Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

Out-of-PIFF III : 『神機箭』

2008-10-12 23:50:04 | J.J.Y. Filmography


『神機箭』

原題: 신기전
監督: キム・ユジン
出演: チョン・ジェヨン、ホ・ジュノ、ハン・ウンジョン、アン・ソンギ


かろうじて中ヒットしてくれたおかげで、公開 1 ヶ月目にしてようやく見ることができました。制作発表から 1 年半。そんなに長く待ったわけではなかったですね(笑)。

最初にお断りしておきますが、ワタシの視点には思い切り フィルタ がかかっていますので、ご了承ください。また、以下、ネタばれを含んでいます



冒頭から、このビジュアル系バンドのボーカルさんみたいな方は一体どなた?という感じで始まり、ちょっとカッコすぎやしませんかチョン・ジェヨン。しかも細いっ!!!

こんなカッチョいいまま 130 分あまり続くのかと思うと、クラクラ しました。エンディングまで身が持つのだろうかと・・・。

なぜかめっちゃ強いし(笑)。1 対 100 ぐらいの立ち回りでも、難なくすり抜け、Ninja のごとく軽い、キレのある身のこなし、一体何者なのでしょう(笑)。

なのに、頭なでなでして~って、女心わしづかみ?

アクションも、ロマンスも、コミカルさも、気の毒なぐらい、あれもこれも要求された役だったのではないでしょうかね。そりゃ、撮影中に原因不明の発熱で倒れるはずだわ・・・と思いました。



公開前、この作品については、製作者自らが 「ウリナラの誇りを表現した」 というような発言をしていることもあり、仮想敵国を仕立て上げて民族主義を煽るような部分があるということで、レビューもそのようなところに批判的だったりしたので、ちょっとイヤだなと思っていました。

でも、なんだか、肩透かしを食らいました。

インタビューで、「セリフが幼稚で」 とか、「演技がオーバーで」 とジェヨンは気にしていましたが、それって、ストーリーが単純明快、つまり誰が見てもわかる起承転結で構成されているからで、作品自体は何かを鼓舞したり、メッセージ性の濃いものではなく、ただの痛快 「時代劇」 のカテゴリに入ると思います。

それに、結局のところ、この話って、王子さまとお姫さまの恋物語に尽きるのではないでしょうかね(王子かどうかは各自の判断にお任せしますが・笑)。そういう意味では、ストーリーは幼稚です。

ソルジュ(チョン・ジェヨン)が戦ったのは、愛する女性ホンリ(ハン・ウンジョン)を救わんがために戦っただけで、ホンリはホンリで、神機箭の開発は父親の遺志を継ぐ科学者としての使命みたいなもので、「お国のために」 という部分はさして強く(いえ、ほとんど)感じられませんでした。

クライマックスシーンとなる、明+女真族(?)の大部隊と、チャンガン(ホ・ジュノ)とソルジュとその仲間たちの少数部隊の戦闘場面。戦闘が始まろうとする時点で、すでに民族主義なぞ霞んでしまうほどのお子チャマ劇的、夢物語な設定にやや呆れもしましたが。見せ場なのにね・・・。

民族主義を煽っているのならば、もっと観客を動員して、大ヒットしたのではないでしょうかね~(笑)。観客の反応も単に、神機箭が天から降り注ぐ CG シーンに(ちと『HERO』 っぽい)、おおーと拍手する程度で、これが民族意識を高める引き金になるとはとても思えません。

その上、歴史認識云々でことさら取り上げるほどの格調の高さもありません。単なるフィクション史劇にすぎず、それ以上それ以下でもないと思います。


褒めているんだか、貶しているんだかですが、どちらにも振れないというのが正直なところです。ともあれ、ジェヨンのカッコよさが際立っているのは確かで、どうせならもっとワタシがメラメラと嫉妬するようなロマンスに仕立てあげてほしかったわ~(←そっちか)。





[ソウル①] 映画 『カン・チョルジュン: 公共の敵1-1』 舞台挨拶付き鑑賞

2008-06-23 21:57:20 | J.J.Y. Filmography


19 日に公開された 『カン・チョルジュン: 公共の敵1-1』 の初週末の興行は、4 日間で動員 130 万人を超え、なかなか良い出足のようです。全国の公開スクリーン数 760 ヶ所で、大量にスクリーン数を抑えることができたことが成功の要因だとか

そんな、『カン・チョルジュン』 をソウルで見てきました。シネコン系は、どこの劇場も、韓国映画は『カン・チョルジュン』、その他は海外映画というラインナップが中心で、私が泊まったホテル近くの映画館では、夜の回は空いているだろうと思って行ったら、とんでもなく、満席でした。

そして、幸運にも舞台挨拶も 2 回観ることができました
江東署強力班チームからは、ソル・ギョング、カン・シニル、キム・ジョンハク(CGVヨンサンの時)。
ナップンノムチームからは、チョン・ジェヨン、キム・ナムギル(イ・ハン)、ヨン・ジェウク。
カン・ウソク監督は来ておられませんでした。ちょっとどんな監督さんか見てみたいと思っていたのですが・・・

舞台挨拶の模様は、コチラ   FlipClip [6/25(水) 23:59 に下げます]
6 月 21 日(土) @タンソンサ

*画質はあまりよくありません。カン・シニルに移るところで、メモリ切れ 

[2008/06/28] 動画下げてしまったので、一部キャプってみました。

    

チョン・ジェヨンはすでに「漂流」モードに突入しているようで、昨年 10 月にウットリ見とれたほどスッキリイケメン風なお姿の時より、ほっぺたが丸~くなっていました(笑)。ちょっとカワイイって感じでしたが・・・

生のソル様、初めてでしたが、いやいや、さすが大スター、カッチョよかったです。
ソル様とジェヨンが対照的で笑いました。実際はとてもスマートな感じなのに、映画の中でメタボ腹をさすっていたソル様と、なぜか実際ではスーツ姿がぎこちないのに、映画の中では頬もスッキリ、スーツ立ち姿が決まっていて何ともいえずカッチョいいチョン・ジェヨン。この 2 人を生で同時に見ることができるなんてシアワセ~


キム・ナムギルはイ・ハンから名前を変えたそうですが(本名に戻した)、『モダンボーイ』 にも出演しているそうで、活躍中の若手俳優ですね。7 月には来日するようですが・・・。映画の中では小さな役と言っていましたが、小さな役どころか、かなり見所がありました。カン・シニルは元気そうでしたが、やっぱり以前より顔色がすぐれないような気がして心配

さて、作品はというと、あちらのレビューでは、90 年代風の時代遅れだとか、公共の敵のコメディ化に対する酷評がある一方、ソル・ギョングとチョン・ジェヨンの好演についての好評が入り混じっているようですが、私の最初の印象は、コミカルな部分と公共の敵という命題のシリアスな部分のバランス具合がとても高度 (ある意味、絶妙) という感じがしました

タイトルも 『公共の敵』 ではなくて 『カン・チョルジュン』 にしてスピンオフ的にしたところも、見終わるとなるほどね~と思ったのですが、公共の敵も笑いをとっていたけれど、圧倒的に可笑しかったのはカン・チョルジュンのキャラなので、この作品はあくまでも 『カン・チョルジュン』 であって、『公共の敵 3』 でなくて正解なのだと思いました。

ストーリーは、刑事モノですから、お決まり通りですが、細かいところで言葉がわからなくてもかなり笑えます・・・というより、面白さがキッチリ伝わってくるので笑えると言った方がいいでしょうか。脚本がチャン・ジン監督なのですから当たり前ですが、あちこちチャン・ジンっぽいところでニンマリ  できます。

ジェヨンについては、ツッコミどころ満載でネタバレするとこれからご覧になる方が面白くなくなってしまうので控えますが、なにしろ、「회장님 (会長様)」 ですから。この先、ジェヨンの会長役が見られるかどうか。チョン・ジェヨン vs ムン・ソングン の場面もお気に入り。そして 「理想の伴侶役」 も見せてくれるので、個人的には大爆笑でした。

この作品、全体的にアップのショットを多用していて、人を描くことに重きを置いているように思えました。でも、アップのショットが多いのに、あざとさの見える人がひとりもいないことに、ちょっと感動すら覚えました。主演 2 人はもちろん、カン・シニル、ユ・ヘジン、イ・ムンシクと楽しい演技派アジョシたちも、若手たちも。「演技の上手い人しか使わない」 と自信を持っておっしゃる監督のこだわりですかね~。

さて、日本で公開される日は来るのでしょうかねぇ~


『かわいい』(韓国版DVD)

2007-06-07 00:06:04 | J.J.Y. Filmography


(Image source: nkino)

放置していたDVDのひとつ『かわいい(귀여워)』(2004年 監督:キム・スヒョン)
出演:チャン・ソヌ、キム・ソックン、チョン・ジェヨン、イェ・ジウォン

あちこち検索をかけたけれど、この作品に関しては、2005年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に招待された際のレポートぐらいで、日本語で書かれたレビューとか感想というのがほとんどなく・・・問題作だったから、誰も見ていない?(笑)。

公開当時のCINE21のレビュー( link to)はかなり良くて、チョン・ジェヨンの演技なぞは「これまでで最高の演技」と絶賛されている。確かに難解(というべきか?)な作品の中で、明快なキャラをカッチリ押し出しているところはさっすがぁー(これはファンの欲目)。でも、ジェヨンに限らず出演者の皆さんは、オフビートでシュールなツボもしっかり押さえていたように思う。

それよりもこの作品全体に流れる異様な(笑)空気というか、テーマというか・・・
とにかくこの作品の印象は、「シュールな無国籍映画?」だったので、当時の韓国でのレビューなどを読むと、喧々諤々だったことがわかり、やっぱりねと思った。映画の途中で席を立って帰る観客も多かったとか。

だってシュールな上に、扇情的だし、オフビートで流しているけれど、その辺を笑いとばせないと腹立たしいだけだ。その上、価値観とか倫理観が、歪んでいるのか、純粋なのか、混沌としている。
この家族が住む家自体、「混沌とした無国籍な」心象そのものを表しているように思える。

3人の腹違いの息子とムーダンの父(チャン・ソヌ)が、ある日次男が拾ってきた女性スニ(イェ・ジウォン)をめぐって繰り広げる話。父親も、長男(キム・ソックン)、次男(ソヌ)、三男(チョン・ジェヨン)もスニに何かしらを求めるのだけど、男と女にはなりきれず。純粋なのかバカなのかわからないスニの言動に振り回される。男たちが求めるものを知りながら、スニの反応はいつもいたって冷静・・・

お父さん役のチャン・ソヌ。この方、以前少し触れたけれど、『品行ゼロ』のチョ・グンシク監督の師匠でもあり、特に性の問題を世間に投げかける社会派・問題作を提供した監督で、この作品ではやっぱり弟子のキム監督に無理やり引っ張り出されて、演者として出演。

さて、三男役のジェヨン。冒頭いきなり、パンツ一丁でポンポコお腹丸出しで出てこられると、こちらはどこに目をやればよいのか(汗) なんだか、マンテク(『私の結婚遠征記』)とは別の意味でちっーともカッコよくないところがね ローカルなヤクザ役なのだけど、ソファに座ってバナナを食べている姿がキヨウォ。

「少年性」、「オトナになれないオトナ」、「家父長制度に対するカウンターイデオロギー」など男と女のあらゆる視点やら、キーワードでこの作品を紐解く clue はいろいろあるのだけど。結局、女1人をめぐる男たちには妄想の世界しかなくて哀れな気もするし、女は単に男たちの癒し的存在でしかない。男と女のリアリティがほとんど感じられない。

そして「かわいい」のは女でなくて、どうも男たちらしいというのは分かるようで、だんだん朦朧として分からなくなる(笑)。

ラストで、ジェヨンがひとり体当たり&頭つきで、古いアパートをなぎ倒して崩壊させるシーンがあり、「そんなバカなっ」て設定でもそれは理解できるのだけど、ガラガラガラと崩れたあとに残ったのは、女の笑顔だけって・・・うーん、それはよくわからない(笑)。
私の脳みそもドロドロと崩壊していくようで・・・


 


『グリーン・フィッシュ』(DVD)

2007-05-22 00:16:24 | J.J.Y. Filmography


(Image source: nkino)

何でまた今ごろになって『グリーン・フィッシュ(초록 물고기)』(1997年2月 監督:イ・チャンドン)。公開当時話題になり、その年の国内外の映画賞総なめ、名作と語り継がれているのだけど、未見だった。
出演:ハン・ソッキュ、ムン・ソングン、シム・ヘジン

先日、友人がいきなり「ウチにこれあったから、貴女にあげる」と言われ、ちゃっかりいただいた代物。「ひゃ~~ぁ、ウレシイぃぃ」と、満面の笑みを浮かべた私に友人が、「あれっ、シュリの人(=ハン・ソッキュ)のファンだったっけ?」。えっ、いや、違うけど、この作品に今私が ALL IN  している人の下積み時代が・・・とか言っても、四天王ぐらいしか分からない彼女にとってはちんぷんかんぷんだろうし・・・この監督がね・・・とか言ってごまかした。

実はイ・チャンドン監督の作品、多方面から絶賛されている『ペパーミントキャンディ』とか『オアシス』とは個人的に相性があまりよくない(どんな相性なんだか?)。でも、今週には封切りになる、チョン・ドヨン&ソン・ガンホの『密陽』は注目しているので、その前に監督デビュー作のこれをチェックしておこうかと思って・・・

この作品には、ちょっと知った顔がぞろぞろ出てくる。ソン・ガンホは頭の悪そうなワルのチンピラで、『王の男』の狂王チョン・ジニョンは卵売り、イ・ムンシクは見逃しそうなぐらいちょい役のケンカっぱやい不良青年?、ヒロインは「宮」のユル君オンマのシム・へジンだし、そして酔っ払いのキャバレー客がジェヨン・・・と、人に歴史アリ・・・。ハン・ソッキュの実兄ハン・ソンギュも出演している。

チョン・ジニョンのファンサイトで知ったのだけど、チョン・ジニョンは、この作品の助監督としてもクレジットされている。この頃、俳優を諦めて演出に回る決意をしていたらしい。ところが監督から突然ハン・ソッキュの三番目の兄という役で出演するように言われたのだとか。

そして、チョン・ジェヨンは、キャバレーの酔っ払い客の
役。後ろ姿がほとんどで、キャバレー店内が薄暗く、顔も正面からはロクに映っておらず、声で分かったけど、あっけなくハン・ソッキュにボコボコに・・・お客様なのに。哀れ・・・。この間約30秒。
 
 

で、作品はというと・・・前半は、やっぱりこの監督との相性は悪いわー、と思いながら早送りにしようかとも思ったけど、端役のジェヨンを見逃したら、この映画を観た目的の半分が・・・(笑)。

↑このジェヨン登場後あたりから、後半の話は面白くなってくるので、この30秒シーンはターニングポイント的な場面かもしれません(無理やりこじつけ? )。

除隊したマクトン(ハン・ソッキュ)は、除隊したものの就職したあてはなく、家族(母、兄3人(長兄:脳性まひ障害者、次兄:刑事、三兄:卵売り)、妹)は日々の生活に追われバラバラに暮らしている。マクトンには夢や希望もなく、汽車の中で出逢った女ミエ(シム・ヘジン)との縁で、言われるがままに、アンダーグラウンド組織の世界に足を踏み入れる。たったひとつの夢は、家族が一緒に暮らし食堂を経営すること。組織のボス テゴン(ムン・ソングン)の信任を得て、ボスの情婦ミエにほのかな恋心を抱きながらも、組織に身を投じて、破滅へ・・・

韓国ノワールによく見る世界でもあり、アンダーグラウンドの世界と、一般庶民の家族のリアルな生活とか平行線で描かれているところが面白い。マクトンの家族はバラバラに暮らしていたのに、皮肉にもマクトンが裏の世界で果てることによって、家族は再び結束することになる。マクトンは小さな夢を叶えたわけだが、その夢の構図に自分の姿がないことに気付かなかったことが哀れでもある。

この作品が公開されたのが今から10年前。時代背景的には、この映画が公開された1997年の後半に韓国は前代未聞の経済危機に陥るので、そのちょっと前の作品。そんな世相を反映してか、登場する人物キャラにあまり覇気とか生気、活気が感じられず、何かに呑み込まれそうな予感のする作品。

この作品の公開前にどれほどのノワール作品があり、公開後の作品群との比較を語れるほど見識もないのだが、私が観てきた韓国映画のノワールというのは、この作品の後のものばかり・・・ さほどこの作品から何か新鮮なものを感じることができなかったのは、『グリーンフィッシュ』が韓国ノワールのマイルストーンなのかと思ったりする。

10年前の作品でも、最近の作品でも、相変わらずヤクザたちは穴掘って人を脅迫するし、組織内で頭角をあらわすために手を汚すこともいとわないのも同じ。「若さ」が無駄に費やされる。ヤクザのシステムは変わることがなくて、システムそのものの存在感も変わっていない。

ちょっと前にトピにあげた『卑劣な街』は、どこにも救いのない世界が哀しかったのだけど、『グリーンフィッシュ』には、大きなものに呑みこまれそうでいて、まだ救いがどこかに残っているような気がして少しだけ安心できた

 


『ダイ・バッド~死ぬか、もしくは悪になるか』(DVD)

2007-03-28 23:46:13 | J.J.Y. Filmography

(Image source: nkino)
ちょっとダイバッドな気分になったので、『ダイ・バッド~死ぬか、もしくは悪になるか(죽거나 혹은 나쁘거나)』(2000年 監督:リュ・スンワン)。

ダイバッドな気分って、別に死ぬか、悪になるか、という選択に迫られているわけではなくて、なんだか行き詰ってキリキリしていたもので・・・

4部構成。まず第1部「ケンカ」を短編として製作、その後第3部「現代人」も短編で製作してから、第2部「悪夢」と第4部「ダイ・バッド」と加えてリレー形式の長編作品となった。なんでも、PIFFに対するリベンジ作品だとスンワン監督言ってましたっけ。

第1部「ケンカ」
ビリヤード場でたむろしていた工業高校の生徒ソンビン(パク・ソンビン)とソクファン(リュ・スンワン)は、そこで
芸術高校の生徒とケンカになる。ソンビンは、誤ってキザな芸術高校の生徒ヒョンスを殺してしまう。ここから、ソクファンとソンビンの因縁が・・・
スンワン監督、なんだかほっそり。制服姿がちょっとかわいい・・・(笑)。

第2部「悪夢」
刑期を終え出所したソンビンは、家に戻っても父親から辛く当たられる。刑事になった友人ソクファンに連絡しても冷たくあしらわれる上、ヒョンスの亡霊に悩まされる。ある日ヤクザのボス、テフン(ぺ・ジュンシク)を助けたことがきっかけで、ヤクザの世界に足を踏み入れる。

ここではジェヨンがソンビンの兄役で友情出演
最初見たときスルーしていた私 ミアン
だって、キラーキャラでも、キモキャラでも、メタボキャラでもなく、訛りキャラでもなく、珍しくごく普通の一般人キャラだったもので・・・

   
                

第3部「現代人」

刑事のソクファンは、ヤクザのボス、テフンを検挙するために、テフンと1対1の闘いになる。
ソクファンのモノローグとテフンのモノローグがドキュメンタリーのように交差しながら、対決場面が続く。
私的には4部構成のうちこの部が一番お気に入り。「モノローグ=静」と「対決=動」のシンクロとでも言うべきか、とても洗練された空間と時間。

第4部「ダイバッド」
スンワン&スンボム兄弟が兄弟役で出演する作品を見ることはもうないかもしれない。
ソクファンの弟でサンファン(リュ・スンボム)は問題児。もちろん学校になんて意味を見出せず、ヤクザに憧れて、兄ソクファンのかつての友人で、今はヤクザ者のソンビンの手下になる。
ヤクザらしく肩で風きって歩いてみても、その姿はどうみても悪ガキにしか見えないのだけど、そんな悪ガキを演じさせるとスンボムの右に出るものはいない。無駄死の最期は哀れすぎる。そして、友人同士だったはずのソンビンとソクファンの対決が避けられないのも悲しすぎる。

ここでもソンビンとソクファンの対決場面とサンファンの乱闘場面をシンクロさせることで、別々の構成を、一本の糸でつなげているように思える。

この作品には、この後のスンワン作品にも出演する人々の顔があちこちに。製作費6500万ウォン。低予算作品として監督ご自慢の一品

私が言うのもおこがましいけれど、スンワン監督の作品はどれも構成力に優れていると思う。この作品も然り。元々短編から出発したものであるけれど、ストーリーは、パズルがどんどんはめ込まれていくような感覚で、最初と最後がきっちり噛みあって、抜け落ちたパズルがない。


血はともかく涙ぼろぼろ

2007-03-10 21:47:17 | J.J.Y. Filmography


本日よりシネマート六本木では、『相棒』『血も涙もなく』『キリマンジャロ』『インディアンサマー』の4本の韓国映画が公開。上映期間が短くても、いろいろな作品が紹介されるのは嬉しい限り。

シネマートさんがちっとも宣伝してくれなかったせいで(笑)、来週の上映予定が心配になるほど、初日の『血も涙もなく』はガラガラ(想定の範囲内)。それでも、昨年12月のシネマート新宿オープニング記念でのすし詰め試写室みたいなスクリーン上映よりは、ずっとまともな上映環境でホッ。

上映後、「ぴあ」の出口満足度調査に呼び止められ、お写真を撮らせて欲しいという申し出をお断りしてコメントと点数だけ提供。

監督も出演者も大好きだけど、意図的に満足度を引き上げることに意味がないので、好きなところは好き、ちょっとココは受け入れられないというところは受け入れられないということで、正直に点数をつけたつもりだけど。

知っている人は知っていて、観たい人は観て、分かる人には分かるという、そういう作品でいいのではないかと、個人的には勝手にそう思える作品。製作者との意図とは違うかもしれないけどね。製作者といえば、Executive Producer が・・・だったのね。なるほどー(って、何がなるほどなんだか)。

   

(Image source: movist)

前回見たときは、バイオレンスが痛すぎてというのが全体の印象だったのだけど、怖ろしいもので、見慣れてしまうとまったく気にならず・・・
その代わり、胸キュン度が3倍ぐらいに膨れ上がってしまい、惚れ直してしまった ・・・
誰にって言うまでもありませんことよ。

この作品は若い俳優も実力派ばかりだけど、脇役のアジョシたちが個性豊かで、笑いどころ満載なところも見逃せない。ポン・ジュノ監督(『グェムル』)やオ・スンウク監督(『キリマンジャロ』)のカメオ出演もバッチリ確認。よく観るとカメオなわりにはテイクが長い(笑)。

チョン・ドゥホン(兼武術監督)にボコボコにされたジェヨンの恨み(?笑)は、私がコチラ↓ではらしておいた。

『相棒~シティ・オブ・バイオレンス』公式 ホームページ
 「
行くぜ!相棒ガチンコアクションバトル」
5戦5勝だもんねー



『あきれた男たち』(DVD)

2007-02-28 23:53:52 | J.J.Y. Filmography



(Image source: nkino)

おめでたいニュース・・・
チャン・ジン監督、5月ご結婚おめでとう

結婚しちゃったら、『小さな恋のステップ』みたいな作品はもう書けない? だって、妻子持ちにはああいうシナリオは書けないって、ジェヨンが言ってたから・・・ それとも、以外とメロ路線に走ったり・・・ 

おめでとう記念ということで、レビュー(もどき)をすっかり怠けていた監督の長編デビュー作『あきれた男たち(
기막힌 사내들)』(1998年 監督:チャン・ジン)を再見。

国会議員連続殺人事件に絡んで、容疑者としてあがってくる男4人。それぞれ、事件とは無関係にもかかわらず、その奇妙な行動と、偶然と奇跡と誤解から、警察から目を付けられる。果たして、警察はこの事件を解決できるのか。おかしな4人組の運命は・・・という感じのストーリー。あらすじを書くと面白くなくなっちゃうので・・・適当に書いてみた。

オフビートどころか、オフ x 3 ビートぐらいのノリ 。10年前のチャン・ジン コードには、監督も若かったせいか(笑?)、最近の作品よりももっとスピード感もあって、1度可笑しさのスイッチが入ると、
すべてが頭の中で可笑しくなってしまう。音楽も洒落てるし、途中からミュージカルになってしまったのには驚き。

笑いや緊張感、スピード感の中にも、必ずふと胸を摑まれるような気持ちになる場面やセリフがあるのは、変わらないのねー。だから好きなのよね

この作品、監督の長編デビュー作品なのに、面白いことに、これまでの数々のチャン・ジン作品の趣きがすでに垣間見えていたりするのは気のせいかしら。冒頭の刑務所は、『偉大なる系譜』を思わせるし、電柱は『小さな恋のステップ』だし、刑事と容疑者のかみ合わなさは『拍手する時に去れ』だったり、男が4人並ぶとキラーじゃないけど奇妙な男版『Gun&Talks』だったり、刑務所から出所した父と娘というテーマは新作『息子』みたいだし・・・

この出演陣は、お見事というほどバランスが取れている。チェ・ジョンウォンとヤン・ペクチュのおっさんコンビ、ソン・ヒョンジュの間の抜け具合、シン・ハギュンのハッとするほど溢れる若者の色気、イム・ウォニの調子はずれな刑事・・・ ハギュのデビュー作であることは知っていたけど、あれ、ジェヨンも出てたのね・・・前に見た時は気づかず(なんてこった)・・・ それに、若き日のオム・テウン?って思ったら、やっぱりそうだった。見どころ満載!

結婚して、若い嫁さんにデレデレでもいいけど、作品はどんどん書いてね、監督



遅ればせながら・・・ひとりトンマッコルNIGHT

2007-02-17 14:36:14 | J.J.Y. Filmography


今週後半、クレーム処理案件でヘロヘロ、さらに暗雲漂う来週を思うと超ブルーな金曜夜。そんな私に届いたこのDVD。それこそ、 Welcome 『웰컴 투 동막골』韓国限定版
「遅ればせながら」のファンなものだから、自分が目覚めたときはすでに完売状態。限定5000個だと言われていたけど、本当はもっとあったのかな? 

あと少し待てば日本語版発売になるし、絶対に買うまいと思っていたのだけど、ある日手が滑った。韓国製ならではの(なぜか)
手作り感漂う BOX 仕様やら、絵コンテ&シナリオつきハイライトシーン BOOKが手招きした。

何度も見ているのに、何でまた見ているんだか・・・
だって好きなんだもん、この映画。日本でのレビューを読むと、評価は色々、観る人によってホント視点って違うものなのね。個人的には、自分が気に入ればそれでいいので、超自己満足&自己完結型。

絵コンテBOOkを見ると、映像は絵コンテにほぼ忠実に再現されている。絵コンテの中で最も異なる部分は、人民軍兵士リ・スファの容貌・・・ 頭は bold(=ハゲ)だし、顔は細面で小さくラッキョウみたいだし、あご髭は聖徳太子の髭を短めにカットしたみたいだし、顔の傷は顔の中央に縦に入ってるし・・・ bold なジェヨンは見たくないので、そこは、絵コンテに忠実じゃなくてよかった ・・・

そして、監督パク・クァンヒョン、ジェヨン、ハギュン、へジョンの4人のコメンタリー。韓国語で何を言っているかわからない。わからなすぎて、とっーてもイライラ、ストレス溜まりそうだし、見てて意味あるのかーと思いつつ。いいの、いいの。たまーーーーに拾えた言葉にいたく感動できるから

あまりにも静かだった『ウェディング・キャンペーン』のコメンタリーと比べて、このコメンタリーでは、監督がひたすらしゃべり続ける。どのテイクも思い入れが深いことがうかがわれる。それに加えて、キャスト3人、特に、男優2人がチャチャ入れるものだから、映像見てないんじゃないのーと思うほど、うるさいコメンタリー(爆)。

最後の戦闘場面なんて、泣けるポイントなはずなのに4人で大爆笑しているのは、なぜ? 作戦会議で武器の配置を指示するハギュのセリフ、「イチョゲ・・・、イチョゲ・・・(こっちにxxxを、こっちにはxxxを)」に、異常なほどみんな反応していることはわかったのだけど。うーむ、言葉が分からないって悲しい・・・ いつの日か、せめて半分ぐらいは絶対わかるようになってやる・・・と、こういう時だけ学習欲ボルテージが上がるのだけど、そんな覚悟はなぜかすぐ忘れてしまう(情けないっ)。

へジョンが悲しい場面と言っていたのは、ピョ・ヒョンチョルが丘の斜面で草そりを楽しんだ後、橋を爆破して人々を殺した罪悪感に苛まれる場面。ここは鳥肌がたつほどハギュの名演技。

監督が悲しい場面と言っていたのは、ヨイルが流れ弾にあたって死んでしまったあとの、怒り収まらぬソ・テッキの行動。ここは、リュ・ドグァン君が全部持っていった場面。

コメンタリーを見ながら、この作品で、どの場面が好きかと聞かれた時のために(聞かれてないけど)、整理してみた。

最初に森の中で人民軍兵士3人とヨイルが遭遇する場面
雨の中、双方の兵士達が睨みあう中、ヨイルがソ・テッキの顔を靴下で拭くところから「カラッチ!」までの場面
ソ・テッキとピョ・ヒョンチョルが口論になって双方殴りかからんばかりのところで、スファが「クマネェ」と間に入ってくる場面
イノシシバーベキューで、みんながモグモグしながら打ち解けていく場面
それと、上の悲しい場面2つ。

どうも「ヨイル&ソ・テッキ」がらみシーンはお気に入りだ。

ついでにどこでジェヨン堕ちしたかというと、冒頭、リ・スファが岩陰から人民軍の兵士達を引き連れて出てきた途端、 雷に打たれた。とどめは、村を静かに出て行く後姿に胸キュン。完全に村女的視線(爆)

      

面白いもので、無謀にも言葉のわからないコメンタリーを見るという無意味な作業にも、収穫があった。ホント、最後の最後、エンディングなのだけど。あの「蝶」の意味がわかった。私はあの「蝶」はてっきり森の精霊か何かだと思っていた。どこかの監督インタビュー記事で、あの「蝶」には深い意味があるけれどあえて明言しない、というようなことが書かれてあった。この記事がひっかっかっていたのだけど、ファンタジーコードでうやむやになっていた。ようやく謎が解けた 。監督、ここで明言してたのね。見てみるものね・・・

そんなこんなで、深夜3:30まで、ひとりトンマッコルNIGHTは続いた。その後眠りについたら、夢の中では、トンマッコルの人々が総出演の豪華版だった(笑)。


私のDVD『ウェディング・キャンペーン』鑑賞記

2007-02-11 22:20:05 | J.J.Y. Filmography


(Image source: cine21  @10th PIFF)
まったく・・・珍しく予約までしたDVD『ウェディング・キャンペーン コレクターズエディション』がなかなか届かなかった。コレクターズ版要らなかったかも、と実は注文後ちょっと後悔したこともあり、別に急いでもいないからいいのだけど・・・ それにしても配送予定日が過ぎてもウンともスンとも音沙汰がないのは頭にきたので、クレームしたらギフト券頂戴しちゃった・・・あはははー、そんなつもりじゃなかったのにぃー、でもあちらのミスだからねー


既にスクリーンやらVCDで見ていたので、コレクターズ版で真っ先に見たのは、なんといっても、監督ファン・ビョングク、チョン・ジェヨン、ユ・ジュンサン、スエの4人のコメンタリー付き映像。かなりウケた。普通、
4人でコメンタリーと聞くとうるさそうなのに、4人とも映画に入り込んじゃって、口が重たい、重たい ・・・ (笑)

ジェヨンは、自分の姿を見て、「小汚い」とか「暑苦しい顔だ」を連発しているし・・・
「あの風景はCGか?」と監督に確認したり、「空の色がよくない。ココは夕焼け空がほしかった」とか、「セットなのにセットに見えないところがイイ」とか、コメントがやたらスタッフの視点だし・・・

ジュンサンは、ポイントが微妙にずれていて、会話を盛り上がるかと思えば、盛り下げるし、自分が一番泣けた場面がココというところで、他の3人の反応が「えっ・・・」だったし・・・ 

スエは、このシーンもあのシーンも「大変だった」、「監督に怒られてばかりで・・・」(監督は怒ってない・・・と反論)と控え目なようでいて、マンテクの7:3分けの髪型をジェヨンが現場で「レスリー・チャン風」と言って聞かなかったと笑いとばすし・・・

監督は、「スケジュールがおしてて」、「時間がなくて」、「新人監督だから編集が未熟で」を繰り返すかと思えば、マンテクがパンツ一丁でいる場面で、「(ジェヨンが)パンツを二重履きしてたのがやっぱり映像で分かってしまう」と残念がってるし・・・

てんでバラバラなコメンタリーにケラケラ笑いながら、そして後半は不覚にもボロボロ泣けてしまった・・・(アホだ・・・)

手の内を明かしてしまうというのは、ある種の禁じ手で、観客に対して正攻法ではないけれど、シネマート新宿で見た時は小さなスクリーンだったので、よく見ていなかった部分がたくさんあったのだなと思った。それでも、監督の思い入れや伝えたかったことを聞くと、「あー、そうなのか」と納得する一方で、やっぱり私(観客)に伝わっていない部分が多いのかなぁと思った。編集って難しいのねって、自分の感性の鈍さを棚上げにして(笑)。

それぞれの演者のキャラクターづくりには文句なしではあるけれど、作品そのものには実はあまり共感できなくて、どうしてかなぁーと思ってたら、この伝わらなかった部分の多さだったのかもしれない。

この作品は第10回釜山国際映画祭クロージング作品で、公開前に話題を集めて期待された作品だったようだけど、興行的には100万人に届かずジェヨンが悩んだという記事をどこかで読んだような気がする。ワンテイクごとの熱き思いと編集後のフィルムにはかなりギャップが出たような作品なのかもしれないなー、なんてね・・・

 


見ちゃった・・・『偉大なる系譜』(DVD/韓国版)

2007-02-04 22:16:52 | J.J.Y. Filmography


耐え切れず見てしまった『偉大なる系譜(
거룩한 계보)』(2006年 監督:チャン・ジン)。別に耐える必要はなかったのだけど、あらすじも、予備知識も蓄えていなかったので、どうしようかなぁーと思ったけど・・・。英題は、『Righteous Ties』、正義の絆、高潔な絆、道理のある絆、とでも訳すのか。ヤクザに正義って、何か相反するものがあるような気がするけど・・・。

以下、覚え書きなので、あしからず。

見終わって・・・・ 
某韓流スターの純愛映画よりも、はるかに笑え、はるかに泣けてしまった・・・ 
ええーっ、これ、そういう映画だったの。また、チャン・ジン監督にやられた? 

先日ノワールコメディとか勝手に言ってしまったけど、なんだか違う。ヒューマンドラマだと思う。この映画、見かけはヤクザ映画だけど、こんなにも血をみることの少ない韓国ヤクザ映画はあまりないかも。アクションはあるけど、目を覆うようなバイオレンスはほとんどないため、これまでの数々の韓国ヤクザ映画とはまったく異質なもの。

Two Top で2人の男のガチンコ対決というフレコミ(って、あちこちの記事に書いてあったと思うのだけど)もなんだか違う。正確な「友情の系譜」には、チョン・ジェヨン、チョン・ジュノ、リュ・スンヨンの3人が登場する。このトライアングルがストーリーのベースなのだけど、実際の展開はチョン・ジェヨンが主導していて、それにジュノ&スンヨン+仲間達という構成なのかな。私的には、ジェヨン主演で申し分ないのだけど、チョン・ジュノより、リュ・スンヨンの存在の方が気になった。

この作品の中で、浮きまくっていたのがチョン・ジュノ。本人がその気になれば、韓流十天王に入れたかもしれないソフトで甘いマスクだし、見る前から浮きそうな気がしてたけど、でもこれは明らかに意図的であることもわかる。あの甘いマスクに、笑顔は見られない・・・。

それに、ヤクザなのに自分は会社員だと主張してるし・・・このテのキャラ、どこかで見たような・・・思い出した。『甘い人生』のキム・ソヌ室長。殺し屋かと聞かれて、ホテル・マネージャーと応えていたし、この室長も笑わなかった。

ところで、チョン・ジェヨンの役名が「トン・チソン」なのだけど、えっ、『恋ステ』でもトン・チソンだった。こちらのトン・チソンはあのとぼけたトン・チソンとは似ても似つかぬ役だけど、ジェヨンは、やっぱり別人のごとく、こちらのチソンをしっかり自分のものにしてた。とてもステキ

脱獄場面は、某海外TVドラマのパロディもあっておもわず吹き出した(爆)
刑務所内の場面が多いのだけど、撮り方が面白くて、見せ場が要所要所にしっかり入れ込んである。そして、音楽がいいので、これでかなりの部分を持っていかれた。

メイキングとかまだ見てないので、ちょっと予習してから、また見てみることにしよう・・・

 


『マイキャプテン、キム・デチュル』(VCD)

2007-01-04 22:37:52 | J.J.Y. Filmography


(Image source: nkino)
正月早々から、舌を噛みそうなタイトル『マイ・キャプテン、キム・デチュル(마이 캡틴 김대출)』(2006年 監督:ソン・チャンス)、英題『My Captain, Mr. Underground』。この英題、つけるなら「Mr. Loan」 にすればいいのに(笑)・・・(*英語字幕)

この作品、昨年興行的には大コケした作品。ジェヨンssi いわく「少なくとも、私は今まで評壇と観客の両方から無視されたことは一度もなかった。ところがこの作品は、両方から徹底的に無視された映画」([2006/10/24 16:36 티켓링크])。記者試写会の反応が悪く、最初から暗雲たちこめていたとか。

役名キム・デチュルというのは、韓国語で「金貸し」という意味で、映画のプロモーションで記者達にこの映画の宣伝や資料のメールを送信すると、なんとスパムメールとして振り分けられてしまい(*注:
スパムメールはメール内容のキーワードで振り分ける)、記者の目にも留まらなかったのではないかという、笑えない笑い話もあるほど

さらに、当初、役名はキム・マンツルだったそうだけど、ジェヨンssi の前作『ウェディング・キャンペーン』のマンテクと似ているので、わざわざキム・デチュルに変えたのが、かえってアダになった?

ところで、この作品、制作費に窮していたのだろうか(笑) チョン・ジェヨンssi 演じるキム・デチュルの衣装は、主演だとういうのに、最初から最後まで同じ、1着きり・・・着た切りすずめというのも話題になったようだ。子供たちの方が衣装の数は多かった・・・(笑) 

興行成績が惨憺たる結果な割には裏話が多くて、笑った


で、肝心の内容だけど、笑えるコメディだと思って見たら、ヒューマンドラマだった。もちろんコミカルな部分もあるけど、テーマは意外に暗いというか、重たい・・・ ジェヨンssi いわく、これまで演じた中でもっとも重いキャラだったとか。

新羅時代の国宝級の金の仏像を掘り当てた盗掘師デチュル(チョン・ジェヨン)は、これを秘密の場所に隠しているところを少女ジミンに見つかってしまう。これは、特命だからと他言は無用と、自らを大将(キャプテン)と呼ばせ、ジミンを自分のアシスタントに任命する。後日、隠し場所に出向いたデチュルは、そこに仏像がないことを知る。ジミンがどこかへ持っていったに違いないと、ジミンの家に行く。ジミンは学校のロッカーに隠したとデチュルを案内するが、ロッカーからも消えている・・・ジミンと同じ学校に通う吸血鬼になりたがっている少年ビョンオが盗ったのだ。デチュルはなんとかしてビョンオが仏像を隠した場所を知ろうとする。デチュルは、ジミンとビョンオの家庭事情を知り、自分の人生と重ねて、親近感を抱くようになる。

  
 
自分のせいで父親が刑務所送りになった盗掘師デチュル、両親がいなくて祖父に育てられるジミン、父親を亡くし、血を吸えば死なないと信じる白血病の少年ビョンオ。この3人の共通点は、「家族愛の欠如」。三者三様だが、心の渇望は同じ。

見終わってみると、大コケに値するほどひどい作品ではない。ただ
、一体誰をターゲットにした作品だろうか? と疑問が湧いた。ストーリーとしては、どちらかというと映画というよりはTVドラマっぽい仕上がりだなぁと思ったら、ジェヨンssi も後日のインタビューでも同じようなことを言っていて、「子育て世代=TVドラマを見慣れた人にとって共感できる作品なのかもしれない」って・・・明らかに、映画を観に来る層にはウケそうもない。

子役と競演するのは初めてなので、子供の自然な演技を引き立てるように、自分の演技を抑えたというジェヨンssi 。実生活では7歳と3歳の男の子の父親だからか、扱いづらい子供と真剣に向き合って、なんとか仏像を取り戻そうとするデチュルの姿は、何ともほほえましいし、子役2人の天真爛漫さに癒される

個人的なジェヨンssi 贔屓を差し引いても、意味不明な演出もなく、テーマが重たいのに重たすぎない演出で、やたら涙がこぼれる情緒的な作品でないところがいいと思うのだけど、やっぱりストーリーのキメが粗くて、盗掘師という設定自体が強烈。そして、この作品の主役は誰なのかという点も、盗掘師なのか、子供なのか、子役も含めイイ役者が揃っているだけに焦点が絞りきれていなくてもったいないなぁという印象。

新羅の王の話を子供達に聞かせる場面で、話の中で王に扮装したジェヨンssi が出てくる。この人も作品に史劇がないけど、ヅラ(?)も衣装も似合っていて時代劇風なカレもなかなかいい感じ。史劇も演ればいいのに・・・

 


『クワイエット・ファミリー』(DVD)

2006-12-14 22:59:46 | J.J.Y. Filmography

(Image source: nkino)
釜山パラダイスホテルでの運命的な出会いから2ヶ月あまり。某ブログ主さんの創作ストーリーで、他の女に横取りされて、私の心は傷だらけ??( 爆) その運命の監督、キム・ジウン監督のデビュー作品『クワイエット・ファミリー』(1998年)。このDVD、どうやらおタカラDVDらしい 。中古で見つけた。レンタルショップでビデオが置いてあるのは見たことあるけど。

シネ21のシナリオ応募で認められて、本格的に監督デビューしたその作品がこれ。ブラックホラーコメディって、いかにもジウン監督らしいジャンル。 アダムスファミリーかい?と思ったけど、登場するのは幽霊じゃなくて人間だから、もっと人間くさい。監督自身は『ファーゴ』を強く意識していると言っているけど。

ああ、そう言われると『ファーゴ』に似ているけど。『クワイエット・ファミリー』の方が生々しいというか、アジア的な陰鬱な部分と、独特の死生観が浮き彫りにされているような。

1999年の世界三大ファンタスティック映画祭すべてにおいて、招待作品として上映され、その他数々の国際映画祭からも招待上映されたというのだから、当時いかに切り口が斬新だったことがうかがわれる。

舞台となっている山荘が、これまた、ジウン監督らしい仕掛け。奥行きのある廊下とか、『甘い人生』でもよく見られた背景だし、照明とか陽光の使い方によって、ホラーでありそうでホラーでなさそう、重苦しそうであっけらかんとした演出が面白い

で、配役が驚く。この先こんな俳優陣が出揃う映画はお目にかかれない。ソン・ガンホssi、チェ・ミンシクssi、パク・イナンssi、ナ・ムニssi(ドラマ『私の名前はキム・サムソン』でヒョンビンの母親役)、当時アイドルだったというコ・ホギョンssi、それにチョン・ジェヨンssi もね。

リストラされた父親とともに、一家は山の中に建つ山荘を開業。ところが、客は一向に来ない。ようやく現われた最初の客をもてなす一家。ところが、その客が翌朝死体となって発見される。悪い噂がたてば商売あがったりになることを恐れ、死体を山の中に埋めてしまう。そして、何の因果か二組目の客が心中してしまう。また山の中へ・・・。強欲な村長の陰謀加わって、この山荘には、また思いもよらぬ死体が・・・

いやー、このストーリー、一体最後はどうなるのかなぁーと心配になるほど、後半収集がつかなくなりそうな展開だったけど、最後は「そうくるか」・・・ヘナヘナ・・・。「ドミノ的」な展開とどこかの記事で読んだけど、まさしくその通り。ちょっとしたことが、どんどん、思わぬ方向へ進み、「どうしてこんなことに  ・・・」と呟きたくなる展開。ある意味、『甘い人生』と同じコード。生と死の境目がないような日常にギョッとする。

そして、『甘い人生』がちっとも甘くなかったように、『クワイエット・ファミリー』もちっとも静かじゃない、騒がしい。そんな反語的ストーリーもジウン流なのかな。前半テンポが遅いので、もうちょっとテンポが速くてもよかったかな・・・

ジウン監督作品だからということだけでなく、これを見た理由は、もちろん、チョン・ジェヨンssi が出演しているから。また脇役で出演しているというので、わからなかったらどうしようかと思ったけど、冒頭5分で出てきて、去ってしまった。ええーっ あと95分もあるのに・・・。と思ったら、途中で再度登場。

そして、その先がタイヘン この人のフィルモグラフィーにはベッドシーン  なんてないと勝手に思い込んでいたら、あった。通常は、ロマンチックで甘~い場面になるはずが、ブラックコメディでコトに及んでいるカレを見て、ワタクシ、画面に向かって倒れました。昨晩眠れなかったよ、もう 。ジェヨンssi ファン必見。ジウン監督ったら、ここでカレを使うなんて・・・うふふ。

ともあれ、この山荘には泊まりたくないなぁ(爆)
日本でのリメイク版は、三池崇史監督の『カタクリ家の幸福』。こちらはペンション編で、ミュージカル仕立てになっているそうで、ジュリーやら、清志郎が歌っているとか。ちょっと見てみたいな。


『ウェディング・キャンペーン』

2006-12-10 18:13:18 | J.J.Y. Filmography

(Image source: nkino)
本日も昨日同様、すし詰めホームシアター状態のシネマート新宿 Screen 2へ。本当は大きいスクリーンで見たいけど時間が合わない・・・ 『ウェディング・キャンペーン』(2005年 監督:ファン・ビョングク)、原題『私の結婚遠征記』。

この作品、ジェヨンssi が出てなかったら見ようと思わなかった・・・40歳に近くになっても結婚できない田舎者マンテク(チョン・ジェヨン)が友人ヒチョク(ユ・ジュンサン)とウズベキスタンに嫁とりに行く話。女性と目を合わせて話すこともできないシャイなこのダサ男は、現地で紹介される女性とのお見合いには失敗するが、現地で世話をしてくれる通訳ララ(スエ)とは、心が通じるという話。女性を物色しに行くみたいな話だからつまらなそだなぁーと思いつつ、見る前は全然期待してなかった・・・

ストーリーは単純で、結末も見えていたのだけど、なんだかあまりにもマンテクが純粋すぎて、真っ直ぐににしか走れない男なので、ちょっと泣けた。ダサ男の上、キャラはかなり濃いのだけど、そこはジェヨンssi のこってりした演技が見ものなのだ。友人ヒチョクとの絡みも、互いのキャラを生かしている。「マンテクssi、嫁が欲しければ、そんな遠くまで行かなくても私が行くよ

現地の通訳役がスエssi 。ここでも訳あり女で、スエssi はやっぱりスエssi で、『夏物語』のジョンイン役とさしてかわらない外見・表情・演技でちょっと残念。でも、私はこの人の声は好き。誰かに媚びるような声でなく、落ち着きのある声がイイ。

しかし、ジェヨンssi のこの潔い変貌ぶりといったら、よくまぁここまで演じきれるなぁと、唖然いえ尊敬するばかり。役作りで体重を10kg増やして撮影に臨んだそうだ(↓使用前、使用後みたいだ)。目が点、いや、目が痛い、いや、目のやり場に困る、いや、目が釘付けだった、パンツ一丁でウロウロする姿は、あの『トンマッコル・・・』での精悍な将校リ・スファから、そして昨日の『血も涙もなく』のバイオレントな男からは想像できないよ・・・ファン的にはこのダサ男、歌まで歌ってくれるのでファンサービス満載な作品なのだけどね。



ソウルでVCD仕込んできたので、また夜中にクックックと笑いながら見てみようっと・・・


『血も涙もなく』

2006-12-10 00:41:54 | J.J.Y. Filmography


(Image source: nkino)
シネマート新宿オープニング記念シネマフェスティバルより、『血も涙もなく』(2002年 監督:リュ・スンワン)。
激しい・・・バイオレンスが激しすぎて・・・通常なら目を覆うところなのだけど、ストーリーがよくできている。狙うものは1つで、それをめぐって、さまざまな人間が絡み合うのだけど、その絡み方がめちゃくちゃ面白い。ただ、万人ウケは絶対ありえない作品。

前科者で借金の取立てに追われる女タクシー運転手役にイ・へヨンssi、元(ボクシングの)ラウンドガールで、ボクサー崩れの暴力的な男(チョン・ジェヨン)と縁を切れずにいる女役にチョン・ドヨンssi、この女性主人公2人と、彼女たちを取り巻く俳優陣が個性豊か。この2人の女優によるアジュンマとアガシの組み合わせがなかなかいい。イ・へヨンssi はなんだかカッコイイアジュンマだ。

自分の作品の中では、女性をアクセサリーみたいに扱いたくないと、先日のフィルメックスでもスンワン監督が語っていたけど、この作品では、男も女も対等に殴りあう。女がかなうはずもないのに、男に執拗に食らいついて、強靭なのだ 。時として、バイオレンスに屈しそうになるので、痛ましいのだけど。

ハナマル印  のチョン・ジェヨンssi は、ボクサー崩れのチンピラ役でこれまたバイオレントすぎる男、自分の女にも容赦なく手をあげる・・・一見、刹那的なヤケッパチのバイオレンスのように見えるのだけど、どこか哀しげで、自分でコントロールできなくなるほどエスカレートしてしまうところには、狂気さえ感じる。

あまりにアクションが激しすぎて撮影中負傷したそうだけど、そりゃケガもするよ・・・チョン・ドゥホンssi(兼アクション監督)と対峙するシーンなんて、相手が強すぎる、無理だよー、死んじゃうよー、ジェヨンssi が・・・と叫び続けたのだけど、もちろんボコボコ  にされてた。最後はちょっと切なくて、私的には胸キュンだったけど。

カレにとってこの作品は、『ガン&トークス』直後の作品なのだけど、『ガン&トークス』のジェヨン役とは、役柄がまったく違うという以上に、容貌も雰囲気もガラリと変わっているので、ビックリ 。『トンマッコル・・・』の後の『ウェディング・キャンペーン』もまったく別人のように見えるし、いつも変幻自在なのだろうか。一体どういう役作りをしているのか聞いてみたい。


ちょっとリュ・スンボムssi 、私の大事なジェヨンssi を・・・そして、おいおい、そこで持ってくか、その鞄・・・スンボムssi のコミカルな役どころも見逃せなくて、そのマヌケな行動ぶりが何ともタイミングよく組み込まれているのだけど。しかし、したたかなヤツ・・・と思ったけど、やっぱり、マヌケだったのかも。

どうしても、バイオレンスの方に目を奪われがちなのだけど、作品全体の組み立て方に注目すると、面白さが分かるような気がする・・・スンワン監督、恐るべし・・・


『ゴースト・タクシー』(DVD)

2006-11-29 23:55:09 | J.J.Y. Filmography


(Image source: nkino)
『ゴースト・タクシー』(2000年 監督:ホ・スンジュン)、このタイトルから容易に想像できるのだけど、リュック・ベッソン監督『TAXi』とデミ・ムーア主演『ゴースト~ニューヨークの幻』をパロディにしようとしたのか、そうでないのかもうさっぱりわからない作品。見始めて45分でもう見るのやめようかと思った(爆)。この作品、B級といわれているけど、それじゃ巷にあまたあるB級映画たちに申し訳ない・・・ホラーなのか(No!)、コメディなのか(ビミョー)、メロなのか(どうだろう?)、カーアクションなのか(そうとも言えなくもない・・・)。

でも、ジェヨンssi が出てるから、最後まで見たけどね。
役名が「ノンストップ」って。ジェヨンssi のタクシー運転手の幽霊役なんて、たぶんこの先拝んでも見られそうもないし・・・。
しかし、ワケがわかりません。タクシー運転手なのに、ゴルフクラブかついでるし、横じまの派手な靴下はいてるし・・・

この作品は、主演のイ・ソジンssi とかチョン・ジェヨンssi のファンが「ファンだから」という義務感でしか見ることはできないかも(笑)。でも意外と出番が多かったので、私的には嬉しいのやら悲しいのやら、そのビミョーさ加減に自分でウケた

韓国でも酷評された映画として有名らしい。見た人同士だと、「ありゃ、ひどかったねぇ」なんてツッコミ満載で盛り上がれるかもしれないけど、まずもってこの作品を友人に勧められないし、勧めようものなら人格疑われそうだわ。というより、どうしてそんな作品が日本語版DVD化されているのか不思議。もっとほかに、日本語版DVD化する作品あるのになー。