星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
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往復書簡という時間…

2023-02-09 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
立春も過ぎ、 新年のあわただしさはもはや遠く 春のおとずれと花の季節を感じはじめる今日このごろ…  

二月逃げる と言いますが、 時のたつのは速い!ですね… 脱兎のごとく…(笑

TVなどでもさかんに 時短、時短と言っていて、 まるで工場の生産管理のように1分1秒を節約しながら生活する日常。。 みんな忙しいんです、、 たしかに。。

そんなデジタルの時間とともに、 私のなかには もうひとつのアナログな時間の流れもあるようで…

 ***

新年の挨拶状のあとには 30年来、、 いえ そろそろ40年近くになろうかという長年の知人に想いを馳せることが多くなります。 もう 70代、80代になる大先輩でもあり、 当然のこと SNSなどの日々のやりとりは存在しません。。

それでも、、 こんな永遠の未熟者の私のことも忘れずに 書状やメールをくださる。。 私などとは脳味噌の構造が数段階も高度な方々ゆえ、 まずは頂いたメールの内容を咀嚼するのに半日は要し、、 それを自分の頭で理解できるまでにさらに1日くらいはかかり、、 それからその話題に対して自分ならどんなお返事が書けるだろうかと思いあぐねること、、

、、 すぐお返事が書けることもあれば、 悩み考え 本をひろげ いろいろ検索したり、、 ようやくお返事が書けるまでに数週間かかることも… (ちゃんとしたお返事が書けない時は しばし時間を… とお報せして 半年先になることも…)


それでも 文学のこと、、 先人の知のこと、、 文章にして語る往復書簡の時間があることは 私にとってこの上なく貴重な、、 年をとればとるほど更に貴重なものに思えます。

 ***

昨日 そんなお返事メールを一日がかりで送信して、、 ふっと 「往復書簡」というのは、 もしかしたらこれから先の世代では消え去ってしまうものなのかもしれないな… と 考えていました。

かつて読んだ、 辻邦生さんと水村美苗さんの往復書簡集『手紙、栞を添えて』(ちくま文庫) のことを思い出し、 新聞に連載されていたのを読んだ頃にも あぁ、こんなお手紙が書けるようになりたいな… と思ったものでしたが、 年を重ねてもまだまだ全然 あのような書物や文学に対するきめ細やかな洞察と愛情を湛えたお手紙は書けそうもないです… (悲)

それでも「往復書簡」のもつ、 相手への親しみや愛情をこめて書く文章や、 相手へ伝えたいという想いを込めて或るテーマについて語る文章の良さというものを あらためて思い出して、、 それで 「往復書簡」の本を検索してみたら 沢山、、 読んでみたい往復書簡集がいくつもありました。。

『田辺元・野上弥生子往復書簡』(岩波現代文庫)
 晩年の野上弥生子さんのお便りなどは ぜひ読んでみたいです…

『旅の仲間 澁澤龍彦・堀内誠一往復書簡』(晶文社)
 鎌倉の澁澤さんとパリのイラストレーターとの書簡、、 見てみたい。。

『ヒア・アンド・ナウ 往復書簡』(岩波書店)
 これは知らなかった ポール・オースターとJ.M.クッツェーとの書簡。しかも2008年から2011年というわりと最近のものというのが興味深いです…


先日載せた クララ・シューマンとヨハネス・ブラームスの本も往復書簡集でしたね。。 19世紀の演奏旅行先からのお手紙、、 他に連絡手段のない時代だからというのもありますが、 昔のひとびとは本当にたくさんの手紙をお書きになっていたことに驚きます…

 ***

往復書簡、、 


こんな時短の短いメッセージばかりの時代でも、 往復書簡 やってみると本当に良いものだと思います。 近況報告とかではなくて、 ある思索、 ある想いを、 相手に伝え(あるいは時に伝わらず) 、、 投げかけられる言葉を難問を解くように何度も反芻する…



そして お便りをいただく度に

あぁ もっと学ばないとぉ… と思うのです。




明日は 雪になるのかな…




お元気で  よい週末になりますよう…


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