大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

私の運動史(連合静岡時代 その26)

2016年04月27日 | 労働者福祉
2005年11月、湖西市で痛ましい事故が起きました。
交差点で信号無視の車に正面衝突され、同乗していた2歳の理子ちゃんを失った山岡さんの家族は悲嘆にくれます。
ところが犯人は日系ブラジル人であったため、警察が拘束する前にブラジルへ帰国してしまいました。
亡くなった理子ちゃんの墓前に一度も詣でることなく…。

日本とブラジルは、犯罪人引渡し条約がなく、さらにブラジルでは、ブラジル国民はブラジル国内にいる限り他国の司法機関に訴追を受けることがない、と憲法で決まっています。
ですから帰国した容疑者は、何の処罰もされず、何事もないようにブラジルで暮らしていけるのです。
愛児を失った山岡さんご夫妻は、この不条理に立ち向かうべく、犯罪者引渡し条約、そして代理処罰を実現すべく署名活動を始めたましたが、目標とすべく10万筆には遠く届いていませんでした。

そのことを私が知ったのは親交のあったアスモ労組元委員長の古沢氏からの電話です。
連合静岡の力を貸してほしいと頼まれてまずは平野会長とも相談をしました。
その際に「連合の署名活動」についてのルールを知るのですが、痛ましい事件は私たちの琴線にふれるものでもありましたから、ご家族とも連絡を取って協力していく方向で進めることを確認しました。
そして06年5月執行委員会で署名活動の承認をいただき、全県下で署名活動を展開することとします。
加えて連合東海ブロックにも提案し共感をいただき、東海ブロック全体でも署名活動を協力いただけることとなりました。

その結果、連合東海ブロック全体で29万人の署名が集まり、山岡さんの手元にはなんと66万もの署名が寄せられたのです。
06年5月22日ブログ
そしてこの連合静岡の運動成果は思わないところに現れました。

静岡新聞の9月9日読者投稿欄「ひろば」で大変嬉しい投書を読みました。
主題は「犯罪阻止願う66万人に拍手」です。
ブラジルの犯罪人引渡し条約締結運動で連合静岡が「連合東海ブロック」にも呼びかけて29万人余の署名を集めた活動に対しての投書ですが、本文の一部を紹介してみます。

『連合東海ブロックは業種を超えた人たちの協力と行動の結果で、その組織力の強さをまざまざと見せた。
最近の労組の組織力低下はひどく、求心力を失い「労組はその原点に立つべき」だともささやかれ、安全安心の職場も問われている。
連合29万人の署名に拍手を送りたい。』
06年9月10日ブログ

どんな壁でも必要とあらば乗り越えられることをふたつの署名活動で勉強させられました。

(つづく)