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カニの甲羅の透明化に成功
カニの甲羅は、「キチン」という高分子を含む。キチンは抗菌作用・生分解性をもつ高分子として、繊維、フィルム、粒状あるいは発泡素材として利用されてきた。
また、キチンはグルコサミンという、アミノ基がついたグルコース(ブドウ糖)の重合体である。グルコサミンは軟骨成分であることから、これまでは、カニの甲羅を分解した健康食品(サプリメント)などでよく利用されてきた。
今回、京都大生存圏研究所(京都府宇治市)の矢野浩之教授(生物材料学)は11月21日、カニの甲羅を透明にすることに成功したことを発表した。熱に強く柔らかな材料として、有機ELディスプレーや太陽光発電の素材への応用が期待できるという。英国王立化学会の専門誌「ソフトマター」に掲載される。
カニの甲羅は、「キチン」という高分子の極めて細い繊維からできている。研究グループは、化学処理してたんぱく質などを除いた甲羅に、アクリルなどの樹脂を染み込ませると透明化することを発見した。
この原理を応用し、たんぱく質などを除いた甲羅を粉末にして紙でろ過し、樹脂を加えて透明シートを作製。シートはキチン繊維の効果で、元の樹脂より10倍も熱に強く、ディスプレー基板にも十分な強度があるという。ガラスと違ってロール状にもでき、加工も容易だ。
矢野教授は「カニやエビだけでなく、将来は植物繊維も利用できるだろう。バイオマス資源の可能性がさらに広がった」と話している。(毎日新聞 2011年11月21日)
カニの甲羅のサプリメント
グルコサミン(Glucosamine、化学式C6H13NO5)は、グルコースの一部の水酸基がアミノ基に置換されたアミノ糖の一つである。 動物においては、アミノ基がアセチル化されたN-アセチルグルコサミンの形で、糖タンパク質、ヒアルロン酸などグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の成分となっている。
カニの甲羅の利用法はいろいろあるが、健康食品(サプリメント)での利用が多い。最近は甘くておいしいグルコサミンとして、N-アセチルグルコサミンが商品化されている。
カニやエビの甲羅から酵素で抽出したN-アセチルグルコサミンは、酸分解して作る普通のグルコサミン(塩酸塩)より吸収が早く効果が優れている。普通のグルコサミンと違って、甘くて美味しいのでヨーグルトにかけたり、牛乳や紅茶に溶かしても、美味しく召し上がれる。サプリメントの新しい摂り方だ。
N-アセチルグルコサミンには2つの作用がある。1つは、肌の乾燥を防ぐ作用。N-アセチルグルコサミンは、体内でヒアルロン酸に変わり、肌の乾燥を防ぐ 効果がある。ヒアルロン酸より吸収が速いので、保湿効果が早くあらわれる。 (焼津水産化学工業株式会社の調査データ)
また、軟骨が磨り減った膝の痛みを和らげる効果がある。N-アセチルグルコサミンは、体内でヒアルロン酸やコンドロイチンを構成し、軟骨を補充できる。N-アセチルグルコサミンは、高齢者の膝の痛みによる歩行困難を解消する。
キチンとは何か?
キチン(chitin)は直鎖型の含窒素多糖高分子で、ムコ多糖の一種。ポリ-β1-4-N-アセチルグルコサミンのこと。語源は古代ギリシアの衣服であったキトン(chiton)に由来し、「包むもの」を意味する。
カニやエビなどの、節足動物や甲殻類の外骨格や、軟体動物の殻皮の表面といった多くの無脊椎動物の体表を覆うクチクラや、キノコなど菌類の細胞壁などの主成分である。
このように天然物であるキチンはN-アセチルグルコサミンだけでなく、グルコサミンをも構成成分とする多糖であり、N-アセチルグルコサミンとグルコサミンの比はおよそ9:1といわれている。キチンは天然物であるが故に、その比は由来によって大きく異なるものと考えられるが、N-アセチルグルコサミンだけで構成されるキチンは存在しないと考えられる。
よって、キチンを化学的または酵素的に分解するとN-アセチルグルコサミンとグルコサミンを含む多様な二糖、三糖やオリゴ糖が生成する。分子式は(C8H13NO5)n、CAS登録番号は[1398-61-4]である。
工業的には主に水産物として漁獲されるカニ類などの甲殻類の殻から得られる。生体内では、タンパク質、カロテノイドなどの色素、カルシウム塩を中心とした無機塩類などと複合した構造体を形成している。このため、塩酸による脱灰工程、アルカリ処理による脱タンパク工程、および、アルコール抽出や漂白法による脱色素工程を経て精製される。
構造は、セルロースと類似の構造であるが、2位炭素の水酸基がアセトアミド基になっている。即ち、N-アセチルグルコサミンの1,4-重合物である。分子間、あるいは、分子内で形成される強固な水素結合により、明確なガラス転移点や融点を示さず、加熱により分解する。
同様の理由により溶解性に乏しく、ほとんどの溶剤には溶解しない。濃塩酸や濃アルカリには可溶であるが、加水分解などの分子鎖切断による大幅な分子量低下を生じた結果として溶解するものである。 分子量低下をさほど伴わない溶媒としては、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム、メタノール/塩化カルシウム複合溶剤系などがある。中でも前者の溶媒は非水系であるため、誘導体化、ポリマーブレンドなどに有利であり、近年、それらに対する試みや応用が盛んになってきている。
なお、濃アルカリ水溶液中での煮沸処理などにより、脱アセチル化され、キトサンを得ることが出来る。生物資源由来の物質であり、枯渇の恐れが無い、安全性が高い、生物分解性であるなどの特徴をもつ。特に生体において容易に分解し、比較的高い強度と柔軟性を持つことから、手術用縫合糸として利用も検討された。(Wikipedia)
キトサンとは何か?
キトサン (chitosan) とは、多糖類の一種で、ポリ-β1→4-グルコサミンのこと。直鎖型の多糖類でグルコサミンの 1,4-重合物で、分子量は数千から数十万に及ぶ高分子である。分子式は(C6H11NO4)n、CAS登録番号は[9012-76-4]。
工業的には主として、カニやエビなどの甲殻類の外骨格から得られるキチン(ポリ-β1→4-N-アセチルグルコサミンからなる)を、濃アルカリ中での煮沸処理等により脱アセチル化して得る。
キチン骨格中の2位の炭素上のアセトアミド基を脱アセチル化し、遊離の第一級アミノ基に変換するが、濃アルカリ煮沸などの過酷な条件での処理をすることから、ポリ-β1→4-グルコサミン構造も鎖が切断されたり、一部変化する。
また、キチンのキトサンへの変換(脱アセチル反応)は完全には進まず、糖鎖上に一部 N-アセチルグルコサミンを含むことが多い。キトサンの品質は、脱アセチル化の割合 (%DA) で示される。 これは NMR分光法、赤外線吸収スペクトル法 (IR)、および、コロイド滴定法などで測定することができるが、市販のキトサンの %DA は通常 60~100% の範囲にあり、70%程度(キチンがキトサン鎖中に3割残っていると言う意味)の商品が多い。
加工が容易で、繊維、フィルム、粒状あるいは発泡素材として利用可能。生物資源由来の原料より生産されるため、資源枯渇の可能性が低い。生物分解性。化学処理により様々な機能を付与することが出来る。低毒性とされる。マウスの半数致死量(LD50、経口)は 16g/kg と報告されている。
神経再生や皮膚再生など再生医療素材としての応用が進んでいるが、そのほかにも、ポリマーブレンドやハイブリッド材料などへの応用例も多数見受けられる。また、アミノ基の反応活性を生かした誘導体化等による更なる高機能化へのアプローチも盛んに行われている。精製された高品質なキトサンを膜や繊維、スポンジにして、医療分野での用途にも利用可能である。(Wikipedia)
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