寂しさ半分、期待半分の襲名ですが。「勘太郎」の大ファンであったlavieとしては名前が変わる前に
勘太郎十種
を選ばなければ!
襲名取材記事の中でお気に入りの一枚。どっちがカンタでどっちがカンク?鏡の中がカンクなんだろうな。
二月興行の顔寄せはきょう午後。つまり幕内的には「勘太郎」はあと数時間のいのち。感想たまってるけど、こっちを急いで書くぞ!
初めて勘太郎の存在を意識したのが2003年6月歌舞伎座『陣門 組討』での玉織姫なので、それより前の演目は入っていません。
このブログを読んだ方ならお分かりでしょうが、一切メモとか記録とかつけてない人間なので、記憶に残ったものの中からのチョイスです。たぶんすごく漏れがある。でも記憶に残ってないってことは、そういうことだ、と思っているので、これでいいのだ。
ベストテンではなくて十種なので、順番は不同てか、思い出した順。つまりインパクト順ってことかな。上演順にしようかとおもったけど、調べるのが面倒w
勘太郎十種
夏祭浪花鑑(2010博多座)
お辰ほかの役ではたくさん見てきたけれど、病気の勘三郎の代役での團七。これが絶品だった。勘三郎には見られない翳りが團七の役に奥行きを広げて。初役・代役でここまでできるこの人の可能性に脱帽。
土蜘(2010?浅草)
前方席で「いつ出てくるの?出てくるの?」と花道の気配をずっと背中で受け止めていたのに、まったく気配がしない。気づいたら花横前方席の自分のすぐ脇にいた。あのときの背中がぞぞぞぞーーーっとする感覚は二度と忘れない。
袖萩(2009?浅草)
一連のででででっかい勘太郎・座頭格の役ブームwの先駆けだったんじゃないかな。吉右衛門に教わったことによって、彼の、父親にない眠っていた遺伝子が目覚めた感じ。袖萩の哀れさも、女形カンタ好きなlavieには大好物。
四谷怪談(2009 8月演舞場)
ただ哀れで怖いだけではなく、強いお岩。これまた父の芝居をなぞりながら、父と明らかに違う色が出ていて、今後への期待を抱かせる芝居だった。
雨乞狐(2005年8月歌舞伎座ほか)
もはや伝説の、といってもいいかもしれないw。
膝損傷の原因ともなった(再演の博多座で)舞踊だけに、もう見られないかもしれないが、勘太郎の舞踊家としての本領発揮の一幕だった。
野崎村(2004年?松竹座)
女形勘太郎フェチの私にとってカンタの女形ナンバー1がこれ。お光のひたむきな恋情、張り詰めた気丈ぶり、そして大詰めの泣き落とし、すべてが完璧だった。もうやらないのかなあ。あのころとは役柄が違ってきちゃったからなあ。ぜひとも再演してもらいたいんだけど。
仮名手本忠臣蔵六段目(2005?浅草ほか)
舞台が終わった直後の息苦しいまでの緊迫感は、すべての舞台のなかでナンバー1.ワースト1なのかな?wとにかく呼吸ができないほどに生々しい勘平だった。その後、中村座でやったときのほうが洗練されていてインパクトは少なかったが。とにかく初役初日のあの緊張感が忘れられない。
関の扉(2011年12月中村座)
袖萩同様、「家の芸」とかけ離れたところで、父親とは違う、勘太郎ならではの味を出して成功したのが、新たな勘九郎に向けての自信となったに違いない。
一本刀土俵入
書き物も一本くらい。磯異人館と迷ったのだが、作品としての完成度がこちらのほうがダントツなので。
車引
梅王の存在感、躍動感、力強さ、忠義振り。すべて当代一だと言い切ってしまおう。勘九郎になって円熟が加われば最強。
番外
連獅子
中村屋の連獅子は最高の芸なのだが、親子芸ってことで勘太郎十種に入れるのはやめておく。
あと、三人じゃなくてちゃんとした連獅子を見たかった。過去形でいうのもなんだけど、父親がどこまで回復してくれるか。またまた別の形での三人連獅子はやりそうなんだけど。
勘太郎脇役五種
勘太郎は脇に回ってもいい味を出す役者。今後どんどん減ってしまうのだろうけど、脇でもみたいなあと思ってしまいます。
玉織姫(陣門・組討)
なんといっても最初に「勘太郎、ってすごい?」と認識したお役だけに、これだけははずせない。
女船頭&山崎屋勘十郎(法界坊)
要助が持ち役になってしまった現在、おそらく二度と見られないただ一度の歌舞伎座ヴァージョン。個人的には今まで見た法界坊のベストなのだが。笹野の持役の滑稽敵と、いなせで婀娜な馬のしっぽのお姐さん、どちらも絶品だった。
弁慶(船弁慶)
薬師寺奉納歌舞伎でただ一度みただけだが、その力強さに感動。勧進帳の弁慶もやれる役者だと確信した。
義経(熊谷陣屋ほか)
弁慶もいいが義経もいい。気品と愛情深さを併せ持つ稀有な大将ぶりだと思う。弁慶方向に行きそうなきもする今後の勘九郎だが、義経方向、もちろん女形も捨てがたいのが困ったところだw
千代(寺子屋)
戸浪もやっているが、強い母性を感じさせた千代が寺子屋では好き。勘太郎の女形は、特に母性が必要なものがいいと思う。今後は源蔵松王に行くんだろうけど。
勘太郎遅くなってごめんねシリーズ
遅れてきたファンゆえにナマで見られなかった中で特に見たかったもの。
今後も見られそう、あるいは見られることが決定してるものもあるけど。
船弁慶
四の切
一條大蔵
盛綱陣屋(小三郎)
桃太郎(初舞台)
伴奴(10歳くらい?)
連獅子(同じくらい?)
本当の初お目見え(なんかの舞踊でじいちゃんに抱っこされて出た。一歳未満だったとか)
勘九郎見ないと死ねないシリーズ
見たい役は山ほどあるが、見たことなくてこれだけは見たい!厳選に厳選を重ねた5つ。
私見による実現可能性高そうな順に・・・
京鹿子娘道成寺
弁天小僧
熊谷陣屋(熊谷もだけど相模も)
鳴神(上人はもちろんだがあえて雲絶間も)
十八番がらみで、やらないんだろうなあ、と思いつつ
暫の権五郎と勧進帳の弁慶も熱望。勧進帳、富樫と義経はやると思うけど・・・
立女形の役だからやらないんだろうなあ、と思いつつ、じいちゃんのこれみたいな
先代萩の政岡とか重の井子別れなどの母性系女形
若女形の役だからもうやらないんだろうなあ、と思いつつ
再びの野崎村お光、加賀見山のお初、矢口渡しのお舟(だっけ?)などのけなげ系若女形
なんかすっごくいろいろ抜けてる気もするけど、2012年1月30日現在、脳内記憶のみで書いたあたしの勘太郎アジェンダでありました。
追記
そうそう、昨日NHKでやってた先代w勘九郎の鏡獅子レポ番組、再構成インタビューでの勘太郎の話が珍しくwwwよかった。
自分と比べて「硬質」な芸だ、と父親に評されたのに対して「硬質なものでも磨けば丸くなる。柔らかい、ということではなくて硬質なまま、球体になりたい。磨くのも性急にやると傷がつくからゆっくりゆっくり磨きたい」みたいなこと。
自分の芸質と気質をきっちり把握してるなあこの人は、そして自分に対しての自信も相当つけてるなあ、と心からうれしく思いました。
「カンタらぶ」は薄れてしまったけれど、「カンク」はたぶん「大好きな役者」になっていくんだろうな、となんとなく予感させるインタビューでした。
この番組、前に一度見たことあるんだけれど、内容が濃くて面白かった。六代目と勘三郎(当時勘九郎)の脚を比較したりしてたけど、どうせ再構成するならカンタの脚も比較してほしかったなあ、なんて。
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見逃しました。残念無念。
徹子とのすれ違い会話に注目!
「鏡獅子」の番組、ブルーレイでよければ焼きますが?
いつか観られる日のために♪
今日は早起きして初日観劇です。
laviedureさんもきっと客席にいらっしゃるのでしょうね。
なんだかドキドキしますねw