンヒ、 チョ・ウンジ

女性に興味のなかった英文学講師ファン・デウ(パク・ヨンウ)が、同じアパートに引っ越してきた自称アーチストのイ・ミナ(チェ・ガンヒ)に恋をする。ミナはなにやら謎が多い。やがてミナの正体が明かされて・・・

ドラマ「ありがとうございます」で見たばかりのチェ・ガンヒが好演。謎の女性キャラは難しいと思う。ヨンウは、私的には『血の涙』の凛  としたまなざしの方が好きだけど、インテリのくせに女性に奥手で、ぎっくり腰をかかえるアジョシな英文学講師というキャラは面白い役どころ。チェ・ガンヒの友人役のチョ・ウンジもかなり個性的。

これは脚本が面白い。会話のやり取りの面白さとテンポのよさで話が進んでいく。「いや、そうじゃないだろーっ」とか、「そっちかよー」とか、「さまーず」っぽいツッコミどころ満載で、笑いのレベルがやや高い(低い?)ような気がする。このズレた笑いを受け入れることができないと、会話の噛みあわなさとか、シリアスなんだか茶化しているんだか、何がなんだかさっぱり理解できない作品になってしまうようにも思える。

そもそも、タイトルからして、「甘く」と「殺伐とした」と相反するものがあって、監督いわく対照的な恋愛の極端な性質を端的に表したものだそうだけど、日常と非日常が入れ替わり立ち代わり、現実離れしているようでいて、重苦しい現実感があったり、相反するものが交差していて面白い。

公開当時、こちら↓のパロディポスターが話題になっていたけれど、このポスターでパクられた『親切なクムジャさん』と『甘い人生』の陰鬱な部分をふきとばしたいのか、それともアンチ韓流とか何か別ものを揶揄しているのか、ともあれ、あっけらかんとパロディにするあたり、ちょっと毒があるところが好き。

  

ロマンティックスリラーというジャンルなのだそうだが、いやいや、スリラーじゃなくてブラックでしょ(笑)・・・ちょっとキム・ジウン監督の『クワイエットファミリー』を思い出したりする。恋人同士の間に、平然かつ淡々と「殺伐な」風景が横たわっているのだけど、どろどろの血まみれ場面が出てくるわけでなく、殺人という事実もお咎めなしで(いいのか)・・・。

ワタクシ、エンディングシーンで、マーライオンの前でカバンを斜めがけしているヨンウを見て、ウズベキスタンへ嫁取りに出かけた方が一瞬頭をよぎってしまった。「女性に奥手=カバン斜めがけ」の公式にヨンウが当てはまることになろうとは・・・。

シナリオの面白さの方が先に立ってしまっているので、カメラ的(映像的)にはどうなのかなぁー、などとは素人のつぶやきにすぎず、なんでもこの作品はHD撮影なのだそうで、ウチの古いTVモニターでDVDとなると、HD撮影かどうかなんて言われないと分からず。スクリーンで見るといいのかもしれない。

<2007年 韓流シネマフェスティバル上映予定>

 


ソウル遠征記: 映画『息子』 と反転

2007-05-08 21:23:45 | K-Movie Notes

(記事などで書かれていること以外のネタバレはなし)

笑って、泣きました。正統派ドラマでもあり、既定の枠にとらわれない、相変わらずチャレンジングな監督・・・

チャ・スンウォンが息子に会うために刑務所から出かける前半の前半の場面で、すでに涙が出てきてしまったのですが、なんでこんなところで・・・ あとで音楽のせいだとわかりました。音楽もよかったのです。

『拍手する時に去れ』の時もスンウォンの目が印象的でしたが、この作品でも目が・・・そしてドクファン君も目が印象的で、左目の横に小さなホクロがあってそこが可愛くて・・・今回のホクロは鼻の下ではなく(笑)。ハルモニ役のキム・ジヨンを始めとする助演陣が手堅く、誰ひとり、画面からはみ出たり、気負った演技をする人がいなくて心地良かったです。当然ですが、チャン・ジン監督のディレクティングの中にすっぽり収まっていた感じがしました。

チャ・スンウォンがインタビューで、「監督がすでに考えた台詞に何かを加えることは『過ぎたるは及ばざるが如し』という感じです」と語っていて、アドリブは一切入れないそうです。なるほど、セリフが理解できなくても、そういうところって伝わってくるものなのだと思いました。

監督自ら、『シックスセンス』を超える反転があると豪語されていたので、字幕なしで鑑賞する場合、その肝心な反転がどこで、どんなふうに起こるのか分からなかったらショックだよなー、と見る前はやや不安に思っていたのですが・・・

セリフの分からない私のために気を遣ってくれてありがとう、監督!って、そういう意図でないことは確かですが(笑)、もともとこの作品に対して抱いていた素朴な疑問が反転に結びついたことは、ちょっと驚きでもありましたが、むふふふ(意味不明)。そして、遅ればせながら、いつも見た後に気づくのですが、冒頭からの1つ1つの場面が糸のように最後に結びついていて、どこにも無駄がないのですね。

CINE21の評論では、この反転と、心理状況を「実況中継」するナレーションの使い方に問題があって、全体の様相がねじれているとありましたが、反転がないとシマリがないし、実況中継だからちょっと朗読劇みたいな面白さがあるんじゃない・・・と私的には思ったのですが・・・「正統派ドラマ」としては異質な部類なのでしょうかね。

もともとチャン・ジン作品は会話のやり取り、言葉の面白さで見せる場面が多いので、言葉がわからないとホントつらい  評論家さんにとっては、言葉の多さがどうも Too Much だったようですが、言葉にならない部分だって多かったのに・・・と思います。私はもちろんセリフの細かい部分を理解していないため、評論家さんのご意見はあくまでも参考までに。

他には、「『知り合いの女』を思い起こさせるスタイルだ」 という意見もあり・・・たしかにその系統かもしれません。アレ(言えない )は電柱に近いかもしれないし(笑)。

「チャン・ジン式ファンタジー」 という意見もあり・・・ファンタジーの定義がよくわかりませんが、雁家族とアレ(言えない)とアレ(言えない)がファンタジックな存在かしら? いやー、雁家族はどちらかというと、ファンタジー系ではなく、お笑い劇団みたいなのですが(笑)。監督は生き物好きなんでしょうかね。

海賊版防止対策の一環としてアジア各国で米国よりも早く5月1日に先行公開された『スパイダーマン3』に合わせて『息子』も公開されたようですが、先週の韓国映画館はスパイダーマン一色と言っても過言ではなく、たとえばCOEX メガボックスは19スクリーンのうち、半分がスパイダーマンで占められており、寡占状態でした。ちなみに大手シネコンでは、国内映画は『極楽島殺人事件』、『飛べ、ホ・ドング』、『イ・テグン、このお宅は』、『息子』の4作品がそれぞれ1スクリーンしか上映されていませんでした (週末に『息子』のスクリーン数が少し増えたようですが)。全く作品性の異なる国内映画が、スパイダーマンと競合することに意味があるとは思えないのですけれど、厳しい現実ですね。

深夜にホテルを抜け出して映画館に出かけると、さすが映画好きな国民。午前0時近いというのに深夜上映のチケットを求めるお客さんで売り場は大混雑でした。『極楽島殺人事件』か『飛べ、ホ・ドング』を見ようかと思ったのですが、絶対眠ってしまいそうだったので、眠らない自信のある『息子』をもう1回見ておくことにしました。

この作品が日本へやってくることはあるのでしょうか・・・
日本語字幕で見ることができたら、あのCINE21の評論家に反論してみたくもあり、あるいは、ガラリと印象が変わったりするかもしれません。

  

ちょいワル、いえ、ワイルドで、めっちゃくちゃカッコよかったチャ・スンウォン
えっ、本命はこちらだった?  
反転レポートですから・・・チャンチャン
 

 


ロン毛で登場 ~ 『神機箭』クランクイン

2007-05-01 22:08:34 | Suda on J.J.Y.


(Image source: 조이뉴스24)

『神機箭』、4月30日にクランクインしたそうです。
髪を長くすれば・・・昔のジェヨンに戻れるなーんて冗談言ってたら・・・
本当に長くなって登場です・・・
それに、頬がこけるほど痩せてます・・・
これは期待できそう? (何を? 笑)・・・
まっ、あまり男前すぎても困るので(何で? 笑)、ほどほどにかっこよく・・・


チョン・ジェヨン、「長い髪」カリスマで映画クランクイン!
(2007/05/01 13:01  EPG)


勝負師カン・ウソク製作、キム・ユジン監督演出で撮影前から話題を集めている2007年ビッグ プロジェクト「神機箭」(製作KnJエンターテイメント)が4月30日(月)、6ヶ月間の長丁場の撮影に入った。

江原道(カンウォンド)ウォンジュで始まった、『神機箭』の初めての撮影は、武術と商才に長けた朝鮮時代の商人ソルジュ役を担ったチョン・ジェヨンが、明国との商運を祈りながら霊廟で法事を行う場面。
・・・(中略)・・・

また、ソルジュ役のために長髪で現れたチョン・ジェヨンは、「新しい髪型がぎこちないけれどもソルジュのイメージに合わせて、これから慣れる」としながら満足感を表わした。
・・・(中略)・・・

初めての撮影後、コサ(告祀)も行われた。
・・・(中略)・・・

1448年、朝鮮世宗(セジョン)大王の秘密兵器プロジェクト『神機箭』は6ヶ月間撮影を終えた後、来年初めに観客らを訪ねて行く予定だ。

いやー、史劇関連の記事を読む方も大変なんですけど・・・
こんな短い記事でさえ、歴史用語が辞書になく・・・解読不明になってしまう・・・

15世紀半ばですから、日本だと室町幕府、応仁の乱のちょっと前にあたります。『王の男』の燕山王やその後に続く「チャングム」の中宗時代は、この約40~50年後になります。

ともあれ、クランクアップ~そして公開まで無事にたどり着いてくれることを祈りつつ
韓国映画界、何が起こるかわからないので・・・