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「ファースト・スター」は太陽の40倍程度?観測と理論が一致!

2011年11月14日 | 宇宙

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 宇宙最初の星は太陽の40倍
 宇宙が誕生して最初にできた星々の質量は太陽の40倍程度であるというシミュレーション結果が出た。観測から導き出される理論では太陽の数十倍と予想されており、今回のシミュレーション結果と一致した。宇宙初期の歴史がまた一つ明らかになったと言えそうだ。

 137億年前に誕生した宇宙には、ほぼ水素とヘリウムしか存在していなかった。そこから星が誕生し、核融合によって様々な元素を合成することで今のような宇宙になったと考えられている。しかし、水素とヘリウムしかなかった時代にどのようにして最初の星「ファーストスター(初代星)」ができたのか、それがどのくらいの大きさであったのかは、よくわかっていなかった。

 これまでの研究では、まず太陽の100分の1程度の原始星が誕生し、その周りに水素やヘリウムのガスが落ち込むことで初代星ができたらしいというところまではわかっていた。宇宙初期にはガスが大量に存在しているため、この初代星はガスを大量に集めることで、太陽の数百倍という非常に巨大な恒星になっていたのではないかと予想されていた。

 このような巨大な星は、できてすぐに超新星爆発などで重い元素を作り、それを宇宙に撒き散らしていったと考えられる。しかし最近の元素量の観測から予想される宇宙最初の星は太陽の数十倍程度であったといわれており、食い違いが存在していた。

 京都大学をはじめとする国際研究チームは、原始星ができてから10万年経った後、初代星はどこまで成長するのかというシミュレーションを行った。その結果、太陽の20倍程度の重さになったところから、周囲のガスを加熱し、ガスが星に降り積もってくるのを邪魔するようになった。最終的に太陽の数百倍という非常に重い星が誕生することはなく、太陽の40倍程度の重さを持つところで成長が止まってしまうことがわかった。

 これにより、これまでの理論的な食い違いが初めて解消された。初代星形成の理論の進展などに大きな影響を与えそうだ。(サイエンスポータル)

 宇宙で最初に誕生した星は集団
 一方、2011年2月10日、独・ハイデルベルク大学のPaul Clark氏と米・テキサス大学オースティン校のVolker Bromm氏らの研究チームは、巨大な恒星というのは、むしろ例外的で、小さな恒星がグループで複数、形成されるというシミュレーション結果を発表している。

 誕生したばかりの宇宙は、水素やヘリウムの小さなガスの塊がところどころにあるだけでほとんど何もない場所だったが、やがて重力で集まったこれらの塊がガス雲になり、太陽質量の100分の1程度の原始星に成長したと考えられている。

 原始星は残りのガスを集め、それが星の周囲のちりやガスの円盤となる。従来のシミュレーションでは、この円盤は分裂することなく中の物質は順調に原始星の重力に引っ張られつづけ、太陽質量の30~300倍の巨大な星が形成されると考えられてきた。

 今回シミュレーション時間を伸ばしたところ、円盤は実はちぎれやすいことがわかった。「円盤が重く巨大になりすぎると不安定になって壊れてしまい、そこから他の原始星が作られる。最終的に大質量の二重星になったものが今、ガンマ線バーストとして観測されるかもしれない」という。

  チームは、宇宙初期の星形成の様子をこれまでシミュレーションされていなかった段階までスーパーコンピュータで再現した。すると、ほとんどの原始星は太陽~地球の間ほどの狭い領域に4~5個の小さな星が密集した状態でできた。

 いくつかの原始星はお互いの衝突でグループからはじき飛ばされた可能性もある。そうだとすれば、大質量から小型のものまで様々な大きさの星ができあがったと推測され、質量の小さいものは宇宙初期に誕生して今なお輝き続けているかもしれない。 この研究は宇宙初期の星形成の新しい見地を示したが、まだ完全ではない。

 研究チームでは今後、物質が円盤に集積し終えるのにかかるさらに長期間のシミュレーションを目指しているということだ。宇宙最初の星は集団で形成されたのだろうか?(2011年2月10日 McDonald Observatory)

  原始星とは何か?
 一般に、原始星とは、生まれたばかりの恒星のことで、暗黒星雲の一部が自己の重力で収縮しはじめ、輝き出した状態を指す。

 暗黒星雲が近くの超新星爆発などによる衝撃波を受けると、それによって物質の濃淡ができる。濃くなった部分は重力が強くなるので、周囲の物質を引きつけさらに物質の濃度が濃くなる。するとさらに重力が強くなり、加速度的に濃度が濃くなっていく。このようにして原始星が誕生する。

 原始星には周囲からさらに物質が集積してくるので、降着円盤が形成され、原始星に取り込まれきれなかった物質は、円盤に垂直な方向へ宇宙ジェットとして放出される。この宇宙ジェットが周囲の星雲の物質と衝突して輝いているのがハービッグ・ハロー天体である。

 原始星には周囲の物質が超音速で落下していき衝撃波面が形成されている。その面で落下物質の運動エネルギーが一気に熱に変わっている。そのため、原始星は主系列星よりも非常に明るく輝いている。この時は原始星はまだ周囲を暗黒星雲に覆われているため、星雲の外からは可視光では観測できず赤外線だけが観測される。この状態は、それを理論的に導出した日本の宇宙物理学者・林忠四郎にちなんで林フェイズと呼ばれる。

 原始星は自己の重力でゆっくりと収縮していき、その際の重力エネルギーの解放で徐々に中心核の温度を上げていく。また恒星風により周囲の暗黒星雲を吹き飛ばす。こうして可視光でも観測可能になった星がおうし座T型星である。さらに中心核の温度が上昇し、水素の核融合反応が開始されると主系列星となる。(Wikipedia)

 ファースト・スターとは何か?
 宇宙最初の恒星を「ファースト・スター」という。宇宙の年齢は現在137億歳であると考えられている。星や銀河が光輝く美しい宇宙の姿になるにはそれほどの長い年月が必要だったようだ。

 誕生してから数億年の頃までの時期は宇宙の「暗黒時代」と呼ばれ、これまでどのような波長でも観測がなされていない。つまり、この時代を伝える「光」をわれわれはまだ捉えることができておらず。その様子を知ることができないでいるのである。最初の数億年の間、星や銀河などが生まれる前の宇宙には、ガスと暗黒物質が薄く漂い、それにビッグバンの名残である弱い電磁波が飛び交うだけで、文字通り暗黒の宇宙だったと考えられる。

 暗黒宇宙に光を灯したのは、宇宙に生まれた最初の星「ファースト・スター」である.ファースト・スターの誕生により暗黒宇宙は終焉し、やがて光輝く銀河宇宙へと変貌をとげていく。

 ファースト・スターが誕生したのは宇宙創成から3億年ほど経った頃である。われわれの計算では宇宙の平均的な場所を仮定したが、所によって多少の差があるため、宇宙の一番星が光り出したのは1億~3億年の頃というのが妥当であろう。いずれにせよ137億年の宇宙の進化史のかなり早い段階であることになる。次に、原始星(生まれたばかりの星)の質量は太陽の100分の1程度であった。

 中心温度は絶対温度1万度を超え、また密度は1cm3 あたり0.001g 程度、ちょうど空気と水の密度の間くらいに相当する。まわりには大量の温かいガスが存在し、それらが中心にむかって落ち込んでいくため、この小さな星の種はすぐに成長し、巨大な星になると考えられる。実際に3次元シミュレーションから得られたガスの降着率を用いて、原始星進化の詳細な理論計算をおこなったところ、最終的には質量がおよそ太陽の100倍以上にもなると考えられてきた。吉田直紀(東京大学数物連携宇宙研究機構)

 今回のシュミレーションの結果、太陽の20倍程度の重さになったところから、成長のスピードがゆっくりになる。最終的に太陽の数百倍という非常に重い星が誕生することはなく、太陽の40倍程度の重さを持つところで成長が止まってしまうことがわかった。 

参考HP 数物連携宇宙研究機構(iPMU) ファーストスターは太陽の40倍の重さ

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