勝率８割松尾流の恐怖

渡辺竜王の名著「四間飛車破り【居飛車穴熊編】」によると、松尾流居飛車穴熊は、勝率８割を誇るらしい。
この本以降、アマ大会でも松尾流狙いの居飛車穴熊が増えてきた。うんざりするくらい。

しかし、
「ダメだ・・・松尾流は堅すぎる。振飛車には勝ち目がありましぇ～ん（泣）」
などと、言うつもりはありません（きっぱり！）。
むしろ逆。
アマ強豪と言われる人でも、「松尾流」を誤解している人が多い。
ここに、振飛車党はつけ込む隙がある。

松尾流のメリットは、４枚穴熊に組めることなのだろうか・・・？
否。松尾流のメリットは、「角がぶつかる攻撃型をスムーズに作れる」ことにある。と思う。

第１図の囲いを作って、「勝率８割コースだぜ！」は誤解であり、第２図のような攻撃型を伴ってこその「勝利８割コース」なのです。
だから、第３図のように角を３七に転換しちゃったら無意味よ～ん。
　　　　

アマ竜王戦神奈川予選の、私の対局から。
第４図のように組むと、居飛車はなかなか松尾流には組めない。
先手で専守防衛の駒組をしている振飛車党にも問題はあるが、まあ大目に見てちょ！
　　　　
第４図以下：△５一角▲６七銀△７三角▲５八銀△４二銀▲２七銀△３一銀右▲３八金△６二飛▲５七銀△８四角（第５図）

松尾流「囲い」に組みたい人は、△５一角～△７三角～△４ニ銀と指してくる、が、これは勘違いしている人。
その間、銀冠に組み替え、鈴木システムが完成！松尾流「囲い」と言っても、攻撃力がなければ恐くない。
　　　　
第５図以下：▲４八銀△６一飛▲６九飛△９二香▲１八香△７五歩▲同歩△同角▲７九飛△５三角▲８八角△８六歩▲同歩△７五歩▲５五歩△７一飛▲５九飛△７六歩▲５四歩△８六角▲５六飛（第６図）

第５図以降、気になる点が２つ。
１つ目は、△６一飛～△５一角～△４ニ角～△６二飛～△８二飛という手順が成立するかどうか。
２つ目は、「△６一飛の局面での最善手」は何か。
選択肢は狭く、▲６九飛、▲１八香、▲９七香、▲８八角ぐらい。
▲６九飛が無難だが、もう１手待たれると手が難しい。▲１八香は△１九角の傷を残すので、思い出が悪い。
　　　　

本譜、第６図のように進行。
以下は、△５二歩▲４五歩△７七歩成▲４四歩と進み、優勢がはっきりした。