余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

記憶

2021-03-30 00:13:54 | 天秤の詩
記憶の中のいくつかの断片が
おかしな順序でつながっていく
あるはずのない物語が
拾ってきた思い出をあてはめて
おもわぬところに脚色をつけ
強烈で目の覚める一場面の情景を
生み出していく
思い描けば感動的で息のつまる
手を伸ばせば触れることができて
景色には温度がちゃんとあり
体験していないはずの出来事が
デジャブのように感じられる
曖昧模糊とした憂鬱がそうさせるのか
または色鮮やかな花吹雪がそうさせるのか
眠りの中の夢の世界
体のどこかにある色とりどりの感情や想いは
辿り着いた記憶によって起こされる
喜怒哀楽は揺りかごに揺られ
眠りの中で待っている
呆れるほどの花束を抱きかかえ
周りから見ればおかしなほどの歩き方
恋焦がれた人に会いたい
そんな気持ちにも似た心は
足をおとぎの国に変える
けれども頼りない手は色を摑み損ねる
そして淡い記憶がまた出来上がる
意味深げな記憶を一つ取り出し
今度は自覚の中で落書きする

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